日本共産党の赤嶺政賢議員は3月9日の衆院安全保障委員会で、1月に日米間で署名された日米地位協定の軍属の範囲を見直す補足協定について、「犯罪の再発防止にはつながらない」と批判しました。
今回の協定は、昨年4月に沖縄県うるま市で起きた元米海兵隊員の軍属による女性暴行殺人事件を契機として日米合意されたもの。
赤嶺議員は、NATO地位協定が軍属の範囲を米軍に雇用されている者に限定し、イギリス国内の軍属の取り扱いについて米欧州空軍が出した指示文書では契約企業の従業員は軍属の適格性を有していないと明記していることを指摘。今回の協定が契約企業の従業員なども軍属の対象としていることをあげて、「なぜイギリスと同じことができないのか」と追及しました。
岸田文雄外相は「一概には他の国との比較はできない」などと答弁を避けました。米兵に対して夜間外出を規制する「リバティ制度」を軍属にも適用するのかと追及したのに対しても、明確な答弁はありませんでした。
また、法務省の加藤大臣官房審議官は、14年から15年の公務中の犯罪の処分結果について、軍人は懲戒処分106人、軍属は懲戒処分24人と答弁。軍法会議や米連邦裁判所にかけられた事例はなかったことを明らかにしました。(しんぶん赤旗 2017年3月13日)
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議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
きょうは、まず初めに、日米地位協定の軍属に関する補足協定、これについて質問をいたします。
この協定の議論のきっかけになったのは、昨年四月に沖縄県うるま市で起きた、元米海兵隊員の軍属による女性暴行殺人事件です。
先日、その被告の供述内容が米軍準機関紙「星条旗」で報じられました。事件が起きたあの場所にあのとき居合わせた彼女、つまり被害女性ですね、彼女が悪かった、こういう認識を示しております。凶悪な事件を引き起こしておきながら、被害者に責任を押しつける極めて身勝手な態度であります。
日米両政府は、ことし一月十六日に、日米地位協定の軍属に関する補足協定に署名をしました。総理は施政方針演説で、半世紀の時を経て初めて軍属の扱いを見直す補足協定が実現したと強調しておりました。
外務大臣にお聞きしますが、軍属の範囲というのは、どういう経緯で見直すことになったんですか。
○岸田国務大臣 補足協定においては、軍属の範囲を明確化するため、軍属の種別を特定し、コントラクターの被用者が軍属として認定されるための手続、そして、その適格性の評価基準を作成すること、そして、これに適合しない者は軍属の地位を与えられないということ、そして、軍属について適格性を定期的に見直すこと、こういった規定を盛り込んでおります。
こうした内容を適用することによって、軍属の範囲を明確化し、そして、管理等をより厳格に行い、そして、そのことによって事件の発生を極力抑えていくことにつながることを期待している次第であります。
○赤嶺委員 米軍犯罪の事件を極力抑えるために軍属の見直しの作業を行ったという答弁であります。
この軍属の範囲の見直しについて、実は、沖縄県の側から出てきたものでは全くありません。
事件の発生を受けて、沖縄県議会と翁長知事が求めたのは、米軍基地の大幅な整理縮小、そして日米地位協定の抜本改定であります。県議会決議にも、知事の発言にも、軍属の範囲の見直しなどという文言はどこにもありません。一体どこからそういう話が出てきたのか。いわゆる犯罪の抑止につながるという話をおっしゃったんですが、肝心の当事者である沖縄県や県議会はそういうことをおっしゃっていない。どこからそんな話が出てきたんでしょうか。
○岸田国務大臣 どこからそういった話が出てきたかという御質問ですが、昨年四月に発生した米軍属による殺人事件を受けて、日米両政府で、実効的な再発防止策を策定すべく、精力的に協議をした次第であります。そして、その結果として、先ほど申し上げたような、軍属の範囲を明確化することといたしました。
明確化することによって、軍属の地位を有さない者については、日本の裁判権及びこれに基づく刑事裁判手続が完全に適用されることになるわけでありますし、その範囲に含まれる者については、米側がよりしっかりと管理をする、指導をすることが期待されますし、そのことによって犯罪の効果的な再発防止につながることを期待するものであります。
関係者からはこうした期待は示されていなかったのではないかという御指摘ですが、米軍施設・区域の所在する都道府県の知事から成ります渉外知事会からは、軍属の範囲の明確化が法的拘束力を持つ政府間協定で実現したことを評価できる、こうしたコメントが発出されています。
○赤嶺委員 犯罪の抑止のそもそもの議論の当初、そういう議論はなかったわけですね。
犯罪が起きたときに、ニコルソン四軍調整官は、沖縄県とのやりとりの中で、彼は米軍の兵士でも米国政府の従業員でもない、このように繰り返し、地位協定という立場上の身分があるので私に全責任がある、こういう発言をしております。
軍属の範囲見直しというのは、米軍主導で始まったものではありませんか。
○岸田国務大臣 昨年四月の事件の発生を受けて、日米間で、再発防止につながる方策は何が最も効果的なのか、こういった観点から真剣に議論を行ったわけであります。こうした結論に至ったのは、日米の間でこの問題について真剣に議論した結果であると認識をしております。
○赤嶺委員 それが犯罪の抑止へどうつながっていくのか、そういうことを聞いていきたいんですが、今回の軍属の範囲見直しで、何がどう変わったんですか。
○岸田国務大臣 先ほど、補足協定の中身として三点申し上げました。この三点に基づいて、軍属の範囲の見直しを行います。そして、軍属の範囲が明確化されます。明確化することによって、先ほども少し触れましたが、軍属に属さない、軍属の地位を有さない者については、日本の裁判権、そしてそれに基づく刑事裁判手続が完全に適用されることになるわけですし、軍属の範囲に入る者については、米側の管理、規律、これが一層強化される、こういったことになります。
こういったことを通じて、犯罪の効果的な再発防止につながることを期待する、これがこの補足協定の意義であると考えます。
○赤嶺委員 補足協定の意義、軍属の再発防止につながるというのは、るる繰り返し外務大臣はお答えになっております。
私が今伺ったのは、では、そういう考え方のもとに、軍属というものが今までと何がどう変わったのか、本当に犯罪の防止につながるような軍属というものの見直しが行われたのか。どんなふうに軍属というのはなったんですか。
○岸田国務大臣 軍属については、従来から日米地位協定の中に触れられていました。しかしながら、その基準が明確化されていなかったことが大きな問題にもつながってきた、こういった問題意識のもとに、軍属の範囲を法的拘束力のある国際約束によって明確化する、これが今回の大きな意義であると思います。
この明確化によって、先ほど申し上げました軍属の管理、そして、軍属に属さない方々は日本の裁判権に服する、こういったことにつながり、このことが事件の再発防止につながる、こうしたことを期待しての取り組みであると認識をいたします。
○赤嶺委員 補足協定が国際的な約束であり、法的拘束力を持つから、軍属になった範囲に対する規律が徹底されていくという、そこを聞いているんじゃないんです。では、今まで軍属とされてきた部分と、今度の見直しによって何がどう変わったのかということを伺っているわけであります。
同じ答えが続いていますので、ちょっと問題を先に進めていきたいんですが、実は、去年の五月二十四日の本委員会で、安保委員会で、民進党の緒方林太郎議員が軍属の範囲について質問をしておられます。NATOの地位協定では、米軍に雇用されていない者は対象から外される、このように指摘をしております。
米軍に雇用されていない者は対象から外される、この点は、今回の軍属の範囲を決める上でどういう交渉になったんですか。こういうことは交渉をやったんですか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
軍属の定義につきまして、NATO地位協定におきましては、軍属とは、締約国の軍隊に随伴する文民たる人員で、その締約国の軍隊に雇用されている者で、無国籍の者ではなく、北大西洋条約の当事国でない国の国民でなく、前記の軍隊が所在する国の国民でなく、かつ前記の軍隊が所在する国に通常居住する者でない者をいうというふうに定めていると承知しております。
それに加えまして、例えばボンの補足協定、これはドイツについてでございますが、ボン補足協定におきましては、ドイツに駐留する米軍に対し役務を提供する技術専門家は民間企業の被雇用者であっても軍属としてみなす、そのように取り扱うこととされているというふうになっているものと承知をしてございます。
日米の地位協定と米国が我が国以外の国と締結している地位協定とを比較する場合は、規定ぶりのみならず、実際の運用、背景等を含めた全体像の中で検討する必要があるため、その比較を一概に論ずることは困難ではございますが、事実関係は以上でございます。
○赤嶺委員 緒方議員がこの間の委員会で提起したのは、日本は軍属の範囲が広い、定義が広いということだったわけです。
今、ドイツの話を持ち出しましたが、アメリカの欧州空軍が二〇一四年六月十七日付で出した、イギリス国内の軍属の取り扱いについて記した指示文書があります。これはインターネットで普通に手に入るものですが、この文書にはイギリス国内で軍属の認定を受けるための基準が列挙されております。そこには、米軍に雇用されていなければならないとの要件が挙げられております。しかも、契約企業の被用者は軍に雇用されていることにはならない、つまり米軍属の適格性は有していないということがはっきり書いてあります。
なぜ、イギリスと同じことができないのか。つまり、犯罪の抑止につながるという場合に、その軍属の定義や範囲が日本の場合には広い、NATO並みに、せめて、イギリスでさえ契約企業の者は軍属に入れていない、そういう見直しをなぜやらなかったのかということを問うているわけであります。
○岸田国務大臣 なぜ、欧米の諸国の中で見られるような例を、見直しをしなかったのかということですが、今回、昨年四月の軍属の事件を受けて、再発防止について日米で協議をしたわけですが、こうした軍属の事件の発生において、そして我が国の状況において、一番問題であるのは軍属の定義が明確化されていないという点である、こういった問題意識のもとに議論をしたものであると承知をしています。
日米地位協定の中には軍属という記述はありますが、全くこの定義が明確化されていない、明らかにされていない、こういったことが、責任や管理のありようを曖昧にするとか、それから軍属本人の自覚の曖昧さにつながるとか、こういったことなのではないか。やはり軍属の範囲を明確化することが重要である、これが議論の出発点であったと思います。
我が国のこの状況、そして我が国の日米地位協定のありよう、こういったことを考えた際に、今申し上げた点が重要であるという認識のもとに議論が始まり、そして、先ほど申し上げたような明確化につながったということであります。
これは、それぞれの国における事情や背景等もしっかり考えた上でそれぞれの協定のありようを考えていく、一概には他の国との協定とは比較できない、先ほど答弁にもあったとおりだと考えます。
○赤嶺委員 我が国の事情によるものだと。ヨーロッパ諸国では、米軍の基地の中で働く、米軍と契約している民間企業の社員は、日本では軍属になっている、ところがイギリスやNATOではそうなっていない。しかし、日本には日本の問題があるんだということを外務大臣がおっしゃいましたが、軍属の定義を決める上で、実は日本でも、NATOより日本の軍属の範囲が広いということは、これまでも外務省の中で問題になって、検討してきていることなんですよね。
地位協定マニュアル、「日米地位協定の考え方」というマニュアルが外務省の中にあります。何度も外務委員会、安保委員会等で取り上げてきましたが、その中で、軍属の定義について、NATO地位協定では日米地位協定の場合より相当狭くなっている、こう書いているわけですね。外務省自身が、軍属というものを定義する場合にこの問題を認識してきたわけですよ。つまり、範囲が広い、NATOよりも広い、このことは問題意識として持っていた。ところが、今回の補足協定の中でそのことが議論になっていない。
これはちょっとおかしいんじゃないですか。軍属の範囲を狭めて犯罪の抑止につなげる、常識的にはそうだと思いますが、いかがですか。
○岸田国務大臣 御指摘の日米地位協定のガイドブックですか、それは外務省の発行した文書ではないと承知をしております。民間の団体が出された文書であると承知をしております。
外務省としましては、先ほど申し上げましたように、日米地位協定と我が国以外の国が締結している地位協定を比較する場合に、単純にその規定ぶりだけではなくして、背景とか運用とか、こういったものを含めた全体像の中で検討する必要がある、よって、その優劣を一概に論ずることは大変難しいということを従来から説明させていただいておりますし、それが我が国の基本的な考え方であります。
○赤嶺委員 「地位協定の考え方」というのは民間のものじゃなくて、現に、今までの答弁では、同名のものが外務省の中にもあるという答弁だったんですよ。きょうは、それはまた後で議論しますがね。
犯罪の抑止ということでさらに聞いていきたいんですが、中谷大臣は昨年、このように答弁しております。再発防止の具体策として、「現在のこういった再発防止の具体策としては、リバティー制度というのがあります。」「これは外出禁止とか制限をするものでありますが、米軍人をきちんと、指揮命令系統がしっかりとした強制力のある対応をするということで、こういった制度が考えられておりますが、米軍属となりますと、これは軍人ではなくて、その基地内に所在をする各関連の企業やその社員など、民間人が基本でありますので、そういった対象に対してしっかりとした対応をとれる方法がいかなるものがあるのか、この際、こういった軍属に対する考え方、定義などをしっかり整理しまして、そういったところにきちんと対応できるように考えてまいりたいと思います。」これが昨年の中谷防衛大臣の答弁であります。
今度の見直しで、軍属もリバティー制度の対象になったんですか。
○深山政府参考人 リバティー制度につきましては、今先生がおっしゃったとおりでありますが、軍属が新たに対象になったかどうかという情報は今得ておりませんので、念のため、確認をさせていただきたいと思います。
○赤嶺委員 いやいや、これは大変な、半世紀ぶりの画期的な歴史的な地位協定の補足協定だと言っているから、犯罪抑止につながると。私はリバティー制度は抜け穴だらけだと思っていますけれども、外務大臣と何度も議論してきましたが、外務大臣はリバティー制度は犯罪抑止につながると言っていた。
この間、軍属の引き起こした事件をきっかけに補足協定の話し合いが始まった。軍属はリバティー制度の対象になったんですか、今度の補足協定で。
○岸田国務大臣 ただいま防衛省から答弁がありましたように、リバティー制度が軍属に適用されるかどうかは確認したいと思いますが、軍属に対する対応はさまざまなものがあります。
今、中谷元防衛大臣の発言を引用されました。軍属にしっかりとした対応を行う、そのためには何ができるのか検討したいという答弁だったと聞きましたが、その対応を行うためにもまずは範囲を明確化しなきゃいけない、その明確化を今度やったわけです。そして、あわせて、明確化された軍属に対してしっかりと管理をしなければならない、研修等をしっかり行う、こういったことも発表されているわけであります。
こうした対応を行うために基礎となる範囲が明確化されたこと、これは大変大きな一歩だと思います。それに対して、研修等、どんな対策で対応していくのか、これがこれからしっかりと問われ、そして確認されなければならないと考えます。こうした考えに基づいて軍属に対する管理、研修が強化され、犯罪の再発防止につながることを期待いたします。
○赤嶺委員 中谷大臣は、少なくとも、犯罪の防止、規律の強化という点でリバティー制度というのを去年挙げられたわけですよ。それで、軍属にもそれが適用できるかどうか検討していきたいというような話になったわけですよ。その結果、検討したけれどもリバティー制度が軍属に適用されるかどうかというのは答弁できないというのは不思議な話ですよ。だけれども、今外務大臣は、研修だ、このようにおっしゃいました。
そこで、抜け穴だらけのリバティー制度の適用すらはっきりしないという中で、研修を大分重きを置いて言われておりましたが、この研修で使われた資料、これも、去年、イギリスのジャーナリストのジョン・ミッチェル氏の情報公開請求で明らかになって、その研修の中身が、米兵の犯罪は極めて少ないとか、多くの県民は軍用地料が唯一の収入源などという、沖縄に対して極めて恣意的でゆがんだ知識を米兵に植えつけるような中身であったわけです。大変大きな怒りも広がりました。
この研修の内容について、どうなったのか、そして、その研修の内容について提出していただきたいと思いますが、いかがですか。
○岸田国務大臣 昨年四月の事件の発生を受けて日米間で協議を進め、そして昨年七月五日、地元の意見を得ながら、米軍人及び軍属等の教育、研修を強化することを内容とする日米共同発表を行いました。
そして、研修資料について、委員がおっしゃるようにさまざまな指摘があったということについては私も聞いておりますが、昨年十一月、在沖米軍によりまして、沖縄に新たに着任した全ての軍人軍属、家族等を対象とした、沖縄固有の歴史や文化への理解を深めるための研修資料、この研修資料が地元沖縄県等の意見を踏まえた形で改定されたと承知をしております。
そして、その資料を出せということですが、この研修資料は米軍の内部資料でありますので、日本政府としてこの資料を出すことは難しいのではないかと認識いたします。
○赤嶺委員 いや、この研修資料は、それ以前のものは情報公開請求で米軍は出しているわけです、イギリスのジャーナリスト、ジョン・ミッチェルさんに。それによって我々も中身がわかったわけです。きのうは何か、ニコルソンさんが、地元の記者を集めて研修を地元のメディアの人たちに公開したという話を聞いているんですが、ところが、資料を誰ももらっていないんですね。
資料を日本政府が、やはり沖縄県民との関係を改善する上でも、どういう資料になったのか、そういうのを求めるのは当たり前じゃないですか。米軍の内部資料でも出しているんですよ、米軍は、情報公開請求すれば。何で日本政府が出せないことがあるんですか。請求すればいいんじゃないですか。
○岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、研修資料は米側の内部資料であります。米側が公表されるということ、これはもう米側の判断でありますが、米側の内部資料を我が国が公表するということは難しいのではないかと考えます。
○赤嶺委員 研修というのは、外務省も一緒になってやっている中身です。犯罪の被害を繰り返し受けている沖縄県民への外務省の責任でもあります。そんな建前論でなくて、きちんと情報公開を出していただきたい。
外務大臣、今回の範囲の見直しで軍属は何名減るんですか。
○岸田国務大臣 今回の補足協定によって、先ほど申し上げました三点の内容が盛り込まれ、見直しが行われるわけでありますが、これはこの基準に従って契約を更改するたびに適用され、そして選別が行われることになります。
これからこの契約が更新されるたびにその範囲が明確化されていくということになりますので、今の時点で、結果的に何名減るのかということを判断するのは難しいと考えます。この制度、新しい基準をこれから適用する中にあって具体的な数字が出てくる、これが実情であると考えます。
○赤嶺委員 軍属について発表したのが二〇〇八年にあります。そのときに、軍属は、二〇〇七年三月末時点で本土で二千七百七十人、沖縄で二千三百八人、合計で五千七十八人。
今回の見直しのときに何名に軍属はなっていますか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の補足協定の締結に当たりまして、米側に説明を求めたところ、米側からの説明によりますれば、二〇一六年時点で、軍属の数は合計約七千三百名であるという説明を受けております。
○赤嶺委員 五千人が七千人にふえているんですね。
何か、軍属を地位協定で明確にして、犯罪の防止のために軍人や軍属が減るのかと思ったら、逆にふえている。ふえていることも可能にするような補足協定になっている。これでは、米軍人軍属の犯罪の抑止にはつながらないということを申し上げておきたいと思います。
関連して、公務中の軍属の犯罪について、二〇一三年の日米合同委員会合意で、アメリカが第一次裁判権を行使した際の処分結果の通報の仕組みがつくられました。二〇一四年以降、具体的にどのような処分が下されたのか、明らかにしていただけますか。
○加藤政府参考人 お答えを申し上げます。
平成二十六年及び平成二十七年に我が国の検察当局が不起訴処分といたしました米軍人による公務中犯罪のうち、被害者が傷害を負った事件について、懲戒処分を受けた人員数は百六人でございます。軍法会議において処分を受けた人数及び何らの処分を受けなかった人員数は、いずれもなかったものと承知しております。
また、同じ年におきまして我が国の検察当局が不起訴処分とした米軍属による公務中犯罪のうち、被害者が傷害を負った事件について、懲戒処分を受けた人員数は二十四人でございます。裁判において処分を受けた人員数及び何らの処分を受けなかった人員数はなかったものと承知しております。
○赤嶺委員 今の数字は、二〇一四年、一五年までの数字ですね。二〇一四年、一五年、年ごとに言っていただきたいんですが、二〇一六年の数字は出ていないんですか。いかがですか。
○加藤政府参考人 失礼いたしました。
御指摘の数値については、手元に持ち合わせておりません。
○赤嶺委員 通報というのは、地位協定の運用改善で、お互いの犯罪の防止に役立てるために毎月やりとりするということになっていますでしょう。合意でそうですよ。なのに、何で去年のものが出ないんですか。いかがですか。やりとりをやっていないんですか、日米間で。
○加藤政府参考人 お答えを申し上げます。
二〇一七年、昨年の数値についてお尋ねだと……(発言する者あり)失礼いたしました。二〇一六年についてお尋ねというふうに承りましたが、正確な数値を確認等するために、現在、お答えできる数値を持ち合わせていないという状況でございます。
○赤嶺委員 今、小野寺前防衛大臣、後でという助け船が出ておりましたが、これは毎月やることになっているんですよ。多分、小野寺大臣のときだったんじゃないかなと思いますけれども、毎月やることになった。運用改善だ、歴史的だ、画期的だとそのときも皆さんおっしゃっていたんですよ。
今度の軍属の身分の見直しについても、本当に五十年ぶりの画期的なやり方だといいながら、実際に軍属はふえている、そして、犯罪の問題についても、やりとりが本当にやられていない、数字もわからない、こういうことでは再発防止につながっていないということを申し上げて、質問を終わります。