国会質問

質問日:2007年 6月 18日  第166国会  沖縄北方特別委員会

2007年6月18日 第166国会 衆議院沖縄北方特別委員会

議事録

○赤嶺委員

 次に、外務大臣にお聞きしますけれども、米海軍が与那国島に掃海艦二隻の寄港を計画しています。今回の寄港目的について、アメリカ側は、乗組員の休養及び友好親善としているわけですが、外務省の梅本審議官は、今月八日の外務委員会で、「あくまでもアメリカが運用上の都合によりまして与那国島に寄港したいということでございます。その機会を利用して友好親善、休養を図りたいということでございます。」と答弁しているわけです。

 まず、事実関係ですけれども、今回の米海軍の与那国への寄港の目的の主なものは米軍の運用上の都合ということですか。

 

○西宮政府参考人

 六月五日に米側から、海上保安庁を通じて沖縄県に対しまして、米掃海艦二隻を、友好親善、休養を目的として与那国島に寄港させるとの通報があったものと承知しております。

 こういうような目的を通報してきておりますけれども、こういったものは米軍の運用の一環であるというふうに理解しております。

 

○赤嶺委員

 審議官の答弁は、「あくまでもアメリカが運用上の都合によりまして与那国島に寄港したいということでございます。」ですから、「その機会を利用して友好親善、休養を図りたいということでございます。」ということで、だから友好親善、休養は運用の機会に行いたい、そういうことですよね。いかがですか。

 

○西宮政府参考人

 そのとおりでございます。

 

○赤嶺委員

 そうすると、米軍の運用上の都合というのは具体的に何を指しているんですか。

 

○西宮政府参考人

 米軍の運用につきましては、米軍、特に艦船の運用というお尋ねだと思いますけれども、安保条約の目的の達成のために運用されているわけでございます。地位協定五条に基づき我が国の港湾にも出入りをするということが認められておりまして、我々といたしましては、こうした運用というのは日米安保条約の目的の達成のためであるというふうに理解をしておるところでございます。

 

○赤嶺委員

 日米安保条約の目的達成のために、沖縄県は、県土の、本島の面積の二〇%も米軍基地の提供を余儀なくされているというような事情があるわけですが、その上にさらに、日米安保条約の目的の達成のためと言われて、離島のそういう小さな港まで米軍の艦船が行くということになってくると、これも運用上の目的という一言で片づけられると、これはとても理解できないものがあるわけですね。

 具体的に、どんな運用上の目的、何を指しているんですか。物資の補給あるいは燃料の補給、そういうのも入っているんですか。

 

○西宮政府参考人

 いろいろな活動というものが含まれると思いますけれども、具体的な運用の詳細については、我々は承知しておりません。

 

○赤嶺委員

 詳細については承知していない。例えば物資の補給、燃料の補給、水の補給というのは、ただでさえ物資の確保や燃料の確保や水の確保で苦労している、そういう離島の港に米軍の艦船が入っていく。そして中身は知らされない。とにかく安保条約の目的達成のためなんだということで、民間の港湾、しかも離島の港湾まで使われていくというようなのは、私、納得いかないんです。

 米軍の運用上の都合という中には、これまでもいろいろ繰り返されてきているんですが、何らかの緊急事態に備えて、あらかじめ民間の港に入港して港湾の状況を調べておく、こういう港湾調査の目的も含まれるんですか。

 

○西宮政府参考人

 いかなる具体的な活動が含まれるかということを、運用の問題として承知しておるわけではございません。

 

○赤嶺委員

 それじゃ、日本政府として、そういうことは絶対ないよというぐあいに断言できますか。

 

○西宮政府参考人

 安保条約の目的達成のために運用されると。その中身については承知しておりません。

 

○赤嶺委員

 非常に納得のいかない説明だと思うんですよね。港湾管理者である沖縄県も、そして米軍が友好親善をしたいという相手方の与那国町も寄港には反対をしているわけです。

 自治体が明確に反対している、にもかかわらず米軍艦船が入港した、こういう事例、外務大臣、ほかにありますか。

 

○麻生国務大臣

 急な御質問でよくわかりませんけれども、少なくとも、第五条でしたか、日米安全保障条約第五条によったところに、法律に基づいてやる話だというように理解しておりますが。

 

○赤嶺委員

 いや、急な御質問と言われても困りますよ。この与那国の艦船の入港についての質問の通告はやっていますから。もし大臣が確たる認識がないのであれば、北米局長、そういう事例があるんですか。

 

○西宮政府参考人

 確たる情報は今手元に持ち合わせておりません。

 

○赤嶺委員

 港湾への入港について管理者が、そして当該自治体が嫌だと言っている。米側の方は、町長に対して、町長の自宅でパーティーまで開いてほしいと言ってきたそうですね。何で歓迎もしていないのにパーティーまで用意しなきゃいけないのか、こういう思いですよ。

 そもそも私は、これだけ基地が集中している沖縄に、基地の比率だけでも物すごく高い負担を押しつけられているのに、さらにその上に民間の港湾にまで米軍の艦船が入港してくる、これも安保条約の目的達成のために必要だというようなのは納得できないんです。

 同時に、あの与那国という島の位置ですよ。石垣まで百二十七キロ、台湾まで百十キロ、むしろ台湾の方に近い最西端の島であるわけですね。向こうは、沖縄戦が終わったときに、沖縄の復興経済の出発点は台湾と与那国の貿易なんです。これが、沖縄の戦後の復興経済と呼ばれるものの出発点になったわけです。私も八重山の高等学校で教師をしておりましたが、教室の中には必ず中国の子供たちが何名かおります。いわば、台湾の住民、中国の人たち、与那国の人たち、石垣島の人たちは、三者が友好的な結びつきを通じて友好的な関係で島を発展させたい、こういう思いが非常に強いわけですよね。

 一方で、台湾海峡ということが軍事的にいろいろ言われている中で、こういう中に米軍の艦船を配備する、あるいは出入りさせる、そのことが、やはり私は国際政治にも緊張を持ち込むものであり、何よりも、住民がそれは願っていないと思いますよ。この尖閣列島にしても……

 

○安住委員長

 赤嶺君、時間が参っております。

 

○赤嶺委員

 静かに外交で、話し合いで解決してほしいというのが住民の願いですから、こういうのは断じて受け入れられないということを申し上げまして、質問を終わります。

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