衆院災害対策特別委員会は12月8日、火山活動の観測監視および調査研究体制等の充実強化に関する決議を全会一致で可決しました。決議に先立ち、同委は藤井敏嗣・火山噴火予知連絡会会長を参考人として招き、火山対策などについて質疑しました。
藤井氏はアメリカ、イタリア、インドネシア、フィリピンなどいずれの火山国も地震・火山観測などの専門家が国立機関に一元化されているのに、日本は国による推進本部体制は地震観測研究にはあるが、火山は対象にしていないことを指摘。日本の活火山の約半数は無監視に等しい状態として、「先進国の中では日本だけが火山噴火の脅威にさらされる危険がある」と述べ、特別の取り組みが必要だと述べました。
日本共産党の赤嶺政賢議員は、霧島新燃岳の噴火被害の状況などに触れながら、「火山観測体制強化の障害となっている要因はどこにあるのか」と質問しました。
藤井氏は「歴史的あるいは世界的にみると、日本における最近の火山活動はごく小規模な噴火であり、根本には、火山被害は小さいとの思い込みが働いているのではないか」と述べました。
赤嶺氏が大学研究体制の現状などについて質問したのに対し、藤井氏は「大学が独立行政法人となって新たな観測機器の設置・更新費用もまかなえなくなっている」「火山学を生かせる職場のポジションが少なく、人材の育成も難しくなっている」と訴えました。(2011年12月9日)