【訴訟】2015年10月14日 沖縄防衛局が、国土交通相に対し、取り消し無効の審査請求および執行停止を申し立て

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【行政法研究者の声明】
辺野古埋め立て承認問題での行政法研究者有志の声明

2015年10月23日
行政法研究者有志一同

周知のように、翁長雄志沖縄県知事は去る10月13日に、仲井真弘多前知事が行った辺野古沿岸部への米軍新基地建設のための公有水面埋め立て承認を取り消した。これに対し、沖縄防衛局は、10月14日に、一般私人と同様の立場において行政不服審査法に基づき国土交通大臣に対し審査請求をするとともに、執行停止措置の申し立てをした。この申し立てについて、国土交通大臣が近日中に埋め立て承認取り消し処分の執行停止を命じることが確実視されている。

しかし、この審査請求は、沖縄防衛局が基地の建設という目的のために申請した埋め立て承認を取り消したことについて行われたものである。行政処分につき固有の資格において相手方となった場合には、行政主体・行政機関が当該行政処分の審査請求をすることを現行の行政不服審査法は予定しておらず、かつ、来年に施行される新法は当該処分を明示的に適用除外としている。したがって、この審査請求は不適法であり、執行停止の申し立てもまた不適法なものである。

また、沖縄防衛局は、すでに説明したように「一般私人と同様の立場」で審査請求人・執行停止申立人になり、他方では、国土交通大臣が審査庁として執行停止も行おうとしている。これは、一方で国の行政機関である沖縄防衛局が「私人」になりすまし、他方で同じく国の行政機関である国土交通大臣が、この「私人」としての沖縄防衛局の審査請求を受け、恣意(しい)的に執行停止・裁決を行おうというものである。

このような政府がとっている手法は、国民の権利救済制度である行政不服審査制度を乱用するものであって、じつに不公正であり、法治国家にもとるものといわざるを得ない。

法治国家の理念を実現するために日々教育・研究に従事している私たち行政法研究者にとって、このような事態は極めて憂慮の念にたえないものである。国土交通大臣においては、今回の沖縄防衛局による執行停止の申し立てをただちに却下するとともに、審査請求も却下することを求める。

呼びかけ人

  • 岡田正則(早稲田大教授)
  • 紙野健二(名古屋大学教授)
  • 木佐茂男(九州大教授)
  • 白藤博行(専修大教授)
  • 本多滝夫(龍谷大教授)
  • 山下竜一(北海道大教授)
  • 亘理 格(中央大教授)

賛同者

  • 浅川千尋(天理大教授)
  • 荒木 修(関西大准教授)
  • 石崎誠也(新潟大教授)
  • 和泉田保一(山形大准教授)
  • 礒野弥生(東京経済大教授)
  • 磯村篤範(島根大教授)
  • 稲葉一将(名古屋大教授)
  • 井上禎夫(福岡大准教授)
  • 岩崎恭彦(三重大准教授)
  • 碓井光明(明治大教授)
  • 大沢 光(青山学院大教授)
  • 大田直史(龍谷大教授)
  • 大貫裕之(中央大教授)
  • 岡崎勝彦(愛知学院大教授)
  • 長内祐樹(金沢大准教授)
  • 折登美紀(福岡大教授)
  • 垣見隆禎(福島大教授)
  • 梶 哲教(大阪学院大准教授)
  • 門脇美恵(名古屋経済大准教授)
  • 川合敏樹(国学院大准教授)
  • 川内 劦(広島修道大教授)
  • 岸本大樹(北海道大教授)
  • 北見宏介(名城大准教授)
  • 木藤伸一朗(京都学園大教授)
  • 久保茂樹(青山学院大教授)
  • 神山智美(富山大准教授)
  • 児玉 弘(佐賀大准教授)
  • 小島延夫(早稲田大教授)
  • 後藤 智(富山国際大准教授)
  • 小林博志(西南学院大教授)
  • 小山正善(岡山大教授)
  • 権 奇法(愛媛大准教授)
  • 蔡 秀卿(立命館大教授)
  • 榊原秀訓(南山大教授)
  • 下山憲治(名古屋大教授)
  • 庄村勇人(名城大准教授)
  • 杉原丈史(愛知学院大教授)
  • 鈴木眞澄(龍谷大教授)
  • 高木英行(東洋大准教授)
  • 高橋明男(大阪大教授)
  • 高橋利安(広島修道大教授)
  • 高橋 洋(愛知学院大教授)
  • 竹内俊子(広島修道大)
  • 田村和之(広島大名誉教授)
  • 寺田友子(桃山学院大名誉教授)
  • 徳田博人(琉球大教授)
  • 豊島明子(南山大教授)
  • 仲地 博(沖縄大教授)
  • 中山代志子(早稲田大助教)
  • 西田幸介(法政大教授)
  • 野村武司(独協大教授)
  • 萩原聡央(名古屋経済大准教授)
  • 原島良成(熊本大准教授)
  • 晴山一穂(専修大教授)
  • 人見 剛(早稲田大教授)
  • 日野辰哉(筑波大准教授)
  • 平田和一(専修大教授)
  • 府川繭子(青山学院大准教授)
  • 福田健治(早稲田大助手)
  • 藤枝律子(三重短期大准教授)
  • 洞澤秀雄(南山大准教授)
  • 前田定孝(三重大准教授)
  • 見上崇洋(立命館大教授)
  • 三野 靖(香川大教授)
  • 村上 博(広島修道大教授)
  • 安本典夫(大阪学院大教授)
  • 山田健吾(広島修道大教授)
  • 山本順一(桃山学院大教授)
  • 由喜門眞治(関西大教授)
  • 横山信二(広島大教授)
  • 李 斗領(立正大教授)
  • ほか氏名非公表希望の賛同者15人

(しんぶん赤旗、2015年10月25日付)


【シールズの声明】
辺野古新基地建設をめぐる一連の政治的手続きに関する抗議声明

沖縄・辺野古の新基地建設工事が再開されました。2015年10月13日に翁長雄志沖縄県知事が行った辺野古沿岸部における公有水面埋め立て承認の取り消しに対し、その翌日、沖縄防衛局は行政不服審査法に基づき国土交通大臣に対し審査請求をするとともに、執行停止措置の申し立てをしました。そして10月27日、国土交通大臣が執行停止を命じたのが、新基地建設工事再開の根拠となっています。

しかしこの審査請求は、沖縄防衛局という国家の一機関が「一般私人」を名乗りながら、同じく国の行政機関である国土交通大臣に宛てたものです。これは国家の専横から国民の権利利益を守るための制度である行政不服審査法の恣意(しい)的な乱用であり、すでに多くの行政法学者から批判の声明が出ている通り、法治国家にもとる行為です。さらに、今回の埋め立て承認取り消しを行った翁長知事は、党派や思想信条を超えた「オール沖縄」のもと、「新基地は造らせない」ことを公約とし沖縄県民の圧倒的支持をうけて当選しました。その知事の措置を国家がこのような不公正な手段をもって斥(しりぞ)けるということは、憲法の掲げる地方自治の原則を蔑(ないがし)ろにするものであるとともに、民主主義の根幹を否定する暴挙です。

沖縄は、これまでも構造的な差別と言う現状のなかにありました。国土面積のわずか0・6%の小さな島に在日米軍専用施設の74%が集中するなど、日米同盟の過剰な負担を負わされています。また、不平等だと指摘されている日米地位協定もいまだに改正されておらず、米軍・軍属による事件・事故は解決されないままです。一方、住民を含む凄惨(せいさん)な犠牲を出した沖縄戦、米軍による土地接収である「銃剣とブルドーザー」などを経た沖縄では、反基地・反戦運動が非暴力を通じて行われてきました。今回の新基地建設工事の再開は、こうした沖縄の長い平和のための闘いを踏みにじるものであり、日米安全保障のための負担を沖縄に今後も押しつけるという、国家からの宣言であるとさえ言えるでしょう。

辺野古での新基地建設をめぐる日本政府の横暴は、沖縄だけにとどまらない、日本全体の問題です。今なお国会を通じて沖縄に過剰な基地負担を強いているのは、紛れもなく「日本」に生きる私たち自身です。そして、特定秘密保護法や安保法制の整備といった安倍政権のもとに行われている政治が、この国の自由と民主主義、そして平和主義を著しく傷つけるものであったことからも、沖縄の直面している問題が全国の人々にとって決して他人事でないことは明らかです。沖縄がこの国に問うものは、この国の憲法の理念であり、この国の政治であり、「日本」に生きる私たちの行動です。

私たちはこの国の自由と民主主義を守るという立場から、今回の辺野古埋め立てに関する一連の政府の手続きに反対します。そして、辺野古新基地建設工事の中止を求めるとともに、このような暴挙を粛々と進める現政権へNOを突きつけます。

2015年11月6日

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