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議事録
○赤嶺委員
日本共産党の赤嶺政賢です。
米軍普天間基地問題について質問をいたします。
沖縄県の翁長知事は、昨年十一月の県知事選挙における選挙公約に沿って、ことし一月、仲井真前知事による埋立承認に関し、法的な瑕疵の有無を検証するための第三者委員会を設置いたしました。同委員会は、七月、国の埋立承認申請は公有水面埋立法の要件を満たしておらず、埋立承認手続には法的な瑕疵が認められるとする検証結果報告書を提出いたしました。こうした手続と検証結果を踏まえ、翁長知事は、十月十三日、埋立承認を取り消しました。
ところが、沖縄防衛局は、その直後に、公有水面埋立法を所管する国土交通大臣に対し、行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止の申し立てを行いました。その後、十月二十七日、政府は、閣議口頭了解で、知事の承認取り消しを取り消すため、地方自治法に基づく代執行等の手続に着手することを確認しております。同時に、国土交通大臣が承認取り消しの執行停止を決定し、工事は再開をされました。警視庁の機動隊員百人以上を現地に投入して、強権的に基地建設を推し進めようとしております。
こうした政府の対応を受けて、翁長知事は、十一月二日、地方自治法に基づく国地方係争処理委員会に審査の申し出を行いました。
政府が昨年の一連の選挙結果を無視するもとで、政府と沖縄県の対立が激化しております。
そこで、今回、国が行政不服審査制度を使って承認取り消しを停止した、この点について質問をしていきたいと思います。
まず、総務大臣に伺いますが、そもそも行政不服審査制度とはどのような制度か、御説明いただけますか。
○高市国務大臣
行政不服審査法は、国民に対して広く行政庁に対する不服申し立ての道を開くことによって、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的としています。
具体的には、処分に不服がある者は、行政庁に対し審査請求または異議申し立てをすることができるとされており、審査請求の場合、審査請求を受けた行政庁は、審査請求人及び処分を行った行政庁の主張を聞くなどの審理を行った上で裁決をする、そういうことになっております。
○赤嶺委員
今御説明がありましたが、行政不服審査制度というのは、国や地方公共団体による違法不当な処分によって国民の権利利益が侵害されたときに、お金や時間のかかる裁判に訴えなくても簡易迅速に救済を図ることを目的とした制度であります。不当に課税されたり、あるいは飲食店の営業許可を取り消される、あるいは公害病の認定を受けられないなど、さまざまなケースで不利益を受けた国民が行政機関に不服を申し立て、権利利益の救済を図るためのものであります。さまざまな問題を抱えた制度とはいえ、あくまで制度の趣旨は、国民の権利利益を守るということです。
ところが、今回、国の行政機関である防衛省、沖縄防衛局が、この制度を使って、同じ国の機関である国土交通省に対して不服審査請求や執行停止の申し立てを行いました。防衛大臣、なぜそういうことができるんですか。
○中谷国務大臣
行政不服審査法第四条一項におきまして、行政庁の処分に不服がある者は、審査請求または異議申し立てをすることができるとしておりまして、この不服申し立てができる対象を国民に限定せずに、処分に不服がある者に広く不服申し立てを認めていると承知しております。このようなことから、一般に、国や地方公共機関が一般の事業者等と同様の立場におきまして処分を受ける場合には、不服申し立ての資格を有すると解されております。
他方、公有水面埋立法におきましては、国に対する埋め立ての承認について、国以外の者に対する埋め立ての免許と同様の手続や基準によるとされておりまして、国にあっても、一般私人と同じく、埋立免許と同様の手続を経なければ適法に埋め立てができないことには変わりがないということでございますので、沖縄防衛局は、前知事から本件の承認を受けるに当たり、一私人が立ち得ないような固有の資格ではなくて、一般私人と同様の立場で本件承認の名宛て人となったものであることから、この承認の取り消し処分に対しまして不服申し立ての主体たる資格を有すると考えておりまして、国土交通大臣にお認めをいただくような手続をとったわけでございます。
○赤嶺委員
国民の権利利益を守る、それを防衛省が、今の説明だと、一般の事業者と同様の立場で処分を受けた、こうおっしゃっておりますが、今問題になっているのは、名護市辺野古への新基地建設であります。日米両政府の合意に基づいて、キャンプ・シュワブという米軍基地内に、普天間飛行場にかわる新たなアメリカ海兵隊の飛行場を建設するというのが防衛省の主張であります。米軍基地の提供にかかわる事業であり、一般の事業者、私人と同様の立場でこういうことができるはずがありません。国としての立場で埋立承認の申請を行ったことは明らかではありませんか。
○中谷国務大臣
先般、執行申し立てにおきまして、やはり、普天間飛行場の移設工事、これは、大幅な遅延によりまして、普天間飛行場の周辺におられる住民の皆様方の危険性の除去、また騒音等の被害の除去が遅滞をいたします。また、この事業がおくれれば、米国との信頼関係に悪影響を及ぼし、外交上、防衛上重大な不利益が生じるということでございまして、このような損害を避けるために、緊急の必要性があるということを主張しております。
手続におきましては、先ほど御説明をさせていただきましたように、行政不服審査によって申し出をしたということでございます。
○赤嶺委員
大臣、私の今の質問は、執行停止についてではないですよ。何で、明らかに国の事業である基地建設事業でそういう行政不服審査法を使うことができるのか、こういうことを再度聞いたわけであります。
防衛大臣のこれまでの説明も、今までの国の姿勢と全く矛盾しております。
防衛大臣は、先ほどの答弁を私がしんしゃくいたしますと、いわゆる固有の資格、国のみが持ち得る資格かどうかの判断は、審査基準が同じかどうかで判断されるとおっしゃいましたが、これはそうではありません。国が行っている行為が、一般私人では立ち得ないような立場、つまり、国でなければ行い得ないような立場に基づくものかどうかで判断されるものであります。
埋立申請書の中に、防衛省は、沖縄防衛局は、埋め立ての動機や必要性に関して、安全保障環境の厳しさや米軍のプレゼンスの重要性を挙げています。その上で、我が国の平和と安全を保つための安全保障体制の確保は、政府の最も重要な施策の一つであり、政府が責任を持って取り組む必要がある、こう述べているわけです。つまり、この埋立申請自体は国としての立場で行ったということは明らかではありませんか。
○中谷国務大臣
委員がおっしゃったように、この普天間の移転というのは、国の安全保障や、沖縄県の普天間周辺の住民の皆様方の被害をなくすということで、これは国の責任において実施をいたしております。
そこで、この移設先におきまして、公有水面埋立法によって埋め立ての承認をいただかなければなりませんが、この承認をいただく場合に、免許と同様の手続、基準によるとされておりまして、国にあっても、一私人と同じく、埋立免許と同様の手続を経なければ適法に埋め立てができないということでございまして、沖縄防衛局は、沖縄県知事から承認を受けるに当たり、一般の私人が立ち得ないような固有の資格ではなくて、一般私人と同様の立場でこの承認の名宛て人となったものでございます。したがいまして、この取り消し処分に関しましては、不服申し立ての主体たる資格を有すると考えておりますので、このような立場で不服審査を申し立てたということです。
○赤嶺委員
申請は国の立場で行いましたと。つまり、国でなければできないような資格を持って埋立申請をやったのが今度の辺野古の埋め立てであるわけですね。ところが、審査を受ける段階になったら突然私人の立場に変わる。こんなの納得できないじゃないですか。おかしいじゃないですか。国の立場で国でしかなし得ない事業をやっておきながら、審査の段階になったら私人になりました、そんな話は絶対に通用しないと思います。
私は、防衛局も防衛局ですが、防衛省も防衛省ですが、中谷大臣の答弁も全く納得がいくものではありませんけれども、国土交通省は、今度の執行停止の決定書で、やはり、同じ審査基準なのだから国の固有の資格とは言えないということを述べているわけですね。
しかし、国土交通省はこれまで、公有水面埋立法上、民間事業者が受ける免許と国が受ける承認とでは法的な性格が違う、このように説明してきたのではありませんか。民間事業者は免許によって初めて埋め立てを行う権利を得るが、国は公有水面に対する支配権を持っているのだから、もともと埋め立てる権利を持っているのだ、こういう高飛車な見解を示してまいりました。この見解は変えたんですか。
○石井国務大臣
お答えをさせていただきます。
一般私人が埋め立てを行う場合には、もとより一般私人は公有水面を埋め立てることはできませんけれども、国が埋め立てを行う場合には、国が所有する公有水面をみずから埋め立てるというものでございまして、本来的には、この所有権に基づき埋め立てを行うことができるというふうに解されております。
このように、国が行う埋め立てはみずからが所有する公有水面を埋め立てるものであることから、埋立法は、承認、免許という文言を区別して、適用される条文も異なっているにすぎません。
いずれにしましても、一般私人であろうが国であろうが、ともに知事の免許または承認を得なければ適法に埋め立てをすることができない、また、知事が免許または承認の審査を行うに当たっての基準も同じ基準であるということから、国、この場合沖縄防衛局長が、一般私人が立ち得ない特別の立場、固有の立場において承認を受けているものとは解されないというふうに考えております。
○赤嶺委員
同じ答弁の繰り返しでありますが、これを聞いていて、政府というのはその時々で都合よく立場を変えていくものだと怒りを禁じ得ません。
この問題をめぐっては、昨年から埋立承認の取り消し訴訟が行われてまいりました。その取り消し訴訟の中に、国が派遣した訟務検事、この訟務検事は、国がやる場合はそもそも埋立承認は処分に当たらない、行政機関相互の内部行為だ、このように説明しておりました。ところが、今政府は、処分に当たる、だからその執行停止ができる、こういうことを平気で説明しているわけですね。訟務検事が法廷で主張してきたことと、そして今あなた方が説明していることと、全く正反対なんですよ。むちゃくちゃですよ、これは。
大体、政府は閣議了解で、国としての立場でこの問題に関与していくということを決めているわけです。国土交通大臣が地方自治法に基づく代執行の手続に着手すると明記し、それが今進められております。この代執行の手続が、地方自治法に基づいて、まさに国の立場で沖縄県との紛争処理に当たっていくことを示すものにほかなりません。ところが、その一方で、閣議了解のあったその日に、行政不服審査制度を使って取り消し処分を停止いたしました。
国の立場で関与していくことを決めながら、私人と同じ立場だという防衛局の主張を認めるというのは、これは、国土交通大臣、一体どういうことですか。矛盾も甚だしいのではありませんか。
○石井国務大臣
今の御質問は、執行停止と代執行を同時に行っているということですね。
執行停止をするか否かにつきましては、行政不服審査法におきまして、速やかに決定しなければならない、このように定められております。この規定を踏まえまして、国土交通省といたしましては、審査庁という立場で、十月十四日に沖縄防衛局長から行われた執行停止の申し立て、十月二十二日に沖縄県知事から提出された意見書につきまして、法令の規定に基づき審査をしてまいりました。この結果、普天間飛行場が抱える危険性の継続などの重大な損害を避けるため緊急の必要があると認め、十月二十七日に執行停止の決定を行ったところでございます。
一方、この審査請求の審査の過程におきまして、本件取り消し処分は、公有水面埋立法に照らし、違法であると判断するに至りました。
このような審査状況も踏まえつつ、政府として、普天間の返還を一日も早く進めなければならないという認識に立って、改めて本件取り消し処分について検討した結果、十月二十七日の閣議において、最終的に司法の判断を得ることができる地方自治法に基づく代執行等の手続に着手することが、政府の一致した方針として了解されたものでございます。
このように、審査庁として、重大な損害を避けるため緊急の必要があるとして行った執行停止の決定と、また、埋立承認という法定受託事務の適正な執行を図るための代執行等の手続の判断、これは、それぞれの法律にのっとりまして可能な限り速やかな対応を行った結果でございます。
○赤嶺委員
あるときには我が国は私人となり、ある局面では国という立場になる、都合よく立場を立ち振る舞って、そして、行政不服審査法というのは国民の権利利益を守るための行政処分に対する不服の審査機関であるにもかかわらず、行政が行政に訴えて、これでは行政不服審査法にならないですよ。
そこで、総理に聞きますが、何でこんな二つの立場をとっているのか。
辺野古の新基地建設が国の事業であることは明らかであります。だから、国も地方自治法に基づく手続をとらざるを得なかったはずです。ところが、地方自治法には、実は執行停止の制度はありません。いつ工事を再開できるかわからない。翁長知事が埋立承認を取り消して工事がとまった。それを、地方自治法を使っては、工事を再開するには司法の判断が出るまで待たなきゃいけない。
ところが、行政不服審査法を使えば、執行停止という制度があるから知事の執行停止を停止することができる。つまり、工事を始めることができる。だから、とにかくとまった工事を一日も早く再開するために、ここだけは国ではなくて私人に成り済まして承認取り消しを停止した、そして工事を再開したということではありませんか。
○安倍内閣総理大臣
防衛大臣からも答弁をいたしましたように、普天間の返還は一日も早く実現しなければならない、まず、この基本的な考え方の上に立って、このため、移設作業の事業者である沖縄防衛局長は、一刻も早く移設事業を再開するため、迅速な手続である審査請求を行うとともに、執行停止の申し立てを行ったものであります。これを受けて国土交通大臣は、沖縄県の意見を聴取した上で、重大な損害を避けるために緊急の必要性がある等の判断のもとに、行政不服審査法にのっとり執行停止の決定を行ったものであります。
一方、このようなプロセスの中で政府として改めて検討した結果、翁長知事による埋立承認の取り消しは違法であり、著しく公益を害するものであることから、この問題の解決を図るためには、最終的に司法の判断を得ることができる代執行等の手続に着手することがより適切な手段であると判断され、閣議において政府の一致した方針として了解されたものであります。
○赤嶺委員
やはり、司法の判断だけになっていたら工事を始められない、そのために、工事を再開するために行政不服審査法という制度を使った、時には国の立場、時には私人の立場、それは工事を早く始めるためであったということであります。
ただ、行政不服審査法で言う執行停止にいっても、同じ政府の中で申し立てを行い、決定をされたものです。辺野古の基地建設の推進は、繰り返し閣議決定が行われてきた政府の統一的な方針です。国交大臣もそれに拘束されているのではありませんか。
○石井国務大臣
執行停止の決定自体は、行政不服審査法の規定に基づき、国土交通省といたしましては、審査庁として、沖縄防衛局長及び沖縄県知事の双方から提出された書面の内容を十分公平に検討した上で行ったものでございます。
○赤嶺委員
今度は、国や私人の立場に加えて、防衛省の訴え、翁長知事が埋立承認を取り消してお手上げ状態だ、これは不当だから取り消してほしい、公正中立な審査をして執行停止にしてほしいということを国土交通省に申し立てた。ところが、政府全体としては、辺野古が唯一だという方針は国土交通大臣も変わらないわけですね。こんな公正中立があるかというのが翁長知事が批判していることであるわけですよ。
このことは、当然各界から批判を浴びております。十月の二十三日、行政法研究者九十三人が名を連ねて声明を出しました。そこでは、私人と同じ立場だという政府の主張を否定し、審査請求、執行停止申し立てを、不適法だ、このように断じています。その上で、「政府がとっている手法は、国民の権利救済制度である行政不服審査制度を濫用するものであって、じつに不公正であり、法治国家に悖るものといわざるを得ない。」これが行政法の専門家の声明ですよ。厳しく批判をしております。
国民の権利を守るための制度を国家権力が基地を押しつけるために使うなど、制度の趣旨を百八十度たがえるものであります。政府は、承認取り消しの停止決定、これを直ちに撤回すべきであると思います。そして、翁長知事の埋立承認取り消しに従って工事を中止すべきであります。このことを強く申し上げておきたいと思います。
大体、法治主義にもとる行為は、今度の行政不服審査法だけにとどまりません。先ほども取り上げられましたけれども、環境監視等委員会、この委員が受注業者から寄附や報酬を受けていた問題がありました。
この委員会は、昨年の四月、辺野古の建設工事にかかわって、政府に対し環境保全対策などの指導助言を行う目的で沖縄防衛局に設置されたものです。
もともと仲井真前知事は、環境アセスの段階では、環境保全は不可能だ、このように言っておりました。それを、専門家にげたを預けることによって、専門家がいるから、専門家に検討してもらうからということで埋立承認を合理化したわけです。そして、埋立承認の留意事項に盛り込まれ、事実上の条件として設置されたのがこの委員会であります。
そういう意味で、非常に大事な、決定的な役割を持った委員会だと思いますが、防衛大臣はどういう認識ですか。
○中谷国務大臣
環境監視委員会につきましては、赤嶺議員がお述べになったような経緯でできたものだと認識をいたしております。
この環境監視委員会につきましては、環境保全の措置及び事後調査等に関する検討内容の合理性、客観性を確保するために科学的、専門的助言を行うということを目的に設置をいたしまして、この実施に当たりまして、科学的、専門的な有識者からの指導助言をいただいて運営をされております。
いろいろ報道がございまして、公平性、中立性、これにつきまして防衛省で改めて検討、検証いたしました。防衛省といたしましては、委員会の終了後、委員長によるマスコミ等へのブリーフィング、また公表されている議事内容の要旨などによりまして過去の審議状況を具体的に検証いたしまして、この環境監視委員会の指導助言機能、これは果たされていたものだと認識をしております。
○赤嶺委員
防衛省、防衛局が行った環境アセスでは、環境の保全は不可能だとまで言われたわけですね。それで、防衛局も、今とり得る最大限の措置をとっていて、これ以上やれと言っても、もうできないと言っているときに、結局、環境監視等委員会に頼ったわけですよね。環境の保全は環境監視等委員会があるから大丈夫だというのが、埋立申請のたてつけになっているわけですよ。だから、埋立承認の正当性がかかっている、このように言えるわけです。
ところが、この委員会ですが、委員三名が、委員就任決定後の一年間に、事もあろうに、辺野古の埋め立ての受注業者から計一千百万円の寄附金を受け取っていたと報じられました。別の委員一名は、受注企業の関連法人の理事を務め、年間二百万円以上の報酬を受けておりました。これに加えて、委員会の運営業務を「いであ」という受注業者に請け負わせていたということも明らかになりました。
防衛省は、報道を受けて、委員に対する聞き取り調査を行っています。調査結果を明らかにしていただけますか。
○中谷国務大臣
環境監視委員会の委員につきます寄附行為、寄附金について一連の報道がなされましたので、この委員会の中立性、公平性につきまして十三名の委員全員に事実確認をするとともに、「いであ」を含む関係の受注者にも事実確認をいたしました。
事実確認の結果、寄附金につきましては、通常の産学連携活動の一環であり、寄附行為も、大学の規程に基づき大学事務局を通じてなされたもの、また報酬につきましても、NPO法人の理事として環境関係の講習会等の活動実態もありまして、正当なものという結論に至った次第でございます。
また、この「いであ」の事業につきまして、これは事務的な対応をいたしたということで先ほど御説明をさせていただきましたけれども、チェックをする側にかかわっているというのではなくて、環境保全措置また事後調査等に関しましてこの環境監視等委員会から助言をいただく沖縄防衛局を事務作業の面で補助する立場でございまして、委員との連絡調整、資料の作成、会場準備、議事要旨の作成の事務を行うということで、これは沖縄防衛局の担当者の指示のもとで実施をしているというようなことでございます。
ただし、御指摘のように、疑義を抱かれることがないようにということで、委員会の事務局である沖縄防衛局の運営に代替施設建設事業の受注者が関与できないように措置をするようにいたしました。
○赤嶺委員
寄附の問題でいえば、通常の産学連携の一環だ、こうおっしゃるわけですが、例えば、「いであ」から寄附を受け取っていた荒井委員は、就任前は年間百万から二百万円だったのが、就任後は合計八百万円受け取っております。茅根委員も、就任前は五洋建設から年間五十万円を受け取っていましたが、就任後は百万円になっております。中村委員長は、就任前は受け取っていませんでしたが、就任後は東洋建設から五十万円受け取っています。
委員に就任した後に、しかも環境監視という埋立申請のかなめになる役割に立っている人々が受注業者からお金を、受け取っていた寄附金が軒並みふえていて、それでも通常の産学連携の一環だ、こんなふうな説明が通りますか。いかがですか。
○中谷国務大臣
寄附につきましては、調査の結果、産学連携の一環でありまして、この資金等も大学の事務局を通じて手続がされたということでございます。
また、こういった活動の中立性等につきましても、委員会を終了した後、委員長がマスコミ等にブリーフィングをしたり、また議事要旨を公表いたしておりまして、これについての内容は開示しておりますので、その内容も検証した結果、この委員会の指導助言機能は果たされていたと判断をいたしております。
ただ、今後、この委員会審議の公正性、中立性を担保する必要がございますので、この事業関連の受注業者から委員に対する寄附金につきましては、次回委員会で新たなルールづくりについて検討することといたしておりまして、この委員会の公正中立性について疑念を抱かれることがないように、さらに透明性のある委員会運営に努めて、引き続き、同委員会の指導助言を踏まえて環境保全に万全を期して取り組んでまいりたいと考えております。
○赤嶺委員
今、大変重大な答弁だったと思いますけれども、受注業者から委員への寄附金についてはやめるんですか、それともやめないんですか。どういうことですか。
○中谷国務大臣
受注業者から委員に対する寄附金について、これは、委員会の場で新たなルールづくりについて検討していただくことといたしております。
防衛省としては、この委員会の公平中立性について疑念を抱かれることがないように、そして透明性のある委員会運営にしていただけるように、この委員会の中でルールづくりを検討していただくように依頼をしておるところでございます。
○赤嶺委員
防衛省としては、疑念を抱くような事態が起こっていることは認めているけれども、受注業者から環境監視という立場に立つ、いわば研究者の皆さんへの寄附についてやめるかどうかは、これは環境監視等委員会の会議に任せる。こんなことでいいんですか。これでは絶対に公正中立は保てない。ということで、防衛局自身が、防衛省自身がやめるべきだと考えますが、いかがですか。
○中谷国務大臣
この委員会におきましても、公平性、中立性、これが必要でございます。したがいまして、代替施設建設事業関連の受注者から委員に対する寄附金について、他の事業者による同様の環境監視等委員会の事例、また他の分野における審議等において定められている利益相反行為を禁ずるルール等も参考にしながら、次回委員会の場で新たなルールづくりについて検討をしていただくということにいたしております。
○赤嶺委員
全然納得できません。
環境監視委員会というのは、他の委員会とは違って、環境保全は不可能だと環境アセスの段階で言われた議論をまとめるために、専門家の委員会を設置するから大丈夫なんだといって埋立承認を仲井真知事からいただいた、いわば埋立承認の条件ですよ、これは。こういう条件、核心部分の委員会が埋め立てをしている受注業者から寄附金をもらっていた、それだけでもう公正中立というのは疑われる。県民が、こんな環境監視なんか信じられないと出てくるのは当たり前じゃないですか。私は、これも決断できないほど埋立業者と環境監視が癒着している、これはもう科学者の検討とは言えない、このように思います。
まだあります。
委員会の指導助言機能は果たされていたと言いますが、これまで公表されているのは議事要旨と配付資料だけであります。議事要旨の発言者名は委員長または委員と記載されているだけで、誰の発言かは確認できません。要旨に盛り込まれなかった発言があったかどうかも確認できません。公表されている議事要旨とは別に、議事録か録音テープが残っているということですか。それがない限り、指導助言機能が果たされていたかどうかは確認できないと思います。翁長知事も、それほど中立公正と言うならば、議事要旨ではなくて議事録全部を公開してほしい、このように求めております。当然の、常識的な要求ではありませんか、公開すべきだと。
そして、中立性、公平性、透明性は保たれていると言うけれども、本当に、発表されている議事要旨、これだけで保てるのか、このことについても答弁をお願いします。
○中谷国務大臣
監視委員会の内容につきましては、その委員会の終了後、委員長がマスコミ等へのブリーフィング、また議事要旨の公表で透明性は私は確保されていると認識しております。
一方で、この一連の報道で、やはり公平性、中立性、これにつきましては重要だと認識をしておりまして、これまで一応、議事というのは全て完全に公表しない、なぜなら委員が自由に発言できるということでございましたけれども、今後、こういった過去の審議状況を具体的に検証しまして、環境監視委員会の指導助言、これにつきましても、より公平性、中立性を部外に示すことができるような議事内容の公表の方法について次回の委員会の場で検討していくということにいたしております。
○赤嶺委員
環境監視委員会の審議で一番大事にされるべきは科学なんですね。科学的根拠があるかどうかですよ。しかし、環境監視委員が、ジュゴンの専門家、サンゴの専門家、いろいろいても、その全て、全体を科学的な根拠を持って審議できるというものじゃないわけですね。どういう科学者がどの問題についてどんな意見を言ったか、これは審議に科学的根拠があるかどうかを知る上でも大事なんですよ。やはり、そんな自由な討議が妨げられるからといって、受注業者から寄附金をもらうのは自由で、これは自由でないというのは、もう本当に情けないですよ。こんなことをやって基地をつくることに納得できないですよ。
まだあります。
埋立承認がこういうむちゃくちゃなやり方をとっているわけですが、きょう、今官房長官がおいでですが、政府が今持ち出しているのが、名護市久辺三区への補助金の交付であります。代替施設あるいは辺野古新基地建設の周辺にある久志、豊原、辺野古、三つの集落です。
しかし、基地の影響を受けるのはこの三つの集落だけではないということも申し上げておきたいと思います。滑走路の先にも瀬嵩、汀間とかいろいろな集落があります。その中でわざわざ、十月の二十六日に建設予定地隣接の辺野古、豊原、久志の三つの区長を首相官邸に呼び出して、官房長官から地域振興の補助金を直接交付する考えを伝えたと報じられております。官房長官は具体的に何を伝えたんですか。
○菅国務大臣
まず、わざわざ呼び出したということですけれども、一回目は私どもが防衛局を中心に地元に出向いています。そして、今回は地元から官邸にということでありましたので、官邸で話をさせていただきました。
政府としては、普天間の辺野古移設を進めていく上で直接最も大きな影響を受けることのあるこの久辺三区の皆さんに対して、生活環境の保全や生活の向上を図るためにできる限り配慮していく、このことはある意味で当然なことじゃないでしょうか。
例えば、地元の皆さんからこういう要望を受けています。昼夜問わずに連日、反対運動が辺野古、キャンプ・シュワブゲート前において開催されており、地域住民、民家に聞こえる拡声機の反対抗議は連日行われており、特に夜間の拡声機の抗議は区民の安眠の妨害です。こういう要望も来ています。さらに、区内あらゆる道路には違法駐車が見られ、国道や歩道は今や無料駐車場化しています。何とか地域のために配慮してほしい。
そういう意味では、ある意味で地域住民の皆さんにとって当然のことじゃないでしょうか。ですから、政府としてこの一番直接影響のあるところに配慮するというのは、何らおかしいことはないのじゃないでしょうか。
○赤嶺委員
基地建設に反対する抗議集会が行われていて、そこでいろいろな地域周辺への影響がある、こういうことは、官房長官が呼び出して、お困り事はありませんかと聞く類いのものですか。
既にこういうことは名護の市議会で、そういう迷惑行為というのと、いや、これは正当な表現の自由、憲法上認められた権利だという二つの陳情書が議会で問題になって、二つともそれぞれもっと言い分を聞くべきだということで、名護市長も聞こうということで、継続審査になっている案件ですよ。
どこで聞いてきたかわかりませんけれども、区長が騒がしいと言っている。騒がしいというのであれば、政府が名護市の岸本市長時代に約束した廃弾処理施設、大変な爆発音ですよ、大変な騒音ですよ。何度も、これで犠牲者も出ていますよ。こんなのには手をつけないで、県民が抗議行動したら、これが騒がしい。こんなのが官房長官の言うことですか。そして、そういうことがあれば直接の補助金が出せる、その法的根拠があるんですか。言ってください。
○菅国務大臣
一般論で申し上げて、法律によらない予算措置による補助金の交付や、地方公共団体以外のものを対象とする補助金の交付、これは認められているものというふうに考えています。
○赤嶺委員
抗議やデモがうるさいから補助金をくれと言うなら補助金を出すよというのが法的根拠がなくてもできるということですか、今の官房長官の答弁は。
○菅国務大臣
現実的に、先ほど申し上げたように、そこで生活をしている三区の皆さんにとっては、まさにひどいときは、ことしの一月十日は夜間から深夜二時、三時までそうした騒音でいっぱいだったということです。そして、三区の皆さんから具体的に、さまざまな生活基盤の整備だとかそうしたことを私どもは受けておるわけですから、それに基づいて最も影響を受ける方に配慮するというのは、ある意味でこれは当然のことじゃないでしょうか。どこでもやられていることです。
○赤嶺委員
大変な答弁であります。これではもう法治国家ではありません。憲法上認められた権利。
夜間騒がしいと。夜間騒いでいるのは、皆さんが夜間資材を運ぶからじゃないですか。夜間工事をやって、早朝の工事まで。早朝はやらないという話でしたよ。それもやっているじゃないですか、あなた方は。しかも、米軍基地の中の廃弾処理場一つ、十七年にわたって指一本、解決の手も触れ切れていないのに、何で県民にこんな悪態をつくような答弁をやるんですか。
そして、久辺三区が求めているのは何かといいますと、防災備蓄倉庫あるいはあずまやの整備、あるいは芝刈り機の購入、公民館の音源の改善、こんなものが、芝刈り機が基地建設の代償として、そしてその直接補助金として対象になる、これは本当に恥ずかしい話じゃありませんか。
こういう法治国家にもとるような行為は直ちにやめるべきだ、官房長官の答弁は撤回すべきだということを求めて、質問を終わります。