「新基地を押し付ける国家権力による選挙への不当な介入だ」―。日本共産党の赤嶺政賢議員は31日の衆院予算委員会で、米軍普天間基地「移設」問題が大争点になっている沖縄県宜野湾市長選挙(2月12日投票)に関し、防衛省沖縄防衛局が選挙介入していた疑惑を内部告発をもとに明らかにしました。
赤嶺氏が暴露したのは、沖縄防衛局の総務部総務課人事係が局内各部の庶務担当者あてに送った2通の電子メール。メールには、同局が、選挙権のある職員や親族らのリストを作成し、対象者を集めて真部朗(まなべろう)局長が「講話」を行っていたことが明記されています。4日付文書は「宜野湾市在住の職員及び宜野湾市に選挙権を有する親族」の調査を依頼。18日付ではその対象者に局長「講話」(23日午後4時、24日午前10時)を「必ず聴講する」よう通知を求めています。指定された時刻は職務中です。
赤嶺氏は、「沖縄防衛局が職権を使って有権者リストをつくらせ、局長の『講話』をきくように指示・命令していた」「国家機関の選挙に対する中立・公正の義務、選挙における地位利用の禁止に反することは明らかだ」と追及しました。
赤嶺氏はまた、「政府が昨年の仕事納めにやったことが(新基地建設に向けた)環境影響評価書の提出強行だった。仕事始めにやったことが選挙への介入だ」と指摘。「アメリカの要求に応じて、県民が何を言おうがとにかく基地を押し付けることは許されない」と迫りました。
野田佳彦首相は「とにかく事実確認させてください」と繰り返すだけ。田中直紀防衛相は「至急確認をする。そういう事実があってはいけない」と答弁。中井洽(ひろし)予算委員長は「局長『講話』等も含めてきちんと出すように」と求めました。
宜野湾市長選挙は、普天間基地の無条件撤去と新基地建設反対を掲げるイハ洋一・元市長と自公支援候補の一騎打ち。新基地推進勢力は、イハ氏を当選させないことが、新基地反対の県民総意を切り崩せる契機になるとみています。
同委員会後の理事会では、防衛省の鎌田昭良大臣官房長が説明。「講話」が行われたことは認めました。防衛省職員を沖縄に派遣し、事実関係について調査を開始したことを明らかにし、2月1日朝の理事会で報告すると述べました。
負けられぬ選挙
宜野湾市在住の西里喜行さん(71)=琉球大学名誉教授
まったくけしからん、到底許せない行為です。しかし、歴史的に見れば、機密費を使うなど権力をかさにきて国が選挙に介入することは、これまでも繰り返しやられてきたことです。
宜野湾市民の一人として、防衛局のやり方を許せないのはもちろんですが、今回のことは市長選挙の持つ別の側面をあぶり出したといえます。国・防衛局にとって、今回の宜野湾市長選は負けられない選挙だということです。
自公候補が勝てば、一点突破で、普天間基地の辺野古「移設」を進めることができると、彼らが考えていることの具体的な表れです。
宜野湾市民の動向いかんで、仲井真知事の態度にも変化が出るかもしれません。それだけに、この選挙は負けられません。(2012年2月1日)