日本共産党の赤嶺政賢議員は26日の衆院安全保障委員会で、20日に沖縄県米空軍嘉手納基地で強行されたパラシュート降下訓練について取り上げ、「嘉手納基地での訓練の恒常化は認められない」と主張しました。
赤嶺氏は、1996年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で、同県の伊江島への訓練移転を決定しながら、政府が訓練当日の伊江島の悪天候を理由に、嘉手納基地での訓練を「例外的」として認めてきた経緯を指摘しました。
その上で、「米側の声明では今回は天候ではなく、いろいろと理由をあげて伊江島で訓練ができなかった分を嘉手納基地で補うということだ。そんなことを認めたら、嘉手納基地での訓練は恒常化してしまう。訓練は認められないと見解をはっきりさせるべきだ」と迫りました。高橋千秋外務副大臣は「今回は特例と聞いている。あらためて伊江島で行うように申し入れている」と述べました。(しんぶん赤旗 2011年5月27日)
米兵犯罪 処分結果明かせ
赤嶺議員が要求 衆院安保委
日本共産党の赤嶺政賢議員は26日の衆院安全保障委員会で、2008年8月に沖縄県うるま市で米兵が引き起こした交通死亡事故をとりあげ、4月の同委員会で質問した米側の懲戒処分結果の報告を求めました。高橋千秋外務副大臣は「米側が、懲戒となると(米兵)本人の了解がいるとして報告はない」と答弁しました。
赤嶺氏が「遺族にとって犯人がどんな処分を受けたかは重大な関心事だ。軍事裁判に至らない懲戒処分は、基本的に日本政府に通報されない仕組みになっているのか」と追及。高橋外務副大臣は「懲戒処分の場合は日米合同委員会を通じた通報の対象になっていない」と述べました。
赤嶺氏は「被害者や遺族の立場に立つなら、そんなことは絶対に許されない。(日本側の)刑事裁判権を奪われたあげく、処分結果さえ報告されないのは本当に屈辱的な関係だ」と批判。過去5年間で米側が刑事裁判権を行使した米兵犯罪のうち、軍事裁判にかけられた件数、懲戒処分となった件数を明らかにするよう求めました。
高橋外務副大臣は「米国との信頼関係の問題があり、差し控えたい」と拒否。赤嶺氏は「闇の中だ。これで米兵犯罪の根絶とはとても言えない」として、軍事裁判と懲戒処分の件数を安全保障委員会理事会に提示することを求めました。(しんぶん赤旗 2011年5月29日)
議事録
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢でございます。
今回の法案の柱の一つは、日豪ACSA締結を受けた自衛隊法上の根拠規定の整備であります。日本がアメリカ以外の国と安全保障分野での条約を締結するのは今回が初めてです。
日豪間では、二〇〇七年三月の安全保障協力に関する日豪共同宣言以降、さまざまなレベルで軍事的な協力関係を強化してきております。
まず、その目的にかかわって外務省に聞きますが、宣言は、両国間の強化された協力が日米豪三カ国間の協力の強化に資すると述べておりますが、具体的にどのように資するのですか。
○高橋副大臣 オーストラリアは、先日ギラード首相が日本に来ていただきまして、被災地も訪問していただきまして、大変友好国でございます。資源エネルギーの安定的な供給源として、我が国の経済安全保障上大変重要だというふうに考えております。
一方で、アジア太平洋地域におきまして基本的な価値と利益を共有するという意味でも、戦略的パートナーになります。最近、北朝鮮の核問題、それから中国の透明性を欠いた国防力の強化、海洋進出など、我が国の周辺地域における安全保障環境というのは大変厳しい状況が続いております。こうした中で、価値観を共有して、ともに米国の同盟国であるオーストラリアと安保関係を強化するということは、アジア太平洋地域の安定にも資すると考えております。
今回の日豪ACSAを締結するということができれば、国連平和維持活動や災害救援におきまして日豪がより緊密に協力して活動を行うということが可能になると考えます。それによって、国際連合を中心とする国際平和のための努力のみならず、今回のような地域の安全保障環境の中で国際的、地域的に協力を積極的にできるというふうに考えております。
○赤嶺委員 日豪は、既にアメリカ主導の軍事作戦を支援する役割を果たしてまいりました。インド洋では、オーストラリア軍が海上阻止活動を、自衛隊は補給支援活動を担ってきました。イラク・サマワでは、オーストラリア軍が治安維持を、自衛隊は人道復興支援を担い、米軍占領を支援してまいりました。
宣言以降、日豪間で合同訓練を強化してきておりますが、東アジア地域における日豪そして韓国の連携強化は、アメリカがQDRなどで打ち出してきた方針そのものであります。今回のACSA締結を含め、日豪間の軍事協力の推進は、軍事分担の拡大を求めるアメリカの戦略に沿ったものだということを指摘しておきたいと思います。
日豪ACSAについて、関連してもう一点聞きます。
政府が昨年末閣議決定した新防衛大綱、中期防は、韓国、オーストラリアとの二国間、アメリカを含めた多国間の共同訓練を強化する方針を打ち出しております。これは具体的にどういう訓練をどのような頻度で行っていくことを想定しているのですか。
○松本大臣政務官 お答えいたします。
御指摘のとおり、新防衛大綱では、韓国及びオーストラリアとの二国間及び米国も含めた多国間での協力を強化することとしております。自衛隊が実施する訓練においても、かかる方針に基づき進めてまいりたいと考えております。
これまでの実績でありますが、韓国、オーストラリアとは二国間での訓練を実施しているとともに、米国を含めた多国間訓練に韓国、オーストラリアとともに参加してきておりまして、これまでも、日韓、日豪二国間の訓練における協力関係の強化に努めてきたところであります。
それから、今後の方針でありますが、防衛省・自衛隊としては、これまでの実績を踏まえつつ、新防衛大綱に基づいて、今後、かかる共同訓練についてはその実現に努めてまいる所存でありますが、現時点においては、具体的な訓練の内容やそれから頻度などについては今後検討してまいりたいと考えております。
○赤嶺委員 外務省に聞きますが、歴代政府は、いわゆる第三国人、つまり米軍以外の外国軍隊などによる在日米軍基地の使用は安保条約上認められないとの見解を表明してきました。今後、オーストラリア軍が米軍基地を使用することが懸念されますが、今後もこの見解には変更はないと理解してよろしいですか。
○高橋副大臣 在日米軍施設・区域は、日米安全保障条約第六条及び日米地位協定に基づきまして、日米安全保障条約の目的達成のために米国に使用を認めているものでございまして、オーストラリアを含む第三国の軍隊が訓練のために在日米軍施設・区域を使用するということは認められておりません。このことは、今回の日豪ACSAの締結によって変更されるものではございません。
○赤嶺委員 去年の六月にはもうオーストラリアの空軍の哨戒機が那覇基地に飛来して、日米豪で合同訓練を行っております。那覇基地は今も自衛隊の訓練で騒音が激しくなっている地域であり、今後こうした合同訓練が増大していくことになれば、米軍、自衛隊に加えて第三国の軍隊の訓練によって騒音被害が拡大されかねません。こういうことは絶対に許されないことだと思います。
次に、米軍による事件、事故の問題で、一点、確認いたします。
四月二十一日の委員会で、二〇〇八年八月、うるま市内で米兵が引き起こした交通事故について、米側における処分結果について質問をいたしましたが、米側に照会中との答弁でありました。結果はどうなったか、報告してほしいと思います。
○高橋副大臣 まず、御指摘の事故につきましては、とうとい人命が失われたということで、まことに遺憾でございますし、関係者の皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
二〇〇八年八月に、うるま市で交通死亡事故を起こした米軍人に対する米側の処分結果、先ほど委員御質問ございましたとおりでございますけれども、米側に照会をしておりますが、現段階において、いまだに結果の報告ができる段階にはございません。
実は、懲戒という形になると御本人の承諾が要るということで、外務省の方から米側に問い合わせをずっとしておりますけれども、今の段階で御報告はございません。
○赤嶺委員 前回の委員会からでも約一カ月を超えているわけです。結果を調べるだけなのに、なぜいまだにわからないのか。米側が本人の了解を得る必要がある、こういうことで来ているんですか。
○高橋副大臣 そのとおりでございます。
○赤嶺委員 一方、被害者は、加害行為を行った、家族の命を奪った、そういう犯人に対して、どんな刑事罰を受けたか、あるいは刑事罰ではなく処分であったかということは重大な関心事ですよね。大変な関心事ですよ。
前回の委員会で北米局長は、日米合同委員会の合意によると、米軍人または軍属に対して米側にて裁判が行われた場合の裁判の最終の結果は、日米合同委員会を通じて我が国政府に通報されることになっていると答弁をいたしました。軍事裁判に至らない懲戒処分は基本的に日本政府には通報されない仕組み、そういうことになっているんですか。
○高橋副大臣 刑事裁判ではなく懲戒処分がなされた場合には、さきに述べた日米合同委員会を通じた通報の対象とはなっていないことから、外務省として問い合わせはさせていただいておりますけれども、御報告はございません。
○赤嶺委員 被害者の立場に立ったら、そんなことは絶対に許される話じゃありません。米兵に対して甘い態度をとっているんじゃないかということが常々言われているわけですから、刑事裁判権を奪われて、そのあげくに処分結果さえ基本的に報告されない、これは本当に屈辱的な関係ですよ。
この間、私は何度も報告を求めてきておりますが、アメリカ側が刑事裁判権を行使した米兵犯罪のうち軍事裁判にかけられた件数、これは報告があるはずですからわかるはずです。さらに、懲戒処分とされた件数。それぞれ何件になるのか、過去五年間でいいです、その内訳を明らかにしていただけますか。
○高橋副大臣 委員御指摘の件でございますけれども、米軍人または軍属に対して米側が刑事裁判を行った場合の裁判の最終結果については、一九五三年の日米合同委員会合意に従い、日米合同委員会を通じて我が国政府に通報されておりますけれども、その件数等について明らかにすることは、米国との信頼関係の問題があって、差し控えたいというふうに考えております。
○赤嶺委員 私は委員長にお願いがありますが、米兵のそういう刑事犯罪が裁判にかけられても、日本政府に通報されても、そこどまり。それから、懲戒処分に至っては、報告を求めてもアメリカが報告しない、やみの中なんですね。これで綱紀粛正とか犯罪の根絶とか、とても言えるものではありません。
今私が求めた資料を安保委員会の理事会に提出するよう、強く求めたいと思います。委員長、取り計らいをお願いします。
○平野委員長 後刻理事会で協議をさせていただきます。
○赤嶺委員 これは本当に明らかにしていかなきゃいけない問題だと思います。
五月二十日に、米軍は嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を強行いたしました。九六年のSACO合意では、事故を減らすために伊江島に訓練移転を決定した経緯があるにもかかわらず、嘉手納基地を使った訓練は今度で六回目です。
しかも、今回はこれまでと理由が全く違います。これまでは訓練当日の伊江島の悪天候を理由としていましたが、今回、一八航空団が公表した声明は、伊江島における天候が要因ではない、このようにしております。
これまで外務省は、嘉手納基地での訓練を認める例外的な場合として、定期的でなく少人数であることとあわせて、伊江島の気象条件を挙げてきました。今回の伊江島の天候が要因でないとする米側の立場、これを外務省は認めるんですか。
○高橋副大臣 二十日午後二時半ごろから、嘉手納飛行場所属の合計二十五名が上空からパラシュートで降下する訓練を行って、すべて同飛行場に着地したと承知をしております。
パラシュートの降下訓練につきましては、平成八年のSACO最終報告に沿って、基本的に伊江島補助飛行場が使用されるということになっております。
ただ、自然条件の制約により伊江島補助飛行場がどうしても使用困難な場合には、定期的でない小規模の降下訓練であれば嘉手納飛行場も使用し得るというのが日米両政府の従来からの理解であると考えております。実際、SACO最終報告後十年以上が経過しておりますけれども、先ほど御指摘のあったとおり、嘉手納で行われたのは今回を含め六回でございます。
ただ、米国側によれば、この伊江島の補助飛行場で訓練をしようしようとしてきたときに、ずっと天候が悪くて、何度も中止になったというふうに聞いております。この状況が続いたことから、重要な救難任務の能力訓練を確保するという上で、そして今回、この降下訓練を行った部隊は、全員が今回の東日本被災地への支援にずっと入っていて、しばらく訓練ができなかったということを聞いております。そこで、より安定的に実施することが可能な嘉手納飛行場で例外的に使用せざるを得なかったということでございました。
また、いずれにせよ、我が方からは、改めて、今後とも基本的に伊江島補助飛行場で行うように申し入れております。
○赤嶺委員 トモダチ作戦に参加していた不足を補うと言いますが、友達なら約束を守るのが当たり前ですよ。友達らしくない行動をやって、友達だから許してくれというのは、もう友達の概念が違うんですよ、こうなったら。友達らしく、SACO合意に基づいてちゃんとやるべきだ。
今度の声明は全然違うんですよ。今度の声明は、訓練当日の天候ではなく、いろいろ理由を挙げて、伊江島で訓練できなかった分、今後は嘉手納で補うということですよ。そういうことを認めたら、嘉手納での訓練は恒常化してしまいますよ。
今回の声明の立場は認められないと、外務省は見解をはっきりさせるべきじゃないですか。
○高橋副大臣 先ほど申し上げましたように、これは特例というふうに聞いております。改めて、伊江島補助飛行場で行うように外務省としては申し入れております。
○赤嶺委員 終わります。