カナダ、フランス両軍と自衛隊が物品役務を相互に提供する枠組みを設ける日加、日仏ACSA(物品役務相互提供協定)が10日の衆院外務委員会で採決され、自民党、公明党などの賛成多数で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党は反対しました。
採決に先立つ討論で、日本共産党の赤嶺政賢議員は、今回の協定で、平時の共同訓練から国際平和共同対処事態、重要影響事態、集団的自衛権の行使が可能となる存立危機事態などで、弾薬を含む物品役務の提供が可能になると指摘。従来、戦闘地域とされていた場所での兵たん支援や戦闘作戦行動に発進準備中の航空機への給油・整備も可能になるとして、「武力行使との一体化そのものだ」と強調しました。
赤嶺氏は、米国以外の第三国とのACSA締結が「多国間の軍事協力の推進・強化」を打ち出した日米ガイドラインを具体化するものだとして、「憲法違反の安保法制と一体で、米軍の軍事行動を同盟国が支援する体制を強化するもの」と厳しく批判しました。(しんぶん赤旗 2019年4月26日)
議事録
○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表し、日加、日仏ACSAの二協定に反対の討論を行います。
そもそもACSAは、一九八〇年の相互兵たん支援法の制定以来、アメリカ政府が世界各国と締結を進めてきた協定です。世界に展開する米軍が、軍事作戦の遂行に必要不可欠な物資役務をいつでもどこでも調達できる集団的軍事支援網をつくることが狙いです。
日本政府は九六年に締結し、以来、周辺事態関連法、武力攻撃事態関連法、安保法制の制定にあわせ、協定の内容を次々と拡大してきました。
本協定は、これまでのアメリカ、オーストラリア、イギリスに続き、新たにカナダ、フランスとの間で物品役務の提供の枠組みを設けるものです。
これにより、平時の共同訓練から、国際平和共同対処事態、重要影響事態、集団的自衛権の行使が可能となる存立危機事態、武力攻撃事態まで、カナダ、フランス両軍と自衛隊が食料や水、燃料などの物品、輸送や通信、衛生などの役務を相互に提供し合うことが可能になります。
しかも、協定では、全ての場合に弾薬の提供を可能とし、国際平和共同対処事態や重要影響事態に際して、従来、戦闘地域とされていた場所での兵たん支援、戦闘作戦行動に発進準備中の航空機への給油、整備も可能になります。政府自身が憲法上認められないとしてきた武力行使との一体化そのものであります。
こうした米国以外の第三国とのACSAの締結は、多国間の軍事協力の推進、強化を打ち出した日米ガイドラインを具体化するものです。
憲法違反の安保法制と一体で、平時から有事に至るあらゆる段階で米軍の軍事行動を同盟国が支援する体制を強化するものであり、断じて容認できません。
以上、討論を終わります。