沖縄県名護市辺野古の米軍新基地が完成した場合、国立沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)などが米軍の定める基地周辺の建造物の高さ制限を超えることが判明し、新基地をめぐる焦点の一つとして浮上しています。
飛行場とヘリポートの計画・設計にかかわる米軍の統一施設基準(UFC3―260―01)に照らすと、新基地の滑走路の中心から半径2286メートルの範囲(水平表面)には標高約55メートルを超える建造物は認められていません。
建設予定地周辺には、沖縄高専の校舎(約70メートル)と約550人が暮らす学生寮(約59メートル)、14箇所の送電鉄塔・電波塔(約60~100メートル)などがあり、この基準に抵触します。
沖縄県選出の野党国会議員連盟「うりずんの会」が4月11日に国会内で実施した防衛省へのヒアリングでは、防衛省は96年のSACO(日米特別行動委員会)合意当初から問題を認識していたことを認め、該当する鉄塔については2015年8月12日に沖縄電力に移転を求めていたことを明らかにしました。
一方、沖縄高専については「米側と調整し、(高さ制限の)適用除外にした」「(米軍機の)離発着は周辺集落上空を通過せず、日米間で基本的に海上で合意をしている」と安全性を強調。鉄塔は移転を求めながら、沖縄高専を例外とした理由を聞かれたのに対し、明確な根拠をあげることはできませんでした。
議員からは「学生や教員、地域住民の命をなんだと思っているのか」との指摘が相次ぎました。
日本共産党の赤嶺政賢議員は「高専の裏にはヘリパッドがありオスプレイが飛んでいる。誰がみても安全上問題だ」と述べ、米軍基準に抵触することを知りながら、新基地の埋立承認申請を出した防衛省の対応を厳しく批判しました。
沖縄高専を含む県内の大学など9高等教育機関の学長・校長は3月、教育機関の敷地や周辺上空を米軍機が飛ばないように日米両政府に求める連名の声明を送付しています。(しんぶん赤旗 2018年4月13日)