田中浩一郎中東研究センター長は「陸上輸送のニーズはある」としつつも、「大前提として相手国が自衛隊を受け入れるかどうかという問題がある。どこの国も外国軍をすんなり受け入れることはない」と述べました。また、「何百キロにもおよぶ道路事情を路面状態を含めて事前把握することや、ルート周辺地域の詳細な情報掌握をクリアすることは不可能だ」と実現性に疑問を呈しました。
質問に立った日本共産党の赤嶺政賢議員は「当事国が国内の安定と治安維持に対する責任を果たすことが基本だ。外国軍隊の存在自体が攻撃の対象とされ、かえって邦人を危険にさらす」と強調。田中氏は「当該国が十分な治安維持を行うのであれば、自衛隊を派遣する必要はない」と答えました。
赤嶺氏は、法案の発端となったアルジェリア人質事件(1月)の背景にはフランス軍によるマリへの軍事介入や、リビアからの武器流出があり、実行犯の大半を若者が占めていたことを指摘。事件を未然に防ぐうえで国際社会の果たすべき役割について質問したのに対して、立命館大の宮家邦彦客員教授は、テロを防ぐうえで民生の安定や雇用機会を増やす取り組みが必要だと述べました。(しんぶん赤旗 2013年5月29日)