10日から19日までの予定で強行されている日米共同統合演習「キーン・ソード23」で、住民らの反対を押し切り、105ミリ砲を搭載した陸上自衛隊の16式機動戦闘車(MCV)1両が11月17日、沖縄県与那国(よなぐに)町の公道を自走しました。MCVが公道を走行したのは県内で初めて。住民らは沿道などで「島を戦場にするな」などと書かれたプラカードを掲げ、抗議活動を行いました。
MCVは自衛隊の輸送機で正午ごろ与那国空港に到着。午後3時ごろ空港を出発し、周辺に民家や小・中学校などがある市街地の公道を抜けて町内の陸上自衛隊与那国駐屯地に移動しました。
抗議活動に参加した住民(62)は「人を殺すための道具を与那国で、しかも公道を走らせていいのか。冗談じゃない」と憤り、今回のような演習で戦争の準備をすることは「恐怖でしかない」と話しました。
玉城デニー知事は今回の公道自走訓練に関しコメントで、同訓練を実施しないよう繰り返し防衛省沖縄防衛局に求めてきたにもかかわらず実施されたことは「誠に残念」などと述べました。
同駐屯地には、同演習のため米海兵隊員が入り、自衛隊と訓練を行っています。米軍が訓練で同駐屯地を使用するのは2016年の開設以来初めてです。防衛省は、同駐屯地内では日米部隊間の連絡調整所設置訓練を行うと説明しています。
今回の抗議活動では、かつて同駐屯地開設反対運動で使用した「自衛隊基地ができたら米軍もやって来る」「神高い島(神が宿る島) 軍隊はいらない」と書かれた横断幕が改めて掲げられました。
与那国出身の女性(66)は、自衛隊と米軍が、「いつ戦争が起きてもおかしくないような事態をつくり出している。絶対に止めなくてはいけない」と力を込めました。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員や参院会派「沖縄の風」の伊波洋一議員から同演習に反対する住民らに連帯するメッセージが寄せられました。