国会質問

質問日:2018年 3月 20日  第196国会  安全保障委員会

核貯蔵庫容認 事実か 赤嶺議員が追及 外相「公式記録ない」 衆院安保委

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は3月20日の衆院安全保障委員会で、在米日本大使館の秋葉剛男公使(現・外務事務次官)が米側からの沖縄への核貯蔵庫建設の打診に「説得力がある」と述べたことを示すメモ(2009年2月27日付)の存在が報じられた問題で「日本の国是である非核三原則を否定する重大な発言だ」と指摘し、事実関係を明らかにするよう求めました。

 メモは、オバマ前米政権の核戦略指針「核体制の見直し(NPR)」策定に向け、米議会戦略態勢委員会が意見聴取をした際の概要をまとめたもの。

 河野太郎外相は、5日の本紙報道を受け、“至急確認するよう”指示したことを明らかにした上で、同省北米局の職員が秋葉氏に問い合わせたところ「『発言はない』と答えた」と述べました。赤嶺氏が具体的な発言内容や打診の有無をただしたのに対し、米側とのやり取りについて「対外的に明らかにしない」「公式記録はない」との答弁を繰り返しました。

 赤嶺氏は「事実を解明しようとする姿勢がまったくない」と批判。「県民にとって核が持ち込まれるかどうかの死活的な問題だ。あいまいにすることは許されない」として▽外務省が作成した当時の面談記録▽大使館と外務省間の公電▽面談の際に配布したとされる米国の拡大抑止に関する日本側の見解をまとめた文書―の提出を求めました。(しんぶん赤旗 2018年3月21日)

 

質問の映像へのリンク

沖縄への核持ち込み容認発言、米軍の事件・事故をめぐる対応について質問

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 日ごろ私も沖縄の問題を取り上げておりますが、さきの沖縄防衛局長を経験せられた井上議員のお話を聞きながら、やはり沖縄にいると現実の矛盾に直面せざるを得ないんだなということを実感いたしました。日ごろの私の質問も、ぜひそういう角度から、両大臣、お聞きいただきたいと思います。
 それで、きょうは最初に、森友学園問題をめぐって財務省が公文書を改ざんしていたことが明らかになりました。公文書管理法は第一条で、「公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである」と述べています。その公文書を改ざんするということは、憲法に明記された国民主権を破壊し、議会制民主主義を踏みにじる歴史的犯罪と厳しく指摘しなければなりません。事は、財務省にとどまる問題ではありません。民主主義と国民主権の根幹にかかわる問題であります。
 まず両大臣に、今回の公文書改ざん問題をどう受けとめているのか、その認識を伺いたいと思います。

○小野寺国務大臣 財務省における決裁文書の書きかえにつきましては、安倍総理も述べられているように、行政全体の信頼を揺るがしかねない事態であると考えております。いずれにしましても、財務省は、検察による捜査に全面的に協力するとともに、事態の全容を明らかにするために徹底した調査が行われるものと承知をしております。
 また、防衛省の文書管理について、昨年、南スーダンPKO日報問題に関し、国会からも厳しい御指摘を受けました。これを受け、情報公開、文書管理の再発防止策を着実に実施してきたところでありますが、今後とも、この問題に関しては真摯に取り組んでいきたいと思っております。
 今般の財務省の問題につきましても、他省の問題とすることなく、防衛省・自衛隊における情報公開、文書管理の重要性を改めて認識し職務に当たるよう、十二日、私から省内幹部に指示しております。

○河野国務大臣 先ほど本多委員への答弁でも申し上げましたが、外務省には、外交文書、機密文書が多数ございます。そうした機密文書の取扱いを含め、公文書の管理が適切に行われていくようにしっかり指導してまいりたいと思います。

○赤嶺委員 外務省は、おっしゃるとおり、密約ということについても、戦後、長期にわたって、核密約あるいは沖縄返還密約を隠し続けてきた省庁であります。また、防衛省も、昨年、南スーダンの日報の隠蔽が大問題となり、当時、小野寺防衛大臣は与党の筆頭としてその問題に当たっておられましたが、やはり民主主義と国民主権に対する安倍内閣の姿勢が根本から問われている問題なんだということを指摘して、質問に入りたいと思います。
 きょうは、まず沖縄への核持込み容認発言の問題について伺います。
 外務省の秋葉剛男事務次官が、在米日本大使館の公使を務めていた二〇〇九年二月二十五日、米議会戦略態勢委員会に対し、沖縄への核貯蔵庫建設を容認する意向を示していたことが報じられました。
 委員会のスタッフが作成した同年二月二十七日付の意見聴取の概要メモによりますと、副議長のシュレジンジャー氏から、沖縄又はグアムで核貯蔵庫を建設することについての日本側の見解を問われたのに対して、秋葉氏が、そのような提案は説得力がある、このように述べたと明記されております。
 本日の委員会に、私は発言の当事者である秋葉事務次官の出席を求めました。出席をいただけておりませんが、今後も出席を求め続けていきたいと思います。
 それで、外務大臣に伺いますが、大臣は三月六日の記者会見で、秋葉氏にも確認したが、そのようなことはないということだったと述べておりますが、具体的に、いつ、誰が確認をしたんですか。外務大臣みずから秋葉氏に確認をされたんですか。

○河野国務大臣 いつという日付は覚えておりませんが、この報道があったときに、至急確認をするようにということで、外務省内で秋葉氏本人に確認をし、そのような発言をしたことはないということを確認しております。

○赤嶺委員 誰が確認をされたんですか。大臣が直接確認をされたんですか。

○河野国務大臣 北米局から事務次官に確認をしております。

○赤嶺委員 北米局日米安保課というぐあいに事前に説明を受けておりますが、そこの職員が、事務次官に確認をして、事実の解明ができるんでしょうか。なぜ大臣みずから本人に確認しなかったんですか。

○河野国務大臣 そうした発言があったということであるなら、私が多分本人からどういう経緯なのかということを聞いたと思いますが、そうした発言はなかったということでございますから、何も私から同じことを確認する必要はないと思います。

○赤嶺委員 どのような具体的な発言をしたということですか。ちょっと説明してください。

○河野国務大臣 済みません。その詳細まで聞いておりませんが、こうした発言があったかということに、ないというふうに答えたということでございます。

○赤嶺委員 詳細は聞いていなくて、北米局の職員が事務次官に、言われましたか、いや、やっていませんという。
 しかし、事は日本の非核三原則にかかわる疑念が生じている問題ですよね、これは。そういうような問題があったか、なかったか。つまり、具体的にどのような発言をしたのか。概要メモには、説得力があるという発言が出ているわけです。そういう発言は、説得力があるという発言はしていないということなのか、あるいは、沖縄への核持込みについて発言自体をしていないということなのか。どういうことですか。

○河野国務大臣 日本への核持込みを是認するような、非核三原則に背馳するような話はしていなかったということです。

○赤嶺委員 シュレジンジャー氏から、沖縄又はグアムで核貯蔵庫を建設することについての日本側の見解を問われたこと自体は認めておられるんですか。

○河野国務大臣 この委員会の会合は対外的に議論を明らかにしないという前提で行われておりますので、詳細は控えさせていただきます。

○赤嶺委員 つまり、質問があったかどうか、これも答えられないということですよね。ただ、一般的に、日本政府は非核三原則を踏み外しておりませんという、そういうことであって、踏み外した疑いのある発言についてきちんと調べる態度が余りにもなさ過ぎるという印象を抱かざるを得ません。
 昨日の沖縄の地元紙の報道によりますと、今回、意見聴取の概要メモを提供したアメリカの科学者団体、憂慮する科学者同盟のグレゴリー・カラキ博士は、シュレジンジャー氏が、アジアに核兵器を配備する重要性を強調していたこと、秋葉氏に対して、核を再配備してもいいかどうか、日本がそれを許容するために非核三原則を調整するかどうかなど質問を重ねていたことを明らかにしています。
 沖縄の核の持込みについてのやりとりというのはあったのではありませんか。秋葉氏はその点も否定しておられるんですか。

○河野国務大臣 この戦略態勢委員会というのは、対外的に議論を明らかにしない前提で行われ、会合の公式な記録は作成していません。そういうことで、詳細をここで申し上げるというのは差し控えたいと思います。

○赤嶺委員 公式の記録はないという今の外務大臣の発言は、何かを思い出して本当に疑念が深まるようなそういう御答弁だな、こんな印象を持ちます。
 確かに、戦略態勢委員会は、二〇一〇年のものでありましたNPRに向けて設置されたものです。
 重大なことは、アメリカのトランプ政権は、先月公表したNPRで既に米国の核政策を大きく転換しています。当時の委員会の役割は既に失われているわけですから、これは公開すべきではありませんか。明らかにできるのではありませんか。

○河野国務大臣 お答えする立場にございません。これはアメリカの戦略態勢委員会のことでございますので、日本の外務大臣が、公開できるかどうか、答える立場にないと思います。

○赤嶺委員 これは、日本の非核三原則の問題で、沖縄に核が持ち込まれるかどうかという、県民にとって死活的な問題ですよ。外務大臣がお答えする立場になければ、誰がそういう問題を解明していくんですか。非常に、極めて納得できない答弁であります。(河野国務大臣「委員長、委員長」と呼ぶ)

○寺田委員長 質問を続行してください。

○赤嶺委員 それで、委員会の最終報告書には、意見聴取を行った外国政府代表の氏名が記載されています。日本政府代表として、秋葉氏のほか、その前任の石井正文公使、飯島秀俊一等書記官、金井正彰一等書記官、以上四名の氏名が列挙されています。その点は確認できますね。

○河野国務大臣 中身について明らかにしないということでございますので、確認いたしません。

○赤嶺委員 その四人が出席していたかどうか、アメリカの文書の中に出て、外務省の方から私のもとにも届いているんですが、それでも明らかにできないんですか。

○河野国務大臣 先ほどから申し上げましたように、戦略態勢委員会については、対外的に議論を明らかにせず、会合の公式な記録は作成しないということでございます。

○赤嶺委員 それで、私たちが外務省からもらったそういう名前、これも、なぜ私たちの手元に入ったんでしょうかね。

○河野国務大臣 会合の公式な記録は作成していないというふうに承知をしております。

○赤嶺委員 では、その四人についても確認いたしますが、秋葉さんはそういう発言はしていなかったかどうか、調査したかどうか、それはお答えになれますか。

○河野国務大臣 今回の報道を受けて、念のために、当時説明の場に参加していた戦略態勢委員会の関係者に在米大使館から確認をいたしましたが、日本への核持込みを是認するような、非核三原則に背馳する話などしていなかったということは確認しております。

○赤嶺委員 今の答弁にかかわって、ずっと政府は発言も否定しておりますけれども、意見聴取の概要メモそのものがアメリカには存在をしています。それは、公開をされ、メディアも報道をしております。
 メモは、当時委員の一人だったモートン・ハルペリン元米国防次官補代理に宛てられたものであります。ハルペリンさんは、今月十三日にワシントン市内で開かれた沖縄県主催のシンポジウムの際、メモに目を通した上で、メモは本物だ、責任あるスタッフによって書かれたものであり、正確なメモだ、このように記者団に明らかにしております。
 沖縄への核持込みについての秋葉氏の発言を、当時委員の一人であったハルペリン氏が認めているんですね。これはどのように考えますか。

○河野国務大臣 ハルペリン氏は意見聴取には同席していなかったと述べております。

○赤嶺委員 ハルペリン氏は意見聴取に同席していなかった、しかし、同席した人からきちんとしたメモをハルペリン氏は受け取った、そして、今報道に出ているメモをハルペリン氏に見せたら、これはその当時受け取ったメモだ、信頼できる内容だ、メモは正確だと言っているわけですよ。それをどのように受けとめますか。

○河野国務大臣 出席していなかった氏がメモが正確だったとどう認識されるのか、疑問があります。

○赤嶺委員 大変な発言ですね。
 戦略態勢委員会の委員の一人ですよ、ハルペリンさんは。しかも重要な立場にあった人ですよ。そういう人が日本の非核三原則にかかわるような重大な問題提起をしているのに、それにも知らぬふりをかぶるんですか、あの人は出席していなかったと。あの人は責任ある役割を果たしていなかったと外務大臣が言える立場ですか、そういうことを。全くおかしいですよ、それは。事実を解明しようとする姿勢が全くないと言わざるを得ません。だから、私は、秋葉事務次官をこの委員会に呼んで直接質問をしたいと思っているわけです。
 当時の記録はないといっても、外務省にはあるはずです。例えば、外務省自身が作成した当時の面談記録、あるいは大使館と外務省本省との間でやりとりした公電などもあるはずです。大臣はそれらの精査をされたんでしょうか。

○河野国務大臣 この戦略態勢委員会は議論の中身を明らかにしない前提で行われていると繰り返し申し上げております。

○赤嶺委員 事は、外務省の現職の公使、しかも現在の事務次官が、米側に対して、日本の国是である非核三原則を否定する発言を行っていたかどうかという極めて重大な問題であります。
 とりわけ、アメリカのトランプ政権が、先月のNPRで、核兵器の役割を拡大し北東アジアに核兵器を再配備する可能性に言及しているもとで、この問題を曖昧にすることは、これは到底許されません。
 私は外務省に、一つは、外務省自身が作成した当時の面談記録、それから二つ目に、大使館と外務省本省との間でやりとりされた公電、三つ目に、面談の際に配付したとされる米国の拡大抑止に関する日本側の見解をまとめた文書、これを提出していただきたいと思いますが、委員長、取り計らい方、よろしくお願いします。

○寺田委員長 理事会にて協議をさせていただきます。

○赤嶺委員 この問題は、非核三原則と沖縄の将来にとって極めて重大な問題であります。ぜひそれを実現されるように、しかも、繰り返しますが、秋葉事務次官の出席に向けてよろしく取り計らいをお願いしたいと思います。
 この際、沖縄への核持込みにかかわって、幾つか確認をしておきたいと思います。
 二〇〇九年から翌一〇年にかけて、民主党政権の時代でしたが、日米間の密約に関する調査が行われました。有事の際の沖縄への核兵器の持込みについて、密約とは言えないという有識者の報告も出されております。佐藤・ニクソン共同声明の内容を大きく超えるものではない、佐藤首相が自分限りのものと考えていたのではないかという推測に基づいて密約であることを否定したもので、当時の岡田外務大臣自身が、疑問を呈する答弁をその後行っております。
 その後、自民党が政権に復帰したもとで、二〇一四年二月十四日の衆議院予算委員会で、岡田議員が岸田外務大臣に質問をしています。
 佐藤氏の自宅から見つかった佐藤総理とニクソン大統領の署名入りの合意議事録、具体的には、一つ、極めて重大な緊急事態が生じた際に、沖縄への核の持込みについて、米国政府は日本政府の好意的な回答を期待すること、二つ目、沖縄返還時に現存する核兵器貯蔵地、嘉手納や辺野古や那覇、これをいつでも使える状態に維持しておくということを規定したものでありますが、この文書について、調査結果を公表するときに、日米間で少なくとも今や有効ではないことを確認したとしていました。この点について、安倍内閣の認識も同じかと確認したのに対し、岸田大臣は、安倍内閣としても同様の認識だ、このように答弁をいたしました。
 そこで、確認をいたしますが、既にこの文書が有効でないことを確認したということであれば、現在の日本政府の立場としては、米軍が嘉手納や辺野古などの弾薬庫を核兵器の貯蔵のためにいつでも使える状態に維持しておくことは、これは認められない、こういうことでよろしいでしょうか。

○河野国務大臣 本件文書については、日米両国政府を拘束するような効力を持っているとは考えておりません。

○赤嶺委員 ですから、アメリカが嘉手納や辺野古で核兵器の貯蔵のためにいつでも使用できる状態を維持しておくこと、これは日本の立場としては認められない、そういうことでよろしいですね。

○河野国務大臣 そのとおりでございます。

○赤嶺委員 非核三原則というなら、いつでも核兵器を貯蔵できる状態に維持しておくことについては認められないということは当然であります。
 それでは、合意議事録の一点目はどうですか。極めて重大な緊急事態が生じた際に、沖縄への核の持込みを認める立場なのか、認めない立場なのか、これはどちらですか。

○河野国務大臣 現政権は、非核三原則を堅持するという立場に変わりはございません。

○赤嶺委員 そうすると、将来について岸田外務大臣も発言しておられますが、河野外務大臣は、緊急事態が起こった場合に、どのような立場をとっておられますか。

○河野国務大臣 平成二十二年三月に、岡田当時の外務大臣が、国民の安全が危機的状況になったときに原理原則をあくまで守るのか、それとも例外をつくるのか、それはそのときの政権の判断すべきことで、将来にわたって縛ることはできないと思う、重要なことは、国民に対してきちんと説明することだという旨、答弁をされております。
 安倍内閣としては、この岡田当時の外務大臣の答弁を引き継いでいるということでございます。

○赤嶺委員 原理原則にこだわらないということになるわけですね。ですから、佐藤首相が交わした密約にまでは有効ではないということを言葉では確認していながら、実質的にはその中身は引き継がれているということになりませんか。

○河野国務大臣 本件文書については、日米両国政府を拘束するような効力を持っているとは考えておりません。

○赤嶺委員 効力は持っていないけれども、岡田答弁や岸田答弁、安倍内閣において引き継いでいく、原理原則にこだわらない。そのときは、結局これは、県民の立場に身を置いたときに、やはり佐藤・ニクソン密約が具体化されていく、そういう状況になり得る、こういう疑念を抱かざるを得ないわけです。
 ただ、当時もいろいろ議論しておりますが、戦術核の撤去を決めた一九九一年以前は、沖縄に核兵器が持ち込まれていた可能性、これも否定できますか。

○河野国務大臣 沖縄が日本に復帰した段階で、核はないということが確認されております。

○赤嶺委員 非核三原則があるもとでも、皆さんが引き継いでいると言われた岡田外務大臣の核に対する立場、こういうことも言っているんですね。九一年以前は核兵器が持ち込まれた可能性は排除できない、こういう認識を示しております。
 戦術核兵器が配備されていた当時、核の持込みの可能性、これはもう否定できないんじゃないですか。

○河野国務大臣 はっきりしているのは、沖縄返還に当たり、核は撤去されているということでございます。

○赤嶺委員 私は、外務大臣は、大臣になられる前は、先ほど紹介された、日米地位協定の改定の中身を紹介されておりましたが、あの中身というのは、るる私が国会で質問してきたことでもあるわけですね。沖縄の核についても、当事者意識を持っていただきたいと思うんですよ。
 私は、那覇基地のすぐそばで生まれましたけれども、当時は、那覇基地にも核弾頭、メースBなど配備をされておりました。誤って発射されて、海中に発射されて、そして米兵が一人犠牲になるという事件もありました。核弾頭つきのミサイルが誤って発射される、もしあれが本当に爆発していたら、今日私はこの世に存在しなかったかもしれない。これは、NHKのドキュメント番組で、アメリカ側の証人も立って放送されたものであります。
 やはり、核を枕にして我々は生活をしている、生活を強いられている、これが復帰前の沖縄県民の状況でありました。復帰の時点で、全部撤去されましたから御安心くださいというような話にはならないわけですよ。有効性、両国を縛るものではないと言いながら、日本政府の立場は、緊急事態のときには、結局、原理原則に縛られない、非核三原則を破ることもある、核の持込みもあり得る。そのときにやられるのは、真っ先に沖縄じゃないですか。核兵器を貯蔵できる能力を持った弾薬庫、辺野古や嘉手納、これもあるわけですよ。
 そういうことで、県民が核と向き合っている、核と向き合っている県民のことを考えたときに、例えば、今回、トランプ大統領が核政策を変えました。今後、核の持込みがあり得るということになっていくわけですから、私は、そういう県民の当事者の立場に立った、当事者感を抱いた、核問題について、特にトランプ政権のもとで核政策が変わったもとで、持込みの危険も現実に起こり得るというような中でやはり対処すべきだと思いますが、いかがですか。

○河野国務大臣 繰り返しで恐縮ですが、安倍内閣は非核三原則を堅持するという立場をとっております。

○赤嶺委員 何を言っても、非核三原則の立場の強調ばかりであります。本当に不安や疑問に答えていない。
 そこで、防衛大臣、外務大臣に、先ほど出ました沖縄県うるま市で発生した元米海兵隊員の軍属による女性暴行殺人事件について、損害賠償を地裁が命じました。今、日米間で協議をしているという最中ですが、日本政府の立場は、もう一度確認しますが、地位協定に基づく軍属、被用者が間接雇用であっても、それは日米地位協定に基づいて損害賠償の対象になる、そのように地位協定を解釈しているんだという理解でよろしいですね。

○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
 日本政府としては、日米地位協定第十八条6が規定する請求権の対象は、合衆国軍隊に直接雇用される軍属のみに限定されているわけではなく、間接雇用の被用者も含まれていると理解しております。

○赤嶺委員 間接雇用の被用者、これを今回のように、今までも事件、事故の被害者になっているわけですが、損害賠償についてアメリカ側が応じた事例はありますか。あるいは、応じなかった事例などもありますか。

○鈴木(量)政府参考人 お答え申し上げます。
 米側の立場について日本政府としてお答えする立場にはございませんが、現在、本件につきましては、米側との間でさまざまなレベルで協議中でございます。
 以上でございます。

○赤嶺委員 防衛省、どうですか。そういう軍属で、間接雇用の被用者で事件、事故を起こして、タクシーの事故などたくさんあります。そういうことで損害賠償に応じた事例、あるいは応じなかった事例、どのように認識しておられますか。

○深山政府参考人 申しわけございませんが、現在手元に、我々は支払いの実務に当たっておりますが、過去の支払い事例で先生御指摘のような件があるかについてはつまびらかにしておりません。
 また、本件は被害者の方のプライバシーにかかわりますので、我々としましては、個別の事態については公表を差し控えさせていただいております。
 ただし、過去、事故見舞金あるいはSACO見舞金を支払った例というのはございます。これはどういうことかといいますと、米側からの補償が十分受けられないということで日本政府が措置した例というのはこの両制度のもとで何件もあるということは事実でございます。

○赤嶺委員 SACO見舞金は、米側が一定の補償に応じて、その足りない分を日本政府が補うという制度ですよね。
 今、うるま市の事件で問題になっているのは、全く応じようとしない、その場合でも見舞金制度やSACO見舞金ということは検討できるという意味ですか。

○深山政府参考人 御指摘の沖縄県うるま市で発生した事件に関しましては、北米局長からも御答弁がありましたけれども、現在、さまざまなレベルで交渉を行っているところであります。また、被害者側のプライバシーにかかわることでありますので、その具体的な状況等については私からもお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

○赤嶺委員 私は、今回というよりも、過去にということを聞いたら、局長が、SACO見舞金やその他の見舞金制度を活用してやったことはたくさんあると言うから、今回のように被用者が間接雇用であった場合もそういうことができたんですねというのを聞いているんですよ。何もプライバシーのことを聞いていないですよ。

○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 もし、先ほど私の御答弁が、委員が御指摘なのが特に雇用者であることを米軍が認めない場合という限定でしたらば、私は手元にそれを分類した資料を持っておりませんので、お答えは現時点ではできません。
 また、先ほど申しましたのは、そのほかのケースも、どういうケースかについては例がありませんが、過去の事例はあるということは申し上げました。

○赤嶺委員 そういう過去の被用者、間接雇用で、アメリカ側との交渉の経過、それについて取りまとめて、この当委員会に提出していただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

○寺田委員長 理事会にて協議をさせていただきます。

○赤嶺委員 終わります。

すべて表示

このページをシェアする