11月8日夜開催された日本平和大会の開会集会では、沖縄県の玉城デニー知事が来賓あいさつし、一日も早い首里城の再建を誓い、支援を訴えました。多くの参加者が「首里城の近くまで行ったが、燃えたにおいがした。早く再建してほしい」などとのべるなど、会場に設けられた募金箱に募金を寄せていました。
集会は、米軍基地・自衛隊基地の強化に反対する人たちが次つぎ登壇し、基地のない平和を願う交流と連帯の場になりました。
保育園上空を飛ぶ米軍機におびえる沖縄の子どもたち。宜野湾市緑ケ丘保育園に子どもを通わせている2人のお母さんが、「保育園上空は飛行ルートではない。国と国の約束を守ってほしい。部品落下事故後、2年間、政府と交渉してきたが変わらないどころか、騒音、飛行回数がひどくなっている」「小さい子どもの耳を年長さんがおさえている。この現状をどう思いますか。沖縄のお母さんに力を貸してください」と訴えました。
東京のうたごえの大熊啓さん一家が、沖縄の母子の願いを曲にした「見上げた空から」を歌い、エールを送りました。
防衛大のいじめ人権侵害裁判をたたかっている被害者のお母さんも壇上に。「裁判で、人権侵害がまん延していることが明らかになりましたが、国の責任を免罪する理解しがたい判決でした」と悲しみと怒りを吐露。「息子は、高裁で訴え続けることを希望しています」と支援を訴え、激励の拍手に包まれました。
高校生平和ゼミナールに参加している高校生が「ヒバクシャ国際署名」の活動を報告。ミサイル基地はいらないとたたかっている宮古島、イージス・アショア配備に反対する秋田、横田基地のオスプレイ配備を許さない運動を続けている東京などの報告がありました。
解決には対話不可欠 デニー沖縄知事
ウチナーンチュ(沖縄県民)の心のよりどころである首里城が焼失しました。多くの県民は喪失感でため息をついています。未来の子どもたちのためにも復旧・復興しなければなりません。全国のみなさんのご支援、ご協力を心よりお願いします。
今年2月の辺野古埋め立てを問う県民投票で、圧倒的多数の方が反対を示しました。しかし、日米両政府は「辺野古が唯一」の姿勢を変えず、工事を強行しています。県が求める対話による解決を一顧だにしません。
問題解決には地元の意見を正面から政府が受け止め、対話をすることが不可欠です。私は県民の民意を尊重し、日米両政府に辺野古新基地建設断念と普天間飛行場の危険性除去と一日も早い閉鎖・返還を求めていきます。
国際法違反 返還こそ うりずんの会
8日の開会集会では、玉城デニー知事を支える沖縄選出の国会議員でつくる「うりずんの会」の3氏が連帯あいさつをしました。
日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は、戦争中の私有地没収を禁じた「ハーグ陸戦条約」に違反して沖縄に基地がつくられたと指摘。「国際法違反でつくった米軍基地は返還せよ、普天間基地は即時運用停止、辺野古基地はつくるなという運動を進めよう」と訴えました。
参院会派「沖縄の風」の高良鉄美議員は、イギリス軍の犯罪を国内で裁く権利を主張して独立したのが米国だと述べ、「日米地位協定を一番わからないといけないのは米軍だ」と強調。「地位協定を改定する声を全国に」と呼びかけました。
「沖縄の風」の伊波洋一議員は、住民に説明せず宮古島に弾薬庫を建設した問題をあげ、「安倍政権は市民を置き去りにして軍事化に進んでいる」と語りました。「改憲させず、来たるべき総選挙への備えが必要だ」と述べました。
行動全国で広げよう 主催者報告
8日の開会集会で日本平和委員会の千坂純事務局長が行った主催者報告(要旨)を紹介します。
沖縄県民のたたかいは、民意を踏みにじって恥じない安倍政権の暴挙に対する、民主主義を守るたたかいであり、戦争のための米軍基地建設のために環境と暮らしを破壊する暴挙に抗する、平和的生存権と憲法9条を守るたたかいです。沖縄県の裁判闘争支援、連帯行動を全国で広げましょう。
安倍9条改憲、「海外で戦争する国づくり」・日米軍事同盟強化をストップする市民と野党の共闘を発展させましょう。
オスプレイ、迎撃ミサイル「イージス・アショア」の導入など、米軍と一体に海外に「殴りこむ」自衛隊をつくる大軍拡が進められています。「軍事費削って災害支援・防災に」「福祉、教育、暮らしに」「消費税減税を」の声を広げましょう。
非核平和の北東アジアと核兵器のない世界をめざしましょう。「徴用工」問題は、植民地支配が生んだ深刻な人権侵害との反省に立って解決を図ることを求めます。
来年は被爆75年であり、現行・安保条約発効60年です。安保条約を廃棄してこそ憲法の輝く日本をつくることができることを国民的な世論にしていきましょう。(しんぶん赤旗 2019年11月10日)