国会質問

質問日:2015年 7月 3日  第189国会  安保法制特別委員会

言論弾圧・沖縄侮辱発言 「おわび」の中身が問題 普天間基地「世界一危険」にした責任直視を 赤嶺議員、首相を追及

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は7月3日の衆院安保法制特別委員会で、安倍晋三首相に近い自民党議員による言論弾圧・沖縄侮辱の発言(6月25日)について、「安倍政権・自民党の政治姿勢の根幹に関わる問題だ」と述べ、改めて首相に事実関係の調査と、国民・県民への謝罪を要求しました。

 安倍首相は「自民党は一貫して沖縄の思いに寄り添いながら基地負担の軽減に力を尽くしてきた。今回の発言が国民の信頼を大きく損なう結果となり、自民党総裁として国民に心からおわびしたい」と述べました。

 赤嶺氏は、「問題はおわびの中身だ」と指摘し、政府・自民党が「沖縄の負担軽減」といいながら、県民の民意を無視して新基地建設を強行していることを批判。事実をゆがめ、沖縄県民を侮辱したことが問題の核心だと追及しました。

  赤嶺氏は、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)が市街地に囲まれたのは“商売目的で住民が周りに住み始めたためだ”とした作家・百田尚樹氏と同様の発言は、今回に限らないと指摘。基地周辺の市街地化は住民側に責任があるとしてきた日米両政府の累次の説明を示し、基地の形成過程に対する首相の認識をただしました。

 首相は普天間基地について、「米軍が土地を接収して建設したもの」と認めたものの、土地強奪後の経過については答弁を拒否。赤嶺氏が故郷を奪われた住民が集落に戻れず、やむなく基地の周りに住み始めた歴史を指摘すると、中谷元・防衛相は「事実については、赤嶺氏が言われることが正しいのではないか」と述べ、否定できませんでした。

 赤嶺氏は、「まさに『世界一危険な基地』にしたのは日米両政府だ」と指摘しました。

 さらに赤嶺氏は、沖縄2紙や県民侮辱の発言が過去にも政府・自民党内から繰り返されてきたことを示し、「政権に深く根を下ろした問題だ」と批判。「憲法違反」が問われる戦争法案の審議中に出た言論弾圧発言を、全国の新聞社が民主主義の危機ととらえていることを首相は正面から受け止めるべきだと強調しました。(しんぶん赤旗 2015年7月4日)

 

『論戦ハイライト』 沖縄侮辱「自民に深い根」 赤嶺議員、繰り返す暴言追及

 日本共産党の赤嶺政賢議員は7月3日の衆院安保法制特別委員会で、自民党の若手議員が会合で沖縄県民を侮辱し、言論弾圧をあおった暴言問題を取り上げ、これまで同様の暴言を繰り返してきた政府・与党の姿勢を追及しました。

 政府の閣僚・官僚や自民党国会議員による沖縄県民やメディアを侮辱・威圧する発言は今回が初めてではありません。

 赤嶺氏は繰り返してきた事実を示しました。

赤嶺 沖縄県民やメディアへの侮辱は、政府・自民党に深く根をおろしたものではないのか。

安倍晋三首相 沖縄の苦難の歴史に思いをはせ、振興、基地負担軽減に力をつくすというのが自民党の考えだ。

 赤嶺氏は「苦難の歴史」と合わせて、沖縄に対し偏見に満ちた発言が繰り返されてきた歴史を認識すべきだと指摘しました。 

 

米軍が紙を供給

 沖縄の新聞はそもそも米軍の広報宣撫(せんぶ)紙としてスタートしています。紙の供給も米軍が握り、新聞社は米軍寄りの報道をしなければやっていけない時期もありました。
 
 赤嶺氏は、こうした圧力がありながらも、米兵による殺人、婦女暴行、米軍基地の現実を正面から報じない新聞は県民の支持を得られずに淘汰(とうた)され、現在に至っていることを紹介。「沖縄のメディアが問題ではなく、沖縄が抱える現実が問題だ。米軍基地をめぐる不条理がある以上、伝えるのは当たり前だ」と指摘しました。

 安倍首相は「それぞれの新聞社の姿勢についてコメントは差し控える」とだけ答えました。

 赤嶺氏は、2日に琉球新報、沖縄タイムスの両編集局長が会見し、沖縄タイムスの武富和彦編集局長が「報道は世論に突き動かされている。為政者に都合の悪い報道としても、民意の反映として受け止めるべきだ」と述べていることを紹介し、「政府・自民党はこうした指摘を受け止めるべきだ」と強調しました。
新聞多くが批判

 自民党会合での暴言について、赤嶺氏は「問われているのは、言論の自由、表現の自由の問題だ」と述べ、多くの新聞社が抗議の声をあげていることを紹介しました。

 山形新聞は「言論封殺の暴挙許すな」という見出しで、寒河江(さがえ)浩二主筆・社長名で緊急声明を発表(6月28日付)しました。神奈川新聞は「速報社説」(同26日)として翌日付朝刊の社説をいち早くネットで公開するなど、異例の対応に踏み切っています。

 赤嶺氏は、「戦前、言論統制が敷かれ、大政翼賛に走って、侵略戦争に突き進むのを止められなかった反省から、二度と戦争をしないために必要な憲法上の権利として言論・表現の自由が保障された」として、次のようにただしました。

赤嶺 多くの新聞社が異例の事態、民主主義の危機ととらえていることを正面から受け止めるべきだ。

首相 言論の自由、報道の自由は民主主義の根幹をなすもの。その(尊重)姿勢が疑われるような発言があったことは遺憾だ。

 赤嶺氏は「憲法違反の法案を出してきた(政府・与党の)態度と合わせて、ぬぐいがたい言論弾圧の疑念を抱かざるを得ない」と批判しました。

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◆2000年
 自民党・森喜朗幹事長 天皇在位10周年の式典で、沖縄出身歌手が「君が代」を歌わなかったとして「恐らく学校で教わっていない。沖縄の教職員組合は共産党が支配していて何でも国に反対。琉球新報、沖縄タイムスもそうだ」

◆05年
 山中昭栄防衛施設庁長官 「沖縄の新聞は偏りすぎている。イエローペーパー(ゴシップ紙)だ」

◆06年
 小池百合子沖縄担当相 「沖縄のマスコミは超理想主義。理想は高いが、現実と遊離している」「沖縄のマスコミとアラブのマスコミは似ている。反米、反イスラエルでそれ以外は出てこない」
(肩書はすべて当時)

質問の映像へのリンク

言論の弾圧と沖縄歴史のわい曲を許さない 憲法違反の戦争法案は廃案を 赤嶺衆院議員が安倍首相に迫る 20150703安保法制特

議事録

○赤嶺委員

 日本共産党の赤嶺政賢です。

 最初に、自民党本部で行われた勉強会の問題について質問をいたします。

 先月二十五日、自民党の国会議員が文化芸術懇話会という勉強会を発足させました。作家の百田尚樹氏を招いて、自民党本部で初会合を行いました。

 質疑応答の中で、出席した議員の一人は、マスコミを懲らしめるためには広告料収入がなくなることが一番だ、我々政治家には言えない、ましてや安倍晋三首相は言えないが、文化人、民間人が経団連に働きかけてほしい、このように発言をいたしました。別の議員は、沖縄にお金を配っていればいい、地政学的に我が国を守るという概念が戦後七十年欠落していて、予算漬けだ、沖縄タイムス、琉球新報の牙城の中で沖縄の世論のゆがみ方を正しい方向に持っていくには、先生であればどのようなアクションを起こすかなどと問いかけました。これに対して百田氏は、沖縄の二つの新聞は潰さないといけない、あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国にとられれば目を覚ますはずだ、普天間飛行場は田んぼの中にあり、周りは何もなかった、基地の周りに行けば商売になるということで住み出したなどと発言をいたしました。

 報道の自由、言論の自由に対する重大な挑戦であり、沖縄県民に対する許しがたい侮辱であります。

 私たちは、この問題が発覚して以来、自民党総裁である総理に、徹底した事実関係の調査と謝罪を求めてきました。この問題は、安倍政権、自民党の政治姿勢の根幹にかかわる問題です。

 総理は、自民党総裁として、事実関係を調査いたしましたか。

 

○安倍内閣総理大臣

 最終的な責任は、当然、総裁としての私にあるわけでございますが、内閣総理大臣としての職務に専念するため、党の実務上の運営は谷垣幹事長に任せているところでございます。

 今回も、谷垣幹事長のもと、出席していた関係者に対し、具体的な調査が行われたと承知をしております。その上で、私は谷垣幹事長から報告を受けたところでございます。

 

○赤嶺委員

 総理は、けさの答弁の中で、沖縄県民の気持ちを傷つけたとすれば申しわけない、こう述べられました。しかし、問題はその中身であります。

 総理は、先ほどの答弁で、沖縄県民の思いに寄り添って負担軽減、沖縄振興に力を尽くしてきた我が党の努力を無にするかのごとき発言が行われたと述べました。沖縄県民の思いに寄り添って負担軽減に力を尽くしてきた、このようにおっしゃいますが、これまで、負担軽減のために何をやってきたんですか。県民の民意を無視して問答無用で基地建設を強行してきたのが政府・自民党ではないですか。

 しかも、総理は、自民党の努力を無にすることが問題だと言われました。事実をゆがめて県民を侮辱したことが問題ではないですか。そこが問題の中心だという認識はないのですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 沖縄につきましても、自民党は、一貫して、沖縄の皆様の思いに寄り添いながら、基地負担の軽減、沖縄の振興に力を尽くしてきたわけであります。

 しかし、今回のさまざまな発言が、自民党のそうした姿勢に疑義を抱かせ、政権を負託してくださった国民の皆様の信頼を大きく損なう結果となったわけでありまして、そのことについて、今回関係者を処分いたしましたが、党を率いる総裁として、国民の皆様に心からおわびを申し上げたい、このように思います。

 また、今、赤嶺議員から、負担を軽減するために我々は何をやってきたのかというお話でございました。

 この二年半の間に、空中給油機十五機、これを全機、岩国への移駐を完了したのでございます。これは十年を超える長年の懸案であったのでございますが、この二年半において、山口県あるいは岩国市の皆様の御理解をいただきながらそれをなし遂げたところでございます。そしてまた、西普天間住宅地区につきましても返還がなされたのでございまして、これも長年の懸案で、ずっとできなかったものが、この二年半の交渉の結果、返ってくることになったのでございます。そしてまた、長い間、地位協定については指一本触れることができなかったのでありますが、この地位協定にかかわる環境分野の事柄につきまして、事実上、これは地位協定の改定にも近いものを我々は達成することができたわけでございます。

 こうしたことを一つ一つ積み上げていくことが大切であろう、このように思っているところでございます。

 

○赤嶺委員

 私が伺いましたのは、今の、負担軽減のために自民党がやってきたこと、例えば地位協定で、環境部門で、これは地位協定の改定にも等しいと総理はおっしゃいましたが、そのように発言しているのは、さきの仲井真知事と外務省ですよ。中身は、これまでの日米間の環境の、全然実効性が伴わなかった内容だけが今度の協定の中身になっていて、それでも日米間で交渉が進んでいない。西普天間住宅地区でいえば、国道につながる道路がなくて、使い勝手が悪くて、地主が自分の住居に戻れない、そういう意見も出ている。

 何よりも、自民党が今沖縄県民に押しつけているのは辺野古の新基地建設であります。そういうことを押しつけておきながら、自民党は負担の軽減に頑張ってきたということは、私は言ってほしくない。

 きょうはその中身の一々を議論していくのがテーマではありませんけれども、それを言ってほしくないということを前提にして、私は、今度のことは、事実をゆがめて県民を侮辱したことが問題だと思うんですよ。そこが問題の中心だという認識はありますか、総理。

 

○安倍内閣総理大臣

 自民党の懇話会において講師が民間人として述べられたことについて、政府として一々コメントすることは差し控えさせていただきたい、こう思うわけでございます。

 その上で申し上げれば、普天間飛行場につきましては、その場所については、戦前、役場や国民学校、郵便局、病院などが所在し、街道が通るとともに集落が点在し田畑が広がっていたとされており、戦時中の昭和二十年四月、米軍が上陸した後、土地を接収して普天間飛行場が建設されたものと承知をしているわけでございます。

 

○赤嶺委員

 総理、この答弁は、この間は中谷防衛大臣が答弁いたしましたが、総理としては初めての答弁になりますが、総理も、一番県民が怒っているのは、何もないところに基地がつくられたというような認識、そこに対してやはり、あの宜野湾市で、市議会で、なかなか全会一致になるような議会ではありませんが、全会一致の抗議決議が上がるというようなこともあったんですね。

 私、それでも、さっき質問を聞いて非常にびっくりしたんですが、官房長官の答弁ですよ。世界一危険な普天間飛行場というのは、その根拠は何だと聞かれて、県議会も宜野湾市議会もその決議で言っている、こういう答弁でしたけれども、普天間飛行場が世界一危険な飛行場と言い出したのは県民ですか、それともアメリカ側ですか。今、事前の通告なしの質問なので、突然の質問ではありますが、まず、その点についておわかりであれば、防衛大臣、答えていただけますか。

 

○中谷国務大臣

 間違っていたら申しわけないですが、私の記憶によりますと、アメリカのラムズフェルド長官ではないかと思います。

 

○赤嶺委員

 官房長官はそう言わなかったんですよね。県議会の決議が根拠だとか、市議会の決議が根拠だとか。
 当時、ラムズフェルド国防長官は普天間基地の上空を視察して、こんな世界一危険な飛行場と言って、驚いて発言して、それ以来ですよね、世界一危険な飛行場と言い出したのは。

 それからもう一つ、普天間飛行場と福岡空港と伊丹空港、むしろ人口の密集は伊丹や福岡であってというやりとりがありました。

 昔、沖縄の総領事をしていたケビン・メアさんという方がいらっしゃいます。覚えておられると思います。このケビン・メアさんは、県民は怠け者でゴーヤーもつくれないと発言をして県民の怒りを買った総領事でありますが、彼も、普天間は福岡や伊丹空港と同じで、特別な危険はない、このような発言をして大問題になりました。

 先ほどいろいろな資料を見せられて、官房長官はそういう数字を見せられたらといって非常に動揺していたんですが、普天間飛行場は伊丹や福岡と同じ程度の危険性ですか、大臣。

 

○中谷国務大臣

 一般論で申し上げまして、民間空港と軍用飛行場で、飛行機運航に当たってのルールが同様であると仮定しても、民間空港においては、旅客機を初めとして定められたフライトスケジュールがあり、多数の航空機を効率的に離発着させ、定時、定型の航路で運航させるなどが重視をされます。一方で、米軍基地を初めとする軍用飛行場におきましては、緊急の運用時など、軍用機を必ずしも定型的に運航しない場合もあると考えておりまして、双方を比べてみても、一概に比較することは困難であると認識をいたしております。

 私、せんだって宜野湾市役所へ参りまして、屋上から普天間飛行場を眺めました。フェンスのすぐ横にグラウンドがあって、そこで小中学生が野球をしているんですね。それを見て、本当に危険だというふうに感じまして、一刻も早くこの普天間飛行場の移設はしなければということで、私の目から見ましても大変危険な飛行場だと認識をしております。

 

○赤嶺委員

 まさに、民間空港と、それから沖縄の米軍基地、どこの米軍基地もそうでしょうが、いわば米軍は、戦場で起こることの全てを想定して訓練をしているわけですね。安全な運航が目標じゃないわけです。戦場の厳しさに耐えられるかというのが米軍の訓練の最大の目標ですから、何が危険であるかということは一目瞭然であります。

 そこで、先ほど総理が、普天間飛行場は、当時、普天間の、宜野湾市の役場や学校、そういう土地を米軍が奪ってつくった、こういう認識をおっしゃっておりました。ですから、この間もやりましたが、百田さんの発言で、普天間基地の形成過程について、もともと田んぼの中にあり、周りは何もなかった、基地の周りに行けば商売になるということで人が住み出したという発言が、今度の、沖縄県民、宜野湾市民、なかんずく普天間基地から住宅を奪われ、土地を奪われた地主の皆さんの怒りになってきているわけであります。

 ところで、総理、こういう県民に対する侮辱というのは、これが初めてではないんですよ。これほど侮辱的な表現を使うかどうかは別ですが、百田氏のような発言はこれまでも繰り返されてきました。麻生副総理、麻生副総理は、外務大臣時代の二〇〇五年に沖縄を訪問した際に、普天間基地について、周りにどんどん家がふえてきてぐあいが悪くなる、基地としては難しくなると述べて、当時問題になりました。私も外務委員会で追及をいたしました。

 普天間基地を訪問した際に米軍の司令官が必ず持ち出すのは、住民の側が基地の周りに住むようになったという説明です。基地の周辺が市街地になったのは住民の側に責任があるという考え方が、従来、日米両政府の間で共有されてきた認識であります。

 総理は、普天間基地の形成過程、基地の周りに人が集まってきた、そういう認識、これについてはどのように受けとめられますか。

 

○安倍内閣総理大臣

 形成過程については、先ほどお話をさせていただいたように、戦前、役場や国民学校や郵便局や病院などが所在し、街道が通るとともに集落が点在し田畑が広がっていた、そして、戦時中の昭和二十年四月に米軍が上陸した後、土地を接収して普天間飛行場が建設されたものと承知をしているわけでございます。

 いずれにいたしましても、現在、住宅地の真ん中にある、住宅や学校に囲まれているわけでありますから、普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならないということではないか、このように考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 いずれにいたしましてもというところからが問題なんですよ。いずれにいたしましてもじゃなくて、普天間基地の形成過程をきちんと押さえた場合に、あの危険な基地をつくったのは誰の責任かというのがはっきりしてくるわけです。

 普天間基地は、一九七二年の本土復帰のころまで、現在のような運用はされていませんでした。復帰後に滑走路が整備をされ、山口県の岩国基地から千人規模の第一海兵航空団が沖縄県内に移設されるなどして、現在のような危険な航空基地としての運用がされるようになりました。

 ただ、そのような基地になる前に、既に基地周辺には市街地が形成をされておりました。基地の周辺が現在のような市街地になったのは住民の側に責任があるというのは、事実と違うのであります。

 日米両政府のその認識が問われていると思いますが、防衛大臣、いかがですか。

 

○中谷国務大臣

 歴史的に見まして、昭和四十七年の復帰後、米国が日米地位協定に基づいて我が国から提供を受けて使用いたしておりまして、現在の普天間飛行場、約四百八十一ヘクタールございますけれども、その土地の九割以上が民公有地でありまして、約三千六百人の地権者の方々がおられるというふうに承知しております。

 

○赤嶺委員

 中谷大臣、私の質問に答えてほしいんですよね。

 では、またもとに戻って質問いたしますが、先ほど総理は、普天間基地は役場や学校や住宅地を米軍が接収してと言いました。その接収する際に、米軍は、住民に対して何の説明もせずに、住民が収容所に入れられている間に勝手に接収したという認識は、防衛大臣、お持ちですか。

 

○中谷国務大臣

 米軍が上陸した後、土地を接収して普天間飛行場が建設されたというふうに認識しております。

 

○赤嶺委員

 もちろん対価の支払いもなかったわけですね。

 それで、戦争が終わって米軍の直接占領下になったときに、住民は、入れられていた収容所からもとの土地に帰るように米軍から指示を受けました。しかし、普天間基地は既に金網で囲まれておりましたので、普天間基地の中の住民たちはもとの住宅に帰れなかったんですね。帰れなかったんですよ。だから、そのもとの住宅の近くに住み始めるというのは人間の当然の出来事だと思うんですが、それはいかがですか。

 

○中谷国務大臣

 事実につきましては、沖縄選出の赤嶺先生でございますので、赤嶺先生がおっしゃることが正しいのではないかと思います。

 

○赤嶺委員

 今まで私が何度言っても簡単に認めなかった問題なんですよ。

 ただ、そのときに、やはり、親戚同士集まります、知り合い同士集まります。そして、普天間基地は今のような海兵隊の航空基地ではありませんでした。基地の中に入って野良仕事もできるような状態でもありました。

 そういう市街地が形成をされた後に、後に海兵隊の航空基地にしたのは、さっき日米地位協定とおっしゃいましたが、まさに日米両政府ですよね。これは間違いありませんよね。

 

○中谷国務大臣

 昭和四十七年の本土復帰後におきましては、米国が日米地位協定に基づいて我が国から提供を受けて使用しておりまして、現在の普天間飛行場となっているわけでございます。

 

○赤嶺委員

 まさに、今日のような世界一危険な飛行場にしたのは日米両政府であるということを強く指摘しておきたいと思います。

 自分たちで世界一危険な基地をつくっておきながら、その基地の返還を求めるのであれば辺野古にかわりの基地をつくれというのは、いかに不当な要求であるかということが、これがおわかりになったと思います。

 それで、今回の怒りや抗議は百田氏に向けられたもの、当然そうでもありますが、百田氏は一市民であります。私が問題にしたのは、そういう形で普天間基地が危険になったのは県民のせいだと言い続けてきた、こういう現状を容認してきた自民党の側にも大きな責任があると思いますが、総理、いかがですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 自民党は、まさにこれは、橋本総理時代に、この普天間の危険性を除去しなければいけない、沖縄側からの強い要望に応える形で、当時のモンデール大使、そして米国側と交渉を重ねた結果、普天間の辺野古への移設を決定したわけでございます。

 その後、残念ながら紆余曲折がございまして、これは十九年、全然動かなかったのでございますが、改めて沖縄県民の皆様の、もちろんまだ反対は強いわけでありますが、我々、説明する努力を重ねながら、今般、沖縄、この普天間基地の辺野古への移設について具体的に歩み始めているわけでございます。

 同時に、繰り返しになりますが、空中給油機十五機の普天間基地から山口県の岩国基地への移駐を完了したところでございますし、西普天間住宅地区の全面的な返還も行われたわけでございます。

 こうしたことを一つ一つなし遂げていきたい、こう思っているわけでございますし、また、辺野古への移転につきましても、移転されるのは三つの機能の一つだけでございますし、オスプレイの訓練につきましても、なるべく本土側での訓練もふやしていきたい、このように考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 総理、橋本・モンデール会談で何で普天間基地が問題になったかというのも、これもまた歴史的な経過がありまして、きょうはこの歴史的な経過まで入り込めないんですが、何で、そこでもさらに、日米両政府がどんなに県民への背信行為をやってきたか、これは次の機会にまた追及していきたいと思います。

 もう一つの問題です。

 沖縄県民とメディアを侮辱し、威圧する発言、これも実は今回が初めてではないんですね。自民党議員からも、政府の閣僚や官僚からも繰り返されてまいりました。

 二〇〇〇年の三月に、当時、自民党の森幹事長、天皇在位十周年記念式典で、ある沖縄出身の歌手が君が代を斉唱していなかったとして、問題視する発言を行いました。森幹事長はこう言っているんですね。恐らく知っていると思うが、学校で教わっていないのですね、沖縄県の教職員組合は共産党が支配していて、何でも政府に反対、何でも国に反対する、沖縄の二つの新聞、琉球新報、沖縄タイムスもそうだ、子供もみんなそう教わっている、先生も新聞社もみんな共産党だ、だから政府に反対ばかりしている。これは森幹事長がそういう発言をしたんですよ。とんでもないデマ発言であります。

 その後、首相として沖縄を訪問したときに、沖縄県民が不快感を持ち、迷惑をかけたのなら、大変申しわけなく、心からおわび申し上げたい、このように陳謝をいたしました。

 二〇〇五年には、今度は官僚の方です。当時の山中防衛施設庁長官が、沖縄の新聞は偏り過ぎている、イエローペーパー、ゴシップ紙だ、このように発言をいたしました。

 二〇〇六年に、当時の小池沖縄担当大臣が沖縄を訪問した際にも、沖縄のマスコミは超理想主義、理想は高いが現実と遊離している、沖縄のマスコミとアラブのマスコミは似ている、反米、反イスラエルで、それ以外は出てこないと発言し、問題になりました。

 沖縄県民の認識やメディアを侮辱する発言は、政府からも自民党からも繰り返されてきたのであります。こうした認識は政府・自民党に深く根をおろしたものではないか、こういう疑いを向けざるを得ませんが、総理はいかがお考えですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 私ども自由民主党におきましては、まさに七十年前、沖縄の地で二十万人以上の方々が命を落とし、そして、戦後長らく苦しい、苦難の歴史があった、日本が独立をサンフランシスコ平和条約によって果たした後も米軍の施政下にあったということも含めて、そしてまた、多くの米軍基地が沖縄に集中をしているという中においての苦難の歴史について、常に私どもは思いをはせながら、沖縄の振興、基地負担の軽減に力を尽くしていかなければならない、これが基本的な自由民主党の考え方でございます。

 

○赤嶺委員

 苦難に思いをはせながらと言われるその言葉も戦後ずっと聞いてまいりました。そういう言葉とあわせて、沖縄のメディアはゆがんでいる、反政府的だとか、ゆがんだ県民意識をつくっている、そういうデマ、偏見に満ちた、しかも、私たち共産党こそ迷惑な話ですよ。そんなふうにして言われるようなデマを繰り返してきたということは、総理、ぜひ、そういう繰り返しの歴史の上に今日こういう出来事が起こっているんだということを認識していただきたいと思います。

 芥川賞を受賞した作家で、この間川端康成文学賞をいただいた沖縄の大城立裕さんという作家がいらっしゃいます。八十歳を超えておられますが、ちょうどあの自民党の集まりの発言があったときには、その文学賞の受賞のために東京にいらしたそうであります。そして、本土のメディアから聞かれて、大城立裕さんは、「沖縄の新聞がなぜ先鋭的になったのか、問題の根本を見る努力を怠っている。恥知らずと言わざるを得ない」、温和な作家がこのように批判をしているわけですね。

 沖縄のメディアの歴史というのは、そもそも最初は米軍の広報宣撫機関紙としてスタートいたしました。社員がみんな米軍の民政府の職員だという時期もありました。新聞の紙の配給も米軍が握っていましたから、米軍寄りの報道をしなければ、これは新聞社自身がやっていけないという歴史があったわけですよ。

 戦後、沖縄にはいろいろな新聞社ができました。それは、せっかく米軍が手懐けたと思った新聞社の新聞が、やはり県民の声を反映して、政府批判、米軍統治批判に走っていく。それでは次の新聞社をつくろうといって、次の新聞社をつくってみたけれども、また同じような結果になる。結局、戦後、沖縄本島では十以上の新聞が生まれたんですが、米軍の占領下で親米の新聞を創刊しようとする動きもありました。しかし、米兵による殺人、婦女暴行、米軍基地の現実を正面から報じない新聞は、県民の支持を得られず、淘汰されていったわけであります。

 沖縄のメディアが問題なのではなくて、沖縄の抱える現実が問題ではありませんか。米軍基地をめぐる不条理がある以上、それをメディアが伝えるのは当たり前ではありませんか。

 総理はその点いかがお考えですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 先ほど来お話をいたしておりますように、我々といたしましては、安倍政権としては、沖縄に集中している米軍基地の負担を少しでも軽減していくべく、この二年半努力をしてきたところでございますが、今後ともこの努力を積み重ねていきたい、こう考えているところでございます。

 メディアがどういう報道をするかは、まさにこれはメディアが判断することであって、その一々について総理大臣としてコメントすることは適切ではない、このように考えております。

 

○赤嶺委員

 メディアがどういう報道をするかというお話でなくて、沖縄のメディアはどうしても、基地問題のゆえに起こる事件や事故、それらを反映した新聞の紙面にならざるを得ない。つまり、メディアの報道内容の逐一について聞いているということではなくて、沖縄の報道の大もとには沖縄が抱える基地の不条理がある、ここが問題なのではないかということを私は総理に聞いているのであります。いかがですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 基地につきましては、例えば山口県の岩国にも、地元紙というものもかつてあったわけでございます。そして、それぞれの地域においては、地域の抱えている大きな問題について当然それは報道がなされるのだろう、このように推測するわけでございます。
 いずれにせよ、沖縄にも、二紙のみではなくて、その他にも新聞社が存在するわけでございますが、それぞれの新聞社の姿勢等々についてコメントを述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

 

○赤嶺委員

 私は、沖縄のメディアが基地問題を取り上げていく、その紙面を見たときに、自民党の一部の方々が言うように、この紙面は偏っているな、ひどい新聞だなと見るのではなくて、沖縄の現実はひどいなと政権政党として責任を自覚して、もっと頑張らぬといけないなと思うのが筋だと思います。これを強く総理に申し上げておきたいと思います。

 新聞の当事者もこう言っているんですよ。昨日、琉球新報、沖縄タイムスの二人の編集局長が日本記者クラブで会見をいたしました。

 琉球新報の潮平編集局長は、沖縄の新聞がもし世論をもてあそぶような思い上がった新聞だったなら、とっくに県民の支持を失い、地域社会から退場勧告を受けていただろう、住民、読者の支持なくして新聞は成り立たない、このように述べています。沖縄タイムスの武富編集局長は、民衆の支持がないと存続できないし、報道は世論に突き動かされている側面が大きい、為政者にとって都合の悪い報道だとしても、民意の反映として受けとめるべきだ、このように述べています。

 政府・自民党がこうした指摘を強く、重く受けとめるべきであります。

 私は、今回の問題は沖縄だけの問題ではないと考えています。この問題で問われているのは、言論の自由、表現の自由の問題であります。

 今回の問題発言に、全国新聞、地方紙は直ちに反応いたしました。山形新聞は、六月二十八日の一面で、「言論封殺の暴挙許すな」の見出しで、寒河江浩二主筆・社長名の緊急声明を発表し、こう述べています。「事は、沖縄の地方紙二紙だけの問題ではない。言論の自由、報道の自由、そして新聞の独立という民主主義の根幹にかかわる問題」、このように指摘し、山形県民に是非を問いたいと訴えています。

 総理、今回の問題発言は、言論の自由、報道の自由、表現の自由という民主主義の根幹にかかわる問題である、こういう認識はお持ちですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 民主主義の根幹である言論の自由、報道の自由、これは我々はしっかりと尊重していかなければならないということでありまして、安倍政権において、また自由民主党において、これは一貫した姿勢でございます。

 そうした姿勢が疑われることのないよう、我々も襟を正していかなければならない、このように考えております。

 

○赤嶺委員

 ですから、今回起こった問題というのは、言論の自由、報道の自由、表現の自由という民主主義の根幹にかかわる問題であった、そういう認識をお持ちということですね。

 

○安倍内閣総理大臣

 今まさに申し上げましたように、言論の自由そして報道の自由というものは民主主義の根幹をなすものであり、そういう姿勢が疑われるかもしれないという発言があったことはまことに遺憾だということは、先ほど来申し上げているとおりでございます。

 

○赤嶺委員

 言論、表現の自由という問題について、私も考えてみました。

 それは、国民が国家権力に干渉されないで表現する自由であり、民主主義のかなめであります。戦前、言論統制がしかれ、大政翼賛に走って侵略戦争に突き進むのをとめられなかった反省から、二度と戦争をしないために、必要な憲法上の権利として保護されております。言論、報道の自由は、政府の行為を国民が監視し、事実に基づいて自由に批判する権利を保障するもので、まさに主権者たる国民の手で民主主義を貫くためのものであります。

 メディア界は大変敏感な反応をいたしました。

 二十六日に、速報社説という聞きなれない文字が飛び込んでまいりましたが、それは、インターネットで神奈川新聞が公開した、速報社説と題するものでありました。「普通ではないことが起こっているということを示すため」、異例の対応をしたと説明し、「報道に携わる機関として抗議の声を上げなければならない」、このように話しています。

 まさに憲法違反が問われる法案を審議している最中に、国民の大多数が、説明不足であり理解できない、このように批判しているときに、与党の議員の中から、政府に批判的な言論を封殺し、表現の自由を冒涜するような発言が飛び出したことは、戦前の言論統制を思い起こさせるものであります。

 多くの新聞社が異例の事態、民主主義の危機と捉えていることを正面から受けとめるべきだと思いますが、総理、いかがですか。

 

○安倍内閣総理大臣

 まさに、言論の自由、報道の自由は民主主義の根幹をなすものであり、これは安倍政権において、また自民党の一貫した姿勢であります。その姿勢が疑われるような、そういう発言があったことはまことに残念であり、遺憾であります。

 今後とも、こうした疑いを持たれることのないよう、しっかりと襟を正していきたい、こう考えているところでございます。

 

○赤嶺委員

 私は、今度の事態については、本当に、自民党、憲法違反の法案を出してきたその態度と合わさって、拭いがたい言論弾圧への疑念を抱かざるを得ない、このように考えております。

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