「海兵隊は日本を守る『抑止力』ではない」―。日本共産党の赤嶺政賢議員は5月10日、衆院沖縄北方問題特別委員会で、沖縄・米軍普天間基地問題を取り上げ、鳩山由紀夫首相が、同基地の県内「移設」受け入れを求める根拠としている「抑止力論」の欺瞞(ぎまん)性を正面からただしました。
赤嶺氏は、在日米軍は海兵遠征軍、空母打撃群、遠征打撃群―など、海外への展開を任務とする部隊だと指摘。「とりわけ海兵隊は、常時即応態勢をとり、ヘリや上陸舟艇で真っ先に相手陣地に上陸し拠点を確保する『殴りこみ部隊』である」と強調し、「こうした海兵隊がなぜ『わが国への侵略に対する抑止力』なのか」と迫りました。
岡田克也外相は、「自衛隊は攻撃能力がない。それを補うのが米軍。日本の安全、地域の安定のため必要」などと、まともに答えませんでした。
赤嶺氏は、元外務官僚で外交評論家の岡本行夫氏が『文芸春秋』5月号で「沖縄にいる海兵隊は尖閣(諸島)を直接に防衛するわけでない」、「中国が日本に戦争をしかけてくることはない」と指摘している事実をつきつけました。
さらに、北朝鮮の脅威を理由に海兵隊が必要とする主張があるが、北朝鮮と直接「対峙(たいじ)」する韓国でさえ、「米軍再編」の一環で、在韓米軍の削減や海外展開部隊への転換を進めている事実をあげ、「北朝鮮情勢の対応で海兵隊が必要という説明は全くの矛盾だ」と強調しました。
「海兵隊は、国際法違反のイラク戦争、アフガニスタン戦争へ殴りこんだ部隊。その出撃拠点として沖縄をこれからも提供することが正当なのか。岡田外相もイラク戦争は『国際法違反だ』と言っていたではないか」と迫る赤嶺氏。それでも外相は、「多くの選択肢を持ち、状況に応じて最善のものを判断する」などと、はぐらかす答弁に終始しました。(しんぶん赤旗 2010年5月11日)