沖縄本島北部の米軍北部訓練場上空に設定された制限空域が、2016年12月に施設・区域の一部が返還された後も縮小されず、返還前のままの状態になっていることがわかりました。24日の衆院沖縄北方特別委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員の指摘に政府が認めました。
同訓練場の上空2000フィート(約610メートル)には、民間航空機の飛行自粛を求める制限空域が設定されています。国土交通省が公表している航空路誌(AIP)を示し事実関係をただした赤嶺氏に、同省の牧野京夫副大臣は「返還された区域の上空にある制限空域は、返還前のままになっている」と説明。防衛省の原田憲治副大臣も事実関係を認め、返還跡地上空で「ヘリの運用をはじめ各種訓練が行われている」と述べました。
赤嶺氏は、菅義偉官房長官やケネディ駐日米大使が参加して大々的に返還式典を行ったのに、「返されるべきものがそのままになっている」と政府の対応を批判。原田副大臣は「速やかな制限空域の変更が実現するよう取り組む」と表明しました。(2019年5月1日 しんぶん赤旗)
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米軍北部訓練場、高江テント撤去、普天間の危険除去について質問(衆院沖北委)
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
初めに、衆議院沖縄三区の補欠選挙で、辺野古新基地建設反対を掲げた屋良朝博さんが七万七千百五十六票を獲得して初当選を果たしました。辺野古推進の立場を明確にした相手候補に大差をつけての勝利であります。
政府に対し、この結果を真剣に受けとめ、辺野古新基地建設を直ちに中止し、普天間基地の閉鎖、撤去を決断することを強く求めたいと思います。
きょうは、米軍北部訓練場の問題について質問をいたします。
政府は、住民の反対を押し切って、大量の機動隊員を動員して、東村高江の集落を取り囲むように六つの米軍着陸帯の建設を強行し、二〇一六年十二月、北部訓練場の一部が返還されました。当時、菅官房長官やケネディ駐日大使が出席して、返還式典も大々的に行いました。あれから二年四カ月になりますが、訓練場の上空に設定された訓練空域が返還前のままになっていることがわかりました。
資料をごらんいただきたいと思いますが、左側は、北部訓練場の一部返還に伴って返還された区域と、基地として残った区域を図示したものであります。右側は、それに呼応しまして、国土交通省が公表しているAIP、航空路誌から北部訓練場周辺の部分を抜き取ったものです。これは三月二十八日時点のものであります。見比べていただければわかりますように、現在の制限空域は返還前の状態のままになっています。
国土交通副大臣に伺いますが、二年四カ月も前に返還されたのに、返還区域の上空がそのままになっているのはなぜですか。
○牧野副大臣 お答えをいたします。
委員の御指摘のとおり、北部訓練場が一部返還されている一方で、返還された区域の上空にある制限空域は返還の前のままになっていると認識しております。
当該制限空域につきましては、米軍と調整した後に、防衛省から制限空域の範囲に係る依頼を受け、国土交通省が、航空路誌、これは、航空路誌というのは国が発行する出版物でありまして、航空機の運航のために必要な恒久的な情報を収録するものでありますが、その航空路誌に公示することになっております。
○赤嶺委員 今の答弁だと、原田防衛副大臣、何で制限空域が返還前のままになっているんですか。
○原田副大臣 お答えを申し上げます。
先ほど国土交通省牧野副大臣から御説明のあったとおり、北部訓練場及び平成二十八年十二月に返還された跡地の上空は、民間航空機の飛行自粛が必要な制限空域として航空路誌に掲載されていると承知をいたしております。
その上で、返還跡地の上空につきましては、現在、返還後の地形を踏まえて、制限空域の形状を変更すべく、関係省庁及び米側と調整を行っておるところでございます。
関係省庁及び米側との調整が整い次第、速やかに防衛省から国土交通省に対し、航空路誌、AIPに掲載された制限空域の変更を依頼する予定でございます。
○赤嶺委員 大々的に返還式典をやった事柄ですよ。これで沖縄の基地の負担は軽減されたというような大演説も、菅官房長官、やりましたよ。なのに、返還跡地の上空、返されるべきものがそのままになっている。
事前の説明を受けたら、米軍が返還後の空域使用のニーズを示していないことが協議が進んでいない理由の一つだということでありました。そういうことですか、副大臣。
○原田副大臣 今申し上げましたとおり、米軍は従来、その任務遂行能力を維持して日米安全保障条約の目的を達成するため、必要な訓練を行っておると承知をいたしております。
他方、御指摘の、北部訓練場上空の制限空域における米軍の個別具体的な使用状況については、米軍の運用に関することでありまして、承知はいたしておりませんが、ヘリの運用を始め、各種訓練が行われておるものと承知をいたしておるところでございます。
○赤嶺委員 もともと制限空域は米軍基地の上空に設定されているものです。基地を返還するときには、それらに合わせて空域も縮小されていなければならなかったものです。米軍がいろいろ使っているから、米軍のニーズをおもんばかるような問題ではもともとありません。
原田副大臣は、いつまでに空域を縮小するんですか。
○原田副大臣 お答えいたします。
制限空域は、航空関係者にとってできるだけわかりやすい形で周知をする必要がある。その一方で、北部訓練場の形状が極めて複雑でありますことから、制限空域の変更に時間を要しておるところでございます。
制限空域の変更につきましては、関係省庁及び米側と調整中でございまして、具体的な時期をお示しすることは困難でございますけれども、速やかな制限空域の変更が実現するように取り組んでまいります。
○赤嶺委員 形状が複雑。だって、返還された形状に沿って空域も返還すればいいことじゃないですか。形状が複雑というそんな説明、わかりません。
結局、米軍は使っているわけですよね、その空域を。いかがですか。
○原田副大臣 委員おっしゃるとおりでございます。
○赤嶺委員 いつまでも、返還跡地の上空、返さなきゃいけないところを使い続けることは許されないと思います。
宮腰大臣に伺いますが、北部訓練場がある沖縄本島北部は、今政府が世界自然遺産登録に向けた取組を進めている地域であります。政府は、二〇一七年、推薦書を提出しましたが、北部訓練場の返還地などが含まれていなかったために出し直すことになりました。こうした経緯があるのに、返還区域の上空が制限空域のままになっているというのは、到底許されるものではないと思います。
世界自然遺産登録を含む北部地域の振興を進めていくためにも、大臣としても制限空域の縮小に努力すべきだと考えますが、いかがですか。
○宮腰国務大臣 北部地域につきましては、県土の均衡ある発展を図る観点から、北部地域の連携促進と自立的発展の条件整備を着実に推進することが重要であり、内閣府におきましては、北部振興事業により、産業の振興や定住条件の整備などに資する振興事業の実施に取り組んでいるところであります。
特に、二〇二〇年の世界自然遺産登録を見据え、現在、やんばるの森を周遊できる観光拠点の整備を重点的に支援しているところでありまして、世界自然遺産登録を北部地域の振興につなげることができるよう、沖縄振興を担当する大臣として、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
北部訓練場の制限空域については、現在、関係省庁において米側と調整を行っているところと承知しておりまして、私としては、その動向を注視をしてまいりたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 もう二年以上たっても進まないですからね。注視していては絶対に進まないですよ。沖縄担当大臣の立場から、あそこは世界自然遺産条約に登録されるべき大事な地域だ、何をやっているんだというようなことを関係省庁に、やはりきちんと物を言わなきゃだめだと思います。
次に、東村高江で、住民が抗議活動のために設置していたテントや掲示物などが米軍に撤去された問題についてであります。
今月九日の安保委員会で、県道になっている区域であるにもかかわらず、道路管理者である沖縄県の許可もなく米軍が勝手に撤去することは許されない、オスプレイの着陸帯がつくられ、騒音に苦しめられている住民に対して、そのようなことは二度と繰り返すべきではないと強く申し上げました。
ところが、沖縄防衛局は四月十八日、テントの撤去を求める警告文を現地に設置しました。二十五日午後五時までに撤去するように求めています。
なぜそのような警告文を設置したんですか。米軍の横暴なやり方に手をかすということですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のテントなどにつきましては、北部訓練場の施設・区域内に昨年の六月から許可を得ずに設置をされていたものでございます。それが、今月の三日、米軍が撤去したということでございます。翌日の四日、テントが再設置をされたということでございますので、今月の十八日、委員御指摘のとおり、沖縄防衛局がテントなどに通知文を張りつけ、撤去を要請しているところでございます。
米軍の施設・区域内に許可を得ずに設置をされた物品に対しては、道路管理者である沖縄県に対して、実効性のある是正措置をとるよう依頼しているところでございます。米側とも緊密に連携を図りながら、適切に対応を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○赤嶺委員 ちょっとこの問題について改めて聞いていきたいと思いますが、防衛副大臣に伺いますけれども、北部訓練場の形成過程について、これはどのように認識しておられますか。
○原田副大臣 お答え申し上げます。
防衛省といたしましては、沖縄県が戦後も長らく我が国の施政権の外に置かれ、北部訓練場につきましては米国の施政下において設置をされたものと承知をいたしております。
このため、北部訓練場の形成過程につきましては防衛省としてその詳細を把握はしておりませんが、平成三十二年に北部海兵隊訓練場として使用開始され、その際、米軍による強制的な接収が行われたとの記録もあると承知をいたしております。
その後、昭和四十七年、本土復帰に伴い、北部訓練場として提供開始されました。その後、平成八年のSACO合意において、七千五百ヘクタールにある訓練場のうち、その過半、約四千ヘクタールを返還することとされ、平成二十八年十二月、返還予定区域に所在するヘリコプター着陸帯の移設工事を完了いたしまして、返還が実現したところでございます。
この北部訓練場の過半、約四千ヘクタールの返還は、平成八年のSACO合意以来、二十年越しの課題であります。また、沖縄県内の米軍施設・区域の約二割、本土復帰後、最大の返還となります。この返還が実現に至ったことは、沖縄の負担軽減という観点から、まことに意義深いものと考えております。
○赤嶺委員 米軍占領下にあって、強制的に接収されてできたのが北部訓練場です。SACO合意で四千ヘクタールが返還された、最大の返還という割には、さっき、訓練空域、返されていないじゃないかというものもあるわけですから、余りそういうことを言わない方がいいと思いますよ。返してから、どうだということを言ってみてください。
沖縄が米軍の占領下に置かれていた一九五七年、昭和三十二年に米軍からの一方的な通告によって接収され、基地に変えられたのが北部訓練場です。伊江島や宜野湾市の伊佐浜、那覇市の具志、銘苅などで銃剣とブルドーザーによる強権的な土地の取上げを進めながら、関係する町村長を呼びつけて、大規模な土地接収を一方的に通告したのであります。
そうしてつくられた北部訓練場周辺で普通に使われている県道が、実は米軍基地のままになっている。沖縄県が共同使用させてもらうという屈辱的な形になっている。そして、気に入らない抗議活動があれば、占領下と同じように米軍が乗り出してくる。こんなことが許されていいのかという怒りでいっぱいであります。
政府がやるべきことは、米軍の片棒担ぎではなくて、騒音に苦しむ住民の側に立って、抗議活動への弾圧をやめるよう米側に求めることではないですか。そして、県民に県道を返還するために米側と交渉することではありませんか。県道も提供施設ですというぐあいに、こんな、主権国家と称する日本でそんなことが言える話じゃないと思いますよ。恥ずかしいと思わなきゃいけないですよ。
やはり、強制的に取り上げられた基地の、そういう形成過程の中で県道まで基地になっているということを解決すべく頑張るというのが政府の立場であって、アメリカに言われたから一緒にテントを撤去するというようなものではないと思いますが、いかがですか。
○原田副大臣 答弁をさせていただきます前に、先ほど私、昭和三十二年と言うべきところを平成三十二年と申し上げましたので、訂正をさせていただきたいと思います。
その上で県道の部分につきましてのお尋ねでありますけれども、日米地位協定は、共同使用につきまして、米軍が当該施設・区域を一時的に使用しておらないときには、日本政府が臨時に当該施設・区域をみずから使用し、又は国民に使用させることができることと規定をいたしております。
その上で、北部訓練場の施設・区域につきましては、米側が運用上、全体として保持する必要がありまして、部分的にせよ、これを返還することは困難でありますことから、御指摘の県道部分を共同使用として日本側に一時的に使用を認めているものでございます。
御指摘の県道部分については、今後とも県道として使用いただけるよう適切に対応してまいります。
○赤嶺委員 これは米軍にお願いする事柄じゃないですよ。県道は返せと言う事柄ですよ。いわんや、そこに米軍の訓練で苦しんでいる住民が抗議のテントを張ったら、米軍が撤去する、それを日本政府が手伝う、こんな恥ずかしいことはあり得ないということを強く申し上げておきたいと思います。
次に、普天間基地の危険性除去の問題について外務大臣に伺います。
もう一枚の資料をごらんいただきたいと思います。これは、普天間基地周辺の深夜、早朝の騒音発生状況をまとめたものです。二〇一六年度以降、大きく増加しています。二〇一六年度に二百三十三回、二〇一八年度に三百二十回になっています。
普天間基地では、一九九六年にいわゆる騒音防止協定が合意され、深夜、早朝の飛行は制限されています。にもかかわらず、深夜、早朝の飛行が繰り返され、むしろ増大しているのはなぜですか。
○河野国務大臣 普天間飛行場については、日米安全保障体制を支える基盤として非常に重要な防衛施設である一方、市街地の真ん中に位置し、米軍機による航空機騒音については周辺住民の方々に多大な御負担をおかけしていると認識しております。
その上で申し上げれば、日米安全保障条約は、我が国の安全並びに極東の平和及び安全の維持に寄与するため米軍の我が国への駐留を認めており、飛行訓練を含めた軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを前提としております。
飛行訓練について申し上げれば、一般的に、米軍が飛行訓練を通じてパイロットの技能の維持向上を図ることは、即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠であり、日米安全保障条約の目的達成のために極めて重要でございます。
他方、米軍が訓練を行うに当たっては、公共の安全に妥当な考慮を払うのは当然のことであり、政府としても、これまで、米軍機の運用によって地域住民に与える影響が最小限となるよう、適切に対応してきているところであります。
具体的には、普天間飛行場の周辺においては、平成八年の日米合同委員会合意により、進入及び出発経路を含む飛行場の場周経路は、できる限り学校、病院を含む人口稠密地域上空を避けるよう設定すること、夜間訓練飛行は、在日米軍に与えられた任務を達成し、又は飛行要員の練度を維持するために必要な最小限に制限されることとされており、米側に対し、日米間の合意を遵守し、航空機の運用による影響を最小限にとどめるよう申入れを行ってきております。
外務省といたしましては、これまでも、防衛省とも連携しつつ、米軍機の飛行訓練による地元住民への影響を最小限にとどめるよう、米側にさまざまな機会を通じて申入れしてきているところであり、今般の日米2プラス2においても、外来機の騒音を含め、米軍の運用が地元に与える影響が最小限となるよう米側に要請したところでございます。
いずれにせよ、今後も引き続き適切に対応してまいりたいと思います。
○赤嶺委員 外務大臣は、今の普天間の飛行実態が騒音防止協定に抵触している、そういう認識はありますか。
○河野国務大臣 繰り返しになりますが、飛行訓練について申し上げれば、一般的に、米軍が飛行訓練を通じてパイロットの技能の維持向上を図ることは、即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠であり、日米安全保障条約の目的達成のために極めて重要でございます。
しかしながら、米軍が訓練を行うに当たっては、公共の安全に妥当な考慮を払うのは当然のことであり、政府としても、これまで、米軍機の運用によって地域住民に与える影響が最小限となるよう、適切に対応してきているところでございます。
○赤嶺委員 今のような考え方ですから、騒音防止協定は住民の騒音被害の軽減にはつながっていないわけですよ。二十二時から六時までの飛行制限、これをうたってはいますけれども、外務大臣が強調するように、米軍の運用上の必要があればその限りではないという抜け穴があるからであります。結局、深夜、早朝の飛行は野放しです。
国土交通副大臣に伺いますが、沖縄県は今月十二日、米国と欧州四カ国の地位協定の調査報告書を公表しました。調査したドイツ、イタリア、ベルギー、イギリス、いずれの国も、「自国の法律や規則を米軍にも適用させることで自国の主権を確立させ、米軍の活動をコントロールしている。」このように結論づけております。
報告書によれば、ベルギーでは、外国軍隊の航空機にも航空法を適用し、領域上空を飛行する場合、ベルギー国防総省の許可を義務づけています。外国軍隊の飛行を禁止できることも明記しています。そして、二十三時から翌五時までの飛行は原則として許可されていません。飛行する場合には、ベルギー軍航空部隊の承認を得る仕組みになっています。イギリスもほぼ同様の仕組みになっています。
日本も、航空法を米軍に適用して必要な規則などを整備すれば、普天間基地への外来機の飛来、深夜、早朝の飛行を規制することができるのではありませんか。それをやるべきではありませんか。
○牧野副大臣 お答えいたします。
日本の航空法は、民間航空の国際的な枠組みを規定する国際民間航空条約の規定等に準拠し、航空機の飛行の安全などを図るための方法を定めるために制定されております。
一方で、米軍機については、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法により、民間航空機の円滑な航空交通を確保する場合を除き、航空機の運航に関する規定などについて適用が除外されております。これは、我が国が締結した国際約束である日米地位協定等に基づき、米軍が我が国において活動することが認められていることを踏まえ、その履行を担保するために定められたものと承知しております。
その性格を鑑みると、米軍機に適用される航空法の規定を見直す際には、米国との調整を要するものと考えております。
○赤嶺委員 航空機の国際法の規定では、軍用機にもその規制がかかっていることは既に御存じですよね。国際的には軍用機も規制をしているわけです。
一方、日本は、米軍の移動や基地への出入りについて定めた日米地位協定五条の合意議事録、この中では、「日本国の法令が適用される。」このように規定しています。
この「日本国の法令」とは具体的にどの法令を指すんですか。通行秩序の維持にかかわる航空法や道路交通法などの法令は適用になっているのではありませんか。国内法を適用できるんじゃないですか。
○船越政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、日米地位協定第五条に関する合意議事録の四で規定されております「日本国の法令」とは、日米地位協定第五条の趣旨からいたしまして、同条に言及のある船舶、航空機、車両等の通行主体の通行行為自体を、通行秩序の維持の観点に立って規制する法令を指すものと解しております。
米軍機の飛行につきましては、御指摘のとおり、航空法特例法等に基づき、通行秩序の維持の観点に立って、航空機等の通行行為自体を規制する航空法第九十六条から第九十八条までの規定が適用されることとなっておると承知しております。
○赤嶺委員 ですから、航空特例法というのは国内法によって決められているものであって、国内法で航空特例法を廃止すれば、米軍の勝手な運用は国内法で取り締まることができるわけですよ。その点いかがですか。
○船越政府参考人 航空法につきましては、先ほど申し上げましたとおり、航空法第九十六条から第九十八条までの規定が米軍に適用されますが、米軍に適用する国内法の範囲の見直しにつきましては、米側及び国内関係省庁との調整を要するものと考えております。
○赤嶺委員 何で国内法を変えるのに、しかも住民に被害を与えているのに、国内法を変えればできることを米軍との調整にして逃げ回るんですか。
そもそも国際法上も、駐留軍に受入れ国の国内法令が適用されることは原則になっているはずです。外務省は、ことしに入ってホームページの記載を変更しましたが、個別の取決めがない限り、外国軍隊の受入れ国の法令は適用されないという見解は変えていないわけです。
しかし、沖縄県の報告書は、これが国際的には通用しない議論であることを示しております。沖縄県は、ベルギーで万国国際法学会の事務総長に会って、この点の見解も聞いております。万国国際法学会の総長も、国内法の適用は軍用機に対しても当然だ、このように言っております。
外務大臣、これらの沖縄県が調査した結果、外国の軍用機でも国内法を適用している実態がある。ベルギーやイギリスや実態がある。そういうものに沿って国内法を見直せば、普天間基地住民の基地の苦しみはなくなるんじゃないですか。いかがですか。
○河野国務大臣 受入れ国の同意を得て当該受入れ国内にある外国軍隊及びその構成員等は受入れ国の法令を尊重する義務を負うが、その滞在目的の範囲内で行う公務については、受入れ国の法令の執行や裁判権等から免除されるという基本的な考え方は国際的に広く共有されていると理解しております。
○赤嶺委員 終わりますけれども、まさにそれが日本だけの特殊な見解であったというようなことを、同じように米軍を受け入れているイギリスやドイツやイタリアやベルギーの実態を調査して、対応方を調査して、日本のやり方は異常だということを、調査報告書も出ているのであります。
普天間基地の負担軽減と言うのであれば、直ちに航空特例法を廃止して、航空法に基づく航空機の運用で日本のコントロール下に置くべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。