日本共産党の赤嶺政賢議員は4月22日の衆院「海賊対処」特別委員会で、海賊情報を上空から収集するとして政府がソマリア沖への海上自衛隊のP3C哨戒機二機の派遣準備命令を出したことについて、「情報は海賊だけにとどまらない。ソマリア沖で活動している米軍の軍事作戦全体を支援する危険がある」と追及しました。
赤嶺氏は、ソマリア沖に同機を派遣している国がアメリカなど四カ国しかなく、日本の派遣命令が世界でも突出していると批判。「『海賊対処』を目的に派遣したとしても、実際には海賊にとどまらない情報を収集できる。その情報を米軍に提供するのか」とただしました。
浜田靖一防衛相は「情報は他国の艦船に流すことになる」と、米軍に情報提供することを認めました。
赤嶺氏は、米軍がインド洋・アデン湾の海域で、海賊対処だけでなく「対テロ戦争」やソマリアへの軍事介入などを行ってきたと指摘し、「P3C派遣は、この海域で活動する米軍の軍事作戦の全体を支援することになる」と迫りました。
また赤嶺氏は、日本がP3Cを派遣することによって、ソマリア沖で活動する米軍のP3Cがアフガニスタンの陸上偵察に回される可能性があることを告発。「自衛隊の活動は、『警察活動』どころか『戦争支援』そのものになる」と批判し、「海賊対処」派兵新法案の廃案を求めました。
きょう衆院採決の構え
「海賊対処」特別委員会の深谷隆司委員長は二十二日の理事会で、「海賊対処」派兵新法案の採決を二十三日に行うことを職権で決めました。与党は同日午後の本会議で同法案を緊急上程し、衆院通過を図る構えです。
日本共産党の赤嶺政賢議員は理事会で、「審議が尽くされていない論点はいまだ多く残されており、徹底審議が必要だ」と主張。委員長の採決提案の強行にきびしく抗議しました。社民党も採決強行に反対しました。
民主党は採決に反対しましたが、採決に先立って同党が提出する「海賊対処」法案の趣旨説明を二十三日の委員会で行いたいと要求。委員長も認めました。
これに先立ち、自民、民主両党の特別委筆頭理事が同法案の修正協議を水面下で行いましたが、不調に終わりました。(2009年4月23日(木)「しんぶん赤旗」)