エッセイ

水曜随想  野望を打ち砕きたい

 

 オバマ大統領が、安倍首相に疑いの目をむけはじめた。3月31日、ワシントンで開催された日米首脳会談でのできごとだ。

 

 辺野古の新基地建設問題で、安倍首相はこれまで幾度となく、「工事は順調に進んでいる」と米側に説明してきた。それが、事態が急展開し、裁判所の和解勧告にもとづいて、国と県が和解、辺野古の工事がストップした。

 

 「なんで和解に応じたのだ。日本政府は裁判でも負けることはないといっていたのではないか」、オバマ大統領は安倍首相にこのように説明をもとめたそうだ。地元の沖縄タイムス、琉球新報が報道している。

 

 「これでは基地の完成は遅れるのではないか」、オバマ大統領はさらに問いただしたが、安倍首相は「辺野古移設が唯一の解決策との方針に変わりはない」と答えるのが精いっぱいだった。

 

 2014年の沖縄は、辺野古新基地建設の是非が正面の争点となった名護市長選挙で、政府の全面的応援を受けた新基地推進勢力を打ち破り勝利した。

 

 この勝利は、県知事選挙で、安保条約容認、反対の立場の違いを超えたオール沖縄勢力の結集となってみのり、公約を裏切って辺野古埋め立てを承認した当時の仲井真知事を県民の力で追放、続く衆議院選挙でもオール沖縄勢力が全員勝利した。

 

 今回の日米首脳会談のやりとりは、沖縄県民の団結の力が、アメリカ政府の中枢を直撃していることを実感する。

 

 3月16日、沖縄で講演に立った不破哲三さんは、「沖縄県民が不屈の意思を固めたとき、誰もその前進を阻むことはできない」と沖縄の歴史をふりかえりながら訴えた。「オール沖縄の闘いが、戦争法廃止、立憲主義の回復をもとめる全国の共闘をはげます力となってひろがっている」と、会場いっぱいの聴衆を励ました。

 

 政府は、5月の県議選挙と直後の参議院選挙を標的に、沖縄県民の団結を切り崩し、逆流を持ち込もうと必死に跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。「闘う民意」(翁長知事)の強固さをきたるべき県議選挙、参議院選挙で示して、日米両政府の野望を再び打ち砕きたい。(しんぶん赤旗 2016年4月6日)

 

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