与党側が来週にも戦争法案の強行採決のかまえを見せる中、衆院安保法制特別委員会は7月6日、沖縄県那覇市とさいたま市で地方参考人質疑を行い、それぞれ5人が意見陳述しました。法案への強い危惧とともに、慎重審議を求める意見が相次ぎました。
那覇市では稲嶺進・名護市長が、戦争法案は「国のあり方を変える危険きわまりないものだ」と指摘。「法案が成立すれば、日米一体の軍事行動が増え、他国の紛争に巻き込まれるリスクが高まる。そうなれば、米軍基地が集中する沖縄が一番に狙われ、再び戦場になる。またしても沖縄は捨て石にされる」と述べ、法案の撤回を求めました。
地元紙・琉球新報の高嶺朝一(たかみねともかず)前社長は、「戦争法案と辺野古新基地建設という二つの対米誓約が沖縄に災いをもたらす」と反対を表明。「平和憲法とともに歩んできた日本こそ、中国など周辺諸国と率直な対話をすべきだ」と述べました。
大田昌秀元沖縄県知事は辺野古新基地建設に反対を表明し、「軍隊が住民を守らないことは歴史の教訓だ」と述べ、沖縄戦の教訓を踏まえて審議すべきだと述べました。
与党推薦の古謝景春(こじゃけいしゅん)・南城市長、中山義隆・石垣市長はいずれも法案に賛成しましたが、「国民の理解が深まっているとはいえない」(中山氏)、「国民にはまだまだ不安がある」(古謝氏)と、慎重な審議を求めました。
さいたま市では、3人の弁護士が、いずれも戦争法案の違憲性を指摘。強行採決を行わないよう求める声も相次ぎました。
埼玉弁護士会の石河秀夫会長は「明白に憲法に違反する法案であり、ただちに廃案にすべきだ」と指摘。「国民の理解が得られないまま、強行採決にいたった場合は徹底してたたかう」と強調しました。
「明日の自由を守る若手弁護士の会」の倉持麟太郎弁護士も「政府の説明、答弁はあまりにも不合理、不誠実、不十分であり、法案の民主的正当性は欠如している」として、廃案を求めました。
東海大学法科大学院の落合洋司特任教授(弁護士)は「限定的とはいえ、集団的自衛権行使を憲法上認めることは肯定しがたい」と指摘しました。
日本共産党から那覇で赤嶺政賢議員、さいたまで塩川鉄也議員が質問に立ちました。(しんぶん赤旗 2015年7月7日)