日本共産党の赤嶺政賢議員が11月7日の衆院本会議で行った国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案への反対討論(要旨)は以下の通り。
「国家安全保障会議」は「官邸の司令塔機能の強化」にとどまりません。
第1次安倍内閣が掲げた「戦後レジームからの脱却」の一環として、総理の下に国家のあらゆる情報と権限を集中させ、「戦争の司令塔」、すなわち現代版の大
本営をつくり、都合の悪い情報は国民に隠して世論を誘導し、日本を「海外で戦争する国」につくりかえる重大な一歩をふみだそうとするものにほかなりませ
ん。
そのために、本法案と一体で秘密保護法を制定し、集団的自衛権の行使をめぐる憲法上の制約を法解釈の変更によって取り払おうとしています。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という憲法の基本原理を根底から破壊する危険きわまりない動きであり、断じて容認できません。
周辺諸国を威嚇
新たに策定する「国家安全保障戦略」、防衛大綱で安倍内閣がやろうとしていることは何か。それは、敵基地攻撃能力や海兵隊的機能の保有であり、武器輸出禁止三原則の撤廃です。まさに、戦争国家、武器輸出国家への道にほかなりません。
いま、陸海空3自衛隊の部隊を沖縄と九州に集結させて、沖大東島の米軍射爆撃場を初めて使った艦砲射撃や着上陸訓練、沖縄本島や宮古島、石垣島への地対艦
ミサイル部隊の展開訓練がすすめられています。周辺諸国を軍事的に威嚇し、日本の側から緊張を高めることは絶対にやってはならないことです。ただちに中止
すべきです。
米盗聴抗議せず
NSCは、国家安全保障を国政の中核に位置づける体制づくりにほかなりません。沖縄では、すでに日台漁業取り決めの締結によって漁場が奪われ、TPPによる国民生活の切り捨てが、国家安全保障の観点から押しすすめられる危険は重大です。
NSCで「アメリカと機密情報を共有する」と言いますが、政府はアメリカのウソの情報をうのみにして、国際法違反のイラク戦争を支持し、自衛隊を派遣した
ことをいまだに反省していません。アメリカの機密情報に依拠し、国の進路を誤らせるようなことがあってはならないのです。
アメリカの情報機関が、世界中で、国際法にも違反した盗聴活動を行っていたことが大問題になっています。日本も例外ではありません。このような活動に抗議もせず、アメリカとの情報共有をすすめる政府の姿勢は到底納得できるものではありません。
外交的解決こそ
政府は「安全保障環境が厳しさを増している」と言いますが、大事なことは、軍事的緊張を高める行動を双方が厳しく戒め、問題の平和的・外交的解決をはかる
立場に徹することです。米中間でも、中国とASEAN諸国との間でも、意見の違いやもめごとを話し合いで解決する努力が続けられています。
こうした話し合いの努力こそ政府は共有すべきことを強調して討論を終わります。(しんぶん赤旗 2013年11月8日)