日本共産党の赤嶺政賢議員は30日の衆院予算委員会で、沖縄県で相次ぐ米軍機事故について政府を追及しました。赤嶺氏は、米軍機が小学校や保育園に部品を落としても日本側がまともに調査もせず、飛行が野放しにされている背景に、航空法の安全規定が米軍だけ特例法によって適用除外とされている問題があるとして、「航空法特例法を廃止して、米軍に航空法を適用すべきだ」と主張しました。
航空法には、離着陸のときに管制の指示に従うことや通行秩序の維持のための規定が盛り込まれており、米軍にも適用されています。しかし、「飛行禁止区域」「最低安全高度」など安全のための規定(航空法第6章)は、米軍の特権を定めた日米地位協定に基づく特例法によって丸々、米軍には適用されていません。
赤嶺氏は「(適用除外によって)米軍がどんな危険な低空飛行訓練をやっても、無灯火でヘリが飛び回っても、部品を落下させても、(日本政府は)米軍の責任を問えない」と指摘。安全を担保する航空法第6章を適用除外とする限り、米軍機による事故は繰り返され、日本側は原因究明も再発防止もできないとして、「特例法を撤廃すべきだ」と迫りました。
石井啓一国交相は「米国との調整を要する」などと主張。赤嶺氏が日米地位協定の合意議事録では、日本国内で米軍が移動するときには「日本の法令が適用される」と書いてあるとして、「地位協定の下でも航空法第6章が適用できる」と指摘しました。
赤嶺氏は、特例法が制定されたのは日本の空の主権が事実上、米軍に握られていた1952年のことだと指摘。それ以降一度も改正されていないとして、「(日本は)いまも事実上の占領状態が続いている」と批判しました。
沖縄 相次ぐ米軍機事故を追及
保育園に学校に部品落としても飛行野放し 特権なくし「空の主権」回復を
一昨年のオスプレイ墜落以来、止まらない米軍機の事故に、沖縄県民は怒りとともに「いつか大事故が起こるのではないか」と不安を募らせています。日本共産党の赤嶺政賢議員は30日の衆院予算委員会で、「空の主権」を取り戻そうと、政府を追及しました。
「せんせい、ヘリコプターとんだね、ガガガーンてなったね」。昨年12月7日、園舎の屋根に米軍ヘリの部品が落下した緑ケ丘保育園(沖縄県宜野湾市)。父母会がまとめた、上空の飛行停止を求める嘆願書には、事故当時の子どもたちの言葉が記されています。
沖縄県が近くに設置している騒音測定器には2回の衝撃音、静止画カメラにはCH53Eヘリの画像が。それでも米軍は落下の事実を認めていません。
それだけではありません。「基地に立ち入って調査したのか」との赤嶺氏の追及に対し、小野寺五典防衛相は「事実関係を照会した。米軍の調査結果を待ちたい」と繰り返すばかりで、原因究明のためヘリの整備士や搭乗員からの聞き取りを行っていないことを事実上、認めました。
赤嶺氏はさらに、米軍が普天間第二小学校に落とした米軍ヘリの窓について、重要な証拠物件であるにもかかわらず、警察は翌日、米軍に返却した事実を明らかにした上で、「誰もまともに調査できていない」と批判。赤嶺氏は、その原因として、航空法特例法で、「日本側による事故調査の法的根拠そのものを放棄している」ことを指摘しました。
航空法特例法とは、航空機の安全運航に関する規定(航空法第6章)などを米軍には適用しないことを決めた法律です。
小学校の上空を低空で飛行し、部品を落下させる、民間地上空で物資のつり下げ訓練をやる―。米軍機がどんなに危険な飛行を行っても「違法」とはならない、日本の空の主権を奪ってしまうもの。しかも、日本が事実上、米軍の占領下におかれていた1952年から、一度も改正されていません。
石井啓一国交相は、「国際法上、外国軍隊に接受国の法令は適用されない」とする国際民間航空条約(ICAO)を挙げて、特例法を正当化しました。
これに対して赤嶺氏は、「米軍に国内法は適用されないというが、航空法の規定の中には離着陸時に管制の指示に従うなど、適用されているものもある」と指摘。「すでに適用されているものもあるのだから、安全に関わる規定を適用するのは当然ではないか」と反論しました。
航空法特例法は、沖縄だけの問題ではありません。例えば、航空法ではすべての回転翼機はエンジンが停止しても安全に着陸できる「自動回転」(オートローテーション)機能を持つことを義務付けられています。しかし、米軍のMV22オスプレイは同機能がありません。それにもかかわらず、日本全土の空を自由に飛び回っています。
日本の主権を奪い、米軍に特権を与える日米地位協定に伴う航空法特例法―。沖縄県議会も近く、本会議で同法撤廃を求める決議を可決する見通しです。
航空法 航空機の航行の安全、航空機による運送事業などの秩序の確立を目的とする法律。第6章「航空機の運航」は、航空機の安全に関わる規定を盛り込んだもの。
最低安全高度の確保 危険を生じる恐れのある区域の飛行禁止、夜間航行の際の灯火、飛行記録装置を装備する義務、などを規定している。
「何人死んだ」暴言 首相謝罪したが
飛行再開認めた責任重大
「戦後、米軍機の事故でどれだけの犠牲を受けてきたと思っているのか。新たな犠牲者が出るまで、事故もトラブルも受け入れろということか」―。
赤嶺氏は、日本共産党の志位和夫委員長の代表質問(25日、衆院本会議)で、松本文明内閣府副大臣(当時)が飛ばした「それで何人死んだんだ」のヤジを、「許しがたい発言だ」と強く抗議しました。
赤嶺 言葉だけの対応を繰り返す政府の姿勢も、不安を増大させている。ヤジは安倍政権の本音ではないかと疑わざるをえない
安倍晋三首相 内閣の一員(の発言)であり、沖縄の皆さん、国民の皆さんに深くおわびしたい
安倍首相は終始原稿に目を落とし、顔を上げませんでした。
赤嶺氏は、2016年12月のオスプレイ墜落・大破(名護市安部)、17年10月のCH53Eヘリ炎上・大破(東村高江)、同12月の同機の部品落下事故(宜野湾市の保育園、小学校)、今月以降、相次いでいるUH1Yヘリ、AH1Zヘリの不時着を挙げ「沖縄全域で、あらゆる機種が事故とトラブルを繰り返している」と強調しました。
さらに、総選挙さなかに起きた高江でのCH53Eヘリ炎上・大破では、選挙期間中に原因究明のないまま飛行再開した米軍を、投票日4日後になって追認した安倍政権を批判。「そのCH53Eが、保育園と小学校への落下事故を起こした」として、「事故原因の解明もせずに米軍の『安全宣言』を後押ししてきた政府の責任が問われる。今後事故が起きない保障はないのに口先ばかりだ」と厳しく指摘しました。(しんぶん赤旗 2018年1月31日)
※写真のご提供元(上から)
①質問する赤嶺政賢議員(30日、衆院予算委)=しんぶん赤旗提供
②米軍機から落下した円筒(2017年12月7日、沖縄県宜野湾市)=神谷武宏緑ヶ丘保育園園長提供
③普天間第二小学校の運動場にあった米軍の落下物(2017年12月13日、沖縄県宜野湾市)=市提供
④不時着したAH1ヘリとその様子を見ている米兵(2018年1月24日、沖縄県渡名喜村)=しんぶん赤旗提供
⑤安倍首相らに質問する赤嶺政賢議員(左)(30日、衆院予算委)=しんぶん赤旗提供
質問の映像へのリンク
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
沖縄の米軍基地問題について質問をいたします。
先週の衆議院の本会議で、我が党の志位委員長が相次ぐ米軍機事故の問題を取り上げていたとき、安倍政権の現職の副大臣である自民党の松本文明議員が、それで何人死んだかという許しがたい発言を行いました。
戦後、米軍機の墜落や物資投下訓練によって、どれだけの人が犠牲を受けてきたと思っているのか。また新たな犠牲者が出るまで、事故もトラブルも県民は受け入れよということなのか。とんでもない発言であります。
松本氏は辞任をしましたが、やめれば済むという問題ではありません。
県民が一番恐れているのは、今に重大な事故につながりかねないということであります。言葉だけの対応を繰り返す政府の姿勢も、その不安を増大させています。県民からすれば、これが政府の本音ではないかと疑わざるを得ません。
総理、問われているのは、安倍政権の姿勢そのものではありませんか。
○安倍内閣総理大臣 沖縄の方々の気持ちに寄り添いながら基地負担の軽減に全力を尽くす、これが政府としての一貫した方針であります。
こうした中で、松本副大臣から、先週金曜日、みずからの発言によって沖縄県民並びに国民の皆様に御迷惑をかけたので辞任したいという申出がありましたので、辞表を受理することとしました。
政治家は、その発言に責任を持ち、有権者から信頼を得られるよう、みずから襟を正すべきであります。今回の発言は国会議員としての活動における発言ではありますが、内閣の一員であり、沖縄の皆さん、国民の皆さんに対し、深くおわびをしたいと思います。
今後、沖縄の基地負担軽減を始め各般の政策課題に、内閣として、これまで以上に気を引き締めて取り組んでいきたい、このように思います。
○赤嶺委員 問われているのは、政府の姿勢であります。負担の軽減とかと言いながら、実態は全く違うことが進んでいるわけです。
この短い間の事故を振り返ってみたいと思います。
一昨年十二月、米軍普天間基地所属のオスプレイが名護市安部の浅瀬に墜落をしました。地元の人たちがふだんから散歩をしたり、魚や貝をとる、そういう生活の場で起きた事故でありました。米軍は、事故原因の調査も終わっていないのにオスプレイの飛行と空中給油訓練を次々と再開し、その米軍の暴挙に、政府はそれを容認したのであります。
さらに、総選挙のさなかの昨年十月、東村高江の牧草地で、同じ普天間基地所属の大型ヘリCH53Eが炎上、大破する事故を起こしました。三十年をかけ、苦労してつくってきた評判の牧草地でした。政府は当初、事故原因と安全が確認されるまで運用を停止すべきだと述べておりました。ところが、選挙が終わってその四日後、事故原因は何もわかっていないのに、飛行再開を容認したのであります。
こうしたもとで、十二月、普天間基地周辺でCH53Eによる落下事故が立て続けに起こりました。
普天間基地の北東側の、滑走路の延長線上にある緑ケ丘保育園で、ヘリの円筒状の部品が園舎の屋根に落下いたしました。五十センチ先の園庭には、クリスマスの劇の練習を終えた子供たちが遊んでおりました。
その六日後に、フェンス一枚で基地に隣接する普天間第二小学校の運動場に、飛行中のCH53Eから、重さ七・七キロの窓が落下をいたしました。二年生と四年生の児童五十四人が体育の授業中でした。十数メートルのところにいた児童一人に、落下の衝撃で飛んできた小石が当たり、軽傷を負いました。
沖縄県の翁長知事は、日米両政府に対し、全ての米軍機の点検とその間の飛行停止を求めました。しかし、政府はそれにも応じませんでした。
その後、ことしに入ってからだけでも、UH1Y、AH1Zという米軍ヘリの不時着が三件、伊計島、読谷村、渡名喜島などで相次いで起こっています。沖縄全域で、あらゆる機種が事故とトラブルを繰り返しています。
総理に伺いますが、事故を繰り返している米軍は許しがたいわけですが、飛行再開を容認してきた日本政府の責任も極めて重大であります。総理、そういう認識はありますか。
○小野寺国務大臣 米軍機の飛行に際しては、安全確保が大前提です。米軍機による事故等は、地域住民の方々に大きな不安を与えるものであり、あってはならないと思います。
防衛省としては、これまで、米軍機による事故等が発生した場合、事故等の重大性を勘案し、米側に対して再発防止の徹底や飛行停止を求めてきたところです。
例えば、御指摘ありました、平成二十八年十二月に発生したオスプレイの事案や、昨年十月に発生しましたCH53Eの着陸、炎上、先月に発生したCH53Eの窓落下事故について、事故後、直ちに米側に対し飛行停止を申し入れ、米側も実際に飛行停止をいたしました。
先月に発生したCH53Eの窓落下の際には、事故のあった普天間第二小学校にカメラを設置するとともに、監視員を配置し、米軍機が上空を飛行したとの報告があった際には、米側に強く申し入れております。現在もしっかり監視をしておりますし、この事案以降、そのような特異な事例はまだ発生していないということであります。
また、ことしに入っても、二度の予防着陸を行いましたAH1Zについても飛行停止を求めています。これを受け、米側からは、同型機のヘリ全てについて追加的な点検を行い、点検が完了するまでは飛行を行わなかった、ヘリ部隊に対し抜き打ちの安全検査を行ったとの説明を受けております。
米軍機の事故後の飛行再開については、我が国としても、米側の事故調査や再発防止策について自衛隊の専門的知見も活用して検証を行い、その合理性を判断をしてきております。
今回のAH1Zヘリの予防着陸についても、米側が実施した点検や整備の状況については、今週後半にも、専門的、技術的な知見を有する自衛官を現地に派遣し、米側が実施した点検や整備について確認することを検討しております。詳細については、現在、米側と調整中であります。
今後とも、安全の確保については最優先の課題として日米で取り組んでまいりたいと思います。
○赤嶺委員 CH53Eが昨年十月、総選挙の最中に墜落、炎上したときには、あなた方は飛行停止を求めておりました。でも、選挙が終わったらその四日後に、米軍が出した安全宣言を日本も、安全だと追認したわけですよ、事故原因もわからないのに。そのCH53Eが昨年十二月、落下事故を起こしているわけですよ。
何で、そういう事故原因も解明しないで安全を後押ししてきた日本政府の責任を感じないんですか。あれ以降CH53は事故を起こしていないと言うけれども、事故がこれからも本当に起きないという保証はありますか。全くないのに、本当に口先ばかりだと思いますよ。
私は、具体的な問題に沿って質問をしていきたいと思います。
緑ケ丘保育園の問題です。
政府の出される資料にも、緑ケ丘保育園の物資落下事故は消えております。出てきません。
緑ケ丘保育園の父母会が、父母や保育士一人一人の声を嘆願書にまとめておりますが、そこには事故当時の子供たちの様子が書かれております。
十二月七日(木)十時過ぎ、保育室の屋根に突然大きな音をたて、何かがドンとぶつかってきました。「なに、今の大きな音は」。すると、すかさずパートナー保育士も青ざめた顔で「今、ヘリが飛んだよね、何か落ちたんじゃないの」と告げました。庭へ出ると、三才になった男の子があどけないいつもと変わらぬ表情で私に寄ってきて「せんせい、ヘリコプターとんだね。ガガガガーンってなったね」と言いにきました。この小さいお友達がどんな気持ちで、あの音を聞いたのだろうか。
又、二才になる男の子が家に帰ってから「大きい音がした、こわい」と夜、話したそうです。
現実におこってしまったことを何もなかったかのように過ごすことは、出来ません。
たくさんの嘆願書の中に、こういうのもありました。
落下してきたのは、米軍ヘリの部品であります。沖縄県が近くに設置している騒音測定器には二度の衝撃音が記録され、静止画カメラにはCH53Eの画像が残っています。ところが、米軍は落下の事実を認めていません。飛行していたヘリの部品は離陸前に全て取り外され保管されていたなどと言っています。
防衛大臣に伺いますが、米軍の説明を検証するため、普天間基地に立ち入って、当時の整備記録や実際の保管状況を確認しましたか。
○小野寺国務大臣 答弁に先立ちまして、先ほど私が、CH53Eの飛行について、窓落下以降ないと言っておりましたが、これは正確には、一月十八日に小学校上空を飛行しているのを確認して以来ないということであります。
それから、今お話がありました保育園に対しての落下であります。
本件事案については、宜野湾市から通報を受け、沖縄防衛局の職員を現地に派遣するとともに、米側に対して事実確認を照会いたしました。
米側からは、当該部品はIBISというCH53Eのブレードの損傷を検知するための装置の保護に用いるカバーである、本件事案が発生した当日、十二月七日でありますが、午前十時十五分ごろに普天間飛行場からCH53Eヘリが一機離陸しているが、この機体に使用している七個のカバーは離陸前に全て取り外され保管されていたことを確認した、また、普天間飛行場で運用されているCH53EヘリのIBISのカバーは全数が適切に保管されていることも確認をした、引き続き、日本側関係機関と連携をし、事実関係の究明に協力をするという説明がありました。
防衛省としては、事実関係について米軍の調査の結果を待ちたいということで、現在おります。
○赤嶺委員 今、政府に求められているのは、米軍が説明したことを検証することですよ。米軍の説明を待つことじゃないわけですよ。
ですから、整備記録やあるいは実際の保管状況、ちゃんとそろっているというのであれば、それを確認すれば簡単じゃないですか。何でそれも確認できないんですか。
○小野寺国務大臣 この事案が発生した直後、これは保育園ということで私どもも大変心を痛め、そして米側について、かなり繰り返し確認をしておりますが、米側からは、自分たちが持っている、この装着をしていたIBISのカバーは全数が適切に保管されていることを確認したという報告を受けております。
ただ、私どもとしては、この事案について、実際にこのカバーが落下をし、それが現物があるということは、これはどういうことかということを含めて米側に確認をしていることであります。
○赤嶺委員 確認じゃないんですよ、検証なんですよ。
離陸前や落下当時の状況について、ヘリの整備士や搭乗員から直接話は聞いたんですか。
○小野寺国務大臣 この事案については、米側で調査をし、私どもに報告した限りでは、普天間飛行場で運用されているCH53EのIBISのカバーは全数が適切に保管されていることを確認したということであります。
○赤嶺委員 検証をなぜやらないか。事故原因の解明、再発防止というなら、そこまで踏み込むべきですよ。
民間機の事故の場合は、運輸安全委員会が関係者から直接話を聞いて、実際に企業に立ち入って調査しています。昨年、大阪市でKLMオランダ航空機から部品が落下する事故が起きました。あのとき、運輸安全委員会は、調査官をオランダに派遣して、整備記録や機体の状況を調べていました。一次資料に当たらない限り、原因究明などできるはずがありません。
防衛大臣、基地内への立入りや関係者への事情聴取に応じるよう米側に求めるべきではありませんか。説明を待つのではなくて、そういう、米側に事情聴取に応じるよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。
○小野寺国務大臣 私ども、このような一連の、例えばCH53Eの窓の落下事案、このことについて、あるいは、たび重なるヘリの事故、そしてまた今回、米側は、この保育園の事案については、そのカバーは離陸前に全て取り外され保管していることを確認したというお話がありましたが、やはり、一連のさまざまなことに関して沖縄の皆さんが大変心配をしている、そのことをハリス太平洋軍司令官にも、あるいはマティス米国防長官にも直接、私は伝え、このようなことがないようにということを、しっかり対応してもらうよう、私どもとして米側には強く要求をしているところであります。
○赤嶺委員 検証したかどうかを問うているのに、米側には強く要求していると言うだけであります。
それじゃ、警察に伺いますが、基地内への立入りや関係者への事情聴取はできていますか。
○樹下政府参考人 お尋ねの件につきましては、昨年十二月七日、沖縄県宜野湾市内の保育園において、軍用ヘリに使用されている部品カバーが発見された事案と承知をしております。
沖縄県警察では、通報を受け、直ちに現場に臨場し、現場の状況を確認するとともに、関係者から事情聴取するなど、事実確認を進めているところでございます。
お尋ねの、米軍機からの落下物であるか否かにつきましては、関係機関とともに事実確認を行っているものと承知をしております。
○赤嶺委員 警察が関係者から事情聴取したのは、米軍の関係者から事情聴取をしたということですか。
○樹下政府参考人 個別事案の詳細についてでございますので、お答えを差し控えさせていただきますけれども、先ほど申し上げましたように、関係機関とともに事実確認を行っているものと承知をしております。
○赤嶺委員 米軍から事情聴取等を求めているんですか。
○樹下政府参考人 繰り返しになりますけれども、個別の事案の詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただいておりますけれども、米軍機からの落下物であるか否かにつきまして、関係機関とともに事実確認を行っているものと承知をしております。
○赤嶺委員 個別事案でなくて、そういう場合、一般的に、警察は、米軍を調査したり関係者を事情聴取する権限を持っているんですね。いかがですか、この点。
○樹下政府参考人 捜査上必要があれば、米軍の協力を得て事実確認に努めるものと承知をしております。
○赤嶺委員 米軍の協力を得る。しかし、米軍がそれに応ずるかどうかは全く別。今回の事案に関しても、警察は米軍からの事情聴取を全くやっていないわけですよ。
個別事案、答えられないと繰り返しますが、関係者というのは保育園の関係者であって、こんな答弁を保育園の関係者が聞いたら大変怒りますよ。自分たちだけから事情聴取して、肝心の米軍からは何の事情聴取もしていない。つまり、防衛省も警察もできていないということです。
防衛大臣、更に伺いますが、民間機には、飛行中の高度や速度などを記録するフライトレコーダー、あるいは操縦士の音声を記録するボイスレコーダー、これは民間機には搭載されています。事故原因の究明には、これらの機器の解析が欠かせないからです。
CH53Eには、これらの機器は搭載されていますか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の米軍CH53Eについては個別に確認をいたしますけれども、一般に、米軍機に関しては、先生御指摘の機材の搭載は義務づけられていない、そのように承知しております。
○赤嶺委員 総理に伺いますが、総理は、我が国としても自衛隊の専門的知見を活用して検証し、合理性を判断してきている、こう言っています。しかし、防衛省も米軍関係者への聞き取りはやっていない、あるいは警察も、そういう権限、強制力はない。
この間、普天間第二小学校のグラウンドに落下した窓枠は、当初、日本の警察が押さえました。その翌日、米軍基地に入ったという話を聞いたので、捜査に行ったのかと思ったら、窓枠を返しに行ったんですね。
操縦士から事情も聞いていない。第一次資料、ボイスレコーダーもない。そういう中で、一次資料には日本側が全く手を触れられない、事故原因の究明に欠かせない機器の搭載状況、これもないという、これでどうやって主体的な判断が日本側でできるんでしょうか。
○小野寺国務大臣 繰り返しますが、私どもとしては、日米の信頼関係の中、米軍に対して、さまざまな事案が発生した場合には、その原因究明、そして飛行の安全を確保すること、これを、高いレベルでも、そしてまた現地の沖縄のレベルでも常々話をし、そしてまた、米側にこれからもそのような姿勢を求めていくという姿勢でございます。
○赤嶺委員 米軍には、原因を究明して再発防止策をとろうという真摯な態度はないですよ。
高江のあの牧草地の牧草主に対して、謝罪もない、事故原因の説明もない。だのに、米軍の事故処理に協力していただいてありがとうございましたと感謝状を贈ってきたんですよ。牧草地の持ち主は怒っていますよ、被害者に感謝状を贈ってごまかすつもりかと。しかし、それ以上、日本政府は立ち入れないわけですよ。
問題は、調査権限だけではありません。日本側による事故調査そのものの法的根拠がありません。みずから放棄してしまっているからです。
航空法には、出発前に機長がきちんと確認を行うことや、航空機から物を落下させてはならないことが明記されております。だから、今起こっていることは、航空法でいえば犯罪なんですよ。ところが、日米地位協定の実施に伴う航空法特例法という法律で、米軍への適用は除外してしまっております。
国土交通大臣に伺いますが、法律の根拠もないのに、事故調査に応じさせることなどできるはずがありません。米軍にも航空法を適用すべきではありませんか。
○石井国務大臣 そもそも航空法は、民間航空機のみに適用されます国際民間航空条約の規定等に準拠いたしまして、航空機の航行の安全等を図るための方法を定めるために制定をされたものであります。
一方で、国際民間航空条約の適用を受けない米軍機につきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法によりまして、民間航空機の円滑な航空交通を確保するためのものを除き、航空機の運航に関する規定などについて適用が除外をされております。
これは、我が国が締結いたしました日米地位協定等に基づき、米軍が我が国において活動することが認められていることを踏まえ、その履行を担保するために定められたものと承知をしております。
その性格に鑑みますと、米軍機に適用される航空法の規定を見直すに際しましては、米国との調整を要するものと考えられます。
○赤嶺委員 米軍に適用されていないということでしたが、別に地位協定上の根拠があるわけではありません。国土交通省が所管している航空法特例法、これによって米軍は除外されているわけです。
保育園の屋根に物資が落下しても、それを、航空法であれば取り締まることができるけれども、特例法があるから日本の警察は取り締まることができないわけです。
しかし、航空法の規定の中には米軍にも適用されているものがあるわけですね、国内法の適用が。離着陸のときに管制の指示に従うこと、通行秩序の維持のための規定は適用されています。
ところが、その一番の大前提となる安全にかかわる規定、具体的には航空法第六章によって定められておりますが、それは全て適用除外になっています。だから、どんな危険な低空飛行訓練をやっても、無灯火でヘリが飛び回っても、部品を落下させても、米軍の責任を問えないのであります。
既に航空法特例法の中には適用されているのもあるわけですから、何で安全にかかわる規定を全部適用除外にしてしまったのか。それを適用を求めるのは当然ではありませんか。
これは別に地位協定の改定に至らなくても、国内法の改正によってできるわけですよ。特例法から、そういう第六章、航空の安全に関するその除外措置を撤廃すべきだ、航空特例法を撤廃すべきだと思いますが、いかがですか。
○石井国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありますけれども、航空法は国際民間航空条約の規定等に準拠しておりますが、この国際民間航空条約は民間航空機のみに適用されるものでありまして、米軍機等にはそもそも適用されないということでありますが、一方で……(発言する者あり)
先ほど言ったことをもう一度繰り返しているんですけれども、日米地位協定に基づいて米軍が我が国において活動することが認められることを踏まえて、その履行を担保するために特例法をつくっているわけでありますが、この特例法において、米軍機が航空法の適用を受けるのは、米軍機が民間航空機と同一の空域や経路を使用する際に円滑な航空を確保するために航空法の規定が適用されるということでございます。
これを超えまして、米軍機に適用される航空法の規定を見直すに際しましては、米国との調整を要するものと考えられるところであります。
○赤嶺委員 ですから、地位協定の改定なしに、航空法の改正で米軍の特権を制限することができるわけです。できるわけです。しかし、地位協定の問題でいっても、さっき国際条約という話がありましたが、地位協定の第五条、その合意議事録では、日本国内で米軍が移動するときは日本の法令が適用されるとはっきり書いています。
それに基づけば、安全が一番大事だということは、総理、繰り返しているわけですから、その航空機の安全を担保するのが航空法の第六章ですから、この第六章を除外している今の現状が残される限り、事故は繰り返され、原因究明もできない、再発防止もできない、日本政府は手も足も出ない。手も足も出ないけれども、アメリカに意見は言っていますと言って、これでは県民の不信感は解けないと思うんですよね。
総理、米軍にこの六章を適用すべきではありませんか。
○小野寺国務大臣 御指摘のように、米軍は航空法の全ての適用を受けているわけではありませんが、飛行訓練を含め、米軍は全く自由に飛行を行っていいわけではなく、公共の安全に妥当の考慮を払うことは言うまでもありません。(発言する者あり)
引き続き、米側に対しては、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう、米軍の飛行訓練に関しては、必要に応じ、日米合同委員会の場などで議論をしてきておりますし、これからもしっかり進めていきたいと考えております。
○河村委員長 傍聴席は、答弁中、御静粛に願います。
○赤嶺委員 米軍が公共の安全に配慮して、今の事態なんですよ。そんな考え方では是正されないんです。
米軍にも航空法は適用されているんです。されているけれども、わざわざ安全に関する部分は除外措置の法律をつくっているんですよ、日本政府が。そこを直せと言っているわけです。
第六章も米軍に適用すべきだと思いますが、総理はどのように考えますか。
○安倍内閣総理大臣 既に石井国交大臣と、また小野寺防衛大臣が答弁しているとおりでございまして、我々も、安全が大前提であり、今後、米軍に対して強く申入れを行っていきたい、このように考えております。
○赤嶺委員 やはり、今のような態度では主体的な事故調査などできるはずがありません。
航空法特例法が制定されたのは、サンフランシスコ講和条約と日米安保条約が発効した一九五二年のことです。当時、日本の空の主権は、事実上、完全に米軍に握られていました。その米軍の特権を日本が独立した後も保障するためにつくられたのが、航空法特例法であります。それが一度も改正されないまま今に引き継がれているのであります。
形の上では主権を回復したとされていますが、今も事実上の占領状態が続いているわけです。憲法の上に安保がある、そういう日本に、一九七二年に沖縄は返還されました。航空特例法をそのままにしておいては、沖縄で繰り返される航空機事故、米軍の事故、絶対に防止はできません。
米軍に航空法を適用すべきである、そしてさらに、日米地位協定にもそのようなことを明記すべきであるということを強く求めて、質問を終わります。