エッセイ

水曜随想 土砂投入の資格はない 衆院議員 赤嶺政賢

 

 防衛大臣が14日から沖縄県名護市辺野古の海に土砂を投入すると発表した。県知事選挙に惨敗した安倍政権にその資格はない。

 当初の計画では8月17日の予定だった。ところが翁長前知事の埋め立て承認撤回の手続き開始、県知事選挙での県民の決起がその計画を粉砕した。当初の予定より遅れること4か月だ。

 使用する港は予定していた本部港塩川岸壁が台風で一部決壊したため、民間企業琉球セメントの桟橋を使う。3日、メディアはベルトコンベヤーを伝わって船に積みこまれる土砂の映像をくりかえし放送した。ところが、使用した桟橋は、設置工事の完了届が沖縄県に提出されていないとして、玉城デニー知事は「違法」を指摘、即座に使用停止を琉球セメントに通知した。通知後、搬出作業は中断している。さらに沖縄県が立ち入り調査したところ、赤土をふくむ岩ずりの堆積が確認され、沖縄県赤土等流出防止条例の手続きが必要だということも判明。手続きには45日間かかる。防衛局にとって一難さってまた一難だ。

 

 

 今回埋め立てる計画地は約7ヘクタール。区域全体160ヘクタールの約4%だ。玉城デニー知事は、埋め立て承認から5年が経過しても、全体の実施計画さえも未完成で、最短でも埋め立て工事で5年、軟弱地盤に対する地盤改良工事で5年、埋め立て完了後の作業で3年、新基地の運用開始までに13年、費用の面でも、完成までに最大2兆5500憶円が必要になると試算している。

 政府は現時点での工期や完成時期、費用の見通しを全く示していない。これから先の見通しがないからだ。

 沖縄では、米軍基地以外にも、宮古島、石垣島に自衛隊駐屯地の建設が強行されている。沖縄戦の歴史を知る県民には耐えられない国策の押し付けだ。

 「軍事に軍事で対立するのではなく、『隣国同士として互いに脅威とならない』とした日中両首脳間の合意にたった外交努力こそ求められる」と前回の安全保障委員会で外務・防衛両大臣に強く迫った。次は2月24日の県民投票でさらに県民の強い民意を政府につきつけるために奮闘する決意だ。(しんぶん赤旗 2018年12月5日)

 

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