陸上自衛隊第15旅団(那覇駐屯地)がホームページにアジア・太平洋戦争末期の沖縄戦を指揮した旧日本軍第32軍の牛島満司令官の「辞世の句」を掲載していた問題で、同旅団が10月31日付でホームページの内容を見直す方針を示し、句をいったん削除したことがわかりました。
「辞世の句」を掲載していたのは、部隊の沿革を紹介するページ。15旅団の前身である臨時第1混成群の桑江良逢・初代群長が沖縄の本土復帰の際に行った訓示とともに掲載されていました。本土決戦を遅らせるための捨て石作戦で甚大な犠牲を出した沖縄戦の性格や当時の指導部の責任に一切言及はありません。
今年6月上旬に沖縄の地元紙が報じ、戦争体験者や市民団体から抗議の声が相次いでいました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員のほか、高良鉄美参院議員、屋良朝博衆院議員らオール沖縄の国会議員が国会質問や質問主意書で繰り返し削除を要求しました。
一方、15旅団は見直しの理由として、「防衛力整備計画に基づき、南西地域の防衛体制の強化を担う部隊として、任務に邁進(まいしん)していく」ことを挙げています。見直し後の「辞世の句」の取り扱いも検討中としています。
政府は沖縄戦の実相と教訓を踏まえ、句を再掲載せず、沖縄に再び戦火を呼び込む大軍拡を中止し、戦争の心配のない東アジアをつくる外交にこそ取り組むべきです。(しんぶん赤旗 2024年11月3日)