日本軍「慰安婦」問題で、軍による強制連行を裏付けるオランダの戦犯法廷「バタビア臨時軍法会議」の裁判記録を、外務省が河野官房長官談話発表(1993年)の前年に公式に入手していたことが4月23日、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の国会質問で初めて明らかになりました。同日の衆院内閣委員会で赤嶺氏が指摘し、外務省が認めました。
安倍晋三首相は、河野談話発表までに政府が入手した資料について「強制連行を示す証拠はなかった」(13年2月7日、衆院予算委員会)と発言し、現在まで訂正していません。
赤嶺氏はこれまで、談話発表と同時に政府が発表した資料一覧のなかに、法務省がまとめたバタビア裁判記録の要約があると明らかにしています。今回は新たに、裁判記録自体を入手していたことを突き止めました。
赤嶺氏は市民団体が情報公開させた、外務省の西欧第一課が作成した「対外応答要領」(92年7月23日付)と、「オランダ人従軍慰安婦問題」(同28日付)という二つの文書を入手しました。
文書はそれぞれ、「ハーグ公文書館保存の裁判記録については、我が方在蘭大使館を通じて入手する予定」(23日付文書)、「蘭国立公文書館よりバタビア軍事裁判記録を入手した」(28日付文書)としています。
同日の委員会で赤嶺氏は二つの文書を示して追及。外務省の長谷川浩一大臣官房審議官は「入手したとの記録が残されている」「何らかの形で(当時、『慰安婦』問題を調査した)内閣外政審議室に情報提供したと考えられる」と認めました。
バタビア臨時軍法会議 戦後のオランダによるBC級戦犯裁判。日本軍がインドネシアで、抑留所に収容されていたオランダ人女性を強制的に連行し「慰安婦」とした「スマラン事件」では、日本の軍人7人と軍慰安所経営者4人が死刑や禁錮15年を含む有罪判決を受けました。(しんぶん赤旗 2014年4月24日)