2013~20年度 基地隣接地 所有者7万8920人
赤嶺議員求めに防衛省が明かす
防衛省が2013~20年度に行った自衛隊と米軍の約650施設に隣接する土地の調査で、調査した所有者が全国で7万8920人にのぼることが分かりました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の求めに、同省が調査の具体的な施設名と所有者数を初めて明らかにしました。
政府が国会に提出している「土地利用規制法案」は、自衛隊や米軍基地などの隣接地にとどまらず周囲約1キロの土地や国境離島を調査対象とします。赤嶺氏は「同法案により、この数字よりさらに膨大な数の国民が国の監視下に置かれる」と指摘しました。
調査は、不動産登記簿などから土地所有者を確認。自衛隊施設の隣接地の土地所有者は6万5330人で、多いのは航空自衛隊入間基地(埼玉県)や空自春日基地(福岡県)など。米軍施設は1万3590人で、沖縄県のキャンプ・ハンセンや嘉手納基地のほか横田基地(東京都)などで千人以上に上ります。
ただ、自衛隊官舎や米軍住宅、訓練場などは調査対象外。米軍基地は、沖縄県の普天間基地や牧港補給地区(キャンプ・キンザー)など返還合意されている施設も調査から除かれています。
「土地利用規制法案」は、自治体が管理する住民基本台帳などから氏名や住所、国籍を政府に提供させることができるとしています。土地登記簿といった公開情報だけでは分からない個人情報が収集され、思想調査にまで及ぶ危険があります。
一方、外国資本による基地周辺の土地購入が同法案の口実とされていますが、防衛省調査では、所有者が外国人と類推される土地は7筆だけでした。同省は「周辺土地の所有者により自衛隊や米軍の運用等に支障が生じるような事態は確認されていない」としています。赤嶺氏は「立法事実がないことは明白だ。法案は廃案にすべきだ」と強調しました。(しんぶん赤旗 2021年5月8日)
防衛省提出資料(防衛施設に隣接する土地を調査した施設と所有者数)