活動報告

「慰霊の日」 沖縄戦終結73年 平和求め 翁長知事「新基地は流れに逆行」

カテゴリー:

テーマ:

 

 太平洋戦争末期の激しい地上戦で二十数万人の命が失われた沖縄戦から73年の「慰霊の日」を迎えた沖縄県は6月23日、強い日差しの中、糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園で「沖縄全戦没者追悼式」(主催・沖縄県と県議会)を開きました。政府からは、安倍晋三首相、衆参両院議長らが出席。式典には、5100人が参列し、恒久平和を願いました。

 平和宣言で翁長雄志知事は、沖縄戦の悲惨な体験から戦争の愚かさ、命の尊さを学び、平和を希求する「沖縄のこころ」をよりどころに、沖縄は復興と発展の道を歩んできたと振り返りました。

 沖縄の広大な米軍基地から繰り返し派生する事件・事故と同県名護市辺野古の新基地建設。翁長知事は、朝鮮半島での緊張緩和に向けた動きを示し、日米両政府が進める新基地建設は、「沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりでなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行している」として建設断念を求めると、参列者から大きな拍手が起きました。

 沖縄県遺族連合会の宮城篤正会長は追悼の言葉で、「戦争につながる新たな基地建設には遺族として断固反対する」と述べました。

 浦添市立港川中学校3年の相良倫子(さがら りんこ)さんが平和の詩「生きる」を朗読しました。

 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員をはじめ沖縄選出の国会議員も参列しました。(しんぶん赤旗 2018年6月24日)

 

 

翁長雄志知事の「平和宣言」

 20数万人余の尊い命を奪い去った地上戦が繰り広げられてから、73年目となる6月23日を迎えました。

 私たちは、この悲惨な体験から戦争の愚かさ、命の尊さという教訓を学び、平和を希求する「沖縄のこころ」を大事に今日に生きています。

 戦後焼け野が原となった沖縄で、私たちはこの「沖縄のこころ」をよりどころとして、復興と発展の道を力強く歩んできました。

 しかしながら、戦後実に73年を経た現在においても、日本の国土面積の約0・6%にすぎないこの沖縄に、米軍専用施設面積の約70・3%が存在し続けており、県民は、広大な米軍基地から派生する事件・事故、騒音をはじめとする環境問題等に苦しみ、悩まされ続けています。

 昨今、東アジアをめぐる安全保障環境は、大きく変化しており、先日の、米朝首脳会談においても、朝鮮半島の非核化への取り組みや平和体制の構築について共同声明が発表されるなど緊張緩和に向けた動きがはじまっています。

 平和を求める大きな流れの中にあっても、20年以上も前に合意した辺野古への移設が普天間飛行場問題の唯一の解決策と言えるのでしょうか。日米両政府は現行計画を見直すべきではないでしょうか。民意を顧みず工事が進められている辺野古新基地建設については、沖縄の基地負担軽減に逆行しているばかりではなく、アジアの緊張緩和の流れにも逆行していると言わざるを得ず、全く容認できるものではありません。「辺野古に新基地を造らせない」という私の決意は県民とともにあり、これからもみじんも揺らぐことはありません。

 これまで、歴代の沖縄県知事が何度も訴えてきたとおり、沖縄の米軍基地問題は、日本全体の安全保障の問題であり、国民全体で負担すべきものであります。国民の皆様には、沖縄の基地の現状や日米安全保障体制の在り方について、真摯(しんし)に考えていただきたいと願っています。

 東アジアでの対話の進展の一方で、依然として世界では、地域紛争やテロなどにより、人権侵害、難民、飢餓、貧困などの多くの問題が山積しています。

 世界中の人々が、民族や宗教、そして価値観の違いを乗り越えて、強い意志で平和を求め協力して取り組んでいかなければなりません。

 かつて沖縄は「万国津梁(しんりょう)」の精神の下、アジアの国々との交易や交流を通し、平和的共存共栄の時代を歩んできた歴史があります。

 そして、現在の沖縄は、アジアのダイナミズムを取り込むことによって、再び、アジアの国々を絆(つな)ぐことができる素地ができてきており、日本とアジアの架橋としての役割を担うことが期待されています。

 その期待に応えられるよう、私たち沖縄県民は、アジア地域の発展と平和の実現に向け、沖縄が誇るソフトパワーなどの強みを発揮していくとともに、沖縄戦の悲惨な実相や教訓を正しく次世代に伝えていくことで、一層、国際社会に貢献する役割を果たしていかなければなりません。

 本日、慰霊の日に当たり、犠牲になられた全ての御霊(みたま)に心から哀悼の誠を捧げるとともに、恒久平和を希求する「沖縄のこころ」を世界に伝え、未来を担う子や孫が心穏やかに笑顔で暮らせる「平和で誇りある豊かな沖縄」を築くため、全力で取り組んでいく決意をここに宣言します。

 平成30年6月23日

 沖縄県知事 翁長雄志

 

このページをシェアする