【出来事】翁長知事が辺野古埋め立て承認撤回を表明。

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 はいさいぐすーよー、ちゅうがなびら。

 発表事項に入ります前に辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例の署名活動が7月23日に終了し、主催者によると中間集計で必要署名数約2万3千筆を大きく上回る約7万7千筆もの署名が集まったとのことであります。

 署名活動に取り組まれた皆様のご努力に心から敬意を表するとともに、政府におきましてもこれほど多く県民が署名を行った重みについてしっかりと向き合ってもらいたいと思います。

 東アジアにおきましては南北首脳会談、あるいはまた米朝首脳会談のあとも、今月上旬には米国務長官が訪朝をし、24日にはトランプ大統領が北朝鮮のミサイル施設解体を歓迎するコメントを発するなど朝鮮半島の非核化と緊張緩和に向けた米朝の努力は続けられています。

 このような中、20年以上も前に決定された辺野古新基地建設を見直すこともなく強引に押し進めようとする政府の姿勢は、到底容認できるものではありません。私としては平和を求める大きな流れからも取り残されているのではないかと危惧していることを申し上げた上で発表事項に入らせていただきます

 

 本日、辺野古新基地建設にかかる公有水面埋め立て承認の撤回に向けて、事業者である沖縄防衛局への聴聞の手続きに入るよう、関係部局長に指示をしました。

 辺野古新基地建設にかかる公有水面埋め立て処分には、「環境保全および災害防止に付き十分配慮」という基幹的な処分要件が事業の実施中も維持されるために、事前に実施設計や環境保全対策等について協議をすることや、環境保全図書等を変更する場合には、承認を得ることなどを事業者に義務づけて留意事項を付しております。

 しかし沖縄防衛局は、全体の実施設計や環境保全対策を示すこともなく公有水面埋め立て工事に着工し、また、サンゴ類を事前に移植することなく工事に着工するなど、承認を得ないで環境保全図書の記載等と異なる方法で工事を実施しています。

 留意事項で定められた事業者の義務に違反しているとともに、「環境保全および災害防止に付き十分配慮」という処分要件も充足されていないものと言わざるを得ません。

 また、沖縄防衛局が実施した土質調査により、C護岸設計箇所が軟弱地盤であり護岸の倒壊などの危険性があることが判明したことや活断層の存在が専門家から指摘されたこと、米国防総省は航空機の安全な航行のため飛行場周辺の高さ制限を設定しているところ国立沖縄工業高等専門学校の校舎などの既存の建物等が辺野古新基地が完成した場合には高さ制限に抵触していることが判明したこと、米国会計検査院の報告で辺野古新基地が固定翼機には滑走路が短すぎると指摘され、当時の稲田防衛大臣が、辺野古新基地が完成しても民間施設の使用改善等について米側との協議が整わなければ普天間飛行場は返還されないと答弁したことにより、普天間飛行場返還のための辺野古新基地建設という埋め立て理由が成り立っていないことが明らかにされるなど、承認時には明らかにされていなかった様々な事実が判明しました。

 これらの承認後の事実からすれば、「境保全及び災害防止に付き十分配慮」の要件を充足していないとともに、「国土利用上適正かつ合理的」の要件も充足していないものと認められます。

 この間、県では、様々な観点から国の埋め立て工事に関する内容を確認してきましたが、沖縄防衛局の留意事項違反や処分要件の事後的不充足などが認められるにもかかわらず、公有水面埋め立て承認処分の効力を存続させることは、公益に適合し得ないものであるため、撤回に向けた聴聞の手続きを実施する必要があるとの結論に至ったところです。

 私は、今後もあらゆる手法を駆使して、辺野古に新基地はつくらせないという公約の実現に向け、全力で取り組む考えであります。

 

【記者との質疑応答】

 ー1点目はタイミングについて。承認取り消しの訴訟、県の敗訴が確定してから、1年7カ月、知事が撤回を必ず行うと明言してから1年4カ月経ちました。その間、法的に慎重に検討を進めるという一方、早期の撤回を求めるという知事の支持者からの声も非常に多かったと思います。この時期にこのタイミングで撤回した理由と、判断が遅れたと考えるか、そうではないと考えるかお聞かせ下さい。

 「県の敗訴から1年7カ月、昨年3月には撤回を必ず行うと、本会議場でも、いろんなところで時期などに関してそれなりに答弁をし、皆様方のその時々の記者会見でもお話しをしてきたと思っております。1番目には法的な観点からの検討を丁寧に、行うというようなことが一番重要というのがありましたから、慎重にこの検討を重ねてきました。

 県としては留意事項に基づく事前協議、サンゴ類の移植をはじめとした環境保全措置など、沖縄防衛局へ行政指導など行ってきたことも踏まえ、日々の国の動きと全体的な流れを勘案しながら、あらゆる状況を想定して検討してきました。

 6月12日に防衛局が県赤土等流出防止条例に基づく事業行為通知書を提出し、土砂投入に向けた手続きを行ったことや、7月17日に行った工事停止要求にまったく応じる姿勢がみられなかったことを踏まえて、総合的に判断して、撤回に向けて聴聞手続きに入るよう、関係部局に指示を行ったところです。

 この件に関しては具体的な流れやタイミングいろいろある。そういった4年間のことを考えると、取り消しがあって、最高裁判所の判決があって、現場でもいろんなことがあって、オール沖縄という意味合い、あるいは国と国政与党とのいろんな私からするとそんなことでいいのかなと思ったりするようなこともありましたけど、そういったことひとつひとつ吟味しながら、撤回の時期をしっかり把握して、そしてわたしの4年前の県民の理解をいただけるよう、公約を発表し、付託されたことについてひとつひとつ、実現に向かっていこうと、そういうことも総合的な流れのなかにあったということも今付け加えておきたいと思います」

 —撤回後の話になるが、国との訴訟に発展した場合、裁判が1期目の任期中に終わらないこともあると思う。撤回が今踏み切る、知事として、知事の責任として、その2期目をどう考えているのか、2期目に出る出ないは別として、公務復帰から2カ月が経った今、2期目に出馬するほど体調が回復したのか、教えて下さい。

 「私も政治生活に入って35年ですか、市会議員、県議会議員、那覇市長4期、知事にもこういう形でみなさんに受け答えしております。

 そういうなかで、政治がいかにダイナミックにその都度その都度動いてくるかということをよく私は承知しております。なんせ5、6年前は自民党県連と一緒に辺野古基地反対ということで、向こうからしたらオールのいわゆる枠組みが崩れたとおっしゃっていると思いますけれども、私からすると、声をひとつにして『沖縄には基地をつくらせない、いくらなんでも0.6%に70数%のこれから何十年間 もいりません』と、いうようなことでご一緒した。

 あの時の蜜月時代をよく覚えている。それが急に中央から手が差し伸べられると、私から見ると、とても反論できるような国政与党ではないというような状況にある。そういったこと踏まえて私からすると政治はいつもダイナミックに動いている、ですから、その時々の出来事等々は、私の30数年の中でいろいろ思い出すことがございます。

 ですから今回の私の4年間の付託というものは、私が4年前にしっかりと公約で約束したものを、しっかりと築きあげていく、守っていく、というものが今日まで本会議場であれ、答えてきたように、一日一日の、公務を遂行するために、頑張っていきたいと思っているわけであります」

 —体調を理由に2期目の出馬を断念することは考えてない?

 「日々、一日一日ですから。今ちょっと足、外反母趾で、痛めてちょっと歩くのきついくらいなんですが、人生は昨日おとといなかったものが、今日こうして外反母趾になって歩きにくくなるようなことがありますので、それも含めて、考えていきたいと思います」

 —2問聞きたい。1問目は実際の正式撤回の時期について。政府は8月17日以降に土砂投入すると通知しています。知事として聴聞手続きを開始するということですが、実際の撤回決定の時期について土砂投入の前にしたいという考えがあるか。

 知事公室長「それではお答えします。沖縄防衛局は留意事項が整わないまま工事に着工し、再三にわたる沖縄県の行政指導にも従わずに工事を強行しております。このような状況の中で環境に深刻な影響を与える土砂投入を行うことは、到底容認できるものではないと考えております。

 一方で撤回につきましては、法的な観点からの検討を丁寧に行った上で対応する必要があると考えており、聴聞の調書、報告書等も参酌して、適切な時期に最終的な判断を行政長のほうで行うことになろうかと思っております」

 —2問目です。撤回に向けた聴聞手続きに入った理由について伺う。知事は常々、環境上看過できない状況になれば躊躇なく撤回すると繰り返してきた。看過できない事態になった点について。

 「常々看過できないという話をさせていただいた。本当に傍若無人なこれまでの工事状況だという風に思っております。法的には向こう側にも言い分があるかもしれませんが、環境保全対策、事前協議が整わない中で工事を進める。あるいは軟弱地盤などもしっかりと聴取して分かっている中で無理してやっていく。

 こういうものは本当に普段からそれに値するものがあったかと思っている。こういう司法、行政手続き、いろんなものの中で私たちは慎重にやっていかなければなりませんから、看過できないものをよりいっそう高めて、時間がたてばたつほどその事項が増えてくるものですが、時間がたつほど埋め立てられていくものですので、この兼ね合いは難しいものでありますが、こういうことも含めて今看過できない状況を、冒頭でも申し上げました赤土防止条例も含めて時期的なものを私たちは判断したということだと思っております」

 —撤回に踏み切る理由として再三にわたる工事停止の要求に応じていないことを挙げている。傍若無人だという表現もあった。国が県のこうした行政指導を省みることなく進めていることに国にどんな狙い、思惑があると考えているか。

 「何が何でも沖縄に新辺野古基地をつくる、この固い、固いというと何となく意思決定としては言葉使いはいい感じがしますが、私からするととんでもない固さでですね、沖縄に新辺野古基地をつくるという思いがあると思っている。

 いろいろと土砂を投げ入れようとしたり、あるいは4メートルの壁を造って歩行者道路を縮めたり、あるいは直接新辺野古ではない場合も自衛隊機が重機などを住民の上、村民の上から運んでいく。私はこういうことを政府がやることについて、日本国民などがまったく違和感のない中で『沖縄に造るのは当たり前だ』というようなものがあるのではないかということで、大変、私個人的には憤りを持って見ている。

 ですが、この新辺野古基地を造るということに対しても、冒頭若干申し上げましたが、今の北朝鮮問題、北東アジア、あのダイナミックにアメリカのトランプと金正恩が握手をして抱き合うぐらいの気持ちで、あの緊張緩和をしている。

 実際それが実るか実らないかは別としてああいう大胆な動きの中で米韓合同演習を中止し、北朝鮮もどういう核施設か分かりませんが爆破して、一定程度その気持ちに応える。中国は中国でロシアはロシアで、その後ろからこの北東アジアの平和に対して行く末に対してしっかりと見定めている中に、おかしくないでしょうかね、皆さん。

 20年前に合意した新辺野古基地。あのときの抑止力というのは北朝鮮であり、中国なんですよね。

 こういった事などが20年前に沖縄でなければならないということで新辺野古基地の建設が決まり、そして、色々苦節をへて今日まで来ている。今のトランプや金正恩や韓国の大統領この方々が平和に対する思い北東アジアに対しての思いいろんな形でやっている時に、私は安倍総理は戦後レジームからの脱却という言葉もよく使っていま したが、最近使わなくなりました。

 日本を取り戻す、と言っていましたけども、その中に沖縄が入っているのかということにも答えていただけませんでした。そういう何にも一番日本にとって大切な北東アジアの政治情勢、国際情勢に手をこまねいて一番大切な拉致問題に関しても他人任せというのが今の状況です。数カ月後には分かりませんけども。

 こういう状況の中であの美しい辺野古を埋め立てていく。もう理由がないんですよ。私からすると。ワシントンDC行った時にはペリー長官もお名前を申し上げませんが、大概の方々が辺野古基地は北朝鮮の抑止力、尖閣の抑止力、そういうことで言われていましたが、一番は北朝鮮だ。自分たちは沖縄でなくともいいと言ったが、日本政府が沖縄なければいけないと言ったというんですね。

 私たちが理由を問うていくと、お金はどっちが出すかということですから。連邦下院、上院議員30数名、それぞれ30分ずつお話ししましたが、一番の関心は、お金は誰が払うかなんですよ。いや1兆円ぐらいかかるが日本政府が払いますよと。それだったら日本政府の国内問題ということでいいんじゃないかというようなことで日韓合同軍事演習なども含めてアメリカは軍事費も含めていろんな形で手を打とうとしているわけで、日本だけがそういった輪の中で何を守ろうとして新辺野古基地をつくろうとしている。

 こういったようなことは沖縄県民からすると、長い歴史とこれからの見通し。稲田防衛大臣が民間飛行場あれを固定翼機や飛べるものができなければ普天間返しませんよと言った時にもうすでに10年、15年内の沖縄の現状が分かりますよ。

 いわゆる、だめだと、言ったでしょう。固定翼機がなければ、新辺野古基地ができあがっても、これオスプレイが使うのであって新しい飛行場どこが出す、沖縄だろう、本土は理解がないから沖縄がやるべきだと、そして振興策がどうのって。10年後、私みたいのが出てきて反対したら、じゃあそういった意味での振興策は厳しくなるぞというような事でこれから以降の何十年先も沖縄が置かれていいのかというところをご理解いただかなければならない。

 アジアのダイナミズムを取り入れて、アジアが沖縄を離さないんです、沖縄は経済という意味ではアジアの地政学的な意味も含めて経済ということでは大変大きな立場になってきています。こういったこと等を平和的利用、アジアの中の沖縄の役割、日本とアジアの架け橋、こういったところに沖縄のあるべき姿があるんではないかと思う。

 いつかまた切り捨てられるような沖縄ではできない。この質問にこんなに長く答えていいのかということもあるかもしれないが、思いがないとこの問題には答えられないんですよ。この思いをみんなでどういう風に共有して何十年後の子や孫にね、私たちの沖縄何百年も苦労してきたんだから、いまやっと沖縄飛び立とうとしている訳だから、そしてこれは十二分に可能な世の中になってきているんで、そういう中で飛び立とうとしているのを足を引っ張ろうとしてまた沖縄はまあまあまあ振興策もらって基地を預かったらいいんですよなどというものが、これから以降もこういうのがあったら沖縄の政治家としては、わたくしはこれはとても今日までやってきた政治家が私と別な事を言っている場合には、私からすると容認できないというような思いであります」

 —承認撤回は移設阻止の最後のカードと言われている。知事はあらゆる手法駆使して辺野古に基地は造らせないという公約を今後、どのように実現していくのか。

 「今、長々と話しをしたので、若干重なるものがあると思いますが、撤回というと、まず裁判に勝たないといけない。勝つということが前提で。私は本会議でも話しをしたので全然問題ないと思いますが、今の日本のアメリカに対しての従属は、日本国憲法の上に日米地位協定があって、国会の上に日米合同委員会がある。その2つの状況の中で日本はアメリカに対して何も言えない状況があるんです。これはもし違うなら反論しながら『そうじゃないよ。ちゃんと憲法が日米地位協定抑えているよ、国会も日米合同委員会から報告させて、これでいいのか』と日本の最高権力がそうやっているならいいんだけども、F15から何から飛んでいくのをみんな日米合同委員会で決められて、何も問題がないということで国会でも議論にならない。

 こういう中で撤回ができないときにどうなるんだと、効力を発しないときどうなるんだと、なりますが、それこそ米韓合同軍事演習がストップしたこと、トランプさんが金正恩と会ったこと、それからアジアが大きく変わりつつあること、アジアは経済という意味では世界の中で一番発展していますから、アジアは中国とも米国とも安保条約結んでいるところはベトナムでもタイでもどこもありませんのでね、みんなそれぞれ距離を測りながら国際外交をやっています。

 日本だけが寄り添うようにして米国とやっているわけです。それに関すると司法も行政もなかなか日本国民、今の現状から言うと厳しいものがあるかもしれませんが、ただしそういう動きは必ず日本を揺り動かす。今の日本の動きではアジアから閉め出されるのではないかというものを感じている。その辺のところはわたくしは撤回以外にも何か変わる要素がありますか、というところにも入ってくると思いますね」

(2018年7月27日記者会見)

 

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