日本共産党の赤嶺政賢議員は30日の衆院安全保障委員会の閉会中審査で、昨年12月の沖縄県名護市に続きオーストラリア沖で墜落事故(5日)を引き起こした米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属の垂直離着陸機MV22オスプレイの配備撤回を求めました。
29日にもオスプレイ1機が大分空港へ緊急着陸し、白煙や炎をあげていたことが明らかになっています。
赤嶺氏は、オーストラリア沖での墜落事故後、同機の飛行「停止」ではなく「自粛」を求めるにとどめ、事故原因の調査中であるにもかかわらず飛行を容認した政府の姿勢を批判。小野寺五典防衛相は、事故がオーストラリアで発生したことをあげ、「米国に安全性の確保を要請している」と弁明しました。
赤嶺氏は、4万5000人が結集してオスプレイ配備撤回などを求めた沖縄県民大会(12日)をはじめ、日米共同演習が行われた北海道や自衛隊のオスプレイ配備が計画される佐賀、米空軍のオスプレイ配備が予定される横田など全国でオスプレイ反対の声が上がっていることを突き付け、「政府はこうした声を受け止めるべきだ」と求めました。
北朝鮮問題 軍事衝突避け 対話で解決を
圧力一辺倒でいいのか 閉会中審査で 井上・赤嶺議員
北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことを受け30日、衆院安全保障委員会と参院外交防衛委員会で閉会中審査が行われました。北朝鮮問題で「対話のための対話は意味がない」とする日本政府に対し、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員と井上哲士参院議員は、軍事衝突を避け、国際社会と一致協力して対話による解決の道を求めました。両委員会は北朝鮮のミサイル発射に抗議する決議をそれぞれ採択しました。
井上氏は参院外防委で、国際社会が対話による解決を模索するなか、北朝鮮の行為は極めて重大だと指摘。国際社会と関係国は経済制裁とともに「困難はあっても対話による問題解決の道を粘り強く追求することが必要だ」と強調しました。
井上氏は、マティス米国防長官とティラーソン同国務長官の米紙への共同寄稿で、北朝鮮がこれ以上の挑発行為を停止することを条件に「米国は北朝鮮と交渉する意思がある」と表明し、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領も同様の発言を行っていたと指摘。「非核化の意思と行動を北朝鮮が出すまでは圧力の時」と繰り返す河野太郎外相の姿勢は「国際的な流れからしても特異な姿勢だ」と批判しました。
「対話のための対話は意味がない」との姿勢を崩さない佐藤正久外務副大臣に対し、井上氏は「意味ある対話を引き出すための対話、緊張緩和のための対話もある」と指摘。圧力についても「北朝鮮を対話に引き出すための圧力であるべきだ」と強調しました。
また井上氏は、5日に全会一致で採択された国連安全保障理事会の制裁決議が、対話を通じた解決を目指す国の努力を歓迎していることに触れ「日本政府はこれを含め、決議を全面的に履行する努力をすべきだ」と強調しました。
赤嶺氏は衆院安保委で、安倍首相がトランプ米大統領に「いまは圧力をさらに高める時だ」と述べ、防衛省が来年度予算の概算要求に陸上配備型の迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入を要求する方針を固めるなど、北朝鮮への軍事的圧力を強める日本政府の姿勢を厳しく批判。「軍事対軍事の悪循環に陥ってはならない」と強調し、国際社会と協力した経済制裁の厳格な実施強化と一体の対話による解決を追求することを求めました。(しんぶん赤旗 2017年8月31日)
質問の映像へのリンク
北朝鮮の弾道ミサイル発射とオスプレイ墜落について質問(衆院安保委)
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
北朝鮮は、昨日、国際社会が強く自制を求めているもとで弾道ミサイルの発射を強行しました。累次の国連安保理決議や日朝平壌宣言、六者会議の共同声明に反する暴挙であり、断じて容認できません。とりわけ、米国を含めて国際社会に生まれている対話による解決を模索する動きに逆行するものであり、発射を強行した北朝鮮に対して厳しく抗議するものです。
問題は、日本政府がこれにどう対応するかであります。
この間、国連安保理が新たな制裁決議を採択したことを契機に、北朝鮮は、グアム島周辺への包囲射撃を検討していると表明し、米国を強く軍事的に威嚇しました。一方、米国のトランプ大統領は、北朝鮮がこれ以上アメリカをおどすのであれば、炎と激しい怒りに直面することになるだろうなどと発言をいたしました。米朝両国が直接相手の意図を確かめるすべのないまま軍事的恫喝の応酬をエスカレートさせることは、危険きわまりないことであります。両国の意図にも反して、偶発的な事態や誤算による軍事衝突につながりかねません。
外務大臣に伺いますが、軍事的恫喝の応酬が軍事衝突に発展し、おびただしい犠牲者を生む事態は絶対に回避しなければならないと思いますが、外務大臣はどういう認識ですか。
○河野国務大臣 おっしゃるとおり、軍事的な解決ではなく、北朝鮮が非核化の方針を明確にし、具体的な行動をとることによって、対話の道を開いていきたいと思っております。
しかし、そのためには、前回の安保理決議を完全に履行することによって北朝鮮への資金の流入を防ぎ、これまで北朝鮮が、国内での人権、あるいは北朝鮮の中の人々の福祉を無視し、核、ミサイルの開発に莫大なる金額を費やしていた、その資金の流入をとめるというのが一番大事だと思いますので、日米しっかり連携をし、あるいは日韓しっかり連携をし、中国、ロシアにも役割を果たすことを求め、北朝鮮が、そうした、対話に向けて明白な意思を示し、具体的な行動をとるようにしてまいりたいと思います。
○赤嶺委員 トランプ政権は、全ての選択肢がテーブルの上にあるとしながらも、今月の十四日には、マティス国防長官とティラーソン国務長官がウォールストリート・ジャーナルに共同寄稿し、これ以上の核実験やミサイル発射などの挑発行為を停止することを条件に、米国は北朝鮮と交渉する意思があることを表明いたしました。
韓国の文在寅大統領も、十五日の光復節の演説の中で、対話による解決を呼びかけ、北朝鮮が追加的な核とミサイル挑発を中断してこそ対話の条件が整えられる、このように強調いたしました。
米韓両国を含めて国際社会が対話の動きを模索している中で、日本政府が対話に向けたメッセージを発したことはありますか。
○河野国務大臣 国際社会は対話のための対話を求めているのではありません。北朝鮮が非核化に向かう明白な意思を表示し、具体的な行動をとった上で対話に出てくるということを求める、今、国際社会はそういう行動をしております。それは、日本のけさ行われた安保理、続いて出された議長声明、採択された議長声明においても、そういう意思が明確になっていると思います。
我が国は、日米でしっかりと連携をし、あるいは日韓で連携をし、中国、ロシアにも役割を果たすことを求めた上で、北朝鮮が非核化への意思を明確にし、行動をしっかりとるということを求めてまいりました。それを北朝鮮が果たすことによって、国際社会との対話が生まれると思っております。
○赤嶺委員 安倍首相は、昨日の日米首脳電話会談で、北朝鮮に対話の用意がないことは明らかであり、今は圧力をさらに高めるときだ、全ての選択肢がテーブルの上にあるとの米国の立場を支持している、こう述べているわけですね。北朝鮮に対して軍事的圧力を強めることを日本政府の側から求めているものであります。
来年度予算の概算要求には、先ほども出ましたが、新たな弾道ミサイルの対処のためのイージス・アショアの導入を盛り込むことが報じられております。
軍事対軍事の悪循環に陥ってはなりません。おびただしい犠牲をもたらす軍事衝突は絶対に避けなければなりません。日本政府は、国際社会と一致協力して、経済制裁の厳格な実施強化と一体に、対話による解決の道を粘り強く追求することを求めたいと思います。
外務大臣に対する質疑は以上であります。
○山口委員長 それでは、河野外務大臣、どうぞ。
○赤嶺委員 次に、オーストラリア沖で起こった米軍普天間基地所属のオスプレイ墜落事故について質問をいたします。
昨日も、岩国基地から普天間基地に向かって飛行していたオスプレイ一機が大分空港に緊急着陸したことが報じられました。機体から白煙と炎が上がっている様子が映像で確認できます。ことしに入って、伊江島補助飛行場、奄美空港にも緊急着陸を繰り返しています。
防衛大臣に伺いますが、今回の緊急着陸の原因は何だったのか、事実関係を明らかにしていただけますか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
昨日十八時四十五分ごろに、大分県国東市の大分空港にオスプレイが着陸したということは御指摘のとおりでございます。
米側から現在説明を受けている内容でございますが、第一海兵航空団所属のオスプレイが、コックピット内の計器の表示を受けて、安全を確保するために、通常の手順に従って予防着陸を行った、この着陸によるけが人や物的被害は生じていないという話を聞いておるところでございます。
防衛省といたしましては、本土及び沖縄の関係自治体に対し、本件に関する情報提供を行うとともに、米側に対し、安全管理の徹底と追加的な情報の継続的な提供を申し入れておるところでございます。
具体的な原因等につきましては、いまだ米側からは我々は聞いていないところでございますけれども、今後、今申し上げましたように、情報の継続的な提供を求めていく、そうした所存でございます。
○赤嶺委員 小野寺防衛大臣に伺いますが、今月五日のオーストラリア沖でのオスプレイ墜落を受けて、翌六日、国内でのオスプレイの飛行自粛、これを米側に申し入れました。昨年十二月に名護市安部の浅瀬に墜落したときには、当時の稲田防衛大臣は、安全が確認されるまでの飛行停止を求めております。
今回、オスプレイの飛行停止ではなく、飛行自粛にとどめたのはなぜですか。
○小野寺国務大臣 今月五日に発生しましたオーストラリアでのオスプレイの事故におきましては、これは、発生当時、日本ではなくオーストラリアでの事案ということで、情報がさまざま、まだ入ってきていない状況にありました。その段階でもありますが、直後に、直ちに、私の方から在日米海兵隊の方に、オスプレイの飛行自粛ということを申し入れ、そして、一日も早い、一刻も早い原因の追求、報告について求めたということであります。
○赤嶺委員 日本で起こった事故ではないからというぐあいに聞こえたんですが、オーストラリアで墜落したオスプレイも普天間基地所属ですよね。所属機は普天間基地の中にもいるわけですよね。何で飛行停止にしないで飛行自粛にしたのかというのは、今の答弁では納得できません。
同じ普天間基地所属のオスプレイが起こした墜落事故、これで飛行自粛にとどめたこと、納得いかないものがあるわけですが、その一方で、防衛大臣は自粛に米軍の運用上必要なものを除くといった条件はつけていないことを明らかにいたしました。自粛の期間についても、しっかりとした説明があるまでは求めていく、このように述べておりました。ところが、その後、わずか五日で自粛要請を撤回し、飛行を容認いたしました。
米側から事故原因についてしっかりとした説明はあったのですか。
○前田政府参考人 お答えいたします。
今先生御指摘の、オーストラリアで発生をしたMV22オスプレイの事故でございますが、大臣の方から自粛の要請をいたしました後、その現場での事実関係、それから米軍のとった対応等々について、情報を米側の方から逐次得ていったわけであります。
事故原因そのものはいまだ調査中でございますけれども、海上移動中の艦船への着艦という複雑な作業の最中に発生したものであること、それから、米軍が初期調査を行って、オスプレイの飛行は安全であるということを結論づけていること、さらに、オスプレイの安全な飛行を妨げるような機械的、構造的及びシステム上の欠陥はないというふうに米軍が認識をしていること、そして、当該部隊の全隊員に対して安全及び運用の手順を再度徹底させたこと、こういうことを聞き取りを行っているわけであります。
これらを踏まえまして、防衛省としては、米軍がオスプレイの安全な飛行は可能であるとしていることは理解をできるという旨を判断いたしたところであります。
ただ、防衛省としては、引き続き、本件事故について米側に情報提供を求めているところでございます。
いずれにいたしましても、オスプレイを含む米軍機の飛行に際して、安全面の確保が大前提であるという認識のもとで、米側に対しては、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に与える影響を最小限にとどめるよう引き続き求めてまいりたい、このように考えてございます。
○赤嶺委員 防衛省は、十一日の未明に、飛行を容認するプレスリリースを出しました。今説明があっているように、それによりますと、「事故原因については、調査中」、このようになっています。事故原因について何の説明もないわけですね。それで安全に最大限配慮するよう努めてほしいといって、きのうの大分空港への緊急着陸ですよ。
なぜ事故原因について報告もないのに飛行を容認するんですか、大臣。
○前田政府参考人 お答えいたします。
やや繰り返しになるかもしれませんが、防衛省としては、事故直後から、米側から情報提供を受け、継続的にさまざまな照会を行ってきたわけでございます。そして、米側が行った初期調査につきまして、具体的にその項目あるいは内容について説明を受け、所要の確認を行ったところです。
防衛省の専門的知見に照らしてこれら聞き取った内容を総合的に勘案いたしますと、合理的な措置がとられているというふうに見られ、米軍がオスプレイの安全な飛行は可能としていることは理解をできるという旨を判断いたしたわけでございます。その旨につきましては、先生御指摘のとおり、十一日の日にプレスリリース等において御説明も申し上げた、このようなことでございます。
○赤嶺委員 事故原因の報告もないのに、何で防衛省の知見が働くんですか、そこに。そういう、防衛省の知見で安全だと確認して、次々と不祥事が起こっているじゃないですか。
去年の飛行再開のときには、それが事実かどうかというのは別として、夜間の空中給油訓練中に乱気流などにより起こった事故だという説明がありました。ところが、今回は、そうした初期調査の内容についてさえ一切説明がないままでの飛行容認であります。
これでは米軍の説明の丸のみだと思いますよ。政府の対応は後退していると思いますが、小野寺大臣、いかがですか。
○前田政府参考人 お答えいたします。
先ほど御説明しましたように、初期調査の内容につきましては、具体的にその項目、内容について説明を聴取いたしてございます。その点につきましては、八月十一日、プレスリリースをさせていただきましたが、その二番「米軍の対応」のところで詳細に記述をしてございます。読み上げますと時間がかかりますのでここでは省略いたしますが。この米軍の対応を聞き取った上で、先ほど申し上げたように、私どもなりの知見をもって評価、判断をした上でこの十一日の発表に至った、このようなことでございます。
○小野寺国務大臣 今回の判断に至った経緯は今局長からお話しさせていただいたとおりでありますが、やはり航空機の安全の面、このことが大前提だと思っております。
先日、十七日でありますが、日米2プラス2におきまして、私からマティス国防長官、ティラソン国務長官に対して安全性の確保を改めて要請いたしましたし、また、一昨日、二十八日でありますが、マルティネス在日米軍司令官と面談した際も同様の申し入れをしております。
引き続き、米側に対しては、安全面に最大限配慮するようにこれからもしっかり対応を求めてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 2プラス2の後に起こったきのうの事態でもあります。安全面に留意するようにと言われていたことが一向に守られていない。やはり、政府の米側に対する甘さ、より一層甘くなっていると言わざるを得ません。
今月の十二日に、防衛大臣はその直前に沖縄に来られたわけですが、四万五千人の県民が結集して、翁長知事を支え、新基地をつくらせない県民大会が開かれました。そこでは、辺野古新基地建設の断念、オスプレイの配備撤回、普天間基地の閉鎖、撤去を求める大会宣言と、今回の墜落事故に抗議し、普天間基地の即時閉鎖、撤去を要求する特別決議を採択いたしました。
二十八日には沖縄県議会が、オスプレイの配備撤回、普天間基地の五年以内の運用停止、在沖米海兵隊の撤退を求める決議、意見書を可決しております。
日米共同訓練が行われた北海道、自衛隊オスプレイの配備が計画される佐賀、その暫定配備が取り沙汰される木更津、米空軍オスプレイの配備が予定される横田など、全国各地で住民の反対の声が上がっています。政府は、こうした声を正面から受けとめるべきです。
最後に、野党四党は、六月、憲法五十三条に基づき臨時国会の召集を求めましたが、二カ月を経た今も開かれていません。南スーダンPKO派遣部隊の日報問題をめぐって閉会中審査が行われましたが、稲田前防衛大臣以下、関係者の出席に応じず、真相の解明は全く進んでいません。憲法規定に従って、臨時国会を速やかに開くべきであります。
このことを強く申し上げて、質問を終わります。