国会質問

質問日:2018年 3月 22日  第196国会  安全保障委員会

建設予定地に活断層 「沖縄新基地中止を」 赤嶺衆院議員

 

 日本共産党の赤嶺政賢議員は3月22日、衆院安全保障委員会で、沖縄県名護市辺野古の新基地建設に関わり沖縄防衛局が実施したボーリング調査の報告書に、活断層が存在する疑いや、軟弱地盤の存在が記されていると指摘し、工事の中止を求めました。

 赤嶺氏は、報告書に建設予定地付近の陸域部分を走る辺野古断層(8・5キロメートル)、楚久(そく)断層(7・1キロメートル)について「活断層の疑い」と記されていることに言及。一方、政府は昨年、参院会派「沖縄の風」の糸数慶子議員の質問主意書に対し「活断層が存在するとは認識していない」と答えたとして矛盾をただしました。

 防衛省の西田安範整備計画局長は、産業総合技術研究所の「活断層データベース」など既存の文献に「活断層を示す記述がない」と説明。これに対し赤嶺氏は、同文献が取り扱うのは10キロメートル以上の断層で、辺野古付近の両断層は含まれないとして「活断層ではないと言い切れない。疑いがあることを知りながら、事実を覆い隠そうとした責任は重大だ」と批判しました。

 赤嶺氏は、報告書に「非常に緩い軟らかい堆積物が40メートル堆積」などと明記されていると指摘。「建設地の大本に関わる問題だ。一方的な工事を中止し、県との協議を行うべきだ」と求めました。(しんぶん赤旗 2018年3月25日)

 

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辺野古新基地建設について質問(衆院安保委)

議事録

○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 時間が限られておりますので、法案については、討論で態度を明らかにしたいと思います。
 辺野古の新基地建設について質問をいたします。
 今月上旬以降、防衛省から、護岸の設計のために実施したボーリング調査と音波探査の報告書が提出されました。シュワブ(H二十五)地質調査(その二)、シュワブ(H二十六)地質調査という二つの報告書であります。
 それらの報告書は、今から二年前、二〇一六年三月末に工期を終え、防衛省に提出をされたものです。昨年二月から繰り返し提出を求めて、一年を経過した今月になってようやく提出されました。
 防衛省は、大部にわたる資料で、不開示情報の精査に時間がかかると説明をしてきましたが、提出された資料を見ますと、その多くは同じ書式の個人名の部分を機械的に黒塗りにするもので、どう考えても、一年もかかるものとは思えません。
 防衛省に聞きますが、具体的にどの部分の精査に時間がかかったということですか。

○西田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の普天間飛行場代替施設建設事業に係るボーリング調査報告書につきましては、委員から、平成二十九年二月に、辺野古基地建設工事に係る既に完了したボーリング調査業務の結果報告書について資料を提出するよう御要求があったものでございます。
 防衛省といたしましては、提出する文書につきましての探索を行ったところ、総ページ数が約三千ページと著しく大量でございまして、また、当該文書を提出するに当たりましては、全体として不開示情報が含まれていないかといった精査、確認を行う必要がありましたことから、作業に一定の期間を要したため、最終的に、この三月に提出をさせていただいたところでございます。

○赤嶺委員 納得できる説明ではありません。たとえ大部にわたる資料であっても、一年もかけるというのは公文書の取扱いとして不適切だと思います。
 防衛大臣に伺いますが、公文書は健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源であります。その公文書を改ざんするなどというのはもってのほかですが、その提出がおくれるということで、主権者である国民の適切な判断が阻害されるようなことがあってはならないと思います。今後、速やかな資料の提出をお願いしたいと思いますが、大臣、いかがですか。

○小野寺国務大臣 委員御指摘の資料の提出につきましては、防衛省として、本件資料の要求の対応に当たりましては、情報公開法第五条各号に掲げる不開示情報に該当するか否かも参考にしつつ、適切に対応したものと考えております。
 なお、私も、文書管理の中で、防衛省の担当者から随時報告を受け、そして、しっかり開示に努力をするようにというふうに指示を出しておりますが、防衛省に来る開示の要求の資料の数というのはもう大変膨大なものになっております。職員は、本当に大変な残業をしながら必死に対応している姿というのを私も見ております。
 今回も、できるだけ職員の負担を軽減するように人員の増強には努めてまいりますが、現場は大変だということ、それでも、私ども丁寧に適切に対応する努力を今後とも継続させていただきたいと思っております。

○赤嶺委員 この答弁も納得できるものではありません。やはり私たち国民は、速やかな行政文書の公開を求めて、今のあり方を検討していくという権利があります。それが一年もおくれて出てくる。やはりそれは、私たちの、国民の知る権利への阻害になっているということを厳しく指摘し、速やかな提出、これに応えるのは防衛省の義務だということを申し上げておきたいと思います。
 次に、報告書の中身についてであります。
 昨年から、沖縄では、防衛省が建設工事を進める辺野古沿岸域に活断層が存在する可能性が指摘されてきました。
 琉球大学名誉教授の加藤祐三氏は、二〇〇〇年十月の第三回代替施設協議会に当時の防衛庁が提出した建設予定地周辺の海底の断面図に、五十メートル以上の沈下した落ち込みが記載されていること、また、陸上部には辺野古断層、楚久断層という二つの断層が確認されていることから、これらが一体として活断層である可能性があるとの認識を示しております。
 今回の提出した報告書の中には、この活断層の問題についてどのように指摘していますか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 お尋ねの地質調査の報告書につきましては、沖縄防衛局から委託を受けた民間業者において作成をされたものと承知をしております。
 その上で、当該報告書におきましては、引用でございますが、図中に示された破線は、活断層と断定されてはいないが、その疑いのある線構造と分類されているものであるとの記述がございますが、これはあくまで一九八〇年に発行された「日本の活断層」という書籍において示されている図面の破線部分について説明をしているものでございます。
 活断層につきましては、これまでも質問主意書……(赤嶺委員「これでいいです」と呼ぶ)よろしいですか、はい。

○赤嶺委員 活断層研究会がまとめた「日本の活断層」という本があります。報告書は、これをもとに、陸上部の二つの断層を地図で示し、活断層の疑いがあると明記をしているわけです。
 ところが、政府はこれまで、昨年十一月、糸数慶子参議院議員の質問主意書に対して、これらの断層を含めて、辺野古沿岸域に活断層が存在することは認識していないと答弁をしました。
 防衛省自身の報告書が活断層の疑いに言及しているのに、なぜ認識していないという答弁になったんですか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、当該報告書における記述、これはあくまで一九八〇年に発行された「日本の活断層」という書籍において示されている図面の破線部分について説明しているものでございます。
 活断層につきましては、これまでも質問主意書でお答えをしてきたとおり、既存の文献によれば、辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載はないことから、辺野古沿岸域に活断層が存在するとは認識していないところでございます。
 なお、先ほど申し上げました一九八〇年の「日本の活断層」という書籍の後に発行されました「新編 日本の活断層」、これは一九九一年のもの、さらに、その後の研究であります「活断層詳細デジタルマップ」、二〇〇二年というふうに、その後の研究が続けられてございますが、この二〇〇二年の「活断層詳細デジタルマップ」におきましては、活断層とそうでないものの識別を明確にしたというふうに記載をされておりまして、その「活断層詳細デジタルマップ」には、辺野古沿岸域における活断層の存在を示す記載がないところでございます。

○赤嶺委員 ちょっと今の答弁を整理いたしますと、既存の文献に記載がないことを私の質問主意書の答弁の中でも答えておられました。私が質問主意書で、既存の文献を具体的に示すよう求めたところ、一つは産総研のホームページにある活断層データベース、もう一つは東大出版会の「活断層詳細デジタルマップ」だと、このように答弁をいたしました。
 しかし、これらはもともと取り扱う活断層の対象を絞ったもので、そこに記載されていないからといって活断層である可能性が否定されるわけではありません。
 例えば、産総研は、長さでいえば十キロメートル以上の断層にデータを限定しています。加藤教授によると、現在のところ、辺野古断層は八・五キロメートル、楚久断層は七・一キロメートルとされております。もともと対象から外れており、記載されていないのは当たり前であります。産総研の収録基準というのは、そうなっているのではありませんか。

○西田政府参考人 ちょっと現在、産総研の資料につきまして御通告がなかったものですから、手元に持ち合わせておりませんが、いずれにしましても、辺野古断層及び楚久断層という委員の御指摘のものは、これは名護市陸域に示されている断層のことであるというふうに承知をしてございます。
 いずれにせよ、先ほど委員がおっしゃいました、私どもが質問主意書等でお答えをしている既存文献によれば、辺野古沿岸域において活断層が存在していることは認識していないところでございます。

○赤嶺委員 既存文献というのは産総研のホームページだということも私の答弁書の中で明確に答えております。
 産総研のホームページには、データベースの取扱いに関する注意書きが記載をされています。「まずお読みください」このようにあります。そして、そこには「本データベースは、これに表示された断層線以外に活断層が存在する可能性を否定するものではありません。」「まずお読みください」とあって、そういう記述があるわけですよ。
 産総研のデータベース、これを皆さんは根拠にしてまいりました、既存の文献ということで。しかし、それに記載がないからといって、二つの断層が活断層である可能性を否定することはできないということではありませんか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 私どもといたしまして、産総研のもののみならず、先ほども申し上げました「活断層詳細デジタルマップ」等も含めまして既存文献と申し上げているところでございます。
 その上で申し上げれば、先ほども申し上げましたように、この「活断層詳細デジタルマップ」、これは二〇〇二年のものでございますが、その前に発行されております「新編 日本の活断層」、一九九一年あるいはその前の一九八〇年のもの、これにつきましては、疑いのある線構造といった記述がございますけれども、先ほども申し上げましたように、二〇〇二年のデジタルマップというものにおいては、活断層とそうでないものの識別を明確にしたというふうに記載をされて、このデジタルマップで、この沿岸域における活断層の存在を示す記載というのはなくなっているところであります。

○赤嶺委員 産総研への説明を避けておられるようですが、明確に掲載する基準があって、しかし、掲載されていないからといって、活断層であることを否定することはできないと。
 過去の文献といいますが、過去は実地調査でやっていて、古いも新しいもないわけですよ、断層や活断層については。やはり事実を覆い隠すものであるということを指摘しておきます。
 もう一つは、地盤の強度の問題です。
 シュワブ(H二十六)地質調査の報告書を見ると、大浦湾側の巨大なケーソンの設置を計画する区域で二カ所のボーリング調査を行っています。その一つ、B28というポイントの柱状図を見ると、N値ゼロという層が深さ四十メートルにまで及んでいます。このN値というのは、土のかたさや締まりぐあいをあらわす単位であるわけですが、N値ゼロという数値が異常にこの報告書の中には多いんですね。
 N値ゼロというのはどういうことを示しているんですか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 お尋ねのN値ゼロということでございますが、N値ゼロにつきましては、サンプラーと呼ばれる器具にハンマーを置いた時点で土中に三十センチ貫入したということを意味しております。

○赤嶺委員 N値ゼロというのは、ですから、自沈、いわゆる自沈というのは自分で沈んでいくという意味ですね。
 報告書を見ると、このように述べているんですね。今回の調査結果より、C1からC3護岸計画箇所付近において、当初想定されていないような特徴的な地形、地質が確認された。海底より大きく隆起した地形を取り囲むように、大きくへこんだ谷地形が形成されている。谷地形、B26、B28の地層は、非常に緩い、やわらかい谷埋め堆積物が、層厚四十メートルと非常に厚く堆積している。このように述べています。
 当初想定されていなかった非常に緩く、やわらかい地層が非常に深く堆積しているという指摘、これも、防衛省、同じ認識ですか。

○西田政府参考人 お答えを申し上げます。
 地盤の強度等につきましては、御指摘のN値といった結果だけではなく、室内試験を含みます現在実施中のボーリング調査の結果も踏まえまして、総合的に地盤の強度等を判断をすることといたしてございます。
 したがいまして、御指摘のボーリング調査の結果だけでは地盤の強度等を正しく判断できる段階にはないと考えてございます。

○赤嶺委員 この報告書は、ボーリング調査だけでなくて、室内検査等も含めて、詳細な調査をした上でこういう報告書を、皆さんが委託した業者が出したデータじゃないですか。それを信じられないと言ったら、莫大な予算をかけて調査させた意味がないじゃないですか。
 報告書を見た専門家からは、厚さ四十メートルの豆腐の上に大型ケーソンを置こうとしているとか、あるいは、マヨネーズ並みのやわらかさの可能性があるという、こういう指摘が上がっているわけですね。
 ですから、報告書は、構造物の安定、地盤の圧密沈下、地盤の液状化の詳細検討を行うことが必須と考えられる。だから詳細な検査をやらざるを得なくなっていますが、今どういう検討を行っているんですか。

○西田政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますが、地盤の強度につきましては、御指摘の報告書に係る調査のみならず、現在も引き続き、さらなる室内試験を含みますボーリング調査等も行っているところでございます。
 したがいまして、こうした室内試験を含みます現在実施中の調査の結果も踏まえまして、総合的に地盤の強度等につきましては判断する必要があると考えてございます。
 したがって、現状において、御指摘の結果だけでは地盤の強度等を正しく判断できる段階にはないと考えておるところであります。

○赤嶺委員 データの開示を求めても一年以上にわたって出さずに、出てきてみたら、皆さんが否定している活断層についても図の中で示されている。そして、軟弱地盤についても、何年も前から指摘されていることが、皆さんの出してもらった報告書の中にそのデータがちゃんと出ている。
 もし地盤改良ということになれば、莫大な予算が必要とされます。大体、マヨネーズのような土質の上に大型ケーソンを置くなんというようなことは不可能で、皆さんは一方的に工事をどんどん進めておりますが、ここは、一回、ちゃんと沖縄県との協議も踏まえるべきだ、一旦工事も中止すべきだということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。

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