国会質問

質問日:2013年 4月 13日  第183国会  海賊テロ特別委員会

2013年4月3日 第183国会 衆議院海賊テロ特別委員会

議事録

○赤嶺委員

 日本共産党の赤嶺政賢です。

 両大臣におかれましては、昨日の安保委員会でも議論を交わしたところでありますが、きょうはテーマをかえまして、対テロ戦争の検証の問題、これらについて、両大臣にお聞きしていきたいと思います。

 それで、先月の二十日、イラク戦争の開戦から十年がたちました。一昨日の新聞報道では、米軍による熾烈な軍事掃討作戦の場となった中部ファルージャで、非常に高い確率で子供の先天性異常が確認されていることが報じられていました。両手足の指が六本ずつある七歳の子供の写真が載っておりました。子供たちの毛髪からは、健常児に比べて数倍の鉛や水銀が確認されているとの調査結果も紹介をされておりました。改めて、この戦争がイラク社会にもたらした重大さを痛感したところであります。

 十年前、当時の小泉内閣は、開戦を支持し、その後、自衛隊をイラクに派遣し、米軍によるイラク占領を支援いたしました。しかし、戦争の最大の根拠とされた大量破壊兵器は発見されず、国際テロ組織アルカイダとの関係についても否定されました。

 外務大臣に伺いますが、今振り返って、開戦を支持し、占領を支援した当時の政府の判断について、どのような認識をお持ちですか。

 

○岸田国務大臣

 まず、イラク戦争につきましては、これは前政権の時代の話ですが、外務省内で、昨年十二月に、検証を行った上で、この検証の主なポイントを発表したと承知をしております。

 この発表で指摘をされている情報収集・分析能力の強化といった外交力強化に向けた課題については、今後、適切に取り組んでいきたいと思っていますし、また、イラクの大量破壊兵器が確認できなかった、この事実につきましては、厳粛に受けとめる必要があると考えております。

 そして、その後の復興における我が国の支援ですが、我が国は、自衛隊による人的貢献、ODAによる支援、さらには、さまざまな外交努力を通じてイラクの復興支援を主体的に支援しております。これらの取り組みは、イラク政府、国民からも高い評価を得ていると認識をしております。

 今後とも、この中東地域の平和と安定に、我が国としても積極的にかかわっていかなければならないと認識をしております。

 

○赤嶺委員

 イラク戦争開戦を支持したのは当時の小泉内閣、自公政権でありました。有志連合が次々とアメリカと一緒になってイラクに侵略戦争を行う。日本がサマワに復興支援をやったとはいえ、一方で、航空自衛隊は、米軍の兵士もバグダッドに運んでいたわけであります。占領軍の一員として日本政府がイラクで活動した、この問題については極めて重要だということを私は申し上げておきたいと思います。

 ただ、去年の民主党政権のイラク戦争に関する検証結果、「イラクに大量破壊兵器が存在しないことを証明する情報を外務省が得ていたとは確認できなかった。」ということで、情報収集能力を強化することなどを指摘しているわけです。

 しかし、情報収集が足りなかったことに誤りの原因があるわけではありません。当時、大量破壊兵器が存在しないという情報を得ていた国はなかったはずです。

 問題は、国際社会の圧倒的多数の国々が疑いを持ちながら査察の継続を求めていた中で、なぜ日本が開戦を支持していたかというこの点は検証されなければなりません。この点をきちんと検証しない限り、今後も同じことが繰り返されていくのではありませんか。いかがですか、外務大臣。

 

○岸田国務大臣

 イラク戦争のこの検証については、先ほども申し上げさせていただきましたが、イラクの大量破壊兵器が確認できなかったという事実、このことについては、事後的に、厳粛に受けとめなければならないと認識をしております。

 こうした検証の結果のポイントを受けて、我が国としても今後の外交にしっかりと生かしていかなければいけない、これは当然のことだと思っています。ぜひこの検証のポイントで示された点については、しっかりと受けとめて、今後に生かしていきたいと考えています。

 

○赤嶺委員

 民主党政権時代の検証の結果というのは、あの戦争の性格が間違っていたにもかかわらず、先制攻撃戦争であったにもかかわらず、いち早く日本政府が支持し、そして自衛隊を送ったというところにまで踏み込んでの検証は何もないんですね。だから、そういうところまで踏み込んで検証しないと、過ちを繰り返すのではないかということを私は申し上げているわけであります。

 何で今このようなことを申し上げるかといいますと、決して過去の問題ではないからです。今に引き続く問題だと思います。

 イラク戦争の大もとにあった考え方が、いわゆるブッシュ・ドクトリンでした。当時のブッシュ米大統領は、二〇〇二年の国家安全保障戦略で、必要な場合には単独で先制的に行動することも辞さない、このように明記をいたしました。国連安保理の決定に基づく集団措置または武力攻撃が発生した場合の自衛権行使を除き、武力行使一般を禁じた国連憲章の原則との関係で、これは大きな議論になりました。

 その後、オバマ政権のもとで、国際社会との連携が強調され、イラク、アフガニスタンからの米軍の撤退が進められてきました。しかし、その一方で、ブッシュ政権以来のこの戦略を、根本的に変更はあったのか、それとも放棄されたのか、この点については明確にされていません。

 外務大臣はどのような認識をお持ちですか。

 

○岸田国務大臣

 先ほどの議論を聞いておりまして、まず、我が国がイラク戦争において武力行使を支持するに至った当時の問題の核心は、クウェートに侵攻して国際社会の信用を失っている中、査察への協力を通じて大量破壊兵器の破棄をみずから証明すべき立場にあったイラクが、即時無条件の査察受け入れを求める安保理決議に違反し続け、そして、大量破壊兵器が存在しないことをみずから積極的に証明しなかったということであります。この点をしっかりと強調しておかなければならないと存じます。

 そして、御質問として、アメリカのこの戦略について御指摘がありました。

 アメリカの戦略の真意について、ちょっと私も申し上げる立場にはありませんが、こうした国際情勢については、引き続き大きな関心を持って、しっかりと見ていきたいと考えております。

 

○赤嶺委員

 イラクが査察を受け入れればよかったんだと。しかし、国際社会に参加している国はイラクが査察を国際社会の力で受け入れるまで継続しようという議論の中で、査察を打ち切って、先制攻撃、戦争に踏み切った。小泉首相は、アメリカが攻撃を開始するのであれば武力行使を支持すると言った。これは、紛れもなく侵略戦争への加担でありますし、大きな過ちであります。

 オバマ政権のもとでのそういう先制攻撃戦略についてもうちょっと伺っていきたいんですが、オバマ政権のもとで二〇一〇年に出された国家安全保障戦略では、武力行使に対する考え方を記述した箇所で、必要な場合には単独で行動する権利を保持しなければならない、このように明記しています。

 ことし二月の報道では、オバマ政権が、外国からサイバー攻撃を受ける確証を得た場合には、有害なコンピュータープログラムを送り込んだり、遠隔地のコンピューター網に侵入したりして先制攻撃を命令できるとする、こういう政策をまとめたと報じられております。

 形を変えて、ブッシュ政権以来のいわゆる先制攻撃戦略の根幹は維持されてきていると思いますが、外務大臣はいかがですか。

 

○岸田国務大臣

 御指摘の指摘等につきましては、我が国として引き続き大きな関心を持って注視していきたいとは思いますが、米国のこの戦略の真意について、私の立場から申し上げる立場にはないと考えております。

 

○赤嶺委員

 アメリカの戦略とかかわってですが、アメリカの国内外で大きな問題になっているのが無人機による空爆であります。

 圧倒的な軍事技術を背景にして、相手の攻撃を受けないで、米国内の基地から操縦し、パキスタン、アフガニスタン、イラク、イエメン、ソマリアなど世界各地で、テロリストを狙ったいわゆる標的殺害を繰り返しております。パキスタンでは、四百人とも八百人とも言われる民間人が巻き添えになって死亡したと報じられております。他国の主権を侵害し、多くの市民を巻き添えにしている、こういう国際社会の批判を踏まえて、ことし一月から国連が調査を開始いたしました。

 外務省に確認しますが、アメリカ政府は、こうした無人機による攻撃の国際法上の根拠についてどのような説明を行っているんですか。

 

○伊原政府参考人

 まず、いわゆる無人航空機については、その保有あるいは使用を禁止する条約というのは存在しておりません。

 一方で、アメリカ政府は、この無人機によるものも含めまして、米国の軍事作戦は、関係法規、例えば戦時国際法といった法規でございますけれども、関係法規に従って行われているということを対外的にも説明してきております。

 

○赤嶺委員

 アメリカ国務省のホームページによりますと、同省のハロルド・クー法律顧問は、二〇一〇年三月に行われたアメリカの国際法学会において、アメリカが今なおアルカイダとタリバンその他の関連組織との武力紛争下にあり、国際法上の固有の権利である自衛権に沿って武力の行使が可能との見解を示しています。

 本来、自衛権行使の三要件に照らして極めて限定的に捉えられるべき自衛権が、十年以上にわたり、アフガニスタンだけでなく、世界各地で実行している空爆の根拠とされているのであります。

 外務大臣、こうした米軍の無人機による軍事攻撃、これについてどのような見解を持っているか、そして、こういう自衛権の解釈を認めるんですか、それとも認めないのか、これはいかがですか。

 

○岸田国務大臣

 まず、先ほども政府参考人から御説明させていただいたように、無人航空機については、その保有、使用を禁止する条約は存在いたしません。

 他方、これは一般論ですが、武力紛争における戦闘の方法及び手段は国際人道法によって規制されており、無人航空機が武力紛争において使用される場合も、同様に国際人道法の適用を受けるということ、これは当然のことだと認識をしております。

 その上で、米政府は関連法規に従っていると説明をしているわけですが、米国のオペレーションの詳細について、我が国は当事者ではありません。また、米国による行動の具体的な態様について承知する立場ではありませんので、確定的な法的な評価についてコメントすることは、私の立場からはできないと思っております。

 

○赤嶺委員

 私は、外務大臣、それは違うと思うんですよ。アメリカが何を考えているか日本がわからない、こういうことを言える立場に日本はないと思いますね。

 政府が今検討しているのは、集団的自衛権行使の容認に向けて、有識者を再び集めて、検討を開始いたしました。四類型でいいのかを含めて検討する、このように言っております。

 当のアメリカは、事実上、恒久的に、イラク戦争から十年たって、アルカイダやタリバンとの戦争を自衛権で説明している。事実上、恒久的に自衛権を行使し、現に各地で攻撃を実行しているわけです。このようなアメリカとの集団的自衛権行使が極めて危険なものであることは明らかだと思います。

 防衛大臣への質問も予定していたんですが、時間がちょっと来ましたけれども、そういう危険なアメリカの、十年間も自衛権を主張している、そういう国との集団的自衛権、危険じゃないかということについて、防衛大臣のお考えを聞かせてください。

 

○小野寺国務大臣

 集団的自衛権のことにつきましては、現在、政府で安保法制懇等の考え方を聞くという姿勢をとっていらっしゃると伺っております。この案件につきましては、官房長官を中心に今議論されていると伺っております。

 

○赤嶺委員

 終わります。

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