政府が米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)所属の空軍兵による少女暴行事件を県に情報提供せず、隠蔽(いんぺい)していた問題をめぐり、政府が性犯罪事件を県に情報提供していなかった事例が過去にも存在することがわかりました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が米軍犯罪被害者のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさん、日本平和委員会の千坂純事務局長と6月27日に行った聞き取りで、防衛省が明らかにしました。
赤嶺氏らは「事件が半年も隠されていたことに疑惑と疑問が生じている。知事は再発防止を呼び掛けることもできない。県民に注意を喚起することが一番大事なことではないか」と批判。政府側は「指摘された公益上の必要性は否定しない」としつつ、関係者の名誉やプライバシーへの影響、捜査・公判への影響等を挙げて正当化しました。
また、「県に知らせなかった事例が過去にもあったのか」との質問に、防衛省地方協力局在日米軍協力課の担当者は「確認したところ、今回のように関係自治体への情報提供を行っていない事案はあった」と述べました。
赤嶺氏らは、辺野古新基地建設の「代執行」や沖縄県議選と重なる時期だったとして、「政治的判断としか考えられない」と強調。情報提供を行わなかったとする過去の事案を後日提出するよう求めました。
米軍の事件・事故に関する通報手続き
日米両政府は1997年3月の日米合同委員会で「在日米軍に係る事件・事故発生時における通報手続」を合意。「公共の安全」「環境に影響を及ぼす」可能性のある事件・事故について、米側が情報を得た段階で、日本側(外務省、防衛省の現地防衛局)に「できる限り速やかに」「迅速に」通報するとしています。また、定められた通報経路では、現地防衛局が県や関係市町村に通報することになっています。(しんぶん赤旗 2024年6月29日)