自民、公明両党は4月10日の衆院外務委員会で、在沖縄米海兵隊のグアム「移転」協定の採決を強行し、両党の賛成多数で可決しました。民主党は反対したものの、採決自体は容認。日本共産党は反対し、笠井亮議員が反対討論に立ちました。協定は、米国領土に日本国民の税金二十八億ドルをつぎ込んで米軍基地を建設する世界に類例のない屈辱的な内容です。沖縄・名護市辺野古沖への新基地建設が「条件」となっており、「基地の苦しみからの解放を求める県民の願いを踏みにじるもの」(笠井氏)です。
採決に先立つ質問で、日本共産党の赤嶺政賢議員は「沖縄の米軍基地は、県民の土地を強奪してつくったものだ。その土地の返還に新基地建設などの条件をつけるなど到底許されない」と批判。麻生太郎首相にグアム協定の撤回を強く迫りました。
赤嶺氏は、第二次世界大戦末期に沖縄に上陸した米軍が住民を収容所に囲い込んで基地を建設したうえ、戦後は「銃剣とブルドーザー」で県民の土地を強奪した歴史を切々と訴え。自らの少年時代の体験をおりまぜ、「米軍は六十四年間、県民に何の補償をすることもなく、沖縄に居座り続けてきた」と告発し、グアム協定は「沖縄をめぐる屈辱外交だ。日本の財政負担には一片の道理もない」と迫りました。
麻生首相は「お気持ちはわかる」とのべつつ、「グアム移転で沖縄の負担が軽減される」と根拠なく繰り返し、アメリカいいなりの姿勢に終始しました。
赤嶺氏は「美しい海を破壊する新基地建設をパッケージでおしつけ、グアムでの米軍基地建設まで負担する協定は到底容認できない」と批判しました。(2009年4月11日(土)「しんぶん赤旗」)
名護新基地に3千500億円
笠井議員追及 政府、初めて明かす
米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わるキャンプ・シュワブ(同県名護市辺野古)沿岸部へのV字形滑走路の新基地建設費について、防衛省の井上源三地方協力局長は4月10日の衆院外務委員会で、「少なくとも三千五百億円以上」との見通しを明らかにしました。日本共産党の笠井亮議員の質問に答えたもの。
政府が二〇〇六年五月の在日米軍再編「ロードマップ」に基づく名護の新基地建設費の見積もりを示したのは初めてです。
一九九六年のSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意に基づく旧計画(辺野古沖の埋め立て=計画中止)で、政府は建設費約三千三百億円と説明していましたが、これを上回る金額です。
米軍再編に伴う日本側負担分の総額について、米側は三兆円近い金額を示しています。(2009年4月11日(土)「しんぶん赤旗」)