コロナ危機の中で、国会の大幅会期延長を求める野党、市民の声を無視し6月17日の会期末で国会を閉会にしようとする安倍政権・与党に、10日の那覇地裁判決が衝撃を与えています。
同判決は、憲法53条により、国会議員が内閣に臨時国会の召集を求めた場合、内閣が国会を召集する憲法上の義務を負うと認めた初めての判決。53条は、「(衆参)いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その(臨時国会)召集を決定しなければならない」と定めています。
2017年6月22日に、野党議員が森友、加計学園問題の真相解明のために連名で内閣に臨時国会の召集を求めました。安倍政権は98日後の同年9月28日に臨時国会を召集しましたが、審議入り前の冒頭に衆院を解散しました。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員ら4人の沖縄選出国会議員が、98日後の国会召集は遅すぎ53条に違反するとして国家賠償請求を求めていました。
判決は、53条に基づく内閣の臨時国会の召集は「憲法上の要請に基づき行う必要がある」とし「これは単なる政治的義務と解されるものではなく、憲法上明文をもって規定された法的義務」と指摘。「臨時会を召集するかしないかについて、内閣に認められる裁量の余地は極めて乏しい」とし、条文上、召集の時期は決められていないが「召集時期に関する裁量も必ずしも大きいものとは考えられない」としています。
そのうえで「(召集しなければ)違憲と評価される余地はある」とし、「高度の政治性」を理由に裁判所の審査を否定する統治行為論も排除しました。被告である国側は、53条に基づく召集要求があっても、内閣には臨時国会を召集すべき「法的義務」はないと主張していました。
判決は、野党議員の国会召集の求めに明確な法的裏付けと拘束力を認めたものです。
政権与党が、憲法違反の巨額予備費を積み上げ国会を閉会にして、コロナ危機に対する国会のチェックを免れようとする中で、野党による国会開会要求に大きな根拠が示されました。自民党議員から「これはキツイ」という声も漏れます。
国会の信任に基づいて内閣が構成される議院内閣制のもと、野党の政権監督が重い意味を持つことからも重要な判決です。(しんぶん赤旗 2020年6月17日)