田村政策委員長、政府対応を批判
日本共産党の田村智子政策委員長は22日、国会内で記者会見し、新型コロナウイルスの感染急拡大が進むもとで、岸田文雄首相あてに党国会議員団の「新型コロナ感染症『第7波』から、国民のいのちを守るための緊急要請」を提出したと発表しました。
首相宛て提出
緊急要請は、オミクロン株BA.5系統等の変異株への置き換わりの影響もあり、経験のない感染急拡大となっていると指摘。発熱外来はパンク状態になり、医療や保健所が崩壊しかねない事態だとして、いのちを守る対策が急務だと強調しました。
その上で、(1)発熱外来の体制、高齢者施設等での頻回検査、無料PCR検査の抜本強化(2)医療全体の体制強化、臨時的医療施設・療養施設が機能する対策(3)保健所の抜本的な機能強化支援(4)必要とする人への円滑なワクチン接種の促進(5)空港検疫の抜本強化(6)なりゆきまかせの対応を改め、BA.5系統への対策の明確化―の六つの柱で対策を求めています。
田村氏は会見で、「この間の政府の対応について、反省を求めることが必要だ」と強調。季節性インフルエンザと危険性が変わらないとの議論があるものの、高齢者の重症化率、致死率はインフルエンザよりかなり高いと専門家からも指摘され、変異株への警戒も必要だとして「根拠のない過小評価にはくみするべきではない」と語りました。
また、政府が6月から入国制限を緩和し、入国時の検査も1日1万件から1日数百件に減少させ、水際対策を「ないに等しい」状態にしたと指摘。一方、第7波に備えるべきときに医療・検査・保健所体制の抜本強化を行うどころか、新型コロナ対応の診療報酬さえ減額させたと批判。死者数も緊急搬送困難事例も過去最悪となった第6波の対応への真摯(しんし)な反省に立ち、医療・検査・保健所体制の強化に取り組むべきだとして「第7波で、いのちを守る危機感を持って対策を行うべきだ」と述べました。(しんぶん赤旗 2022年7月23日)
新型コロナ感染症「第7波」から、国民のいのちを守るための緊急要請
日本共産党国会議員団
日本共産党国会議員団が22日、岸田文雄首相あてに提出した「新型コロナ感染症『第7波』から、国民のいのちを守るための緊急要請」は次の通りです。
新型コロナは、オミクロン株BA.2系統から、さらに感染力の強いBA.5系統等の変異株への置き換わりの影響もあり、経験のない感染急拡大となっている。発熱外来がパンク状態となり、自主的な抗原検査で陽性となっても受診できず、健康観察も行われない事態が多発している。医療や保健所が崩壊しかねず、国民のいのちを守る対策が急務である。
季節性インフルエンザと危険性が変わらないとの議論があるが、高齢者の重症化率・致死率はインフルエンザよりもかなり高いと指摘されており、かつ変異株への警戒も必要であり、政府は根拠のない過小評価に与するべきではない。
政府は、6月から入国制限と空港検疫を大幅に緩和し、入国時検査数も1日=1万件から1日=数百件に減少させ、水際対策を「ないに等しい」状態とした。海外からのBA.5の流入が一気に進んだと考えられる。その一方で、「第7波」に備えた医療・検査・保健所の抜本的な体制強化を行うどころか、医療機関に対して、新型コロナ対応の診療報酬さえ次々と減額させている。
そもそも「第6波」で、救急搬送困難事例は過去最多、死者数も1万人超という最悪の事態となったことを直視するならば、これまでの対応への真摯(しんし)な反省のうえに、医療・検査・保健所等の体制強化に真剣にとりくむべきである。「第7波」から国民のいのちを守るために、危機感をもって以下の対策を行うよう強く要請する。
1、発熱外来の体制、高齢者施設等での頻回検査、無料PCR検査を抜本的に強めること
――二次感染防止と早期治療のために、発熱外来の崩壊をなんとしても止めなければならない。発熱外来の箇所数を増やすための財政的措置、臨時検査センター設置と医師・看護師の派遣など、必要なあらゆる手だてを講ずること。
――抗原検査キットの結果が陽性であれば、自治体の判断で新型コロナ患者としての対応が可能だが、現場ではそうなっていない。自治体に対応を促すとともに、医療機関、国民に周知し、早期に健康観察や在宅治療等が行われるよう運用改善すること。
――高齢者等への感染を防御するために、医療機関、高齢者施設、障害者施設などで、頻回PCR検査を全額国負担で行うこと。
――無料PCR検査体制を抜本的に強化し、必要とする人がすぐに検査を受けられるようにして、検査・保護によって新規感染者数をできる限り抑制すること。抗原検査キットを事業所、学校、保育所などを通じて国民全体に配布し、風邪症状のある場合の積極的な活用を呼びかけること。
――濃厚接触者となった医療従事者・介護職員・福祉職員が業務を続けるために行う検査は、全額国負担とすること。
2、医療全体の体制強化、臨時的医療施設・療養施設が機能するよう対策を講ずること
――発熱外来、入院治療、在宅治療、健康観察、回復者の療養、後方支援医療、救急医療など、地域医療機関の全体の強化と連携が緊急に求められる。新型コロナ対応に限定せず、医療機関への財政支援を強化すること。
――今年度の診療報酬マイナス改定、また新型コロナ対応の診療報酬の段階的減額は、医療機関の体制強化に逆行しており、早急に見直すこと。10月以降の病床確保料など、新型コロナ感染症緊急包括交付金の継続を早急に示すこと。
――臨時的医療施設の確保とともに、それが機能するように医師・看護師の確保・派遣を早急に強化すること。
3、保健所の抜本的な機能強化を支援すること
――保健所の正規・常勤の人員増、施設・設備の拡充を行うための財政支援策を講じること。保健師の積極的派遣やIHEATの拡充による広域的な人材派遣など、現場への支援を緊急に強化すること。
――2年以上にわたって保健所のひっ迫状態が解決されないまま、より大きな感染の波が起きている。自治体の他部署からの応援には限界がある。保健所の箇所数を増やすことも含めて、保健所の抜本的な体制強化に本格的にとり組むこと。
4、ワクチン接種について、必要とする人への接種が円滑に進むよう対策をとること
――中・若年層のワクチン3回目接種の促進のため、ワクチンの有効性・安全性について情報発信を国が前面に立って行うこと。
――4回目接種の有効性・安全性の情報提供を行うこと。医療従事者、介護職員等に加え、必要とする人が安全・迅速に接種を受けられるよう情報提供、ワクチンの調達・配分を進めること。
――ワクチンに対する信頼を高めるためにも、接種後の有害事象について、原因の徹底究明を行うこと。因果関係が明確に否定される事例以外は、速やかに補償・救済を行うこと。
5、空港検疫を抜本的に強化し、まともな水際対策を行うこと
――1日に2万人を超える入国者に対し、検査は数百件しか行われておらず、変異株・亜系統への水際対策はないに等しい。海外の感染状況を踏まえ機敏に対応するよう検疫の方針をあらため、体制の強化をはかること。
――BA.2.75などの新たな変異株の流入をできる限り遅らせるよう、監視体制を強化すること。
6、なりゆきまかせの対応をあらため、BA.5系統への対策を明確に示すこと
――「第6波」でもオミクロン株の特性を踏まえた「全般的な対応方針」が求められたが、いまだ政府の対策が示されていない。BA.5感染拡大がどのように推移すると見込まれるのか、医療機関の現状、それらを踏まえたパッケージでの感染症対策を、早急にまた随時、国民に対して発信し、丁寧に説明を行うこと。
――感染対策として換気がきわめて重要であることを、効果的な換気方法と合わせて、すみやかに社会全体、各業界、各機関に周知徹底すること。「介護現場における感染対策の手引き」や業種別ガイドラインを速やかに改善し、周知徹底すること。事業者に対して、換気施設・資材への財政的支援を行うこと。
――夏の帰省・観光について、どのような対策を講ずるのか、専門家や医療関係者の知見をふまえて、政府の方針を示すこと。事業者への影響に対して給付金等の支援策を講ずること。