国会質問

質問日:2016年 1月 13日  第190国会  安全保障委員会

先島諸島にヘリ部隊検討 赤嶺議員に防衛省が初表明

20160115_713641 防衛省は1月13日の安全保障委員会で、沖縄県先島(さきしま)諸島に陸上自衛隊のヘリ部隊を配備する検討をすすめていることを初めて明らかにしました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に対する答弁。

 防衛省の若宮健嗣防衛副大臣は昨年11月、中山義隆石垣市長に対し、石垣島に陸上自衛隊の配備方針を伝えました。その際、島しょ防衛や大規模災害時への対応を目的に、500~600人規模の警備部隊と地対艦・地対空ミサイル部隊を配備するとしていました。

 一方、八重山毎日新聞は昨年12月、防衛省が新たに石垣島か宮古島に陸自ヘリ部隊の配備を検討していると報道。赤嶺氏に防衛省の真部朗整備計画局長は「先島諸島へのヘリ部隊の可能性について、白紙的に検討している」と認めました。

 赤嶺氏は、安倍晋三首相が名護市辺野古の米軍新基地建設にかんして「一地域の選挙で決定するものではない」(12日衆院予算委員会)と述べたことを批判し「地元の同意なしに、国が勝手にすすめることは許されない」と追及。中谷元・防衛相は「地元の理解と協力を得ることが不可欠。実現できるよう丁寧な説明に心がける」と答弁しました。

 安倍政権は昨年、日本の領海・内水で国際法上の無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦に対して、海上警備行動を発令し、自衛隊が領海外への退去要求等を行うと閣議決定しています。赤嶺氏は「尖閣諸島周辺で軍艦同士が対じし、不測の事態が起こりかねない。石垣島の部隊と連動していく」と指摘し、軍事対応を強める姿勢を批判しました。(しんぶん赤旗 2016年1月15日)

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辺野古新基地、石垣島への自衛隊配備問題で質問 赤嶺議員衆院議員 1月13日衆院安保委

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案については賛成であります。
 きのうの総理の答弁について伺いますが、昨日の予算委員会で沖縄の選挙結果と辺野古の新基地建設との関係について質問があったのに対して、総理は、安全保障にかかわることについては国全体で決めることであり、一地域の選挙で決定するものではないと述べました。
 およそ、国の外交、安全保障で国民の民意を踏まえて行うべきであるというのは、私は当然の考え方であると思います。ましてや、基地をどうするかについて、関係する自治体、住民の意向に基づいて進めていくべきことは極めて当然であります。選挙の結果など関係なく国が決めると言わんばかりの総理の発言は、絶対に許されません。
 防衛大臣は、きのうの総理の答弁について、どういう認識ですか。

○中谷国務大臣 安全保障に係る政策というのは、選挙も含む国内外の諸情勢を総合的に勘案して、政府が責任を持って決定すべきものであると考えております。昨日、総理は国会で答弁されましたけれども、この趣旨は私はこのような趣旨であると理解しておりまして、選挙を否定するというような発言であるというふうには考えておりません。
 総理が申し上げたかったのは、沖縄の普天間基地問題というのは長年時間がかかっておりまして、普天間周辺にお住まいの皆様方の心配とか危険性、これは除去されていないということでありまして、政府の責任といたしまして、早期の普天間基地の危険性の除去ということで、唯一の解決策といたしまして現在普天間から辺野古に移設を進めているということで、こういったことをもって政府として責任を果たさなければならないという思いで発言されたのではないかと思っております。

○赤嶺委員 辺野古が唯一という政府の考え方がどれだけ県民の民意から離れているかというのは、もう繰り返すことでもありません。きのうの議論の延長線上になりますから、きょうはそこは控えておきますが、ただ、国の安全保障といえども選挙の結果や民意は尊重すべきということは、防衛大臣はそういうお立場に立っているということですか。

○中谷国務大臣 国の安全保障に係る政策というのは、選挙の結果を含む国内外の諸情勢を総合的に勘案して、政府が責任を持って決定すべきものでございますが、政府の責務といたしましては、やはり、国民の命、また平和な暮らし、これを守らなければなりませんので、国の安全保障をしっかりするというようなことを総合的に判断して決断をすべきものであるというふうに認識しております。

○赤嶺委員 一方的に、国家の決意みたいなものを民意に反するようなやり方で押しつけようとすると、今のような沖縄県と政府との関係になっていきます。
 そこで、きょうは、私は石垣島への自衛隊配備について聞いていきますが、こうした自衛隊の配備についても、当然、地元の同意が得られない限り国が勝手に進めることは許されないと思いますが、防衛大臣はどういう認識ですか。

○中谷国務大臣 石垣島に対する自衛隊の配置につきましては、南西地域における自衛隊配置の空白状況、これを早期に解消する観点から、陸上自衛隊の警備部隊の新編に向けた取り組みを今進めているわけでありまして、島嶼の防衛とか、また災害対処などで適切に対応できるように、石垣島の配置について今お願いをいたしているところでございまして、市長さんを初め、地元の住民、地権者の方々の御理解と御協力をいただくべく、よく相談しながら丁寧に進めているところでございます。

○赤嶺委員 国が勝手に進めることではない、そういうことですね。

○中谷国務大臣 現在、こういったことを地元の皆様方から御理解と御協力をいただく、これが部隊配置にとりましても不可欠であると認識をいたしておりまして、速やかに部隊配置を実現できるように丁寧な説明を心がけているわけでございます。

○赤嶺委員 それでは、改めて伺いますが、去年の十一月に防衛省の若宮副大臣が石垣市を訪れ、石垣島に陸上自衛隊を配備するという方針を示しました。
 具体的にどのような部隊を配備する計画なのか、部隊の任務、装備、規模を明らかにしていただけますか。

○真部政府参考人 お答え申し上げます。
 石垣島への部隊配置につきましては、大きな趣旨といたしましては、先ほど大臣の方からもお答えがあったように南西地域の部隊の空白というものを埋めるというものでございますが、その一環として、石垣島への部隊配置につきましては、部隊の種類等につきましては、警備部隊、それから地対空誘導弾部隊、それから地対艦誘導弾部隊、これらを主要な部隊といたしまして、隊員規模といたしましては五百名から六百名程度ということで今考えておるところでございます。

○赤嶺委員 八重山毎日新聞が、去年の十二月に、防衛省が石垣島か宮古島に陸上自衛隊のヘリ部隊を配備する検討を進めていると伝えております。
 ヘリ部隊の配備も検討しているんですか。

○真部政府参考人 防衛省といたしましては、先島諸島へのヘリ部隊配置の可能性につきまして白紙的に検討している状況でございまして、現時点で特定の島あるいは特定の地域にヘリ部隊を配置する計画というものは持っているわけではございません。

○赤嶺委員 ヘリ部隊の配備の可能性は検討している、どの地域だと特定しては言えないと言いますが、やはり宮古とか八重山とか、そういうことも念頭に置いて検討しているということですよね。

○真部政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、先島諸島へのヘリ部隊の配置の可能性について白紙的に検討しているという状況でございます。

○赤嶺委員 先島といったら宮古とか八重山とかしかないわけですからね。
 それで、石垣島に配備される部隊、これの防護範囲に尖閣諸島周辺は入るんですか。

○真部政府参考人 特定の防護範囲といったものを部隊ごとに何か、特に陸上自衛隊の部隊について決めているということはございません。その点につきましては、その時々の状況に応じまして必要な防衛行動をとることになろうかというふうに考えております。

○赤嶺委員 地対艦ミサイル部隊も配備するということであります。地対艦ミサイルの射程はどれだけですか。尖閣諸島周辺も射程におさめることになるんですか。

○真部政府参考人 地対艦ミサイルの射程につきましては、手のうちをさらすというような面もございますので、ちょっとそこは詳細には控えさせていただいておりますが、百キロメートル以上ということで御理解いただければと思っております。

○赤嶺委員 二〇一三年の十一月に自衛隊の統合演習がありました。そのときに、石垣島に当初、地対艦ミサイル部隊を展開させる計画でありました。これに対して、石垣市の中山市長は、違和感がある、落下物を撃ち落とすPAC3とは意味合いが違う、地対艦ミサイルは攻撃するものなので反対する、このように述べました。
 地対艦ミサイルは射程百数十キロメートル、このようにされており、尖閣諸島周辺海域も射程におさめると当時報じられていたわけです。今の局長の答弁とほぼ同じであります。
 尖閣諸島周辺海域を射程におさめる地対艦ミサイル部隊を配備する、二〇一三年の統合演習、当時防衛大臣は小野寺さんでしたが、質問いたしましたけれども、そういうことじゃないんですか、今のは。

○真部政府参考人 地対艦誘導弾の部隊の配置につきましては、基本的な機能といいましょうか役割といたしましては、島嶼防衛に当たりまして、艦艇等による島嶼部への上陸阻止、あるいは周辺海域の海上優勢の獲得、こういったことを念頭に置いているところでございます。

○赤嶺委員 防衛省のホームページを見ましたら、「八八式地対艦誘導弾システム(改)の運用イメージ」という資料が掲載されておりました。
 それを見ると、ミサイルを搭載した発射機だけではなく、射撃統制装置、指揮統制装置、捜索標定レーダー装置などを搭載した車両が幾つも描かれています。
 何のためにこうした装備が必要なのか。そして、石垣島にもこういう部隊が配備されるということですか。

○真部政府参考人 今委員御指摘の地対艦ミサイルのシステムというものにつきましては、発射機だけで構成されているわけではございませんで、平たく申しますと、その発射機をどちらに向けて、何をターゲットとして発射機からミサイルを発射するかといったようなことのために必要な、今おっしゃったレーダーの関係の部隊とか、そのレーダーからのデータをミサイルの方に伝える、発射機の方に伝えるような通信関係のシステム、そういった複数の要素から構成されているということでございます。(赤嶺委員「石垣に配備されるのは」と呼ぶ)石垣に配備される部隊につきましても、そういったシステムとして機能する部隊を考えているところでございます。

○赤嶺委員 私、このイメージを見ながら、石垣の深い山を思い出して、山の背後からミサイルを発射する光景をイメージしたときに、これは私が考えている石垣島じゃないな、みんなが愛している石垣島じゃないなという印象を強く持ったところであります。
 改めて、石垣に、八重山に自衛隊を配備するということについて。
 政府は、去年の五月に、我が国の領海、内水で無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処について閣議決定を行いました。
 そこでは、そうした航行を行う外国軍艦に対しては、海上警備行動を発令し、自衛隊の部隊が領海外への退去要求などの措置を行うことを決定しております。この点は間違いないですね。

○中谷国務大臣 仮定の事態に対して我が国の対応を明らかにするということは、手のうちを明らかにするおそれがあることでありますのでお答えは控えさせていただきますが、一般論で申し上げれば、昨年の五月十四日に閣議決定を行いまして、我が国の領海等で無害通航に該当しない航行を行う外国軍艦への対処に関して、海上警備行動を発令して、自衛隊の部隊により退去要求等の措置を行うことを基本といたしております。
 一般に、国際法上無害通航に該当しない航行とは、沿岸国の平和、秩序または安全を害する航行で、また継続的かつ迅速に行われていない航行を意味するわけでありまして、こういったところで判断をして対応するということでございます。

○赤嶺委員 退去要求などのなど、これは何ですか。

○中谷国務大臣 我が国の領海、領土、領空、こういうところに入らないように退去を要求するということでございます。

○赤嶺委員 いや、退去要求はわかるんです。などというのがついていますから、などというのはどういうことですか。

○中谷国務大臣 我が国の領海、領土、領空、これをしっかり守っていくために、通常は海上保安庁が警備をして対処しておりますけれども、それに準じる対応ということでございます。

○赤嶺委員 私たちは、尖閣諸島について言いますと、日本の領有は歴史的にも国際法上も正当だという見解を持っております。ですが、一方で、尖閣諸島の領有権をめぐって日中間で争いが起こっていることも、これも事実であります。
 そうしたもとで、十二日付の読売新聞でしたか、報道がありました。中国の軍艦が仮に尖閣諸島周辺の領海に入ってきたときに、中国側が無害通航と主張する可能性は低い、日本の領有権を認めることと同義だからだ、中国はそういうことをしないだろう、そこに海上警備行動を発令して自衛隊の艦船を派遣すれば、軍艦同士が直接対峙し、不測の事態も起こりかねない状況になるのではないかと。
 そのときに、尖閣周辺を射程におさめる部隊はどういう行動をとるのか、石垣島はどうなるのか、時間ですから的確にお答えください。

○左藤委員長 中谷防衛大臣、時間が来ておりますので簡単に。

○中谷国務大臣 仮定の質問でありますので、これへの対処を申し上げると手のうちを明らかにすることになりますけれども、先ほど申し上げましたように、昨年五月十四日、閣議決定をいたしました。この内容に従いまして対処するということでございます。

○赤嶺委員 尖閣と石垣島の部隊が連動していく、非常に危険だということを指摘して、質問を終わります。

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