活動報告

東村高江のテント撤去に抗議

 

 4月25日(木)午前9時15分、衆議院第2議員会館内の会議室で、沖縄県選出野党国会議員でつくる「うりずんの会」の4名と「高江ヘリパッド建設に反対する有志」の方々が防衛省と外務省に要請を行いました。住民が米軍北部訓練場のN1ゲート付近に設置しているテントの撤去をやめるよう求めるためです。沖縄防衛局は、同日午後5時までの撤去を求め、期限を過ぎても残置されている場合は米軍が撤去する旨の警告文を現地に張り出していました。

 

 

米軍による突然の撤去

 発端は、4月3日(水)のことでした。集落を取り囲むように、米軍ヘリやオスプレイの着陸帯の建設が強行された東村高江で、住民が抗議活動のために設置していたテントが米軍に撤去されました。事前の警告もなく、住民が不在になった同日夕方から翌朝までの間に、テントのほか、机、椅子、支援に来た人のための説明文や地図、全国から寄せられた横断幕や寄せ書きなどが一切なくなっていました。住民からは「撤去された物は全国の支援による思いのこもったものだ」「米軍なら問答無用が許される。まさに治外法権だ」と怒りの声が上がりました。

 

 

 

 赤嶺議員は週末の6日(土)、現地で住民から話を聞きました。撤去された場所には、すでに簡易型の新しいテントが設置されていました。

 住民の話によると、米軍基地と道路の間には、境界を示す杭があります。テントが設置されていたのは、その外側=道路側でした。道路の管理者は、沖縄県です。なぜ、米軍が勝手に撤去できるのか。

 

 

 赤嶺議員は、9日(火)の衆院安保委員会で政府を問いただしました。岩屋毅防衛相は、「米軍は、日米地位協定に基づいて、施設・区域内において、『それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる。』とされている」「今回の措置も、その地位協定に基づくものと説明をしている」と米軍の横暴なやり方を容認する姿勢を示しました。

 赤嶺議員は「共同使用区域だ。管理者は沖縄県だ。米軍ではない。米軍がそういうところまで地位協定だからできると言ったら、日本は主権がない状態になる。絶対に繰り返すべきではない」と強く求めました。

 

米軍基地内の県道

 しかし、沖縄防衛局は18日(木)、上記の警告文を設置しました。

 問題の道路は、県道70号線です。見た目にはわかりませんが、実は、今も米軍基地で、日米地位協定2条4項(a)に基づき、沖縄県が県道として共同使用させてもらうかたちになっています。

 赤嶺議員は、24日(水)の衆院沖縄北方特別委員会で、北部訓練場の形成過程について取り上げました。

「沖縄が米軍の占領下に置かれていた1957年(昭和32年)に、米軍からの一方的な通告によって接収され、基地に変えられたのが北部訓練場です。伊江島や宜野湾市の伊佐浜、那覇市の具志、銘苅などで、銃剣とブルドーザーによる強権的な土地の取り上げを進めながら、関係する町村長を呼びつけて、大規模な土地接収を一方的に通告したのであります。

 そうしてつくられた北部訓練場周辺で、普通に使われている県道が、実は米軍基地のままになっている。沖縄県が共同使用させてもらうという屈辱的なかたちになっている。そして、気に入らない抗議活動があれば、占領下と同じように米軍が乗り出してくる。こんなことが許されていいのか。」

 防衛省の原田憲治副大臣は、「防衛省としてその詳細を把握はしていない」としつつも、「昭和32年に北部海兵隊訓練場として使用開始され、その際、米軍による強制的な接収が行われたとの記録もある」と認めました。県民の生活道路が、いまだに米軍基地とされていること自体がおかしいのです。共同使用などではなく、県民に返還すべきではないでしょうか。

 

撤去は許されない

 「沖縄県が県道用地として管理している。県に任せるべきだ。米軍が直接テントを撤去することは許されない」「米兵と住民の間でトラブルが起こればどうするのか」。25日の要請の場では、沖縄県が管理する県道用地であるにもかかわらず、「日米地位協定に基づき、米軍は施設・区域内で必要な措置を取ることができる」とする防衛省・外務省に疑問の声が噴出しました。

 

 

 沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは「日米地位協定2条4項(a)で共同使用が認められるのは、米軍が一時的に使用していない場合だ。米軍が使っていない用地として、沖縄県に管理を任せている。なぜ、米軍の勝手な判断で措置をとれるのか。これでは植民地ではないか」と迫りました。

 防衛省の担当者は「沖縄県において、共同使用区域としての適切な管理が行われる必要がある」と述べました。「共同使用区域としての適切な管理」が何を指すかについては、「米軍による施設・区域の正規の使用の目的にとって有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る」という2条4項(a)の規定を挙げました。

 なぜテントの設置が「米軍による正規の使用の目的にとって有害」なのでしょうか。県道部分は、米軍が使用していないからこそ、共同使用が認められたのです。沖縄防衛局は、辺野古で土砂投入を開始した昨年12月14日以降、N1ゲートから着陸帯に通じる道路の改修工事を行っていますが、3月~6月はノグチゲラの営巣期で、現在、重機を用いた工事は行っていません。テントの設置場所は、一般交通の妨げになるような場所でもありません。残る理由は、結局、抗議活動が気にいらない、日米両政府に声を上げるのが「有害」だということだけです。

 赤嶺議員は、9日の委員会で、こう指摘しました。

 「そもそもあの人たちは、オスプレイの着陸帯がつくられて夜も眠られないような騒音や爆音に苦しめられて、耐えがたい気持ちでああいう抗議の声を上げているわけですよ。沖縄の人が基地で苦しめられて、抗議の声も上げちゃいけないんですか。」

 表現の自由は、憲法に保障された国民の権利です。その権利を押しつぶすことは許されません。(2019年4月27日 スタッフ)

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