陸上自衛隊幹部候補生学校(福岡県久留米市)が、沖縄戦で多大な住民犠牲をもたらした旧日本軍第32軍の持久作戦を肯定する学習資料を作成していた問題で、同校が問題の記述を削除するなど資料の全面的な改定を行ったことがわかりました。日本共産党の赤嶺政賢議員が6月12日の衆院安全保障委員会で取り上げ、中谷元・防衛相が見直し作業を進めていると答弁していました。
改定前の同資料(2024年度版)は、32軍の作戦を「本土決戦準備のために偉大な貢献をなした」と評価していましたが、改定後(25年度版)はこの記述を削除。大本営が1945年1月に決定した「帝国陸海軍作戦計画大綱」で、沖縄を「皇土防衛のための前縁」と位置づけ、「極力敵の出血損耗を図る」としていたことにも言及しています。中谷氏は答弁で、沖縄戦が本土決戦を遅らせるための捨て石作戦だったとの認識は示していませんでした。
改定前は旧日本軍による住民犠牲への言及はありませんでしたが、改定後は防衛研究所戦史センター作成の資料を一部添付するかたちで、壕(ごう)からの立ち退きや赤児殺害の強制、糧食の略奪、スパイと誤解したことによる射殺があったことを明記(写真)。一方、これらは「一部の不心得者共(ども)」によるものだとし、無謀な作戦を強いた大本営や32軍幹部の責任にはふれていません。(しんぶん赤旗 2025年9月4日)