沖縄戦の犠牲者の遺骨が眠る本島南部の土砂を、政府が米軍辺野古新基地建設の埋め立て土砂に使おうとしている問題で、市民らは6月18日、その土砂の使用の断念を政府に求めました。遺骨が含まれる土砂を埋め立てに使うことは「遺族への冒涜(ぼうとく)だ」と迫りました。防衛省は同地域を調達先から外すとは言いませんでした。
防衛省の調達計画では、同県内の採掘可能な土砂の約7割が本島南部となっています。
この日、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表や遺族ら約120人が衆院第1議員会館に集まり、防衛省と内閣府、警察庁に要請しました。要請では、岸田文雄首相が沖縄全戦没者追悼式(23日)に参加するのであれば、▽追悼式までに南部土砂の使用を断念すると表明する▽または、追悼式で県民や遺族に対して断念を表明する―ことなどを求めました。
要請では、出席した各省庁の職員が座る長机の上に、南部の遺骨土砂が置かれました。具志堅さんは、小石ほどの大きさで周りの土と同じ色をしている遺骨を手に持ち、土と見分けることが容易ではないと説明。「遺骨だと気付かないまま、埋め立てに持っていかれてしまう」と強調しました。
防衛省の職員は、「土砂の調達先は決まっていない」「適切に事業を進めたい」と答えました。遺骨土砂の問題を「真摯(しんし)に受け止める」と述べた防衛省職員に対し、参加者は「ならば南部を調達先から外すのは当然だ」と反論。遺骨土砂を使うことが「適切」なのかを問われても、防衛省の回答はありませんでした。
要請には、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員や、ほかの野党議員も参加しました。(しんぶん赤旗 2024年6月19日)