国会質問

質問日:2017年 12月 5日  第195国会  安全保障委員会

辺野古新基地 海上運搬強行を批判 住民生活に悪影響 衆院安保委で赤嶺衆院議員

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は12月5日の衆院安全保障委員会で、沖縄県名護市辺野古の新基地建設に際し、政府が同県国頭村の奥港から当初予定になかった石材の海上運搬を強行したことを批判し、自然環境や住民生活に深刻な影響が出るとして工事の中止を求めました。

 

 

 赤嶺氏は、11月6日に新たに着工した護岸工事に関して、埋め立て承認願書に添付された「環境保全図書」には石材を海上運搬する記載はないと指摘。沖縄県が防衛局に協議が調うまで実施しないよう指導したにもかかわらず「なぜ海上運搬を強行したのか」とただしました。防衛省の西田安範整備計画局長は、図書の一部を引用し「当初から想定されている」と弁明しましたが、石材の海上搬入を具体的に明記した箇所は挙げられませんでした。

 赤嶺氏は、資材の海上運搬は「主として南側航路を利用する」と図書に記載がある一方、奥港から海上運搬する場合は北側を利用せざるを得ないと指摘。「石材の海上運搬を想定していなかったことの証しだ」と告発しました。

 赤嶺氏は、奥港からの運搬がジュゴンの生息区域を横断することになるにもかかわらず、防衛省は運搬期間や回数なども公表していないと指摘。県内有数の茶葉の産地である奥集落の住民生活にも悪影響が出ているとして「あまりにも無責任だ」と批判しました。また、奥区が奥港の使用に反対する抗議決議を全会一致で可決したことにふれ、区民の意思に反する工事の中止を求めました。(しんぶん赤旗 2017年12月6日)

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辺野古新基地建設問題について質問

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 法案については、人事院勧告に沿った国家公務員全体の給与引き上げの一環でありますので、賛成であります。
 きょうは、辺野古新基地建設での石材の海上運搬について質問をいたします。
 防衛省は、十一月六日から新たにK1、N5という護岸の工事に着手し、十三日には国頭村にある奥港から石材の運搬を行いました。
 これについて沖縄県は、埋立承認願書の環境保全図書で予測されておらず、埋立承認の際の留意事項に基づく変更承認が必要となる可能性があるとし、県との協議が調うまで実施しないよう行政指導を行っていました。私も環境保全図書を確認いたしましたが、確かに、傾斜堤護岸に用いる石材を海上運搬するという記載はありませんでした。
 資料一をごらんください。
 星印をつけていますが、今回搬入された石材が用いられたK1、N5護岸は傾斜堤護岸であります。この傾斜堤護岸の石材の運搬方法としては、ダンプトラックとはっきり明記されています。
 防衛大臣に伺いますが、県の行政指導にもかかわらず、なぜ石材の海上運搬を強行したんですか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘の埋立用資材の海上搬入につきましてでございますが、そもそも沖縄県に提出した埋立承認願書に添付されたいわゆる環境保全図書には、海上搬入を実施することが記載されておりまして、それを踏まえて埋立承認がなされていること、陸上搬入により生ずる環境負荷の軽減や施工の円滑化等ができること、あるいは、施工途中の護岸を活用して埋立用資材の搬入を行うものであるといったことから、実施設計協議で示された設計内容と異なっているといった御指摘は当たらず、実施設計及び環境保全対策等に係る協議をやり直す必要はないものというふうに考えてございます。
 委員が御配付になりました資料一でございます。稼働計画というものでございますが、これにつきましては、環境保全図書における予測の前提にある船舶・建設機械稼働計画でございますけれども、本表は、工事施工区域内における作業の稼働計画を示したものでございまして、資材の搬入について示したものではございません。
 資材の搬入につきましては、先ほど申し上げましたように、主な資材の搬入計画として、環境保全図書に「資材は、海上運搬及び陸上運搬により施工区域に搬入します。」という記載がありまして、海上運搬につきましては当初から想定をされているものでございます。

○赤嶺委員 今防衛省から説明にあったところは、資材の一般的な運搬方法を述べたところです。ここには海上、陸上ともに書いております。しかし、環境保全図書では、護岸の種類によって輸送方法を書き分けており、傾斜堤護岸については、先ほど示しましたように、ダンプトラックによる運搬とはっきり書いてあるわけですね。その一方で、ケーソン式護岸に用いる石材の運搬については、ランプウエー台船を用いると書いています。
 つまり、先ほど防衛省が述べられた海上運搬を想定していた資材とは、ケーソン式護岸に用いる資材などのことであって、今回の傾斜堤護岸に用いる石材については、トラックによる陸上運搬を想定していた、そういうことではありませんか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 繰り返しになりますが、この稼働計画といいますのは、工事施工区域内におけるさまざまな稼働計画を示したものでございまして、委員御指摘の点は、例えば作業ヤードから工事場所への運搬等について想定をしておるものでございまして、あくまで、資材のこうした作業ヤード等への外からの搬入といったものについて示したものではございません。
 資材の搬入につきましては、先ほど申し上げましたように、搬入計画として別途記載をしており、「海上運搬及び陸上運搬により施工区域に搬入します。」と記載を申し上げているところでございます。

○赤嶺委員 傾斜堤護岸の石材は陸上運搬と明記されているにもかかわらず、ここに来て、自分たちが都合のいいようにねじ曲げて説明しておりますが、これは到底納得できるものではありません。
 一方で、皆さんの説明がどれだけ不自然かといいますと、環境保全図書では、資材の海上運搬について、仮にそれをあなた方が言うとおりであったにしても、「県内からの資材の運搬は主として南側航路を利用する」、このように述べられているわけですよ。しかし、今回の奥港からの海上運搬では、北側航路を利用せざるを得ないわけですよ。
 そういう、運搬方法についていろいろ言いわけをしておりますが、幾重にも、今回の石材の海上運搬は、想定していなかったことをあなた方がやり始めた、そういうあかしであります。自分たちのつくったルールさえ無視して運搬を強行するということは許されません。
 海上運搬による環境などへの影響もおっしゃいましたが、防衛省は、九月二十七日の環境監視等委員会に、資材を海上から運搬することによって、陸上運搬の影響が最も大きい辺野古集落付近において、一隻当たり約百九十台分のダンプトラックの通行を削減できるなどと説明しています。その一方で、海上運搬が新たにどのような影響を与えることになるかについては一切触れられていません。
 資料二を見ていただきたいんですが、資料二の青く塗ったところ、それから右側の赤いところ。右側の赤いところが辺野古で、ジュゴンが、一番北の奥を通って、ぐるりと回って泳ぎ回っているところであります。
 つまり、今回の奥港からの海上運搬ルートは、まさにジュゴンの行動軌跡と重なるものであります。
 環境保全図書では、作業船の航行に当たっては、ジュゴンが頻繁に確認されている区域内をできる限り回避し、沖縄島沿岸を航行する場合は、岸から十キロメートル以上離れて航行しますとあります。今回の運搬では、ジュゴンが確認された区域を直接横断することになるのであります。
 奥港からの海上運搬が、ジュゴンの生態に新たな影響を及ぼすことになるのではありませんか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 ジュゴンの環境保全措置に関しましては、環境保全図書におきまして、ウミガメ類やジュゴンが頻繁に確認をされている区域内をできる限り回避し、沖縄島沿岸を航行する場合は岸から十キロメートル以上離れて航行、及びジュゴンとの衝突を回避できるような速度で航行するよう周知することとしておりまして、これによって、ジュゴンの移動ルートと海上搬入の経路との重複が回避できると考えてございます。
 また、奥港の出入域時にジュゴンの移動ルートを横断する場合につきましても、見張りをしつつ、衝突を回避できるような速度で航行することとしており、可能な限りジュゴンの行動に影響を与えないように努めております。

○赤嶺委員 奥港からの石材の運搬、これは、今まで、当初の計画になかったことをやっているわけですが、どれくらいの期間、頻度で行い、どれほどの量を運搬すると想定しており、ジュゴンに与える影響などについて、沖縄県にはきちんと説明したんですか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 奥港の使用に当たりましては、沖縄県に対しまして、工事受注者より使用許可の申請を本年六月の二十六日及び七月の十一日に行ったところでございまして、その後、関係法令に基づき審査がなされ、本年九月四日に使用許可を受けて、使用をしているところでございます。
 お尋ねの石材運搬の期間、頻度、運搬量等につきましては、使用許可の申請書において記載をするとともに、申請から許可を受けますおよそ二カ月間の間にも、工事受注者と沖縄県においてさまざまなやりとりを行い、説明をした上で、これらを踏まえ、使用許可が下されたというふうに承知しております。

○赤嶺委員 ジュゴンに与える影響について、例えば、県内の石材を運ぶ場合は南回りというものを、約束を破って北回りにした。ジュゴンが泳ぎ回っていくところを行く、それ自体が防衛省が直接県と話し合いすべきことでありますが、全く行われておりません。
 もう一つ重大なのは、奥集落の住民の生活への影響です。
 奥集落は、人口百七十四人の静かで穏やかな、そして自然豊かな集落です。奥港は住民の憩いの場でもありました。そこに、五十台もの大型ダンプトラックが押し寄せてきたのであります。奥は、県内でも有数の茶葉の産地であり、奥といえばお茶であります。しかし、今回のダンプトラックの港への搬入によって、茶畑へ向かう道が規制され、たどり着くことができなかったという話も聞いています。まさに、住民の平穏な生活を破壊したと言っても過言ではありません。
 防衛省は、奥港へのダンプトラックの石材搬入による奥区民の生活への影響をどのように認識していますか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほども申し上げましたように、奥港の使用につきましては、沖縄県に対しまして工事受注者より使用許可の申請を行いまして、本年の九月の四日に使用許可を受けたというふうに承知をしております。奥港へのダンプトラックによります石材の搬入につきましても、沖縄県に対して、申請から許可を受けるまでの間に工事受注者より石材の搬入量等について説明を行った上で使用許可が下されたというふうに承知をしております。
 また、地元に対しましては、奥区長に対しまして、累次にわたり説明あるいは聞き取りを事業者等から行っていたところでございます。
 その結果、小学校付近でのダンプトラックの徐行の徹底、あるいは小学校の通学時の通行を禁止する、あるいは小学校周辺に誘導員を配置する、あるいは道路への注意看板の設置、石材仮置き場への立ち入り防止対策等々を行うこととし、また、これらの内容を周知するために、地元公民館へお知らせを掲示するなど、説明を行った上で対応しているところでございます。

○赤嶺委員 奥集落は区長を先頭に総会を開いて、奥港を使うことに反対の総会決議を上げました。あなた方が奥港の使用を強行するのであれば、奥区民も相手にして強行するというような対立的な関係を生み出さざるを得ません。
 奥港の使用、違法な海上輸送、これはやめるべきであるということを強く申し上げて、質問を終わります。

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参考資料

配布資料 埋立承認願書に添付された環境保全図書から

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