衆院憲法審査会は19日、「憲法改正国民投票法をめぐる諸問題」について自由討議を行い、日本共産党の赤嶺政賢議員が意見表明しました。
赤嶺氏は、「憲法審査会は動かすべきではない」と述べ、審査会が憲法改正原案の発議と審査を任務とし、「改憲原案をすり合わせ発議へ向かうことにつながる」と指摘。自民党憲法改正推進本部が改憲原案を年内に策定し、審査会に上程するとしていることを「看過できない」と批判しました。
また、現行の国民投票法は、最低投票率の規定がないこと、CMの量が資金力の多寡によって左右される恐れがあることなどを挙げ、「欠陥法」だと指摘。「これらの欠陥を棚上げして与党提出の7項目の案を一方的に成立させるのは認められない」として、野党の中から出ている案を並行して、慎重審議すべきだと主張しました。
自民党の新藤義孝議員は与党提出法案の早期の採決を主張。立憲民主党の山花郁夫議員は、国民投票法は「さらに議論を深めるべきだ」と述べました。(しんぶん赤旗 2020年11月20日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
私たちは、憲法審査会は動かすべきではないという立場です。
憲法審査会は、憲法改正原案を発議し、審査することを任務としています。ここでの議論は、改憲原案をすり合わせ、発議へと向かうことにつながります。
安倍政権の七年八カ月、安倍首相は、みずから主導して、期限を区切って、改憲項目を提示し、国会に改憲議論を進めるようあおりました。しかし、憲法改正すべきだという世論は多数にはなっていません。安倍首相自身が、国民的な世論が十分に盛り上がらなかったのは事実だと認めています。この民意を真摯に受けとめるべきです。
ところが、菅首相は、安倍政権を継承するとし、憲法改正についても引き続き挑戦すると述べました。そのもとで、自民党は、憲法改正推進本部に憲法改正原案起草委員会を設置し、改憲原案を年内に策定、党議決定し、憲法審査会に上程するとしています。審査会での議論を改憲案の発議につなげようというものであり、看過できません。
国民の多くが改憲を望んでいないもとで、改憲の議論をするべきでないということを改めて指摘しておきたいと思います。
次に、憲法改正国民投票法について意見を述べます。
前回指摘したように、現行の国民投票法は、二〇〇七年に与党が採決を強行した結果、多くの問題が取り残されたままの欠陥法となっています。
例えば、現行法は最低投票率を規定しておらず、有効投票数の過半数の賛成票で改正できるとしています。これでは、有権者の二割台、一割台の賛成しかなくても改憲案が通ってしまいます。とても国民の意思を反映したものとは言えません。
憲法改正広報協議会のあり方も問題です。協議会の委員は各会派の所属議員数の比率により割り当てられるため、賛成派の議員が多数を占め、反対派の意見は十分に広報されないのではないかという問題点が指摘されています。
コマーシャルの問題についても、当初から資金力の多寡に左右されるのではないかという指摘が相次いでいましたが、いまだに十分な検討はされていません。
国民投票法については、これら根本的な問題について、まず議論するのが当然ではありませんか。これらの課題を棚上げして、与党提出の公選法並びの七項目の案を一方的に成立させようというのは認められません。法案というのであれば、野党の中から出ている案を並行して慎重に審議すべきです。
最後に指摘しておきたいのは、今求められているのは、憲法を守り、生かす議論だということです。菅首相が日本学術会議が推薦した会員候補六名の任命を拒否したことに対し、六百を超える学術団体が任命拒否の撤回を求める声明を出しました。この違憲、違法なやり方に対する批判は、学術界にとどまらず、文化芸術団体、労働組合、法曹、宗教団体、市民団体へと広がっています。この批判を真摯に受けとめ、任命拒否を撤回すべきです。
憲法で保障された基本的人権をじゅうりんする政治を正し、現実に生かすための憲法議論こそ必要だと述べて、発言を終わります。