活動報告

税金1200万円 取り戻した 不当な税務調査 はね返す

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沖縄・北那覇民商会員 玉城創さん 全商連・小池議員らが支援

 税務署が突然、営業中に店に押しかけレジを開けさせるなど、犯罪捜査まがいの強権的な税務調査が全国各地で横行しています。これに対して沖縄では、当事者の中小業者が、民主商工会・全国商工団体連合会(民商・全商連)と日本共産党の協力で不当な調査をはね返し、一方的に支払わされた税金約1550万円のうち1200万円を取り戻しました。(大串昌義)

 税金を取り戻したのは、北那覇民商の会員、玉城創(たましろ・はじめ)さん(48)=ガス溶接工=です。調査が始まったころ、相談をきっかけに民商に入会しました。

 2023年4月27日、北那覇税務署の署員から突然、「確定申告書類と通帳を確認させてほしい」と電話がありました。この時、のちに問題となる帳簿の提示は求められませんでした。翌日、国税通則法で義務づけられている調査の「事前通知」も行わず税務署員が玉城さんの自宅を訪問。2回目の調査の5月23日、出してきたのは、税額が確定しない段階で税務署員が勝手に記入した「予納申出書」でした。署員は「これを払うことで延滞税を抑えられる。支払いが終われば調査も終わる」と一方的に通告。本来、玉城さんが書くべき税額を税務署が書き込み、税額の根拠も説明せずに玉城さんにサインを強要したのです。「国の機関がやることだから間違いないだろう」と不本意ながら1550万円(所得税950万円と消費税600万円)を一括で支払いました。

闘うことを決意

 「でも、税金を払うのに詳細が分からないのはおかしい。こんなことが許されていいはずがない」

 玉城さんは国税当局と闘うことを決意。同年10月と12月に沖縄国税事務所に対し、24年2月に全商連と日本共産党の小池晃参院議員、赤嶺政賢衆院議員同席のもと国税庁に対し、税額の説明を要請しました。小池議員は「財務大臣も『税務調査は納税者の理解と協力が基本。職員に法令順守してもらう』といっている。しかし、現場は違う」と是正を求めました。

 

 

 1年以上も説明を避けてきた北那覇税務署が同年6月、「税額の根拠」を説明。「経費率7%」というあり得ない所得税の推計課税や、本来、消費税を払わなくてよい年分も課税対象にされた上、仕入れ税額控除(売り上げにかかった消費税から仕入れにかかった消費税を差し引くこと)をすべて否認して消費税を計算していたことが判明しました。

 玉城さんを先頭に民商が追及。「経費率7%ということは利益率93%だ。そんな商売がどこにあるのか」と問い詰めると回答に窮する場面も。北那覇税務署に「帳簿提示は求めていない」と認めさせたことで、どのように税金を計算したかも分からず、まともな調査もしないまま予納させた実態が明らかになりました。

 ところが25年6月、税務署は担当者が替わった途端、それまで「帳簿提示を求めていない」と発言していた事実をゆがめ「帳簿の提示がなかった。調査の協力が得られない」と主張。使途目的や事業性などを逐一説明させる「経費確認リスト」の提出を要求し「こちらの計算で調査は終了する」などと述べました。

 同年7月、全商連と小池議員の協力で国税庁と3度目の交渉を実施。8月、民商は沖縄国税事務所に対し、北那覇税務署の担当者を指導し対応を改善させるよう要請しました。その結果、税務署の総務課長が謝罪し「提出帳簿を確認し実額を計算して、早く調査を終了し税金を返還したい」と回答。2年半に及ぶ調査が終了し、玉城さんは1200万円を取り戻しました。

 玉城さんは、関東地方での仕事を調整して沖縄に戻ったり国税当局要請に行ったりしながら闘い続けました。「仕事で迷惑をかけていたので泣き寝入りしようかなと考えたことも正直ありました」

 税務当局の対応は「納税者に対して親切な態度で接し…納税者の主張に十分耳を傾け…細心の注意を払わなければならない」「税務調査は納税者の理解と協力を得て行う」(国税庁「税務運営方針」)ことがほとんど守られていませんでした。長期の闘いを振り返り「民商という相談できるところがあるだけで気が楽になりました。ともに闘ってくれた人たちがいて、共産党の小池さん、赤嶺さんも私のために動いてくれて助かりました。税務署に言われるがまま従ってしまう人がいると思うので今回頑張ってよかった」と語ります。

 

 

裏金不問の一方

 沖縄では、ここ数年で他にも不当調査が相次いでいます。▽本人に昼食も取らせず税務署員が6時間半も居座る(謝罪させる)▽自宅前で待ち伏せする▽「10年分調べる」と脅す▽調査は任意なのに本人の承認も得ず銀行口座を調べる―。

 業者に対して民商からの退会を調査終了の条件とする事件も起き、日本共産党や全商連などが抗議。国税庁は「退会を強要することはない」と述べました。

 自民党の裏金議員には税務調査が行われない一方、納税者には手荒な調査やハラスメントが行われ、権利が侵害されています。小池議員は25年6月の参院財政金融委員会で、納税者権利憲章の制定と、納税者の苦情を聞く「納税者支援調整官」を国税庁から独立した機関にすることを要求。「納税者が主役」の税務行政へ転換するよう力を尽くしています。

 沖縄県商工団体連合会の知念三四志(みよし)事務局長は、コロナ禍で税務調査が少なかったため、税収を上げようとコロナ明けから調査を増加させていると見ています。税務調査の手法はAI(人工知能)を使って申告漏れリスクの高い調査対象者を選定し、調査件数や追徴税額を増やすため文書や電話で納税者を呼び出し修正申告させる「簡易な接触」を大幅に増加させるというもの。

 国税庁の24事務年度(24年7月~25年6月)所得税、消費税調査の状況によると、所得税の申告漏れによる追徴税額は過去最高の総額1431億円、消費税では、調査件数が前年の1・5倍になっています。

 知念さんは強調します。

 「日本の税金申告の基本は、国税通則法16条に規定された自主申告だ。ところが、税務署は法律を守らず人権を無視して不当な調査をしている。税金のことで悩んでいる人はいっぱいいる。民商の存在を知らせて闘う納税者を増やしたい」(しんぶん赤旗 2026年1月16日)

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