「裁判権行使を」 赤嶺議員が追及
松本剛明外相は、2008年8月に沖縄県うるま市で米兵の運転する乗用車が起こした死亡事故の米側による処分結果について、「報告ができる段階には至っていない」と述べ、事実上公表しない考えを示しました。10日の衆院海賊テロ特別委員会で、日本共産党の赤嶺政賢議員に答えました。
この事故は、米兵が運転する車が対向車線に進入し、当時38歳の男性が運転するオートバイに正面衝突し、死亡させたもの。
政府は4月と5月の安保委員会での赤嶺氏の質問に、「米側に照会をしている」と答弁していましたが、米軍当局が刑事処分を行っていなかったことが6月末に報じられました。
赤嶺氏は、「何の処分も行われていなかったから、明らかにできなかったのではないか」と政府の姿勢を厳しく批判し、「米側が処分を行わなかった以上、日本側が裁判権を行使すべきだ」と求めました。
法務省の甲斐行夫審議官は、「処分結果を把握していない。米側が裁判権を行使しなかったという仮定に基づいて答える段階にない」と答弁をさけました。
米軍基地を抱える14都道府県でつくる渉外知事会は7月、米側の処分結果と審理過程を被害者と遺族、地元自治体に通知する仕組みをつくるよう政府に要請しています。これについて松本外相は、「応えられるようにしっかりと対応していきたい」と答弁しました。
米側の裁判権行使の結果通報について、1953年の日米合同委員会合意は、「裁判結果」としているため、懲戒処分は対象とされず、日本側に通報されない仕組みになっていることが赤嶺氏の質問で明らかになっていました。(しんぶん赤旗 2011年8月17日)