国会質問

質問日:2015年 6月 5日  第189国会  安保法制特別委員会

2015年6月5日 第189国会 衆議院安保法制特別委員会

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派兵恒久法案 国連決議の内容は無関係

議事録

○赤嶺委員

 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、国際平和支援法案について質問をいたします。

 この法案は、米軍を初めとする外国軍隊への補給や輸送などの軍事支援を可能とする法律であります。これまでの時限立法にかえて、恒久法、一般法として整備するものです。

 まず、中谷大臣に実施の要件について伺いますが、第三条の定義を見ますと、国連総会または国連安保理の決議が存在することを要件に挙げています。二つの項目に分けて規定しておりますが、まず一つ目の、当該外国が当該活動を行うことを決定し、要請し、勧告し、または認める決議というのは、具体的にどのような決議を指すのでしょうか。過去の具体的事例を含めて示していただけますか。

 

○中谷国務大臣

 赤嶺委員から、当該外国が当該活動を行うことを決定し、要請し、勧告し、または認める決議はどのような決議かというお尋ねでございます。

 御指摘の決議は、我が国の支援の対象となる外国の軍隊等の活動について具体的に規定をし、その活動の根拠となり得る決議を指すものでございます。

 それぞれ文言の意味について申し上げますが、決定については、国連みずから、また国連加盟国のとるべき活動が定められる場合等に用いられるということを想定しておりまして、法的義務を伴うものが多いということです。

 要請につきましては、加盟国に具体的な措置をとることが求められる趣旨の内容であって、これは、多くの場合においては法的義務とまでは言えないものと想定をされています。

 勧告につきましては、加盟国に対して行われる任意の措置の呼びかけを想定しています。

 認めるにつきましては、加盟国が特定の措置または必要なあらゆる措置をとる権限を与えられる、または許可される場合に用いられることを想定いたしております。

 

○赤嶺委員

 それで、つけ加えて、過去の具体的事例で示していただけますかというのも質問であります。

 

○土本政府参考人

 お答え申し上げます。

 過去の事例ということで、今先生御指摘の、それぞれの文言を含む国連決議の例として紹介させていただくとすれば、まず第一点目の決定するというものの例といたしましては、一九九九年に採択されました安保理決議一二四四が、コソボ紛争の収束後、コソボにおいて、国連の傘下で国際的な文民、軍事プレゼンスが展開することを決定したケースが挙げられます。

 二つ目の要請するの例といたしましては、二〇一一年に採択された安保理決議一九七三が、加盟国に対して、リビアに対する武器禁輸措置を徹底するため、同国を出入りする船舶、航空機に対する検査を要請したケースが挙げられます。

 三点目の勧告するの例といたしましては、一九五〇年に採択されました安保理決議八三が、北朝鮮による韓国に対する武力攻撃に関し、国連加盟国がこれを撃退し、地域における国際の平和及び安全を回復するために必要な支援を韓国に供与することを勧告したケースが挙げられます。

 最後の認めるの例といたしましては、一九九〇年に採択されました安保理決議六七八が、イラクによるクウェート侵攻に関し、関連安保理決議の実施及び平和の回復のために、加盟国に対して、武力の行使を含む必要なあらゆる措置をとることを認めたケースが挙げられます。

 以上でございます。

 

○赤嶺委員

 政府あるいは与党の協議の中で、この条項に関して、例えば授権のケース、あるいは要請のケースということで、授権のケースで湾岸多国籍軍について、要請のケースでソマリア海賊対処について挙げてありましたが、それは入るんですか、入らないんですか。

 

○土本政府参考人

 お答え申し上げます。

 今私が申しました四つの例というのは、それぞれの文言を含む国連決議を例として紹介させていただいたということでございますが、いずれにしましても、先生御指摘のこの第三条第一項第一号の、当該外国が当該活動を行うことを決定し、要請し、勧告し、または認める決議というものの趣旨は、いわゆる当該外国の活動が国連決議に基づくもの、その国連決議に基づくというものについて、国連決議上の文言として決定、要請、勧告、または認めるというものが、過去の立法事実的にもこういうような規定がございましたので、このような条文にさせていただいたという趣旨でございます。

 

○赤嶺委員

 それで、私が聞いた授権のケースあるいは要請のケースはいかがですか。

 

○土本政府参考人

 失礼いたしました。

 今御指摘の授権及び要請ということでございますが、授権というものがこの認めるということであり、要請というのは、この文言上も要請しということでございますので、いずれにつきましても、国連決議に基づくケースということで整理されると思います。

 

○赤嶺委員

 せっかく政府参考人の答弁も認めているんですから、審議をスムーズにしていこうということですからね。

 それで、防衛大臣の答弁はありました。それに加えて、私が、過去の具体的事例を含めて示していただけますかということで、幾つかの事例が示されました。

 なおそれに加えて、授権のケースの場合は湾岸多国籍軍、要請のケースの場合はソマリア海賊対処、入るんですか、入らないんですか、このことを聞いています。

 

○土本政府参考人

 該当するということで結構でございます。

 

○赤嶺委員

 該当するという答弁をするまで、私、何回立ったり座ったりしているんでしょうか。政府参考人も答弁に立たせるという大きな配慮がこんな形になると、また私の堪忍袋の緒も切れてしまいます。

 私は、もう一つ聞きたいことがあるんですよ。

 イラク特措法の根拠とした二〇〇三年五月の国連安保理決議一四八三号、これは該当しないんですか。

 

○土本政府参考人

 御指摘の安保理決議一四八三につきましては、全ての加盟国に対し、一部省略させていただきますが、食糧、医薬品並びにイラクの経済インフラの復興及び復旧に必要な資源を提供することによって、イラク国民の人道上その他の要請を満たすよう支援することを要請するとございますので、該当するということでございます。

 

○赤嶺委員

 イラク特措法の根拠となった一四八三号、これも内容に入っている、該当すると。

 それで、二つ目の、当該事態が平和に対する脅威または平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国際連合加盟国の取り組みを求める決議、これはどのような決議を指すのですか。

 

○中谷国務大臣

 御指摘の国連の決議でございます。

 我が国の支援の対象となる外国の軍隊等の活動を具体的に決定等をするものではありませんが、まず、当該事態を国際社会が対処すべき脅威であることを権威ある国際連合の機関が認定することに加えて、その脅威に対して国際社会が共同で取り組む必要があることを国連が裏づけるものでございます。

 このような決議は、国際平和共同対処事態の構成要件である、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要につき判断する前提条件となります。

 このような要素を含むと考えられる決議の例としましては、二〇〇一年九月十一日、ニューヨーク、ワシントンDC、ペンシルベニアで発生したテロ攻撃について、安保理決議第一三六八号が、国際の平和及び安全に対する脅威であると認めるとし、国際社会に対してテロ行為を防止し抑止するための一層の努力を求めたケースがございます。

 

○赤嶺委員

 今大臣から、二〇〇一年の九・一一テロ後に採択された安保理決議一三六八を挙げられました。

 しかし、この決議は、加盟国に対して軍事的措置をとることを求めたものではありません。テロ攻撃の実行者や支援者を法に照らして裁くために共同して取り組むこと、国際テロ対策条約などの完全な実施によって、テロ行為を防止し抑止するための一層の努力をすることを国際社会に求めたものであります。国連憲章第七章にも触れておりません。

 国連が軍事的措置をとることを求めていない決議を根拠に日本が軍事的措置をとることができる、そういうことですか。

 

○土本政府参考人

 今先生御指摘の国際平和支援法案第三条に規定するロの決議の関係でございます。

 ロの決議につきましては、冒頭御質問がありましたイの決議のように、我が国の支援の対象となる外国の軍隊等の活動の直接の根拠となるものではございません。

 九・一一のケースであれば、アメリカは自衛権ということで、国連決議に基づく活動ではないということはまさに先生御指摘のとおりでございますが、この安保理決議一三六八は、まさに国際社会が共同で対処する事態について、国連が決議という公式な形で、平和に対する脅威または平和の破壊であるとの認識を示しつつ、当該事態に関連して加盟国に何らかの取り組みを求めると明確な要件が課せられておりますので、政府といたしましては、国際的な正当性を確認する上でも十分なものだと考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 一三六八には、いわば軍事的措置をとることは求めていないわけですね。それでも、日本が軍事支援できる。

 ここで改めて確認しますが、ここで言う国際連合加盟国の取り組みを求める決議、この取り組みというのは、軍事的措置とは限らない、非軍事的措置の場合も含まれる、そういうことですか。

 

○土本政府参考人

 第三条の関係で申し上げれば、先生御指摘のとおりでございます。

 

○赤嶺委員

 そうすると、決議は非軍事的措置を求めているにもかかわらず、その決議を根拠に軍事的措置もとることができる、この法律では認められる、そういうことになってしまいませんか。

 

○土本政府参考人

 お答え申し上げます。

 今先生は第三条の関係の御指摘をされているところでございますが、国際平和支援法第一条は国際平和共同対処事態を定義しておりまして、この第一条におきまして、国際社会が国際社会の平和及び安全を脅かす事態の脅威を除去するために国連憲章の目的に従って共同して対処する活動を行う、こういう規定をしているところでございます。

 

○赤嶺委員

 ですから、聞かれたことにちゃんと答えてください。

 それで、その要件になっているロのところでは、九・一一の一三六八も入るという確認がありました。これは軍事的措置を求めていない国連決議であるにもかかわらず、これがこの法案の中に入るということは、非軍事的措置を求める国連決議で軍事的措置をとれる、この法律の中でそう読めるようになりますが、それはそういうことじゃないですか、いかがですか。

 

○土本政府参考人

 お答え申し上げます。

 ロの決議の関係でございますが、ロのような国連決議は、我が国の支援対象となる外国の軍隊等の活動そのものが国連決議に基づいている場合以外にも、国際法に照らして適法と判断される活動が存在する、こういうことに鑑みまして、そのような活動に関して我が国が対応措置の実施を検討するに当たって国際的な正当性を確認する、こういう効果を持つということでございます。

 

○赤嶺委員

 国際的な正当性を安保理決議一三六八は持っているということですよね。

 

○土本政府参考人

 お答えいたします。

 この法律におきましては、先生御指摘のとおりと考えております。

 

○赤嶺委員

 しかし、一三六八は軍事支援には触れられていない。だけれども、何でこの法律で軍事支援ができるんですか、そういうことを聞いているんです。

 

○土本政府参考人

 先ほど御答弁させていただいたところでございますが、我が国の支援対象となる外国の軍隊等の活動そのものが国連決議に基づいている場合以外にも、この法律は国際的な正当性を確認するという観点から一三六八のような安保理決議を一つの要件としている、そういうことでございます。

 

○赤嶺委員

 ちょっと、同じことの繰り返しで、何を言っているか、私も答弁を聞いてわからないですね。しかし、ここは非常に大事なところだと思いますから、今の答弁、もう一度繰り返していただけますか。

 

○土本政府参考人

 お答えいたします。

 先生御案内のとおり、国際法上適法な軍隊の活動というのは、国連決議に基づく場合以外に、いわゆる自衛権に基づく活動及び領域国または旗国の同意に基づく活動、こういうものがございます。

 したがいまして、この法律第三条の御指摘のロの規定につきましては、例えば九・一一のときのように、自衛権に基づいている、または状況によっては領域国の同意に基づいているときに、何らかの諸外国の軍隊が活動をしている、そのときの国際的な正当性を担保するためにこの第三条の御指摘のロの規定を設けたということでございます。

 

○赤嶺委員

 国際的な正当性、九・一一の場合には自衛権だからということですか。自衛権ということで国際的な正当性はある、アメリカの自衛権ということで考えているのか。そうしたら、違法な武力行使を支援するということはないのか、この点、答えてくれますか。

 

○土本政府参考人

 この法律の第一条におきまして、まず、国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国連憲章の目的に従い共同して対処する活動を行うと。ここのところの、国連憲章の目的に従い共同して対処する活動を行う、これがいわゆる国際法上の適法性の担保となっているというところでございます。その中には、当然、正当な自衛権の行使というのが考えられるところでございます。

 

○赤嶺委員

 国連安保理決議にこだわっているわけではないというのが今の答弁の中でも認められると思います。

 そこで、次に、もうちょっと議論を深めていきたいんですが、ISIL、IS、イスラム国を名乗る過激派組織との関連で伺います。

 中谷大臣は二日の参議院外交防衛委員会で、法案とISの関係について、安保理決議二一七〇号及び二一九九号は、ISILを国際の平和及び安全に対する脅威であると確認する旨の言及があり、かつ加盟国に対してISILに対する措置をとることを求めていることから、これらの安保理決議は、同法の三条一項一号のロ、先ほど議論したところですね、ロに規定する決議に該当し得る、このようにみずから答弁されております。

 外務省に伺いますが、この決議二一七〇号、二一九九号は、具体的にどういう措置を求めた決議ですか。

 

○平松政府参考人

 お答えいたします。

 先ほど御指摘のありました国連安保理決議第二千百七十号でございますけれども、二〇一四年八月十五日に採択された決議でございます。内容につきましては、ISILその他のアルカイダ関連組織等への外国人戦闘員の参加防止、あるいはテロ行為の扇動への対処及び武器やテロ資金の提供防止の要請等を内容としております。

 もう一つの決議、国連安保理決議第二千百九十九号でございますけれども、これは二〇一五年二月十二日に採択された決議でございまして、ISIL等による石油や文化財の密売等による資金の獲得を防止すること等を内容としております。

 いずれの決議におきましても、ISIL等を国際の平和及び安全に対する脅威であると認識する旨の言及があるとともに、国連憲章第七章のもと、全ての加盟国にISIL等に対する措置を要請しているものでございます。

 

○赤嶺委員

 この今の決議の中に、第七章の話はありましたが、国際社会に対して軍事的措置を求める規定はありますか。

 

○平松政府参考人

 お答えいたします。

 先ほどのとおり、第二千百七十号についてはテロ資金防止等の要請を内容にしておりますし、二千百九十九号については資金の獲得の防止等を内容としておりまして、特に武力の行使等についての言及はございません。

 

○赤嶺委員

 この決議の中に、自衛権への言及はありますか。

 

○平松政府参考人

 自衛権についての言及はございません。

 

○赤嶺委員

 外務省が今答弁されたように、これらの決議は、ISを初めとするテロ行為の実行組織、資金提供している全ての個人、集団を法の裁きにかけること、外国人テロリストの流入の抑制や武器の供給、資金調達の防止のための措置をとることなどを求めたものであります。軍事的措置を求める規定も、自衛権への言及もありません。

 これらの決議を、なぜ軍事的措置の根拠とすることができるんですか。

 

○中谷国務大臣

 法案のロの規定でございますけれども、当該事態が平和に対する脅威または平和の破壊であるとの認識を示すとともに、当該事態に関連して国際連合加盟国の取り組みを求める決議があるからでございます。

 しかし、この二つの決議のみならず、この法案には、我が国の対応措置を実施するために要件となるのは、国連の決議の存在のみならず、国際社会の平和及び安全を脅かす事態に関して、その脅威に対して国際社会が国連憲章の目的に従って共同して対処していること、そして国連決議の存在を前提に、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があると認められること、この要件をともに満たす必要がございます。

 現時点で、これらの要件を満たしているかどうかは判断しておらず、またその判断を行う必要があるとも考えておりませんので、現在、我が国は難民、避難民支援、また周辺国に対する人道支援など軍事的貢献でない形で可能な限りの支援、協力を行っていく考えでありまして、軍事的な有志連合等による空爆等に対する後方支援を行うことは考えていない。これは申し上げたとおりでございます。

 

○赤嶺委員

 大臣、私が聞きましたのは、二日の参議院の外交防衛委員会で、今るる述べられましたISILに関する国連決議、これらの安保理決議はこの今の法律の三条一項一号のロに規定する決議に該当し得ると大臣は述べておられるんですよ。そこには、しかし、軍事的措置をとることは何も触れられていない。軍事的措置をとることが触れられていないにもかかわらず、そういう国連安保理決議を根拠にして軍事的措置に出ることも可能である、今まだ判断はしていないということですが、法理的には可能である、そういうことをおっしゃっているんじゃないですか。

 

○土本政府参考人

 先ほども御説明したかもしれませんが、まず、基本的にこの法律のたてつけ、考え方を御説明させていただきたいと思います。

 我が国が国際社会の平和及び安全の維持のために活動する外国に対して支援を行うためには、その当該活動が十分な国際的な正当性を有していることが非常に重要だというのが、この法律案、国際平和支援法の基本的な考え方でございます。

 その正当性の判断を行うための基準として、関連する国連決議の存在を条件にする、そういうことといたしまして、その具体的内容としまして先生御指摘の第三条第一項第一号のイとロ、この二つの決議があるというところでございます。

 

○赤嶺委員

 安保理決議に軍事的措置をとることを求めていなくても軍事支援に出ることができる、そういう仕組みがこの法律の中には入っているわけですね。

 そこで、ちょっと疑問に思うことがあるんですが、これらの決議を根拠として日本が軍事的措置をとった場合、これは国連の集団安全保障措置ということになりますか。

 

○平松政府参考人

 お答えします。

 国際法上これは後方支援ということでございますので、いわゆる国連の第七章における集団安全保障措置というふうにはみなされないというふうに思います。

 

○赤嶺委員

 後方支援であっても軍事的措置だ、ごまかすなというのが、きのうの憲法審査会での三名の憲法の先生方の強い怒りのこもった発言でありました。

 軍事支援であることには間違いないわけですよ。しかし、その軍事支援は国連の集団安全保障措置になり得ないんですね。だって、軍事的措置をとるという国連決議はないわけですから。あり得ないんですよね。いかがですか。

 

○平松政府参考人

 先生御案内のとおり、武力行使の違法性の阻却のためには、国連憲章五十一条における個別的、集団的自衛権、七章下における集団安全保障措置でございまして、今議論をしておりますのはあくまでも武力行使でない後方支援の話でございますので、したがいましてこれは武力行使に当たらない、したがいまして集団安全保障措置にも当たらない、こういう整理になると思います。

 

○赤嶺委員

 今の答弁で大事なのは、後方支援だから、軍事的措置に当たらないから集団安全保障の議論の枠内にはまらないという答弁でしたが、今のような法律の流れからいくと、我々が後方支援が軍事的措置だという立場に立つかどうかというこの議論は今おいておいても、これだけの軍事支援をやるのに、集団安全保障措置とは言えないような、軍事行動に踏み込んでいく恒久法、一般法になっているということを言わざるを得ません。

 それで、もうちょっと事態を共有するために質問しますが、アメリカを初めとする有志国連合は、イラク、シリア領内への空爆を継続しています。その国際法上の根拠について、アメリカ政府はどのように説明していますか。

 

○上村政府参考人

 お答え申し上げます。

 まず、イラク領内におけるISILへの空爆につきましては、米国は、米国民を保護するため、また、厳しい状況に置かれたイラク市民を保護する部隊を支援するため、イラク政府の要請に基づいて行ったものだと説明しております。

 シリア領内における空爆につきましては、米国は、昨年九月二十三日付の国連常駐代表発国連事務総長宛ての書簡におきまして、イラクがシリア領内のISILから攻撃を受け、しかもシリア政府がISILの活動を取り締まることができない状況の中で、イラクが米国にシリア領域内のISILを攻撃するよう要請を行ったと説明するとともに、加えまして、国連憲章第五十一条に規定される自衛権にも言及をしております。

 

○赤嶺委員

 結局、この法案というのは、アメリカが、国連決議もなく、そして個別的自衛権、集団的自衛権を口実にして一方的に軍事介入を行う場合に、日本がそれを支援することを可能にするものであります。あたかも国連決議を根拠とするような装いを法律全体としてはとっておりますが、実際には決議と関係なく軍事支援を行うことを可能としているもので、極めて重大だと言わざるを得ません。

 さらに伺います。

 中谷大臣は一日の本委員会で、周辺事態法には該当しないものの重要影響事態法案には該当するケースを問われて、テロ特措法、補給支援法に基づいて行った洋上における燃料補給を挙げました。

 テロ特措法あるいは補給支援法に基づく給油活動は国際平和支援法案にも重要影響事態法案にも該当する、そういうことですか。

 

○中谷国務大臣

 重要影響事態法につきましては、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態でありまして、国際平和協力支援法につきましては、国際社会における平和と安全に重要な影響を与える事態という法律の目的がございます。これに該当するかどうかでございます。

 

○赤嶺委員

 重なるということですね。

 

○中谷国務大臣

 先ほど、一三六八というお話がございました。

 これは、国連決議が存在する中で、テロ特措法、ほかの関連の決議も含めまして、国連憲章の目的を達成する活動を行っている諸外国の軍隊等に対して、我が国を含む国際社会の平和、安全に資することを目的として支援活動を行ったわけでございます。

 ある事態が我が国の平和、安全に重要な影響を及ぼすか否かは、この事態の規模、態様、推移等を総合的に勘案して判断することとなるために、ある事態が重要影響事態に当たるかについてはあらかじめ申し上げることができませんが、仮に、我が国がテロ特措法に基づく対応措置や補給支援特措法に基づく補給支援活動を実施していたと全く同じ状況が生起する場合には、重要影響事態法ではなくて国際平和支援法に基づいて対応するものと考えておりまして、このことは、周辺事態法によらずにテロ特措法を制定するとした過去の対応とも符合するわけでございます。

 

○赤嶺委員

 当時は、事態として周辺事態を認定しなかったわけですよね。しなかったわけですよ、当時は、テロ特措法、国連決議に基づいて。

 しかし、今回大臣がおっしゃったのは、あの洋上における補給支援活動は、今の法律の国際平和支援法案にも該当するし、場合によっては、事態の進展によっては重要影響事態法案にも該当するということをおっしゃっているんじゃないですか。

 

○中谷国務大臣

 重要影響事態というのは我が国の平和及び安全に重要な影響を及ぼす事態でありまして、それか否かというのは、事態の規模、態様、推移等を総合的に勘案して判断するということで、ある事態が重要影響事態に当たるかということについてはあらかじめ申し上げることはできないということでございます。

 

○赤嶺委員

 あらかじめ申し上げることはできないというおっしゃり方なんですが、一日の本委員会で、給油支援活動、これは周辺事態法には該当しません、しかし、重要影響事態法案には該当するかどうかというケースを問われて、テロ特措法に基づいて行った洋上における燃料補給は重要影響事態法にも該当するとおっしゃっているわけですよ。

 ですから、私が聞いているのは、国際平和支援法案にも重要影響事態法案にも洋上での給油支援は、もう周辺事態法じゃありませんから、重要影響事態ですから、そういうことで、二つに該当するということですねと、大臣の答弁を押さえた上で申し上げているんですが。

 

○中谷国務大臣

 仮に、我が国がテロ特措法に基づく対応措置や補給支援特措法に基づく補給支援活動を実施していたときと全く同じ状況が生起する場合におきましては、重要影響事態法ではなくて国際平和支援法に基づいて対応することとなるものと考えられます。

 

○赤嶺委員

 あの答弁は、それでは何だったんですか。この委員会で、重要影響事態法にも給油支援活動は該当し得るかと聞かれて、該当し得るとおっしゃっているんですよね。それは何だったんですか。

 

○中谷国務大臣

 答弁は確認をしてまいりますが、きょう申し上げることは、全く同じ状況が生起する場合においては、重要影響事態法ではなくて国際平和支援法に基づいて対応することとなるものと考えられるということでございます。

 

○赤嶺委員

 それでは、お互いに答弁を精査した上で、今の議論は続けていきたいと思います。

 次は、日米新ガイドライン、これについて伺います。

 平時から緊急事態に至る日米間の共同計画を策定、更新するとしております。共同計画の対象に国際テロへの対処は含まれますか。

 

○深山政府参考人

 お答え申し上げます。

 新しいガイドラインのもとで日米両国が平時において共同計画策定メカニズムを通じて策定する共同計画の対象は、ガイドラインにございますが、日本の平和と安全に関連する緊急事態ということになっております。

 まことに申しわけありませんが、それ以上の共同計画の内容等詳細につきまして、またどういう事態が入るか入らないかにつきましては、緊急事態における日米両国の対応にかかわるものでありますことから、お答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

 

○赤嶺委員

 これは、法律は説明できませんという態度ですよ。国際テロへの対処は含まれるかどうか、今の日本を取り巻く国際情勢を見た場合に極めて大事な話じゃないですか。これ以上説明ができませんということであれば、これ以上審議できませんということになりますよ。この法案を出し直してこいということになりますよ。ちゃんと答えてください。

 

○深山政府参考人

 繰り返しの答弁になりましてまことに申しわけありませんが、共同計画の内容の具体的な詳細につきましては、先ほども申し上げましたように、緊急事態における日米両国の対応にかかわるものでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと考えております。

 

○赤嶺委員

 国際テロについて日米両国がどんな共同対処をしているかというのは、我々も報道等でいろいろ知り得る立場にあります。ガイドラインの中で共同計画を平素からつくると言っている。これは、ガイドラインの中の一番目を引く部分でもあります。その中に、共同計画の対象に、対象にですよ、共同計画にどんな国際テロ対処方針をつくっているかじゃないんです、共同計画の対象に国際テロへの対処は含まれますかと。これはごく常識的な質問じゃないですか。国民みんなが思っていることじゃないですか。それに答えられないというのはおかしいじゃないですか。答えてください。

 

○中谷国務大臣

 新ガイドラインのもとで日米両国が平時において共同計画策定メカニズムを通じて策定する共同計画の対象は、日本の平和と安全に関する緊急事態でございます。

 これ以上、共同計画の内容等の詳細につきましては、緊急事態等における日米両国の対応にかかわるものでございますから、事柄の性質上、お答えは差し控えさせていただきたいということでございます。

 

○赤嶺委員

 全然説明する態度ではありません。

 共同計画というのは、今までのガイドラインと明らかに位置づけが変わってきております。周辺事態法と同様に、新ガイドラインでも我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態について地理的制約が取り払われておりますが、共同計画も地理的制約はなくなるということでよろしいでしょうか。

 

○深山政府参考人

 お答え申し上げます。

 共同計画の対象、共同計画と申しますのは新しいガイドラインのもとでの計画でございますが、この対象は、先ほど申し上げましたように、日本の平和と安全に関連する緊急事態でございます。これは、あくまで事態の性質に着目した概念であって、当該事態が地理的に生起する場所等についてあらかじめ定めたものではございません。

 付言いたしますと、旧ガイドラインでは周辺事態に対応するものとして相互協力計画というものがございましたが、これは地理的な概念ではない、周辺事態に際してのものであったということでございます。

 いずれにいたしましても、共同計画の策定は、新ガイドラインに明記されているとおり、国際法に合致するとともに、憲法及びその時々の適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針の範囲内で行われるということになります。

 

○赤嶺委員

 非常に事態を難しくして、国民が理解しにくいように説明をする。聞かれたことには答えない。

 周辺事態法のときは、確かに相互計画というのがありました。でも、今のガイドラインは共同計画一本なんですね。地理的範囲を一見示していたかに見えた相互計画というのはなくなっているんです。

 ガイドラインというのはいわば地理的制約が取り払われているわけですから、共同計画も地理的制約はなくなるという理解。普通に考えたら、この理解。おっしゃるとおりでありますという答弁じゃないですか。いかがですか。

 

○深山政府参考人

 お答え申し上げます。

 今申し上げましたとおり、共同計画の対象範囲というものは決めておりません。ですから、どこそこの地域に限って対象となるという性格のものではございません。その点に関しましては、先生の御指摘のとおりでございます。

 私がもう一点付言いたしましたのは、周辺事態におきましても、政府におきましては累次周辺事態というのは地理的概念ではないということを申し上げてきましたので、先生から、今回新たに地理的な制約が取り払われるのかという御指摘がありましたので、それに関しましては、従来の周辺事態も我々としてはそのような地理的な概念ではないということは累次御答弁申し上げてきたということを付言いたしたものでございます。

 以上でございます。

 

○赤嶺委員

 前回は、周辺事態法のときには相互計画があり共同計画がありということだったんですが、今回、地理的制約が取り払われている共同計画一本になっている。そのことの持つ意味については、これから今後議論していきたいと思います。

 ただ、今、アメリカは、圧倒的な軍事技術を背景にして、パキスタンやアフガニスタンやイラク、イエメン、ソマリアなど、世界各地で無人機による攻撃を繰り返しています。その根拠に挙げているのが自衛権です。アメリカは、九・一一以降、自衛権を行使し続けているのであります。

 現在の国際テロをめぐる状況は、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態、アメリカが自衛権で乗り出しているこの事態、これは我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態に該当しますか。

 

○黒江政府参考人

 今先生御質問になられました重要影響事態ということにつきましては、現に自衛隊を動かして対処しないといけないような必要が出てくるかどうかといったことを勘案しながら、その事態に即しまして判断をするということでございますので、現時点で、政府としまして、個別の事態に対しまして、現在起きております国際テロといったことを御指摘になられましたけれども、その点について判断はいたしておらないということでございます。

 

○赤嶺委員

 同じ答弁を繰り返しておりますが、中谷大臣は、ISへの対応について、政策判断として、難民、避難民支援や周辺国に対する人道支援などの軍事的貢献でない形で可能な限りの支援、協力を行っていく、こう述べております。

 中谷大臣、どういうお考えで非軍事の分野での支援を行うと判断したんですか。今まではよくおっしゃっていたじゃないですか、軍事と非軍事は車の両輪だと。今度は、どうして非軍事の支援を行うと判断しているんですか。

 

○中谷国務大臣

 これは、政府全体が判断をしたことでございます。総理もこれを明言いたしましたけれども、ISILの脅威に対抗するためには、ISILによる資金調達を阻止したり人道危機への対処をするなど、各国がそれぞれの強みを生かして、国際社会が協力して幅広い分野で取り組みを集結させることが不可欠であり、日本としては、難民支援、周辺国に対する人道支援など、これまで培った知見と経験が生かされる非軍事分野で国際社会と連携して貢献を行っていく考えである。これは、総理が状況を判断して決めたことでございます。

 

○赤嶺委員

 非軍事支援、私たちはかねがね、いろいろな紛争や事態について日本のそういう活動が大切だと申し上げてきましたが、今度は、判断している理由について、例えば日本政府としては空爆などへの軍事支援はやるべきではないと判断しているのか、それともそういうニーズがないからやらないと判断しているだけなのか、判断の根拠を聞かせていただけますか。

 

○中谷国務大臣

 総理が最終的に決断されることでございますが、現時点において、ISILの活動等に対する後方支援を考えていることは全くないと思います。

 

○赤嶺委員

 明快な答弁が得られませんでしたが、大変関心が高いんですよね。何で非軍事的な支援になっているのか、今後軍事的支援はとるのかとらないのか、そこの根拠を聞いたんですが、これも引き続きの議論にしていきたいと思います。

 ただ、いろいろ質問してきたわけですが、九・一一テロ以降の対テロ戦争、イラク戦争が何をもたらしたのか、そこが全く忘れ去られているのではないかと指摘せざるを得ません。

 イラク戦争の検証の問題について伺いますが、五月二十八日の質疑で、我が党の志位委員長の質問に対して、大量破壊兵器の有無については厳粛に受けとめるとしながら、問題の核心は大量破壊兵器が存在しないことをみずから証明しなかったイラクにあるというのが政府の答弁でありました。しかし、これは、二〇一二年十二月に外務省が公表した検証結果の内容を繰り返したものにすぎません。

 外務大臣に伺いますが、今回の法案を作成、提出するに当たって、国際法違反の戦争を支持し、自衛隊を派遣して、無法な戦争と占領に加担した当時の政府の対応は検証しなかったということですか。

 

○岸田国務大臣

 イラク戦争につきましては、今引用されました答弁の中にもありましたように、我が国外務省としまして検証を行っております。その結果として、この問題の核心は、たび重なる安保理決議をイラクが、積極的に守りそしてみずから大量破壊兵器が存在しないことを積極的に証明しなかった、こういったことである、こうした結論を示しております。

 このように、イラク戦争の核心、要は武力行使を支持するに至った当時の問題の核心は、安保理決議六七八、六八七、一四四一、こうしたものに求めております。

 我が国としまして、国際法に違反するような行為に対して後方支援を行う、こういったことは全く考えられませんし、可能ではないと考えております。

 

○赤嶺委員

 今の答弁は前回のものを踏まえてのものですが、私が伺いましたのは、今回の法案を作成し、提出するに当たって、イラク戦争をめぐる当時の政府の対応について改めて検討を行ったという事実はないということですね、先ほどの答弁からすると。

 

○岸田国務大臣

 政府としましては、既に外務省で行った検証によって、イラク戦争において武力行使を支持するに至った当時の問題の核心について説明をしております。改めてイラク戦争について検証を行う、こういったことは考えてはおりません。

 

○赤嶺委員

 当時の政府の検証というのは、これは民主党政権時代に行われたものです。しかし、イラクの開戦を支持し、自衛隊を派遣したのは自民党政権です。みずからの過ちを何ら検証しないで、何の責任もとらないで、民主党政権時代の検証結果をそのまま繰り返しているだけであります。

 イギリスでの検証委員会では、ブレア首相やストロー外相が証言に立ちました。ところが、日本では、政治家は一切その責任を問われていません。

 これまで、自民党政権としてこの問題を検証したことはあるんですか。一切ないんじゃないですか。

 

○岸田国務大臣

 政府としましては、外務省としてイラク戦争について検証を行いました。政府としての検証につきましては、政府として、歴代政府でしっかり責任を負わなければならない課題、問題であると考えております。その中で、問題の核心について御説明をさせていただいております。

 こうした検証については、今の政権においてもしっかりと引き継いでいるところであります。これに基づいて、さまざまな政策を考えてまいります。

 

○赤嶺委員

 皆さんは、民主党政権を批判、攻撃するのもなかなかすさまじいものだなと思いますけれども、今回、イラクの検証については民主党政権でやったものを引き継いでいるというのは、何か矛盾を感じます。

 私は、民主党政権時代のあの検証がよかったものとは思っていません。あれは検証に値しないと思っています。しかし、戦争に加担したのは自民党政権なんですよ、始めたときに。それを、政治家は誰も責任をとらないで、今度また戦争支援法案みたいなものを出してくる。

 こういうものは徹底審議の上で廃案にすべきですが、また引き続き、この続きの議論をやっていきたいと思います。

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