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コロナ封じ込めのため大規模検査を

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志位委員長が政府に緊急要請

 日本共産党の志位和夫委員長は12日、菅義偉首相に対し、新型コロナウイルス感染症封じ込めのために大規模な検査を行うよう緊急に要請しました。志位氏が、西村康稔経済再生担当相と会談し、要請書を手渡しました。田村智子政策委員長が同席しました。

 要請書は、新規感染者数の減少の下げ止まりが顕著であり、感染力が強いとされる変異株の流行が懸念されるなど感染再拡大(リバウンド)の危険があることを指摘。新規感染者数が一時期よりは減少し、検査能力に余裕ができている今こそ、コロナ封じ込めのため、無症状感染者を発見・保護するPCR等検査を思い切って大規模に実施することが必要だとして、次の3点を求めています。

 (1)高齢者施設等への社会的検査を医療機関、障害福祉施設などにも広げ、職員に対し頻回・定期的(週1回程度)に行い、対象を利用者にも広げ、感染防御をはかること、(2)モニタリング検査を「1日10万」の桁で大規模に行い、感染封じ込めをはかること、(3)変異株の疑いを確認する検査の割合を大幅に引き上げること―です。

 志位氏は、社会的検査については、高齢者施設等を防御するうえでは、職員に対して週1回程度で頻回・定期的に行うことが必要だとして、保育園などにも広げていくことを要望しました。

 モニタリング検査については、政府の基本的対処方針に盛り込まれたものの、13都府県で「1日1万件をめざす」(政府方針)では少なすぎると指摘。無症状感染者への検査の陽性率は約0・05%から0・1%とされ、1県あたり1日800件程度の検査では数値になって表れないと述べ、「これでは感染拡大の兆候や感染源を探知することは到底できない。10倍以上の規模に引き上げを」と求めました。

 変異株については、神戸市が3月4日までの1週間に陽性者の約69%を対象に行った調査で、変異株の割合が約39%だったことを指摘。政府の方針では、陽性者の5~10%を対象に変異株かどうかを確認するとしているが、国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授も「調べる検体を最低でも50%まで上げないと実態はつかめない。体制をもっと強化しないと、気づいた時には変異株がまん延している事態になる」と述べていることに触れ、「5~10%では到底とらえきれない。変異株のサーベイランス(調査・監視)の抜本的増強を」と要求しました。

 要請書を受け取った西村氏は、「感染が落ち着いたこの時期に検査体制を強化することが大事」と発言。社会的検査については、専門家から頻回・定期的にという提言も受けているとして「私も頻回でやっていく方がいいと思っている。厚労省に提言をしっかり伝える」と応じました。

 モニタリング検査については、「1万件をめざしているが、その後も状況を見ながら増やしたい。1万で止めるということではない」と回答。変異株への対応については「全数検査を行っている自治体もある。(政府の陽性者の5~10%を対象とするという方針は)できるだけ引き上げていく」と述べました。

 要請後の会見で志位氏は「政府も無症状者に焦点を当てるという方針にようやく踏み出したが、踏み出し方がまったく足りない。感染を比較的抑えている今の時期にこそ、封じ込めのための大規模検査をしっかりやることを強く求めたい。それを怠ったら、『変異株による第4波』が起こることにもなりかねない。全国各地から社会的検査、モニタリング検査を大規模に実施せよと求める運動を起こしたい」と述べました。(しんぶん赤旗 2021年3月13日)

 

 

緊急要請 コロナ封じ込めのための大規模検査を

2021年3月12日 日本共産党幹部会委員長 志位和夫

 日本共産党の志位和夫委員長が12日、西村康稔経済再生担当相に手渡した菅義偉首相あて「緊急要請 コロナ封じ込めのための大規模検査を」の全文は次の通りです。


 政府は、首都圏1都3県について緊急事態宣言の再延長を決定したが、宣言を解除した地域を含めて感染の下げ止まりは顕著であり、感染再拡大(リバウンド)の危険性をはらんだ緊迫した状況が続いている。とくに、この間、感染者に占める高齢者の割合が高止まりし、病床の逼迫(ひっぱく)と死者数の増加が続いていることは重大である。感染力の強い変異株の流行も重大な懸念要素である。ワクチンはコロナ収束にむけた有力な手段だが、順調に進んでも、社会全体で効果が表れるには一定の時間を要するとされ、ワクチン頼みになってはならない。

 現状を打開するため、あらゆる手だてをとることが必要だが、なかでも、無症状感染者を発見・保護するためのPCR等検査を抜本的に拡充することは急務である。

 政府は、3月5日に改定した基本的対処方針に、高齢者施設に対する社会的検査とともに、「再度の感染拡大の予兆や感染源を早期に探知するため、幅広いPCR検査等(モニタリング検査)やデータ分析を実施する」と、新たに明記した。

 無症状者に焦点をあてた「幅広いPCR検査」の実施が明記されたことは一歩前進だが、「1日1万件程度をめざす」とするなど規模がきわめて小さいなどの問題点がある。「感染拡大の予兆や感染源を早期に探知」というのであれば、感染を封じ込めるため、文字通りの大規模検査の実施に舵(かじ)を切ることが必要である。

 全国で実施されているPCR検査数は、1月半ばの1日9万件から、現在、半分程度にまで減少している。これまでも新規感染者数の減少にともなって検査数を減らしてしまったことが、次の感染拡大の波を招く一因となった。そうした悪循環を繰り返してはならない。新規感染者数が減少し、検査能力に余裕ができている今こそ、コロナ封じ込めのための大規模検査を行うべきである。

 この立場から、以下、緊急に要請する。

1、社会的検査を高齢者施設とともに医療機関・障害福祉施設などにも広げ、職員に対して頻回・定期的に行い、対象を利用者にも広げ、感染防御をはかること。

 この間、高齢者施設・医療機関でのクラスターが引き続き各地で多発し、感染を下げ止まらせる一番の要因となっている。

 政府は、「高齢者施設職員に対する定期的検査」を打ち出し、「3月末までに約3万の施設」で検査を行うとしているが、それらはいまだに都道府県への「要請」にとどまっている。検査を何回実施するか、入所者を対象とするのか、医療機関や障害福祉施設を対象に含めるかなどは、すべて各自治体の「計画」任せで、検査の着実な実施に、国が責任を負っていないことは大きな問題である。感染者数の下げ止まりを打開し、高齢者のいのちと医療体制を守るために、政府は、自治体任せでなく自ら目標と計画を持ち、初めから全額国庫負担で、高齢者施設等の防御に責任を果たすべきである。

 ●国の事業として、高齢者施設の職員への検査を頻回・定期的に行い、検査対象を新規入所者等にも広げることを求める。

 ●医療機関、障害福祉施設に対しても、職員への検査を頻回・定期的に行い、検査対象を入院患者・入所者等にも広げることを求める。保育園等についても、同様の措置を広げていくべきである。

2、モニタリング検査を「1日10万」の桁で文字通り大規模に行い、感染封じ込めをはかること。

 国が設定する全国で「1日1万件」というモニタリング検査の規模は、あまりに少なすぎる。かりに、政府が対象地域としている13都道府県で実施した場合、検査数は1県当たり1日1000件未満にすぎない。これでは、「感染拡大の予兆」「感染源」の早期探知など到底おぼつかない。

 ●本気で「感染拡大の予兆」「感染源」をとらえるというのであれば、検査件数を「1日10万」の桁に引き上げることが必要である。13都道府県を中心に、全国の都市部等で、対象とする集団・地域を文字通り「幅広く」設定し、協力を求め、希望する人すべてに対してPCR検査を実施することを求める。

 ●「感染拡大の予兆」「感染源」を探知した集団・地域に対して、十分な補償と一体に感染防止対策を行い、感染封じ込めをはかる。

 ●大規模検査を、医療機関や保健所の負担を増やさずに実施するため、民間検査機関への委託をさらに進める。全自動PCR検査トレーラーの購入・活用など、思い切った検査実施体制の拡充をはかることも必要である。

3、変異株の疑いを確認する検査の割合を大幅に引き上げること。

 感染力が強いとされる変異株の感染事例、クラスターの発生が、各地で報告されている。国は、全陽性者の5~10%の検体を目途に、変異株の疑いを確認するPCR検査を行う方針をとっているが、専門家からもこれでは不十分だとの指摘がなされている。神戸市では2月、市独自に新規陽性者の60%に変異株の有無を調べるPCR検査とゲノム解析が行われ、15%超の検体から変異株が検出された。

 ●政府の責任で変異株の疑いを確認するPCR検査の実施割合を、神戸市が行っているような水準まで大幅に引き上げ、変異株感染患者の早期探知と感染状況の把握を急ぐべきである。

 ●変異株の検査・解析を行う自治体の体制整備を国が支援するとともに、大学や民間研究機関の協力を組織することも必要である。

 コロナ封じ込めのための大規模検査を行う場合、接触者の追跡を専門に行うトレーサーの大幅増員、保健所の人員・体制の抜本的な拡充が必要である。ホテル等を借り上げた宿泊・療養施設の整備とそこへの医療スタッフの配置に国が責任を持ち、健康観察やケアの提供に万全を期すことも不可欠である。保護された人の生活を国が保障する措置も求められる。

 政府が、まさに今、コロナ封じ込めのための大規模検査の戦略を持ち、実行することを、重ねて強く求める。

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