岩屋毅防衛相は28日の衆院予算委員会で、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立て区域の軟弱地盤が最深90メートルに及ぶことを認め、約73万平方メートルで約7万7000本の砂杭(すなぐい)を水面から最大70メートルの深度に打ちこむ地盤改良工事を行う考えを明らかにしました。日本共産党の赤嶺政賢議員への答弁。
防衛省はこうした内容を1月18日に国土交通省に提出した「地盤に係る設計・施工の検討結果報告書」で明記していましたが、報告書は現時点で公開されておらず、事実関係を公式に認めたのは初めてです。
岩屋氏は、軟弱地盤の深さが「最大のところで90メートルある」と述べ、地中に砂の杭を入れる「サンドコンパクションパイル(SCP)」工法で施工可能な深さは最大70メートルであることを明らかにしました。一方、深度90メートルの地点について「必ずしも固く安定した土層に達する深度まで施工しなくても、安定性は確保できる」と弁明しました。
赤嶺氏は「残り20メートルを改良しないということか。地盤沈下が起こるのではないか」と追及。岩屋氏は「70メートルの下に非常に固い粘土層が確認されている」と強弁しましたが、沈下の可能性の有無には言及しませんでした。
赤嶺氏は、地盤工学の専門家・日本大学理工学部の鎌尾彰司准教授が「改良深度が20メートルほど足りない分、未改良の軟弱地盤が下層に残り、長期間にわたる地盤沈下が発生するだろう」と述べていることに言及し、「沈み続ける基地をつくるということだ」と批判しました。
一方、国交省に提出した報告書の公開を赤嶺氏が求めたのに対し、岩屋氏は、行政不服審査請求の最中であることを理由に「全貌を明らかにすることは控えたい」と拒否。赤嶺氏は「90メートルまでの軟弱地盤で工事が可能と言うなら、根拠を示すべきだ」と強調しました。
投票結果 受け入れよ
沖縄 辺野古工事中止迫る
衆院予算委で赤嶺議員
日本共産党の赤嶺政賢議員は28日の衆院予算委員会で、24日に行われた沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票で新基地反対の民意が圧倒的多数で示されたと強調し、結果を真摯(しんし)に受け止め埋め立て工事をただちに中止するよう政府に求めました。
赤嶺氏は、埋め立て「反対」が43万4273票にのぼり、昨年9月の県知事選で玉城デニー知事が得た過去最多得票を4万票近く上回っていると指摘。「政府はこれまで『選挙にはさまざまな争点がある』として県民の民意に向き合ってこなかった。今回の県民投票は辺野古の埋め立てに絞って県民の意思を問うたもの。新基地建設反対の民意が明確に示されたと認めるか」とただしました。
安倍晋三首相は「結果を真摯に受け止める」と述べる一方、「もはや先送りはできない」と強調。投票結果を無視して工事を続ける姿勢を改めて示しました。
赤嶺氏は「投票日の翌日から県民投票などなかったかのように工事が続行されている」と批判。座り込みを続ける市民の強制排除や土砂の積み込み・投入が続いているとして「『真摯に受け止める』姿勢はみじんもない。なぜこんなに卑劣なことができるのか。到底許せない」と強調しました。
赤嶺氏は、普天間基地の返還合意は1995年の少女暴行事件が契機だったことを指摘。「県民大会で求めたのは、二度とこのような被害者を出さないための基地の整理・縮小だ」と強調し、「移設」条件付きの姿勢を改めるよう強く求めました。(しんぶん赤旗 2019年3月1日)