エッセイ

水曜随想  世界が問う日本の姿勢

 

 臨時国会冒頭の衆院予算委員会でテレビ中継された質問が10月3日にあった。日本共産党の持ち時間は1時間47分。そのうち私の持ち時間は45分だった。他党も驚くほど日本共産党の質問時間がふえている。しかし、質問に挑む者としては、もっと時間がほしかった。ということで、質問でとりあげなかったテーマをこの「水曜随想」で書きたい。

 

 質問では北部訓練場問題をとりあげた。

 

 この間題で見落としてならないのは、世界自然遺産条約とのかかわりだ。北部訓練場は、沖縄で一番大きな訓練場。1955年、米軍の一方的な命令で広大な山岳地帯が強制接収された。そのとき、国頭村や東村は、実弾射撃訓練は絶対にやめてほしいと要求。米軍は何度か実弾射撃訓練を強行しようとしたが、住民のたたかいはこれをやめさせてきた。使われているのはペイント弾や模擬弾に限られている。

 

 やんばるの人々の勇気ある行動が、この一帯の豊かな自然を守り、「やんばるの森」「ブロッコリーの森」として、県民の命の水がめとして貴重な役割を果たしてきた。

 

 やんばるの森全体が世界自然遺産条約に登録されるべきだが、日本政府は北部訓練場を登録予定地から除外している。直径75メートルのオスプレイ着陸帯の建設を強行している場所はやんばるの森のなかでも最も自然度が高く、国の天然記念物で固有種に指定されているノグチゲラの巣穴がたくさん発見されている。

 

 世界自然遺産条約に登録するうえで、最も中核的な地域だ。世界自然遺産条約に登録のためには、日本政府はまずユネスコに申請する。ユネスコは、その場所がふさわしいかどうか、科学的な調査・評価を国際自然保護連合(IUCN)に依頼する。

 

 その国際自然保護連合は、過去2回、北部訓練場のオスプレイ着陸帯建設について「ノグチゲラ、ヤンバルクイナ生息域における米軍ヘリパッド建設計画に関して、環境アセスメントの対象とし、ゼロ・オプションを含む複数の代替案を検討すること」と日本政府に勧告している。

 

 米軍基地優先の日本政府の姿勢が国際社会で厳しく問われることになる。(しんぶん赤旗 2016年10月5日)

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