日本が裁判権を放棄していると疑わざるを得ない米兵事件が相次ぐのは、密約があるためではないか―。日本共産党の赤嶺政賢議員は6日の衆院安全保障委員会で、米兵犯罪への裁判権問題を取り上げ、これまでの日米間の取り決めを検証し、国民に明らかにするよう政府に求めました。
赤嶺氏が取り上げたのは、▽2002年7月に神奈川県横須賀市の賃貸マンションで起きた米兵放火事件▽先月、沖縄県名護市で泥酔した米兵の運転した軍用車両が日本人親子の乗る自動車に追突し、父親と10歳、2歳の男児にけがを負わせた事件。
赤嶺氏は、横須賀市の放火事件について、日本側に第1次裁判権があるのに検察が不起訴処分にし、米軍が軍法会議を開いたことを指摘し、なぜ裁判権を行使しなかったのかとただしました。法務省の西川克行刑事局長は「事件記録がすでに廃棄されている」とし、「不起訴理由について確定的なことを言えない」と答弁。赤嶺氏は「主権にかかわる問題だ。記録が残っていないという説明は許されない」と批判しました。
また、赤嶺氏は名護市の追突事件で、警察が犯人の飲酒検査をしながら事情聴取をせず、米軍の憲兵隊が犯人を基地に連れ帰ったことを指摘。警察庁の石井隆之交通局長が、犯人が私服姿だったことを挙げ、「被疑者と認識することが極めて困難だった」などと答えたため、赤嶺氏は「米軍だからそういう対応になったのではないか」と追及しました。
赤嶺氏は、日本にとって著しく重要な事件以外は第1次裁判権を行使しないという日米密約の存在を指摘し、公表を要求。岡田克也外相は「過去の経緯について検証することは必要だ」と答えました。(しんぶん赤旗 2010年4月7日)