衆院「海賊対処」特別委員会は4月21日、「海賊対処」派兵新法案について参考人質疑を行い、日本船主協会の前川弘幸会長、日本船長協会の森本靖之会長、全日本海員組合の藤沢洋二組合長、水島朝穂早稲田大学教授が意見を述べました。
水島氏は、同新法案について、「憲法九条を持つ日本として、自衛隊で制圧にかかることは筋が通らない」と述べ、「海賊のつきまといに武器使用が可能となることは、『任務遂行』射撃を事実上定着させる第一歩となり得る。後に(自衛隊)海外派遣恒久法にこの法的枠組みをスライドしていくことが危惧(きぐ)される」と批判しました。
日本共産党の赤嶺政賢議員は、各国の軍事的対応にもかかわらず海賊事件が増加していることや、「世界中の海軍の艦船をすべてソマリア沖に集めても問題は解決しない」との米国防総省報道官の発言を紹介し、「軍隊の警護活動で(海賊)問題を解決できる見通しはあるのか」と見解を問いました。
この質問に「海上輸送の安全」の立場からソマリア沖への海上自衛隊派兵を肯定・支持する参考人らも、「根本的解決には、もっと別な取り組みが必要だ」(前川氏)、「力でねじ伏せるのが正しいやり方とは思わない。ソマリア、アフリカが貧困から脱出するのが一番いい」(森本氏)、「ソフトパワーで日本が国連を中心にして、いろいろな活動の展開を並行していくことも必要だ」(藤沢氏)と答えました。(2009年4月22日(水)「しんぶん赤旗」)