防衛省資料で判明
「沖縄におけるすべての基地が(自衛隊との)統合可能だと考えている」。在沖縄米軍のトップ・ニコルソン四軍調整官は8日の記者会見でこう述べ、衝撃を与えました。
日米共同使用が進む本土の米軍・自衛隊基地とは異なり、1972年まで沖縄が米国の施政権下にあったことから、在沖縄米軍基地の大半は米軍専用です。しかし、実際は自衛隊がほぼ通年にわたって訓練で米軍基地を使用していることが、防衛省が日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に提出した資料で判明しました。
それによると、在日米軍再編合意(2006年5月)に基づいて米海兵隊キャンプ・ハンセンが日米地位協定2条4項aに基づく共同使用基地に指定されたのを契機に、08年度以降、自衛隊の訓練回数が急増(①)。内容は「市街地戦闘」「射撃」「偵察」など本格的な戦闘訓練ばかりです。さらに、地位協定に基づく共同使用の指定がされていない基地でも、「研修」と称して脱法的な訓練が行われている実態も明らかになりました(②)。基地別の回数を見ると、米空軍嘉手納基地、キャンプ・シュワブ、普天間基地などが目立っています。
研修内容を見ると、「懇談」や「見学」などに加え、「隊付研修」と称して、事実上の日米共同演習も行われています。
重大なのは、政府が沖縄県東村高江でオスプレイパッド(着陸帯)工事を強行していた昨年9月から12月の間に、着陸帯が位置する北部訓練場で、陸上自衛隊が米軍のジャングル戦闘訓練に「研修」目的で3回参加していたことです。10日の衆院安保委員会で、防衛省が赤嶺氏に対して明らかにしたもの。12年度から昨年度まで12回、同訓練場で「研修」を行っていたことも認めました(③)。
ニコルソン司令官は記者会見で、「北部訓練場のジャングル訓練戦闘施設で陸自との訓練を始めている」と明らかにしています。
日本共産党の穀田恵二衆院議員が15年3月の衆院予算委員会で、名護市辺野古の米軍新基地など、沖縄の主要基地を日米共同基地化する計画を検討していたことを示す防衛省の内部文書を暴露しましたが、これが明確に裏付けられた形です。(「しんぶん赤旗」2017年3月13日付)
①自衛隊の訓練実績(回数/キャンプ・ハンセン)
07年度 1回
08年度 6回
09年度 8回
10年度 8回
11年度 14回
12年度 24回
13年度 38回
14年度 47回
15年度 103回
16年度 87回
②在沖縄米軍基地での自衛隊の「研修」実績(回数/各基地合計)
08年度 25回
09年度 30回
10年度 35回
11年度 40回
12年度 44回
13年度 42回
14年度 41回
15年度 48回
③北部訓練場での自衛隊の「研修」実績(期間中のいずれかの日に実施)
●海兵隊との関係強化
①13.1.11~3.15
②13.4.12~6.14
③13.10.11~12.13
④14.1.10~3.14
⑤14.4.15~6.13
⑥15.4.14~6.12
⑦16.4.12~6.10
⑧16.7.12~9.9
●部隊間交流
①16.5.18~19
●陸自レンジャー教育
①16.9.23~10.8
②16.10.21~11.4
③16.12.2~16
質問の映像へのリンク
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
まず初めに、一昨日の米軍司令官の発言について質問します。
三月八日、沖縄で米軍のニコルソン四軍調整官が記者会見を行いました。そこで司令官は、昨年のオスプレイの墜落事故をめぐって、このような発言を行いました。
オスプレイの事故の後、多くのメディアが、私がオスプレイ事故に対して申しわけなく思っているかの質問があった。レイプ、殺人などの犯罪が起きたときは私は恥じていました。しかしながら、訓練中に起きた事故は、私は恥じることはない、うれしくはないが、同盟を保護するために必要な訓練を行うということに関して恥じることはない、このように述べています。
防衛大臣は、訓練中に起きた事故を恥じることはないというニコルソン氏の発言についてどういう認識をお持ちですか。
○稲田国務大臣 先日、ニコルソン四軍調整官が沖縄における報道関係者との意見交換の場で行ったとされる発言についてコメントすることは差し控えますが、その上で、オスプレイを含め米軍機の飛行安全の確保は、米軍が我が国に駐留する上で大前提だと思います。
米軍機による事故は、地元の皆様に大きな不安を与えるものであって、あってはならないものと考えており、防衛省としては、米軍に対し、安全対策に最大限取り組むよう、今後とも強く働きかけてまいりたいと考えています。
○赤嶺委員 ニコルソン氏は、墜落事故の直後にも、住宅や県民に被害を与えなかったことは感謝されるべきだ、知事はパイロットに対して勲章を上げるべきだ、こう発言しています。県民に恐怖と不安を与えていることについて全く反省がありません。
防衛大臣は、こういう発言が繰り返されていることに対して抗議すべきではありませんか。
○稲田国務大臣 これは予算委員会でも申し上げましたが、十二月に沖縄に私が訪問した際にお会いした際に、沖縄県民の心情に配慮した発言をしていただきたい旨は申し上げているところでございます。
いずれにしても、米軍機による事故は、地元の皆様方に大きな不安を与え、あってはならないものであって、米側に対しては、安全対策に最大限取り組むよう、強く働きかけてまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 事故を起こしても恥じるべきではないという司令官がいて、日本政府が安全に対して配慮せよと言っても、実際に配慮しないんじゃないですか。
きのうもつり下げ訓練のことを照屋議員が質問しておられましたが、それだって、きょうも続いているんですよ。住宅地上空にはみ出すような訓練も何度も目撃されている。こういうものに対して抗議もしないで、そんな、訓練中に起きた事故は恥じるものではないという、そういう言い方はおかしいということを言うべきじゃないですか。
○稲田国務大臣 昨年、ニコルソン四軍調整官とお会いしたときに、沖縄県民の心情に配慮した発言をしていただきたい旨は申し上げております。
そして、米側に対して、安全対策に最大限取り組むよう、今後とも強く働きかけていきたいと考えています。
○赤嶺委員 大臣が心情に配慮して発言してくれと言って、ニコルソン氏が墜落事故は恥じるものではないと応え合う、そういう関係、これで何か大臣が言ったことになりますか。県民の命と安全に配慮せよとただ言っただけじゃないですか。ニコルソン、何の反省もしていないじゃないですか。
そんな、これで私は言いましたと言うだけでは済まされないような問題がありますが、また次の機会にもこの問題を追及していきますので。
さらに、ニコルソン氏は、自衛隊による米軍基地の共同使用についても重大な発言を行っています。ニコルソン氏は、将来的に日本のオスプレイがキャンプ・シュワブを使用することがよいのではないか、このように発言をいたしました。
防衛大臣は、この発言についてはどのように思われますか。
○稲田国務大臣 今月八日、ニコルソン四軍調整官が、沖縄の米軍施設・区域における将来的な自衛隊との共同使用について言及したことは承知をいたしております。
施設・区域の共同使用について、一般論として申し上げれば、二〇一三年十月の2プラス2共同発表や新ガイドラインにもあるとおり、より緊密な運用調整、相互運用性の拡大、柔軟性や抗堪性の向上、地元とのより堅固な関係の構築といった観点から、今後充実させるべき日米協力分野の一つであると考えております。
他方、沖縄での共同使用については、キャンプ・ハンセンなど既に実施しているものを除けば、現時点で何ら具体的に決まったものがあるというわけではありません。
○赤嶺委員 根っこはニコルソン氏と同じような考え方を防衛大臣が持っているというぐあいに私は受けとめました。
それで、ニコルソン氏は、日米両政府のリーダーたちに私の意見としてこの点を幾度か話している、こうも述べております。日本政府にもニコルソン氏からこういう話があったのではありませんか、それにどう答えたんですか。
○深山政府参考人 ニコルソン四軍調整官が共同使用に関しまして積極的な姿勢を示したということについては承知しております。
ただ、今大臣から申し上げましたとおり、具体的に決まっているものはございません。
また、会見の中でニコルソン氏は、自分は軍人としてやっている、軍人としてそういうことはいいと思っているということもあったところでございますので、これはニコルソン氏の見解である、これは記者との懇談の中でも明らかにしているところであろうかと思っております。
○赤嶺委員 まさに軍人がそういうことを言うのが大変恐ろしいわけですよ。もう軍人の世界ですから、軍人に支配されている世界ですから、沖縄は。
それで、自衛隊によるキャンプ・シュワブの共同使用は、安保法制の審議の際にも大きな問題になりました。統合幕僚監部の河野統合幕僚長が二〇一四年十二月に訪米したときの会談記録を私たち日本共産党の仁比聡平参議院議員が入手し、取り上げました。そこで河野氏は、辺野古への移転やキャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と陸上自衛隊との協力が一層深化すると認識している、これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか、このように発言をしています。米軍と自衛隊の認識は一致しているわけです。
キャンプ・シュワブを自衛隊が恒常的に共同使用し、辺野古の新基地を、米軍のオスプレイだけでなく、自衛隊のオスプレイが使用する可能性があるということではありませんか。
○深山政府参考人 ニコルソン四軍調整官がキャンプ・シュワブの共同使用に言及したという報道は承知しておりますけれども、大臣から先ほどお答え申し上げたとおり、沖縄での共同使用につきましては、キャンプ・ハンセンなど既に実施しているものを除けば、現時点で、このキャンプ・シュワブを含めまして、何ら具体的に決まったものがあるわけではございません。
○赤嶺委員 河野統合幕僚長も同じような発言をしているので、オスプレイが使用する可能性があるということではないか、このように大臣、伺っているんです。大臣、いかがですか。
○稲田国務大臣 そういった話は承知しておりません。
○赤嶺委員 先ほど大臣も触れておりましたが、二〇一三年十月の日米共同発表、「日本の南西諸島を含む地域における自衛隊の態勢を強化するため、閣僚は、共同使用に関する作業部会の取組を歓迎した。」これは二〇一三年十月の日米共同発表ですが、作業部会をつくっている。この作業部会で一体何を話し合っているのか。オスプレイを含む自衛隊のキャンプ・シュワブの共同使用について話し合ったことはあるんですか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
日米両政府は、沖縄を含む日本及び太平洋地域にある米国の施政下にある領域において、日米の施設への二国間のアクセスの拡大を促進するために、二〇一〇年十二月に施設の共同使用に関する作業部会を設置いたしました。
施設の共同使用につきましては、当該作業部会等において検討を続けておりますけれども、米国との関係もあることから、検討状況の詳細について現時点でお答えすることは適切でないと考えております。
今後、日米間における検討が完了した時点で対外的に説明していく考えでございます。
○赤嶺委員 ニコルソン調整官もあそこまで言い、河野統幕長も発言し、非常に焦点になっているわけですから、この際、政府は、共同使用に関する作業部会の協議内容を含めて、自衛隊による米軍基地の共同使用に関して、日米間で何を話し合っているのか、その全容を明らかにすべきときであると思いますが、大臣、いかがですか。
○稲田国務大臣 今後、日米間における検討が完了した時点で対外的に説明をしていく考えでございます。
○赤嶺委員 それじゃ全くわからないまま、とにかく共同使用について作業が行われているけれども、そして軍人同士で、キャンプ・シュワブを使ったらいいねということを言っているけれども、政府はそれをひた隠しにする。まあ隠蔽とは言いませんが、情報を公開していない。これでは県民の不安は高まるばかりであります。
先ほども出ましたが、既にキャンプ・ハンセンでは、二〇〇六年の米軍再編のロードマップ合意に基づいて、陸上自衛隊による共同使用が行われています。
防衛省に伺いますが、訓練が始まった二〇〇八年三月以降の実績を明らかにしていただけますか。主な訓練部隊と内容、年度ごとの訓練回数と訓練日数を明らかにしてください。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
キャンプ・ハンセンにおきまして主に訓練を実施しております部隊につきましては、沖縄に所在しております陸上自衛隊第一五旅団隷下の部隊でありまして、射撃訓練、徒歩行進訓練、市街地戦闘訓練、爆破訓練、兵たん訓練などを実施しているところでございます。
年度ごとの訓練回数でございますけれども、平成十九年度は一回、平成二十年度は六回、平成二十一年度は八回、平成二十二年度は八回、平成二十三年度は十四回、平成二十四年度は二十四回、平成二十五年度は三十六回、平成二十六年度は四十七回、平成二十七年度は九十五回、平成二十八年度につきましては平成二十九年二月二十四日までの数字になりますけれども、八十五回となっているところでございます。
また、訓練ごとの日数は、おおむね一日から数日というところでありまして、最長では十日間の訓練を行った実績があるところでございます。
○赤嶺委員 キャンプ・ハンセンの訓練内容も非常に実戦的で、しかも、訓練回数も年々増加してきている。
この訓練実績の資料を事前に出していただきました。これを見ていましたら、非常に件数が多いのが射撃訓練なんですね。射撃訓練というのは、具体的に、どこのレンジでどういう訓練を行っているんですか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
キャンプ・ハンセンにおきましては、主に沖縄に所在する第一五旅団が各種射撃訓練を実施しているところでございますけれども、具体的には、レンジ1及びレンジ18、ここは戦闘射場ということでございますけれども、ここでは戦闘状況を模擬した戦闘射撃訓練を行っております。また、レンジ22、161及び162、ここは至近距離射場ということでございまして、ここでは射距離を二十五メートル程度とした至近距離の射撃訓練を実施しているところでございます。
○赤嶺委員 たくさんのレンジを使っているという印象を持ちますが。
さらに、二〇一六年十月二十二日から二十六日には日米共同の戦闘訓練としてヘリを使った訓練も行っています。これはどういう訓練だったんですか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御質問のありました平成二十八年十月二十二日から同月二十六日までの間、キャンプ・ハンセンにおきまして、陸上自衛隊西部方面航空隊が、AH64Dを一機、それからUH60を一機、CH47を一機使用いたしまして、米軍との連携を伴うヘリコプターによる機動展開や着陸後の活動拠点の構築といった一連の作戦行動を演練しております。
○赤嶺委員 改めて、本当に訓練の内容、米軍並みの実戦的なものになってきていると実感します。
改めてロードマップの該当部分を見てみますと、「キャンプ・ハンセンは、陸上自衛隊の訓練に使用される。施設整備を必要としない共同使用は、二〇〇六年から可能となる。」このように書かれております。
この書きぶりは、将来的には施設整備を必要とする共同使用も想定しているということですか。施設整備というのは具体的に何を想定しているんですか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
御質問のありました再編実施のための日米のロードマップ、これを発表した当時、キャンプ・ハンセンの共同使用に関しまして具体的な施設整備の計画を有していたとは承知しておりません。
○赤嶺委員 ですから、施設整備というのはそれでは何を想定しているんですか。
○岡政府参考人 御質問のありましたとおり、二〇〇六年の再編実施のための日米のロードマップにおいて、「施設整備を必要としない共同使用は、二〇〇六年から可能となる。」旨の記述があるところでございますけれども、その当時に、共同使用に関して具体的な施設整備の計画を有していたとは承知しておりませんので、繰り返しになりますけれども、そのことをもって今のお答えとさせていただきたいと思います。
○赤嶺委員 施設整備という言葉がわざわざ出てくるから、どんなことを想定して今はやらないと言っているのかという質問であります。引き続き、聞いていきます。
自衛隊は、キャンプ・ハンセンだけでなく、沖大東島射爆撃場でも共同使用を開始しています。
いただいた訓練実績の資料によると、二〇一三年十一月十二日に、陸海空自衛隊の部隊が参加して、射撃訓練、つまり、艦砲射撃の訓練を行っています。沖大東島射爆撃場での訓練実績も明らかにしていただけますか。
○岡政府参考人 沖大東島射爆場での自衛隊の訓練実績でございますけれども、自衛隊におきましては、二〇一三年以降、沖大東島射爆撃場におきまして、二〇一三年十一月の陸海空の統合部隊、二〇一五年十一月、これは護衛艦「てるづき」等でございます。それから、二〇一六年六月につきましては、護衛艦「はるさめ」等。そして、同年同月、護衛艦「むらさめ」等により、対地射撃などの訓練を実施しているところでございます。
○赤嶺委員 次に、嘉手納弾薬庫、これについても聞きます。
以前出してもらいました在沖米軍基地の二4(a)使用の一覧を見ますと、嘉手納弾薬庫地区については、「自衛隊が隊舎施設等、不発弾処理場、火薬類の貯蔵施設として、陸上自衛隊が汚水管の埋設用地、弾薬庫の用地として及び給水のため共同使用する。」このように述べております。
この「隊舎施設」、これはどういうことを指していますか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、赤嶺先生に以前提出した資料におきまして、そのとき、過去に合同委員会で合意した共同使用ということで、お出しした資料の中に、「自衛隊が隊舎施設等」ということをお出ししたところでもございますが、今般改めて確認いたしましたところ、現時点において、地位協定二4(a)に基づいて共同使用しておりますところは、火薬類の弾薬貯蔵施設、汚水管埋設用地、水道等の共同施設のみでございまして、現時点では、隊舎施設等については、共同使用はいたしておりません。
○赤嶺委員 書いてあるわけですから、将来あるわけですね。
○深山政府参考人 過去に共同使用を行っていたことはございますが、これは隊舎施設等でございますけれども、現在では共同使用は行っておらないと申し上げたところでございます。
○赤嶺委員 ニコルソン四軍調整官は、沖縄における全ての基地が統合可能だ、このように述べて、北部訓練場でも既に陸上自衛隊が訓練を開始していることを明らかにしています。また、その中で、中谷前防衛大臣が、沖縄でニコルソン氏を表敬訪問したときに、かつてレンジャー部隊の陸上自衛官として北部訓練場で訓練したと話していたということを紹介しています。
防衛省に確認をいたしますが、自衛隊は北部訓練場で訓練を開始しているんですか。
○深山政府参考人 お答え申し上げます。
二〇〇八年、これは平成二十年の年度以降、北部訓練場において、日米地位協定第二条四項(a)に基づいて自衛隊が共同使用した実績はございませんが、同協定第三条に基づく米軍の管理権によって、米軍施設・区域を自衛隊が使用する場合があります。
これまでも、例えば、陸上自衛隊が米海兵隊の概要を理解するため、北部訓練場において米海兵隊が実施する訓練を研修しているほか、陸上自衛隊のレンジャー教育訓練の資とするため、北部訓練場における米海兵隊のジャングル戦課程を研修するなどのことがございました。
これらの研修のため、現時点で確認できた使用実績につきましては、平成二十四年度に一件、平成二十五年度に三件、平成二十六年度に一件、平成二十七年度に一件、平成二十八年度に六件の使用の実績がございました。
なお、海上自衛隊及び航空自衛隊に関しましては、使用実績は確認されておりません。
以上でございます。
○赤嶺委員 出してもらった資料によりますと、去年の九月二十三日から十月八日、十月二十一日から十一月四日、十二月二日から十二月十六日、研修ということになっておりますが、間違いないですか。
○鈴木政府参考人 先生御指摘の三つの研修につきましては、陸上自衛隊のレンジャー教育訓練の資とするため、米海兵隊のジャングル戦課程を研修したものとして、三回研修を行っております。
○赤嶺委員 この時期というのは、まさにオスプレイの着陸帯の建設をめぐって現地が非常に緊張状態にあったときであります。私も、N1の表のゲート前の抗議行動に何度も参加をいたしましたが、そういう新しい着陸帯に反対する抗議行動が起こっているときに、訓練場の中では米軍と自衛隊が一体で研修を行っていたということの事実を知り、愕然といたしました。
ジャングル戦闘に関する研修というのは、具体的にどういうことをやるんですか。
○鈴木政府参考人 これは、陸上自衛隊におけるレンジャー教育訓練の実習実施、検討の資とするため、米海兵隊が実施するジャングル戦課程を研修するものでございますが、そういった米海兵隊が行っている研修を見学したり、あるいは場合によっては実習に参加したりしております。
○赤嶺委員 実習に参加する。
では、研修と訓練は何が違うんですか。
○岡政府参考人 お答え申し上げます。
訓練と研修の違いということでの御質問であったかと思いますけれども、防衛省におきましては、一般的に、訓練といいますと、基本的なものから応用的なものまで段階的に進めていって、組織としての行動に習熟をさせ、与えられた任務を十分遂行できるように、個人単位から大部隊に至るまでそれぞれの練度を向上させることを目的として実施しているものでございます。
一方、研修につきましては、見学及び実習によりまして隊員個人の知識及び技能の向上を図るものであります。
訓練につきましては、組織としての任務の遂行という点を目的としているのに対しまして、研修につきましては、隊員個人に着目して、その知識や技能の向上を目的とするものでございます。
○赤嶺委員 研修というのは訓練の第一歩になり、部隊の大々的な共同訓練になっていく、そういうことにつながっていくだろうと思います。
これまでに在沖米軍基地で自衛隊が行った研修の実績を陸海空別に、年度ごとに、件数の推移、主な内容を簡単に説明してくれますか。
○鈴木政府参考人 御指摘の沖縄の米軍施設における陸海空各自衛隊の研修の実績としましては、まず、陸上自衛隊につきましては、平成二十年度に八件を実施し、その後徐々に増加しており、平成二十七年度は二十一件を実施しております。
次に、海上自衛隊につきましては、平成二十年度から二十七年度まで、各年度一件を実施しています。
また、航空自衛隊につきましては、平成二十年度は十七件実施し、その後、年度により増減はあるものの、おおむね増加の傾向にあり、平成二十七年度は二十六件を実施しております。
これらの研修は、研修先の米軍部隊の運用、訓練、装備、施設の見学やブリーフィングを受けることを主な内容としており、一部の研修では隊員が実習を行っておりますが、隊員の知識及び技能を向上させるとともに、日米間の隊員の関係強化を図ることを目的として実施しております。
○赤嶺委員 大臣、米軍再編は沖縄の負担の軽減といいながら、沖縄に米軍基地があることをいいことにして、米軍並みに強くなりたいという自衛隊が米軍基地を使って訓練をしている。負担はどんどんどんどん重くなっていくだけですよ。負担の軽減なんて、そういう言葉は使わないでいただきたい。
二〇〇六年のロードマップ合意から十年以上経過して、今回の法案で、米軍再編特措法の期限を十年間延長する、このようにしています。
ロードマップ合意は、そもそも、普天間基地は二〇一四年までに完成させる、こういうことでした。それが、沖縄の米軍基地の統合計画で、二〇二二年度またはその後とされました。もともと普天間基地は、一九九六年のSACO合意のときに、五年ないし七年以内に返還されるはずのものでありました。
防衛大臣、今回、法律を延長しなければならなくなった根本的な原因はどこにあるとお考えですか。
○稲田国務大臣 今回の法案提出の理由ですけれども、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法が本年三月三十一日をもって期限を迎えますが、普天間飛行場代替施設の整備や那覇港湾施設代替施設の整備など、米軍再編事業についてはいまだ実施に至っておらず、今後とも、その実施に取り組んでいく必要があります。
このため、これらの米軍再編事業を円滑に実施できるよう、同法の有効期限を平成三十九年三月三十一日まで十年間延長する等の一部改正法案について本国会に提出したものです。
今後とも、米軍再編事業を着実に進め、我が国の抑止力を維持しつつ、米軍の基地が集中する沖縄の基地負担の軽減を図るべく努力していきたいと考えております。
○赤嶺委員 根本的な原因は、米軍再編計画が、地元住民の民意を無視して、基地の強化、固定化を押しつけるものだからであります。それを再編交付金という金の力でねじ伏せられた地域があったとしても、それが政府の基地政策に対する住民の不信感をどれだけ広げたか、政府自身が重く受けとめるべきだと思います。
辺野古を抱える名護市は、市民の誇りにかけて、基地絡みの交付金に頼らない町づくりを進めています。
政府は、名護市民の意思を正面から受けとめて、新基地建設を断念すべきだということを改めて強く申し上げて、質問を終わります。